VTuber育成ゲームに転生したけど、ステ振りに失敗しました   作:bnn

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すみません、遅くなりました。
この話から第二章がスタートします。


ミッション10 新しいミッション

 

 

 

『デイリーシングルランキング、ベスト10はこちら!』

 

 テレビから、甲高いナレーターの声が聞こえてきた。

 聞き覚えのあるセリフにギョッとして、一気に頭が覚醒する。

 背中にじんわりと嫌な汗が滲んだ。慌てて床に落ちていたスマホを拾って、すぐに日付を確認する。

 

「……よかった……戻ってない……」

 

 スマホのホーム画面には、私がこの体で目覚めてから四日目の日付が表示されていた。

 無事に四日目の朝を迎えられたことに安心して、またバタリと体を倒す。

 

「はあー。朝から焦らせないでよ、もう……」

 

 どうやら昨夜は、テレビを付けっぱなしにしたままソファーで寝落ちしていたらしい。

 初めての配信で疲れていたのだろうか。

 それとも、なんとかミッションをクリアできたことで緊張の糸が切れたのか。

 

 いずれにしても、しばらくはミッション失敗のペナルティに怯えないで済むし、時間制限を気にして生活する必要もない。

 

 重い枷から解き放たれたような清々しい気分で、私――雨音律の新しい朝は始まった。

 

 

 

 

 

「――そうだ。雫さんに会いに行こう」

 

 シャワーを浴びて寝汗を流した後、ふと思い立った。

 今の時間――四日目の朝なら、雫さんはコンビニで働いていたはず。

 一周目の今ごろ、カラオケからの帰り道で、雫さんと話した時のことを思い出す。

 

 あの時の会話を最後に、一周目の雫さんは私を忘れてしまった。

 

 おそらく大丈夫だと思うけれど、それでも今回は忘れられていないか、ちゃんと確認しておきたい。

 京都行こう、くらいの軽いノリで思い立ってしまったが、なんだか無性にあの人の顔を見たくなった。

 急いで服を着替えて支度を済ませ、帽子とマスクを着ける。

 

 支度をしている最中、腹の虫が盛大に鳴いた。

 そういえば昨日は配信に夢中になっていたせいで、晩ごはんを食べていない。

 自覚した途端、猛烈な空腹感に襲われる。たくさん歌ってエネルギーを消費したせいだろうか。

 

 ミッションクリアのお祝いに盛大に食べてやろうと決めて、私は玄関の扉を開けた。

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。あっ、おはよう律ちゃん! 昨日ぶりだねぇ」

 

 コンビニに入ると、開口一番に雫さんが挨拶をしてきてくれた。

 よかった……忘れられていなかった。

 無事に四日目を迎えられた実感が湧いてきて、嬉しさと安堵を同時に噛み締める。

 

 晴れやかな気分で、スマホに返事を書き込んでいった。

 

『おはようございます、雫さん。昨日はありがとうございました』

「いやいや、こちらこそ話し相手になってくれてありがとね。頭ぶつけたところ、大丈夫だった?」

 

 雫さんが自分のこめかみを指して、トントンと叩いた。

 心配そうな表情を浮かべる彼女に、『大丈夫です』と伝えて軽く笑ってみせる。

 

「そう? ならよかった。もし痛みが続くようだったらちゃんと病院に行ってね。もちろん病院代は出すからさ」

『はい、ありがとうございます。でももう何ともないですよ』

 

 そこで一度会話を切って、商品を選びに店の奥へ。

 少し悩んでからカレーライスとコーンサラダ、おまけでデザートのバニラアイスをかごに入れて、またレジに戻った。

 

「あ、ちゃんとサラダも買ってる。律ちゃん偉いじゃん!」

 

 商品をかごから取り出しながら、雫さんが褒めてくれた。

 たしか前にも、野菜を食べなさいと怒られたことがあった。本当にお姉ちゃんみたいだなぁと思って、少しだけ口元が緩む。

 

