VTuber育成ゲームに転生したけど、ステ振りに失敗しました 作:bnn
しばらくして、何とか落ち着きを取り戻した渋谷さんに、私は自分が自殺しようとしていたわけではないことを繰り返し説明した。
歩道の端っこで座り込んだまま、スマホの画面を何度も見せつける。
渋谷さんは最初こそ半信半疑だったものの、私の必死な様子を見て納得したのか、ようやくずっと掴んでいた肩を放してくれた。
「いやー、あっははー……ご、ごめんねー、勘違いしちゃって。変なこと考えてるんじゃなくて、よかったよかった」
気まずそうに頭を掻きながら、渋谷さんが笑う。
誤解が解けたことに胸を撫で下ろして、私は再度スマホのメモ帳に文字を打ち込んでいく。
ずっと掴まれていたせいか、両肩のあたりがふわふわして少し落ち着かない。
『勘違いさせてしまってすみません』
「いやいや、全然! 私が勝手に暴走しちゃっただけだからさ! 気にしないでよ」
ペコリと頭を下げると、渋谷さんは申し訳なさそうに手を横に振って、私の頭を上げさせた。
やっぱり優しい人だ。ただ通りがかっただけなのに、こんな道端で、私みたいな他人をここまで気にかけてくれるなんて。
時間が巻き戻ってしまう前に、この人の顔が見られてよかった。
そう思いながら立ち上がって、別れの挨拶をしようとする。
次に会う時は、きっとまた忘れられてしまっているだろう。
だから今の渋谷さんとはもう、ここでさよならだ。
『それじゃあ、私はこれで。色々ご迷惑をおかけしてすみません。ありがとうございました』
「ちょちょちょい、ストップストーップ! 頭ぶつけてるんだから、もう少し安静にしないとダメだよ。近くに公園あるからさ、一緒に行こ?」
えっ。えっ。
背を向けて歩き出そうとした私の手を掴んで、渋谷さんが強引に反対側へ歩き始める。
相変わらず、力が強くて振り解けそうにない。
半ば引きずられるように、私は無言で渋谷さんのあとをついていった。
* * *
「はい、どうぞ。よかったら冷やすのに使って」
公園のベンチに腰掛ける私に、渋谷さんが自動販売機でペットボトルの水を買って、ハンカチと一緒に差し出してくれる。
流石に申し訳ないので水だけを受け取って、手すりにぶつけた箇所に添えた。
ひんやりとした感触が、気休め程度だが痛みを和らげてくれる。
それが表情に出てしまったのか、渋谷さんは安心したように顔を緩ませた。
「ちょっと待っててね」と言い残して少し離れ、スマホを取り出してどこかに電話をかけ始める。
かすかに耳に届いた会話の内容から、それが遅刻の連絡であることが分かった。
「――はい、じゃあよろしくお願いします。失礼します」
渋谷さんが電話を切って、こちらに近づいてくる。
私の視線に気がつくと、ニヤリと笑ってウインクを返してきた。
『よかったんですか? 何か予定があったんじゃ……』
「いーのいーの! ただの打ち合わせ……というか雑談みたいなものだったから。さぼる口実探してたんだー」
『ええ……大丈夫なんですか、それ』
「だいじょーぶだいじょーぶ! 仕事ひとつ飛ばしたって死にはしないって!」
そう言ってケラケラ笑いながら、私の隣に腰掛けてくる。
冗談なのか本気なのか分かりづらい……いや、私に気を遣わせないように、あえて軽い調子で言ってくれてるのかもしれない。
