ユキメがシャドウのことを思い出す話。ユキメの話が全く無いので自分で書いてみました。

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ユキメ超かわいい。なのに出番が少ない。悲しい。ユキメ増えて欲しい。そう思いませんか?


ユキメのこれから

1人の少女が夜空を見て溜息をつく。彼女の手には扇子が握られており、意味もなく開いたり閉じたりを繰り返している。

 

「来てくれるかどうか…シャドウはんのことだし何とも言えないでありんすなぁ…」

 

9本の尻尾がユラユラと揺れており、耳もピクピクとしている。誰が見ても緊張していることが一目で分かるだろう。

 

目を閉じてある男のことを思い出す。かつて一緒に暮らしていた男がいた。ある日盗賊に襲われ、何も出来ずに死んでいく住民。背中を刃物で攻撃され、意識が落ちる。

 

目が覚めたら自分とその男以外は全滅していた。その男は村の惨状を見て、力を求めた。それこそ私のことが目に入らないくらい力に捕らわれた。いつしか私の声は彼に届くことはなく刃を向けられた。彼の目が怖くて動けずにいた。復讐に駆られた目をしていた。

 

男は私を置いてどこかに走り去ってしまった。

 

 

彼を止めようと鍛えることにした。しかし、鍛えることは難しかった。何事にも資金が必要だ。身元を証明できるものが一切ない。頼れる人は全員いなくなった。周辺以外の村も襲われていたようで生存者はいなかった。

 

行く当てが無くなり、どうしようかと途方に暮れていると強い風が吹いた。顔に何かがぶつかる。それを手に取るとある都市のことが書かれていた紙だった。紙には手書きで文字が書かれている。

 

その都市の名前は無法都市

 

文字通りそこに法は存在しない。力こそがルールの都市らしい。

 

ここだ

 

見た瞬間そう思った。今の私に行けるところはここしかない。

 

無法都市に着いた。文字通りの無法だ。周囲では集団で人を囲んで襲っているが、誰も助けようとしない。他には、机の上に金貨を置いて何か賭け事をしているところも見える。他には露出が高い衣装を着た女性が男を店内に誘っている。そういうお店も行われているのだろう。

 

 

私は迷わず色町に身を置くことにした。戦闘能力もない、教養も高くない以上選択肢はなかった。

 

 

そこからは男に春を売る仕事をしつつ、教養と鍛錬を身につけていった。お店で禁止されているサービスを内緒で客に行い、代わりに他の街の情報、政治的な話、戦闘の仕方などを教えてもらい付き合ってもらった。

 

 

最初は苦痛だった。自分の中に異物を入れて、それを笑顔で喘がないといけない。相手を楽しませなければ自分は生きていくことが出来ない。手や腰の動かし方。口や舌の動かし方。これらをただこなすだけでは他の従業員と差別化することができない。だから男の好きそうな表情や動きや声などを試行錯誤していった。

 

従業員が入れ替わることが多かった。中には子を宿してしまった子がいる。自分の身体に斑点や、鼻の穴が二つから一つになってしまう、お腹が痛いという症状が出る。治療しようにも治療費を用意することができず、そのまま亡くなった子達が沢山いる。

 

休憩している時も、いつ自分が亡くなった子達のようになるかわからないため、泣いてしまう子が多かった。それでも男を満足させないと生きていけない。

 

中には自殺する子もいた。心が耐えきれなくなったのだろう。

 

実際私も何度も心が折れそうになった。それでも生き残れたのは彼を止めたいという想いが支えになったからだ。

 

 

 

それから月日が経ち

 

 

 

偽りの笑みを浮かべることができるようになった

 

感じているフリをすることが得意となった

 

相手の求めていることが分かるようになった

 

指名が増えて沢山のお金が入った

 

鍛錬を積み重ね力をつけた

 

自分は何をしているのかと思うことが増えた

 

突然泣き出すことが増えた

 

消えたいという思いが出てきた

 

時々何もかも忘れないと思うことがあった

 

目標にしていた資金を貯めて店を辞めた

 

自分で店を開いた

 

店の仕事に忙殺された

 

気絶したように眠っては考える暇が無くなるくらい仕事に没頭した

 

時々何でお店を開いたのかを忘れたことがあった

 

 

 

自分の精神が思っている以上に削られていると感じていたときに空を見上げた。夜空に浮かぶ月が紅い。街はグールに溢れており、自分の店の従業員が襲われた。何名か死亡した。周囲は火の手が回っており、悲鳴があちこちで上がっている。

 

あの時を思い出す。何も出来ず、ただ周りが襲われるのを見ることしかできず、震えていた。

 

今は違う。あの時と違い力を、教養を、情報を、人脈を付けてきた。何もできないあのときとは違う。

 

ここは無法都市。自分の身は自分で守る。それがこの都市のルール。このパニックを起こしている存在を調べて、そいつのアジトに向かう途中に大きな剣を振り回す大男と遭遇した。

 

大男と戦闘していると漆黒のコートを身にまとった謎の男が現れた。男を見ると何故か気分が落ち着いた。さっきまで戦闘で興奮状態にあったのに、突然乱入してきた存在に落ち着きを感じたことに驚きながらも彼の話を聞く。

 

どうやら彼がこの事態を収拾するから大人しくしていろと言ってきた。そして本当に彼一人が事態を収拾した。

 

あの吸血鬼を相手に一人で解決する力

 

彼を味方にすればやっと…

 

…やっと…なんだっけ…あぁ、そうだ

 

そうだった。あいつを止めるんだ…

 

彼に話しかけた

 

計画を話し合っていると、どこか自分の身体と精神が落ち着いているのを感じる。気を許しちゃいけないと理性が言っているが、どういうわけかそれができない。自然体でいてしまう。