『ちょっと前に、栄養バランスについて怒られたことがありまして』

「そうなの? まあコンビニで出来合いのもの買ってる時点でそんな変わんないけどね!」

『それは言わないでください……』

 

 いきなりド直球の正論をぶつけられて、得意げになっていた顔がしょぼしょぼと萎んでいった。

 カレーライスのカロリー表示を視界から追い出しながら、スマホで支払いを済ませる。

 別にいいもん。美味しいし。楽だし。

 

 ……自炊でも始めてみるべきかなぁ……と悩んでいると、袋詰めを終えた雫さんが「そういえば」と口を開いた。

 

「律ちゃん、昨日から配信活動始めたんだっけ。どうだったの?」

 

 そう尋ねられて、一瞬返答に詰まる。

 ああ、確かに昨日雫さんには、その場の勢いで配信のことを伝えていたっけ……。

 

 大成功してたくさん人が来てくれたならまだしも、現実には見てくれたのはたったの二人だけ。しかもあんな自分本位の、低クオリティな配信だ。

 知り合いに見られるのは何となく恥ずかしくて、どうにか話を逸らせないものかと悩む。

 

『あんまり上手くいきませんでした』

「ありゃ、そっかー。まあ初めてなら仕方ないよね。次はいつ配信するの?」

『まだ決めてないですけど……』

 

 雫さんは商品を私に手渡しながら、「そうなんだー」と相槌を打つ。

 

「ねえねえ、律ちゃん。次いつやるか決まったらさ、私にも――」

「すみませーん」

 

 さらに会話を続けようとしたところで、ATMの方から別のお客さんの声が重なった。

 雫さんはそちらに視線を向けて、むぅ、と唇を尖らせる。

 

「……ま、いいか。もし本当に律ちゃんだったら、そのうちどこかで会えるもんね」

 

 何の話か分からずに眉をひそめる私の肩を、雫さんがぽんぽんと軽く叩く。

 

「配信、頑張ってね!」

 

 そう言い残して、声を上げたお客さんの方へ歩いていった。

 一人残された私は、首を捻りながら出口へと向かう。

 

 ……雫さん、何を言いかけたんだろう。

 訊いてみたいけれど、仕事中だし邪魔するのは申し訳ない。

 

 まあ、雫さんがいいと言ってるならいいか。

 そう自分を納得させて、早朝のコンビニを後にした。

 

 

 

   * * *

 

 

 

 豪勢な朝食を終え、お腹もいっぱいになったところで、私は頭を切り替える。

 

 デスクの前に腰を落ち着けて、PCの電源を入れた。

 画面が立ち上がるまでしばらく待つ。

 

「さてと……これからどうしようかなぁ。ゲームのこと、ちゃんと考えないとだけど……」

 

 昨日はなんとか『初配信をしよう』というミッションをクリアすることができた。

 とはいえ、配信の内容自体は酷いものだったし、肝心のチャンネル登録者数は二人しか増えていない。

 

 どうやってチャンネル登録者を増やしていくのか。

 ゲームをクリアするために、これから何をしていけばいいのか。

 

 ミッションという目先の障害が無くなって、時間に余裕ができた今こそ、今後の方針について細かく決めておかなければ。

 

「まず考えないといけないのは、獲得したVポイントの割り振りからかな」

 

 PCが立ち上がったのを確認して、すぐにゲームを起動する。

 

 昨夜、ミッション達成後に表示されたリザルト画面のテキストが、まだ〈ログ〉に残っていた。

 歌唱力のステータスによるゴリ押しで獲得できた、なけなしの四ポイント。

 これを他のどのステータスに割り振るかで、今後の配信活動の成否が変わってくる気がする。

 

 活動のメインはもちろん歌うことで、その軸をブレさせるつもりはない。

 だけどそれだけでは、きっとこの先数字が伸びずに行き詰まることもあるだろう。

 

 自分の武器を十全に活かすためにも、最低限の下地は整えなければならない。

 