「それにしても、君にまた会えるなんて思ってなかったよ。この前コンビニで会った時から、少し気になってたんだー。ね、名前なんていうの?」
人懐っこい笑みを浮かべて、渋谷さんが問いかけてくる。この人は相変わらず、人と距離を縮めるのが抜群に上手い。
そういえば、一周目の時もこんな風に親しげに名前を聞かれたな……なんて思いながら、スマホに文字を打ち込む。
『雨音です』
「下の名前は?」
『律です。雨音律』
「律ちゃんかー! 可愛くていい名前だねぇ。あ、知ってると思うけど、私は渋谷ね。渋谷雫。よろしく、律ちゃん!」
律ちゃんというより『りっちゃん』に近い発音で、渋谷さんに名前を呼ばれる。
体感でほんの数日前のことなのに、その呼ばれ方をやけに懐かしく感じた。
『こちらこそ、よろしくお願いします。あの、気になってたって……?』
「あー。いやさ。あの時律ちゃん、『人違いでした』って言って出て行っちゃったでしょ?」
ああ……時間が戻ったことに気づかないで、初日の朝に渋谷さんに話しかけてしまった時か。
確かにごまかすために、咄嗟にそんなことを伝えたような気がする。
「私もその時は、『そっか、人違いか』って納得してたんだけどさ。よくよく考えてみたらおかしいんだよね。律ちゃん普通に私の名前呼んでたし、あの店に渋谷って名前の人、私以外にはいないしさ」
……うぅ……す、鋭い。
私の幼稚なごまかし方じゃ、渋谷さんを騙すのは難しかったみたいだ。
猫のような丸い目が、動揺する私を捉える。
「でさ、思ったんだよね。本当は私と君は知り合いで、何度も何度も話したことがあって、何か大事な約束もしたことがあるんだけど、そういうの全部、私が忘れちゃってるだけなんじゃないかって」
きらきらと目を輝かせながら、渋谷さんが語る。
あまりにも核心をついた推理に驚いて、実は何か知ってるんじゃないかと疑ってしまう。
なんて答えたらいいのか分からずに固まっていると、そんな私を見かねてか、渋谷さんがさらに言葉を続けた。
「ああ……ごめん、実際にそうだって思ってるわけじゃないよ。現実的にはただの人違いって話で終わっちゃうだろうし。ただ、何ていうか……そういうの、妄想するのが好きなんだよね。現実の色んな出来事の中で、もしこれがこうだったら面白いな、っていうの」
な、なるほど、ただの妄想か……。びっくりした。
きっと、すごく想像力が豊かな人なんだろう。
その想像の中で、ほとんど真実に指がかかるくらい迫っているのだから、恐ろしい直感だ。
何か、天性の勘の良さのようなものがあるのかも。
「だから最近は、よく君のことを考えてたよ。またコンビニで会えたら嬉しいな、とか思ってたんだけど、まさか身投げの現場に出くわすとは思わなかったなぁ!」
『身投げじゃないです! ただ散歩してただけですから!』
揶揄うようにほっぺたを突いてくる渋谷さんに、唇を尖らせながらスマホを見せつける。
まさか橋から夕日を眺めていただけで、そんな風に思われてしまうとは。
「いやー。何かアニメみたいに黄昏てる美少女がいるぞって思って見惚れてたら、いきなり手すりから身を乗り出すんだもん。あ、やばいって思った瞬間には、もう体が動いてたよねー」
身を乗り出す……?