 

今まで創ってきた私ではなく、無法都市に来る前の私の顔が出てきている…。

 

無法なんだから一切の油断はできない。気を引き締めて計画を話し合っていると、現在信用されている二つの銀行の偽札を流して信用崩壊を起こすことになった。計画は順調に進み、あるところでずっと探していた男が関わっていることを知った。

 

彼に事情を話すかどうか迷ったが話すことにした。彼は私よりも圧倒的に力がある。長年の想い、生きてきた理由、それを果たすためには例え未来で彼に殺されるとしても力を借りた方が良いと考えたからだ。

 

計画は順調に進み、ついに男と会うことができた。今までの弱い自分から強くなった自分を思い知らせることができたから油断してしまった。男と決別しようと背中を見せた瞬間に刃に貫かれた。

 

あのときと同じだ。

 

違うのは自分を攻撃したのがこの男というくらいだ

 

もうダメだと思ったら、後ろから暖かい何かを感じた

 

草木をかき分ける音が聞こえる

 

彼が来た

 

彼は男と対峙し何かを話している

 

刺された所が急所で、意識を保つことすら辛い

 

あの時と変われたと思ったけど何も変わっていなかった

 

私は目を閉じた

 

 

 

 

 

次に目を覚ますと自分の店の休憩室にいた

 

身体を起こすと彼がいた

 

彼は壁に寄りかかり腕を組んで空を見上げていた

 

釣られて私も空を見るが快晴だ

 

雲一つない

 

彼には何が見えているのだろうか

 

彼にお礼を告げた

 

彼は私の顔をチラッと見た後、何も言わずに去って行った。彼と協力して集めた金貨を確認しにいくと、集めていた金貨がない。彼が独り占めしたのかを思っていると、横から黒服の金髪女が現れた。

 

話を聞くと彼の仲間らしい。私の村を襲ったのも、男を狂わせたのも、ある組織が意図的に起こしているとのこと。女からは無法都市の管理をしてほしいと言われた。もとより無法都市は自分の手で管理しようと思っていたし、特に断る理由も無かったので契約を交わした。

 

女は去った。部屋に戻り、服を脱いで鏡を見る。背中に残っていた傷が無くなっていた。無法都市に来る前の傷も、男に付けられた傷も、最初から無かったかのように綺麗な肌だ。それだけではない。仕事で少し斑点が出来ていたがそれもなくなっている。

 

従業員全員が彼にとても感謝しているようだった。理由を聞いてみると、私が気絶している間に、従業員全員の身体の悪いところを治してくれたらしい。それも現在の医療技術では治せないと言われていた子達も治ったようだ。

 

心の中にあった暗い気持ちもいつの間にか無くなっている

 

くすっと笑う

 

気が付いたら笑っていた

 

こんなに軽い気持ちになったのはいつぶりだろうか……

 

私が笑うと従業員の子達もくすっと笑っていた

 

次彼に会った時はもう少し話したい

 

私に新しい目標が出来たのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前来た金髪女と協力し合った結果、憎き組織を壊滅させることができた

 

ある日猫系の獣人がやってきた

 

話を聞いてみると彼を永遠の存在にしたいと言ってきた

 

憎い組織を一つ潰したところでまた新しい組織が現れるだけ、それなら絶対的な存在が世界を管理すれば解決すると言ってきた。話を聴いているうちに、彼女も自分と近い境遇だと感じた。

 

大切な物を目の前で奪われ、信じていた人達がいなくなり、途方に暮れていたときに彼に助けられたらしい。私と同じ状況だからか強い共感を覚えた。

 

彼を管理者…。彼なら管理者になれるだろう。私は彼女と協力することに決めた。私も彼女と同じように、あんな思いをさせたくない。彼女と手を組むことにした。

 

彼女に指定された場所に向かうとそこには彼と彼女がいた。

 

彼女は彼にこう言った

 

「これから主を世界の管理者にする」

「ふむ」

「アンタも準備してきたんだよね?」

 

彼女は私に聞いてきた

 

「もちろんでありんす。シャドウはんが絶対ですん」

 

こうして私は彼女達の仲間になった

 

 

 

彼と話がしたい

 

猫獣人に相談すると彼女は了承してくれた

 

今彼が来てくれるかどうか待っているところだ

 

でも来てくれるか分からない。彼はそういう人だ

 

来てくれたら何を話そうか

 

話したいことが沢山ある

 

尻尾を揺らし、意味もなく扇子を開いては閉じるを繰り返していると足音が聞こえてきた。

 

「シャドウはん」

「ユキメ」

「こうしてゆっくりと話すのは久しぶりでありんす」

「今宵は満月。我にふさわしい」

「ふふ、そうでありんすね」

 

さっきまで沢山話したいと思っていたが実際に話そうとすると何を話せばいいのか分からない。彼もあまり語らない方だから余計に話が弾まない。

 

でも嫌な感じではなかった。一緒にいるだけでも胸が高鳴る

 

「以前襲ってきた女性でありんすが…」

「あぁ。アルファだ」

「彼女とゼータはどのような関係なのでありんしょう?」

「相容れない関係だ」

「ふふ、そうでありんすか…。シャドウはん、手を繋いでもよろしいでありんすか?」

「構わん」

 

彼と手を繋ぐ

 

とても暖かい

 

この暖かさを独り占めしたいと思うが、それよりも先にやらないといけないことがある。

 

彼を管理者にすること

 

「シャドウはん」

「何だ」

「いつか…いつか全てが終わったら…いや、なんでもないでありんす」

「そうか」

「そうでありんす」

 

今はこの幸せに浸りたい

 

これからも彼のために頑張ろう

 

彼の手を強く握ると応えるように握り返してくれた

 

 

 




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