そういえば祝!災いの子お気に入り数1000突破!いつも読んでくれてる皆様、ありがとうございます。これからもこの小説をどうぞよろしくお願いいたします。
「あなたはスカウトマンとして雇うべきだったのかもね…」
そう言うミヤコの前には、アクアとクリス、そして二人にアイドルとしてスカウトされて来たMEMちょが居た。
「人気ユーチューバーにしてインフルエンサーMEM。アイドルに興味あったのは意外だったわ。ユーチューブチャンネル登録者数37万人。TikTokフォロワー数63万8千人。ネットではだいぶ人気あるみたいね… まず聞きたいのだけれどMEMさんの事務所は?」
「私は一応個人事業主として配信業やってて… 今はFARMって事務所にお世話になっていますが、所属じゃなくて業務提携って形をとっています。自分で自由に仕事とってきて問題ない契約になっているので…」
「なるほど。その場合苺プロからあなたにアイドル業務を依頼するって形になるわね… うちはネットタレントも多いしそのあたりの契約は問題ない。渡りに船って感じだけれど…」
ミヤコはMEMちょの表情を見ると、なんだか気まずそうにしていた。
「その顔だと何か言わなければいけない事情がありそうね…まぁ察しはつくけれどね…
「っ!分かりますか…?」
「ええ、あなた骨格からしてだいぶ幼く見えるけど私の目は誤魔化せないわよ。多分クリスも気付いてたんじゃないかしら?」
「え゛っ!?」
MEMちょがそう言われてバッとクリスの方を振り向くと、クリスは微笑みながら。
「最初会った時から気付いておりましたよ」
「ええっ!?」
「でしょうね。私に分かるんだからクリスが分からない筈ないもの」
「嘘ぉ〜…ずっとバレてないって思ってたぁ…えっと…それで…」
「ふふっ別に怯えなくていいわ。個人でやってる子が年齢いくつか若く言うなんてよくあることよ。別に気にしないわ。クリスもそれが分かっているから連れて来たんでしょうし」
「本当ですか?良かったです…」
ミヤコの言葉にMEMちょがホッとすると、ミヤコが質問をする。
「で、本当はいくつなの?」
「あの……その……本当は…」
MEMちょはミヤコの耳元に口を寄せ、ゴニョゴニョとミヤコに本当の年齢を伝える。
「ふむふむ……ガッツリ盛ったわね!?」
「申し訳ございません〜!!」
「公称18って事は…ひー、ふー、みー……中々の肝の据わり具合ね…」
「数えないでください!」
「いくつ盛ったの?3歳くらい?」
「………」
MEMちょがアクアから訊かれて顔を逸らして答えるのを戸惑っていると…
「その倍ですね」
「何で分かるのぉぉぉぉぉ!?」
「いや盛ったなお前!?」
クリスに盛った年齢を当てられMEMちょは驚き、アクアは予想以上に年齢を盛っていたMEMちょに驚いた。
「って事は24?」
「24……だったよ?春頃までは〜」
「つまり25じゃねえか。この期に及んで悪あがきしようとすんな……て事は25でJK名乗って番組出てたのか。メンタル化け物か?」
「これには事情があってぇ!」
そう言ってMEMちょは何故年齢詐称をしているのか、経緯を話し始める。
「私は…昔からアイドルになるのが夢で。でもうちは母子家庭で弟も2人いて…」
MEMちょは最初、アイドルの夢を諦めて家族の為に就職しようとしたが、母親がMEMちょの背中を押してアイドルを目指し始めた。しかし高三の頃に母親が過労で倒れてしまい、お金の為に学校を休学、バイトを掛け持ちして家計を支えた。当然、その時はアイドルを目指す時間も無くなってしまい…
「おかげで弟たちも大学行かせられて。お母さんも元気になったけど… その時私は23になってた」
23歳、それはアイドルとしてデビューするのは厳しいラインだった。
「この世界20歳でババア扱いされる世界じゃん?どこのオーディションにも応募要項には満20歳までの女子ってあってさ。夢を追える環境が整った時には夢を追える年齢じゃなくなってた…」
「MEMちょさん…」
「行き場を失った情熱で配信とか始めたんだけど、まだその頃は高校休学中の身だったもんだから、現役JK(笑)みたいな感じでやってたらなんか思いのほか受けて… 登録者数とかめちゃくちゃ増えちゃって!引っ込みつかなくなっちゃってぇ!」
MEMちょはそう言って三人に背を向け、床に倒れ伏す。
「そっから2年くらいずっと…そして今に至ります… やっぱりダメですよね…7つもサバ読んで…バレた時大変ですもんね… 25がアイドルなんて……」
「そんな事ないよ」
そう言いながらMEMちょの肩に手を置く人物が居た。MEMちょが振り向くと、そこにはいつの間にかその場に居たルビーの顔が至近距離にあった。
「MEMちょだ!本物!可愛い〜!」
「話は聞かせてもらったわ」
「有馬」
「私も年齢でうだうだいわれたがわだからぁ…ぢょっどだげぎも゛ぢわ゛がる゛ぅ…」