ああ……夕日に向かって手を差し出してた、あれか。
何となく恥ずかしくて、『あれは太陽に手を伸ばしてただけですよ』とは言えなかった。
言ったら言ったで、また渋谷さんの妄想が始まってしまいそうだし。
『紛らわしいことをしてすみません。でも自殺する気なんてないですから、大丈夫ですよ』
「ん……ならいーんだけどさ」
渋谷さんはふふんと笑うと、鞄からペットボトルのお茶を取り出して、一口飲んだ。
私もつられて水の蓋を開け、喉を潤す。ずっと歩き続けていたからか、気付けばかなり喉が渇いていた。
渋谷さんと二人、しばし無言の時間が流れる。
すでにすっかり日は暮れていて、ところどころに星が見え始めていた。
ベンチの脇に設置された街灯が灯って、渋谷さんの金髪をキラキラと輝かせている。
その輝きを、綺麗だなぁと思って見つめていると、不意に渋谷さんが口を開いた。
「――何かあった?」
「…………っ」
唐突な質問に驚いて、少しばかり肩が強張ってしまう。
渋谷さんはいたずらが成功したような顔で笑うと、私を横目に見ながら続けた。
「だって、橋の上ですっごく悲しそうな顔してるんだもん。まるで『今から死んで生まれ変わるんだ』って嘆いてるみたいに。私が勘違いしちゃったのもそのせい。初めて会った時も泣きそうな顔してたけど、今はもっとつらそうな顔してる」
……話を聞きながら、この人の直感は本当にすごいなと感心した。
今から死んで生まれ変わる……言い得て妙だ。明日の朝にはもう、新しい世界に生まれ変わるんだから。
「ね、試しに話してみなよ。ほら、よく言うじゃん。話を聞いてもらうだけでも、結構楽になったりするって。案外本当に効果あるかもしれないよ?」
渋谷さんが足を組んで、その上で頬杖をつく。
視線だけをまっすぐに、上目遣いでこちらに向けていた。
なんて答えればいいんだろうと、少しばかり悩む。
この世界に来てから、色々なことがあった。
やらなきゃいけないことが多すぎて、対処が追いついていない。
考えることが多すぎて、思考が追いついていない。
挫けそうになることが多すぎて、気持ちが追いついていない。
……あれもこれも、足りないものばかりだ。
何があったかと聞かれても、いったい何から話せばいいんだろう。
私は、何を――
「――律ちゃん」
名前を呼ばれて、ハッとした。
渋谷さんが優しげに微笑んで、私を見上げている。
「ゆっくりで大丈夫だよ」
目を細めて、そう言ってくれた。
その笑顔には不思議な安心感があって、気付けば私の口は……というか指は、自然と言葉を吐き出していた。
『仲良くなった人が、いたんです』
ゆっくり、一文字ずつ、スマホに文字を打ち込んでいく。
その様子を、渋谷さんがじっと見守ってくれていた。
『私、昔は体が弱くて、あんまり学校とかにも行けなかったから、友達って呼べる人がいなかったんです。だけど最近、こんな私と仲良くなってくれた人がいて。その人はすごく面倒見がよくて、優しい人で、私はそんな人が仲良くしてくれるのが、すごく嬉しかったんです』
人と距離を縮めるのが苦手な私にも、渋谷さんは構わず接してくれた。
一緒にいられた時間は短いものだったけれど、そんな短時間でも、私は彼女に心を開いていたし、その優しさに救われていた。
今だからこそ思う。
この世界に来たばかりの私にとって、それは本当にありがたいことだったと。
『だけど私の……怠惰というか、やるべきことをやらなかったせいで、その人とは離れ離れになって、もう二度と会えなくなってしまいました』
渋谷さんに忘れられてしまった日のことを思い出す。
そんなことになるとはまったく想像もしてなくて、呑気にカラオケなんかに通っていた自分を恨んだ。
だからこそ、二度と同じことを繰り返さないために、このゲームをクリアしようと思ったのだ。
『会えなくなってしまったのがつらくて、そしてそれ以上に、その人に申し訳なかったから、同じ失敗をしないように色々と頑張ってみたんです。だけど、全然うまくいかなくて。また同じことが起こると思うと、私に誰かと仲良くなる資格はないんだって思えちゃって、悲しくなりました』