「そのためには、各ステータスの影響範囲を検証しないといけないんだけど……」

 

 これがなかなか難しい。

 いくら考えてみたところで、実際に確かめてみないと正解が分からないからだ。

 

 これまでの体感として、配信内と配信外、双方に何らかの影響が出ていることは間違いない。

 現実世界での影響については、生活していく中で少しずつ確かめていけばいい。以前まではなかった違和感に気付く機会がきっとあるだろう。

 

 問題は配信時に与えられる効果について。

 

「……ステータスによっては、ポイントが増えるだけじゃなくて、減ることもあるんだよね」

 

 昨日の配信では、〈トーク力〉、〈画力〉、〈企画力〉の項目でそれぞれマイナス評価が下されていた。

〈演技力〉と〈ゲームセンス〉の項目でマイナスされていないのは、おそらく配信内でお芝居やゲームをしていないからだろう。

〈コミュニケーション能力〉と〈運〉についてはよく分からない。もしかしたらコラボ配信とか、何か運が絡む要素があった時に判定が発生するのかもしれない。

 

 とにかく重要なのは、配信の内容によって『リザルトの判定に関与しない項目』、つまり『上げる必要のないステータス』があるということだ。

 

 逆にいえば、〈企画力〉や〈トーク力〉といった項目はどんな内容の配信であれ少なからず必要になってくる。

 その影響範囲を見極めて、適切な配分でポイントを振っていかなければならない。

 

「……とりあえず、その検証ができるまではVポイントは貯めておこうかな」

 

 ただでさえ少ないポイントを、無駄に振ってしまうわけにもいかない。

 特にミッションも出ていない今、急いで消費する必要がない以上、タイミングを見て適宜割り振った方がいいだろう。

 

 それまでは、ポイントを使うのはお預けだ。

 

「歌配信をメインに活動していくなら、〈画力〉と〈演技力〉……あとは〈ゲームセンス〉も上げる必要はないかな。上げるとしたらそれ以外だけど……うーん、どうしよう」

 

 配信の内容によって必要なステータスが変わるなら、この辺りは切り捨ててもなんとかなりそうだ。

 とはいえ……あくまでそれは、ゲームの評価システムに則ったらの話。

 

 この世界が現実のように動いていて、実際に配信を見てくれてる視聴者がいるなら、そのことも考慮しないといけない。

 なにせログによると、リザルトの集計には配信上の評価指標……つまりは同時視聴者数や視聴時間、高評価数といった諸々の数値まで絡んでいる。

 

 一概にゲームとしての効率を求めればいいというわけではなく、ちゃんと『魅力的な配信』を目指さなければならない。

 

「……うん、分からん! 考えるのやーめた!」

 

 つまるところ、情報がまったく足りていない。

 こんな状態でどれだけ考えたところで、絶対の正解なんて分かりっこなかった。

 

「あーあ。攻略サイトでも見ておけばよかったなぁ……」

 

 ゲームはネタバレなしで楽しみたい派だった私だけれど、こんな状況になると知っていれば話は別だった。

 いくつものサイトを巡り、隅々まで情報を集め、必要なら課金も厭わなかっただろう。

 

「……で、ワザップに騙されるんだろうなぁ……ん?」

 

 頭の中で取り留めのない妄想を膨らませていると、ゲームのホーム画面に見覚えのある赤いアイコンが表示された。

 半透明の『!』マークが書かれた、不吉なアイコンが。

 

「……ええ……また? 嘘でしょ……」

 

 完全に油断してた。

 まさか昨日の今日で、早速新しいミッションが下されるなんて。

 

 このゲームを作った人には、他人を思いやる心とかないんだろうか……と愚痴りながら、嫌々アイコンをクリックする。

 新しくウィンドウが開いて、ミッションの内容が表示された。

 

 

――〈ミッション! VTuber事務所に所属しよう〉――

 

 

「VTuber事務所……?」

 