「ちょっとじゃなさそうだが…」
ルビーに続くように現れたかなは似たような経験を思い出しながら涙を流しながらそう言った。
「子役の事務所も高学年になったらお払い箱でさぁ、ほ゛ん゛どむ゛がづぐ〜!!」
「ええ…」
「ミヤコさんっ!」
「だから私はダメだなんて言ってないわよ。ルビーは?」
「勿論!アイドルをやるのに年齢なんて関係ない。だって憧れは止められない!」
そう言ってルビーは立ち上がり、MEMちょに手を差し伸べた。
「ようこそ、B小町へ!」
「!……うん、よろしく…!」
MEMちょがその手を取り、こうしてMEMちょのB小町加入が確定したのだった。
「またうちの妹は綺麗事を…」
「おや、お嫌いですか?」
「分かってるなら訊くな」
「ふふっ、失礼しました」
「有馬、ルビーとMEMをよろしくな」
「うるさい、気安く話しかけないで」
アクアがかなに声を掛けると、かなは物凄く不機嫌な表情でアクアをキッと睨みながらそう言った。
「あんたは黒川あかねとヨロシクやってなさいよ、このスケコマシ三太夫が」
「……有馬さん、どうかされましたか?」
「別に…アンタも不知火フリルと仲良くしなさいよ」
「あ、はい…」
「言われなくてもこのグループは私がなんとかする…ね、これからご飯食べに行こうよ」
「行こ行こ!」
「何だぁこの子ら…あっだけぇよぉ…」
いつにも増して毒舌がキツかったかなにアクアは困惑する中、クリスはある程度察していた。
(私には特に変わりは無かったように感じます…兄上に対して何か思う事がある…原因は恐らく…)
『あんたは黒川あかねとヨロシクやってなさいよ、このスケコマシ三太夫が』
(今ガチで兄上と黒川さんが付き合った事。それに対して態度が悪化した事を考えれば、答えは恐らく…兄上は大変ですね…)
察したクリスは心の中でアクアに合掌した。かくして、MEMちょがメンバーになった事により、B小町は正式に活動をスタートしたのだった……
今ガチの最終回が放送され、世間はそれはもう大騒ぎであった。なんせトップタレントである不知火フリルと天才武道少年の星野クリスタルが付き合い始めたのだ。二人がこれからどうなっていくのか考える人々が後を絶たない。また一方では、謂わゆるガチ恋勢が荒れに荒れていた。例としては…
「せんっ、ぱいの、メス顔っ……!?あ、あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?!!?!」
「ご乱心ご乱心!主将がご乱心!」
「くそっ、ダメだ手に負えねぇ!」
「誰か!空手部を呼んでこい!」
「相撲部もだ!」
とまぁ、
「はぁ〜、今ガチ終わってもうたなぁ… なぁなぁ兄と弟が番組でキスしてたのどういう気持ちなん?」
「どういう気持ちって…」
学校で寿みなみが隣の席に座っているルビーにそう訊くと、ルビーは笑顔だがどこか暗い雰囲気を纏いながら答えた。
「超複雑以外の感情を想像つく?」
「せやろなぁ…」
「テレビで兄妹物のキスシーン流れた時の5倍くらい気まずかった…」
「ひぃあ〜…いずれルビーもあかねちゃんと会ったりするんやろうなぁ。なんせ兄の彼女やし?」
「彼女…」
(でもアクアのあかねに対する気持ちってきっと…)
ルビーも画面越しではあるが、あかねがアイの様に振る舞い始めた事は分かっていた。それ故に、アクアがあかねに向けている感情はどちらと言えばアイに向けていた感情だったのではないかと推測していた。すると…
「今ガチの話?」
「「っ!?」」
そう声を掛けられた瞬間、二人は肩を震わせ、恐る恐る後ろに振り返る。するとそこに立っていたのは今話していた今ガチの出演者であり、クリスの彼女となった人物。そう、不知火フリルである。
「し、不知火さん…!?」
「フリルで良いよ、結婚したら星野になるんだし、そうしたらルビーさんやアクアさんとごちゃ混ぜになるでしょ」
「「けっこ…!?」」
この女、いくらなんでも気が早すぎる。そう思ったルビーとみなみは何も間違っていない。すると…
「フリルさん、流石に今から結婚の事を考えるのは気が早すぎるのでは…」
そう言いながらそう言いながら現れたのはフリルの彼氏でありルビーの弟、星野クリスタルである。
「そうかな?」
「そう…だと思いますよ?」
「そっか……それで、今ガチの話だったよね」
「え、あ、うん。しら…フ、リルさんは、今ガチに出演してどうだった?」
「そうだね…クリスもそうだけど、ホント、イケメン、美少女だらけで目の保養だった」
「「目の保養!?」」
クリスをどう攻略するか相談してきた時もクールだったフリルからは想像も出来ない言葉が飛び出してきて二人は驚く。
「トップスターもそういうこと言うんやなぁ…」
「顔がいい人は嫌いな人なんていないでしょ。本当に目に良かった。多分視力0.5くらい良くなったと思う」
((言う事おもろっ!?))