どうせ忘れられてしまうのに、どの面を下げて仲良くすればいいのか。
まずは自分の問題を何とかしないと、私に誰かと関わる資格なんてない。
だから本当は、今の渋谷さんとも親しくなる気はなかった。
あの時、橋の上で出会わなければ。
この公園まで連れてこられていなければ。
――何かあった? なんて、訊かれなければ。
きっとこんな風に、胸襟を開いて本音を語ることはなかっただろう。
隣に座る彼女の顔を、ちらりと盗み見る。
真剣な表情で瞳を左右に揺らして、スマホの文章を追っていた。
『橋の上では、多分、ひとりで頑張ることに疲れちゃったんだと思います。自分の問題を解決できるようにならないと、誰かと仲良くなる資格なんてない。だけど、どうすれば上手くいくのか全然分からない。それで困ってしまって、ひとりで途方に暮れてました』
そこまで書き込んでから、一息ついた。
話したいことはすべて話せたと思う。
ゲームの世界のこととか、時間の巻き戻りとか、そんな荒唐無稽な話を聞かせるわけにはいかないので、一部かなり抽象的な言い方にはなってしまったが。
それでも、確かに人に聞いてもらうだけで、少しは気持ちが楽になったような気がした。
『私の話はこんな感じです。すみません、長々と読ませてしまって。つまらなかったですよね』
そこまで書き込むと、渋谷さんは体を起こして、視線を私に向けてきた。
心なしか、その表情はどこか不満げだ。
「あー、いや……つまらないことなんてないし、話してって言ったのは私だから、それは全然いいんだけどさ……ちょっとよく分からなくて」
そう言って腕を組み、首を傾げる。
眉間には皺が寄っていて、何かを必死で考えているみたいだ。
やっぱり分かりづらい説明だっただろうか。問題とは何かとか、どうして離れ離れになる必要があるのかとか。
だけどそれを説明するためには、ゲームのことに触れないといけないし……。
と思っていると、渋谷さんは諦めたようにパッと表情を戻して、私に問いかけてきた。
「なんで離れ離れになるからって、誰かと仲良くしちゃだめなの?」
「………………っ」
予想外の質問に、一瞬息をするのを忘れてしまった。
それは、だって……忘れられると分かっているのに親しくなるなんて、まるで一時の慰めに使ってるみたいで不誠実だから……。
などと考えている間に、渋谷さんはさらに言葉を続ける。
「だってさ。極論人間なんて、みんないつかは絶対に死ぬよ。いつかは絶対離れ離れになっちゃう。だけど人間関係って、いつか離れる時のことを考えて結ぶものじゃないでしょ? その時、その人と仲良くなりたいって思って自然と接するものじゃん。違う?」
……どうなんだろう。分からない。
分からないけれど、違うかと尋ねられて、私は否定することができなかった。
「律ちゃんがその人と、二度と会えなくなったんだとしてもさ。その時、その瞬間に、律ちゃんがその人に与えた感情は本物でしょ? 律ちゃんが抱いた気持ちも、全部本当なんでしょ? それに、誰かに『仲良くしないでくれ』って否定されたわけでもない。だったらあとは、律ちゃんが勇気を出すだけじゃん」
私が勇気を出すだけ――そう言われて、ようやく気がついた。
どうして自分が、人と距離を置こうとしていたのか。
不誠実だからとか、誰かのためみたいな言い訳をしていたけれど、結局のところ、ただ自分が傷つきたくないだけだった。
渋谷さんに忘れられてしまった時のような悲しみを、自分が味わいたくないだけだったんだ。
今さら自分のズルさ……臆病さに気づいて、情けなくなった。
そんな私に、渋谷さんが言う。
「私は……さ。君と、仲良くなりたいと思ってるよ」
その言葉を聞いて、慌てて渋谷さんの方に顔を向けた。
彼女は小さな歯を見せて思いきり笑い、ベンチから立ち上がって、私の前に立った。
「私は律ちゃんの抱えてる事情とか、よく知らないけど。でももし明日、私か律ちゃんのどちらかが死んでしまうとしても。私は今日、君と仲良くなりたい。君の、友達になりたい」
そう言って、自信満々といった顔でこちらを見下ろしている。