 あまり馴染みのない言葉に、口がぎこちなく動いた。

 これまでずっと個人で活動してきたからか、どこかに所属しようという発想がなかった。

 

 もちろんVTuber事務所という存在は知っているし、どんな活動をしているのか調べたこともある。

 特にこの世界に来てからは、競合だと思って一通りの主要企業には目を通したつもりだ。

 

『フォースター』や『V.I.P』といった目立った事務所のことは、付け焼き刃ではあるものの概要だけは把握していた。

 

 そういった企業に、どこでもいいから所属しろと言っているのだろうか。

 

「それなら、まあ……倍率の高くないところを選べば何とか……」

 

 チャンネル登録者100万人が目標である以上、大きくて力も知名度もある事務所に所属するのが一番だ。

 だけどいざ企業所属となれば、個人で好きに活動するのとは勝手がまったく違う。

 

 他者と関係を築きながらの活動が前提となると、〈コミュニケーション能力〉や〈トーク力〉のステータスが大いに足を引っ張る可能性がある。

 

 そういった点も踏まえて、自分に入れる中で最良の事務所を厳選しないといけない。

 

「よーし。まずはまた情報収集からかな……うん?」

 

 この世界のVTuber事務所について、もう一度詳しく調べ直してみよう……と意気込んだところで、ミッションを表示していたウィンドウが小さな小窓となって右上に移動した。

 

 そしてテキストが消え、新しく『168:00:00』という数字が現れる。

 最初のミッションの時と同様に、数字は一秒ごとにカウントを減らしていった。

 

「百六十八時間ってことは……えっと……い、一週間⁉︎」

 

 少しの計算の後、与えられた時間の短さに憤慨する。

 三日よりいくらかマシとはいえ、初配信と事務所に所属するのとではかかる日数がまるで違う。

 

 そもそも事務所って、詳しくは知らないけれど、相手側が募集していないと応募することすらできないんじゃないだろうか。通年採用してるところなんてあったっけ。

 

 もしあったとしても、書類を送って選考を受けて、オーディションをして、必要な手続きをして……といくつもの段取りを踏まなければならないはず。

 こちらの都合だけで、一週間以内に所属扱いにしてください、なんて虫のいい話が通るわけがない。

 

「どんな無茶振りだって……ほんと、バランス調整どうなってるの……」

 

 諦めたらそこで何とやらとはいうけれど、それにしたってこれは酷い。

 もし審判がいたら、それこそ反則で試合を強制終了させるレベルだと思う。

 

「選考スケジュールについては、私にはどうしようもないし……うーん……どうにかして抜け穴を探すしかないかなぁ……」

 

 とりあえず、今から応募できそうなVTuber事務所を探して、片っ端からエントリーしてみよう。

 一週間しかないんだし、選り好みをしている場合じゃない。

 

 もし運よく所属できれば万々歳。

 入った後のことは、その時になってから考えよう。

 

 もしかしたらそこがすごくいい事務所かもしれないし、どうしても合わなければ辞めてしまうのも無しではない。

 まずはミッションクリアを目指して、やれるだけのことはやってみないと。

 

「よーし、こんなミッション楽勝でクリアしてやる……! ゲームなんかに負けてたまるか……っ‼︎」

 

 ホーム画面の3Dモデルを睨みつけながら、私は高らかに吠えた。

 

 

 

   * * *

 

 

 

 ――で、五日後。

 

「――はいはい、知ってた。知ってましたよ。一週間で事務所に所属なんてできるわけないですよね。分かってましたよ。そんな甘くないですよね、現実って。調子乗ってました、どうもすみません――って、ふざけんなーっ‼︎」

 

 分かりやすく追い詰められながら、私はベッドの上で怒り狂っていた。

 目をぐるぐる回して乱心し、マットレスを何度も何度も殴りつける。

 あげく枕に顔を埋めて、「うがー‼︎」と叫び声を上げた。

 

 

 

 

 ミッションを確認してからその日のうちに、私は可能な限りの事務所に履歴書を送り、選考の申し込みを出した。

 しかしそれだけで上手くいくほど、世の中は私に優しくない。

 

 ほとんどの事務所は現在新人を募集しておらず、そもそも門戸が開かれていない。

 

 たまたま応募できたいくつかの企業も、選考スケジュールはすでに決まっていて、結果が分かるのは募集期間が過ぎた後のこと。

 それまでは大人しく結果を待つしかない。

 

「一応、結果が返ってきた事務所もあるにはあったけど……」

 

 手元のスマホに映る、二通の落選通知のメール。

 箸にも棒にも掛からないとはまさにこのことだ。

 

「うぅ〜……何でよぉ……どこか一つくらい、拾ってくれてもいいのに……」

 

 いったい何がよくなかったんだろう。

 落ちた原因が分からずに項垂れる。

 

 やっぱり、配信活動の実績が乏しいのが問題なのだろうか。

 

 新ライバーを募集していたVTuber事務所は、そのすべてが『配信活動経験者』などの応募条件をつけていた。

 まったくの未経験者を募集している事務所は皆無といっていい。

 

 だから最初のミッションが『初配信をしよう』だったのかと、得心がいったくらいだ。

 

「でも……いくら全然活動してなくたって、あれだけ新曲を披露したんだし、書類選考くらいは通っても良さそうなものだけど……」

 

 履歴書に自分のチャンネルのURLを記載したので、選考の際はきっと初配信の時の動画を参考にしただろう。

 書類選考すら通らなかったということは、アーカイブが一つしかないのが問題なのか、チャンネル登録者数が少なすぎるのか、あるいは――

 

「……そもそも最初から見られてない、のかな……」

 

 動画が再生すらされずに、書類上だけでダメだと判断されて落とされたか。

 

 いずれにせよ、このままではミッションのクリアは絶望的だ。

 残っている事務所は、そもそも募集期間が過ぎないと選考すら始まらないのだから。

 

「ああー……どうしよう。いっそ自分で個人事務所でも設立するか……」

 

 わりと真剣にそんなことを考える。

 一週間しかない以上、たとえミッションに失敗してやり直しになったとしても、選考スケジュールに余裕が生まれるわけじゃない。

 

 それなら事務所の設立に必要な手続きを調べて、自分で解決する方がまだ現実的じゃないだろうか。

 いや、個人事務所の設立にどれだけの手続き期間が必要になるかなんてまったく知らないんだけど……。

 

「もしかしたら、そっちの方がよっぽど非現実的なのかもな……はぁ、どうしよ」

 

 ベッドの上でだらーんと体を投げ出して、天井を見つめる。

 しばらくそうしていると、不意に『ピンポーン』とインターホンの音が鳴った。

 

「ん? 何だろ?」

 

 通販でも頼んでいただろうか。

 いや、この世界に来てから何か注文した覚えはない。

 

 まったく身に覚えのない来客を不審に思いながら、ベッドから起き上がってモニターを確認しに向かう。

 

「……えっ。誰……」

 

 インターホンのモニターには、謎の二人組が映っていた。

 

 ――片やピシッと決まったスーツ姿で、青みがかった長髪を右肩の前でまとめた大人の女性。

 

 ――片や全身を黒猫の着ぐるみに包み、さらさらの黒髪を目の上で切り揃えた年端もいかない幼女。

 

「……何この組み合わせ……」

 

 怪しさ百点満点。いったい何の勧誘だろう。

 応じてしまったら取り返しのつかないことになる気がする。

 

 ……うん、よし。ここは思い切って。

 

「私は何も見なかった――えいっ」

 

 自分でもびっくりするくらいスムーズに、インターホンのモニターを切った。

 気配を殺してベッドに戻り、二人組が立ち去るのを待つ。

 

 しばらくして、部屋の中に再度『ピンポーン』と呼び出し音が響いた。

 

 出てしまったら負けだな、と思いながら、私は早く二人がいなくなりますようにと願った。

 

 

 





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