ああ、もう、本当に。
記憶がなくなっても、どこで会っても、この人はこの人のままだ。
ずっと変わらず、楽しそうに笑っている。
「大丈夫。もし本当に離れなきゃいけなくなったらさ。私が君に会いにいくよ」
公園の街灯に照らされる彼女は、ステージの上で、スポットライトを浴びているようで。
私が憧れた誰かみたいに、きらきらと輝いていた。
私の様子を見て、渋谷さんが一歩近づいてくる。
「だから、怖くない。何度でも、何度でも。どんなに君が離れて行っても、その度に絶対見つけて、また会いに行く。世界中のどこにいたって、きっと見つけてあげる」
私の臆病さを吹き飛ばしてしまうくらいに、その言葉は力強かった。
渋谷さんがまた一歩、こちらへ近づいてきた。私のすぐ目の前で立ち止まる。
「私は諦めないよ。だからさ、お願い。律ちゃんも諦めないで。もう少しだけ頑張ってみて」
そう言って、手を差し出してきた。
「私と、友達になってみない?」
街灯の灯りを背中に浴びながら、彼女は笑う。
ああ……本当に、すごい人だ。渋谷さんは。
この人の隣に、胸を張って立てる私になりたい。
この人と並び立つのに、ふさわしい友人になりたい。
また忘れられてしまうのは怖いけれど、まだ明日まで、時間はある。
諦めないでと言われてしまったから。
彼女の言葉に、たくさんの勇気をもらったから。
私も笑って、彼女の手を握った。
「――あっはは! いぇーい! やったー! 律ちゃんとおっ友達―!」
「………………っ⁉︎」
その瞬間、渋谷さんはすごい力で私を引っ張り、無理やり立ち上がらせる。
そのまま遠心力でぐるんぐるんと回り続け、嬉しそうにはしゃぎ倒した。
しばらく回って満足したところで、ようやく減速して腕を解放してくれる。
『腕が抜けるかと思いました』
スマホを見せつけながら睨んでみせると、渋谷さんは気まずそうに視線を逸らしてはにかんだ。
「あはは、ごめんってー。ちょっとテンション上がっちゃったんだよー」
『悪いと思ってないですね……』
「そんなことないってー!」
子供みたいに声を張り上げる渋谷さんがおかしくて、思わず笑ってしまう。
そんなやり取りを楽しんでいると、渋谷さんの携帯が鳴った。
「ん? ……げっ……ごめん、ちょっと待ってて!」
断りを入れて、渋谷さんが離れていく。
誰からの電話かは声が小さくて聞こえなかったけれど、何かすごい嫌そうな顔してたな……。
「あー、はいはい分かりました! もうすぐ着きますってば! いや、本当です! はい、じゃあまた――っと、ごめーん律ちゃん、私そろそろ行かなきゃ」
戻ってくるなり、渋谷さんが申し訳なさそうに謝ってくる。
いや、それは全然構わないのだけど、思いっきり嘘ついてたな……大丈夫なのだろうか。
突っ込むのも野暮なので、黙って見送ることにする。
『分かりました。渋谷さん、色々と相談に乗っていただいてありがとうございました』
「ちょいちょーい。もう友達なんだから、渋谷さんは禁止! 『雫』って呼んでくれる?」
そう言われて、名前呼びか……と、一瞬恥ずかしくなる。
友達の名前呼び。実は人生で初めての経験だ。
だけど彼女の期待のこもった眼差しを受けて、そんな羞恥心くらいで断れるわけもなく。
『行ってらっしゃい、雫さん』
勇気を出して書いた文章を、そっと差し出した。
渋谷さん――雫さんは、嬉しそうにでろでろに顔を溶かして笑っていた。
それから、お互いに別れの挨拶を済ませる。
雫さんが公園を出て行こう――としたところで、「そういえば」と声を上げて立ち止まり、振り返ってきた。
「律ちゃんはこれからどうするの? 一人で帰れる?」
心配そうに問いかけてくる雫さんに、問題ないと手を振った。
少し遠いけど、普通に歩いて帰れる距離だ。
それに……この後は少し、やることがある。
『大丈夫です。私、これから――初めての配信をするんです』
そう書いたスマホを見せると、雫さんは少し目を見開いてから――
「いいね」
と言って笑った。
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