「勿論一番はクリスの赤面顔だったけど、個人的にはMEMちょの乙女面が見たかったかな。私が男子サイドで出てたら絶対押し倒してた。もっと私みたいに気合い入れて堕とせって思ったよね」
二人が思っていたより面白い発言をする不知火フリルを見て小声で話す。
「不知火さんってテレビだとクール系なのにプライベートこんな感じなんだ…」
「でも、実際結構あるらしいよ?男の人って面白い女性には恋愛感情より先に対抗心が生まれちゃって人気出づらいから清楚売りしてる間はボケさせない〜みたいなの」
「ヤな話〜…」
「私は出演者側だけど、アクアさんと黒川さんの絡みとか超ドキドキしたし、多分皆もそうなんじゃないかな?」
「アクア兄さん普通科の方ではかなりモテてるみたいやよ」
「芸能科でも何人か気になってる人もいるみたい。まぁ表向きは彼女持ちだし当面はみんな静観するだろうけど」
「けど、クリスとフリルさんのそう言う話は聞かないよね」
アクアは今ガチがキッカケで学校でモテ始めていたが、クリスとフリルにはそういう事が起きていない事をルビーが疑問に思う。
「まぁ、アクア君と違って私達はカップルで同じ学校に居るし…私よりクリスを幸せに出来る自信が少しでもある子なんていないでしょ」
「うわぁ流石トップタレント。自信しかない発言」
「あの、フリルさん、そういう発言は恥ずかしいので控えていただけると…」
「ふふ、私のクリスは可愛いなぁ」
「やめてくださいっ!?」
「わぁ〜、クリス君のそういう反応やっぱ新鮮やわ〜」
(…ていうか二人とも呼び方変わってるし…)
そう、実は二人は付き合い始めてからお互いの呼び方が変わっているのである。フリルは「クリス君」から「クリス」の呼び捨てに。クリスは「不知火さん」から「フリルさん」の苗字呼びから名前呼びへと変わっており、その事がルビーに二人が付き合い始めた事を強く実感させた。
(そっか、うちの弟はあの不知火フリルと付き合い始めたのか〜…初恋かあ〜…)
フリルがクリスを揶揄い、イチャイチャしているのを他所に、ルビーは教室の窓から外を眺める。
(せんせ、元気かなぁ)
「───ここは…」
今ガチが終わり数日。クリスはいつも通り一日を終え、自室で眠りにつくと、次に気付いた時は…アイが刺された日の夢にも見た、見慣れた屋敷にいた。
「………何か、用ですか?
クリスがそう呼びかけた視線の先には、縁側に腰を下ろし、庭をジッと眺めている前世の自分が居た。クリスはソレの隣に座り、同じように庭を見る。
「……何故、恋などした」
「…恋をしたでは、ありません。恋をさせられたのです」
「……そうだな…不知火フリル…あのような存在がいるとは、思わなかった」
「そうですね、私も驚きました」
「……私はお前だ、お前の感情を否定する事は出来ない」
「それは私も同じです…あなたが思う気持ちは私にもあります…」
「……私は、いまさら人として生きることなど、許されないと思っている」
「そうですね」
「だから……不知火フリルと、幸せになっていい訳が無いと…だが…」
夜叉は自身の胸にソッと手を添える。
「…あのような気持ちは、初めてで…手放したく無いと…思ってしまった」
「……はい」
「…アイツは…私達を人にしてしまった…恐ろしい災いから、人間に…私達をしてしまったのだ…」
「
「なぁ、
「…ええ…」
「私は…ただ…ただ…!」
「…分かっています……大丈夫です。ゆっくり考えましょう。フリルさんや、家族と過ごしながら…一緒に…」
震えながら静かに涙を流す夜叉の背中を、クリスは優しく撫で続けた。
夢を見た後、休日の朝早くに目が覚めたクリスは日課であるランニングに出かけていた。
「ふぅ、ふぅ…はぁ……ん?」
ゴール地点である公園に着くと、いつもは朝早く故に誰もいない筈の公園に、今日は人影があった。
「また会ったな、即堕ち二コマ夜叉よ」
「何ですかその呼び方」
その正体は狼であった。狼はクリスに何かを投げ、クリスがそれをキャッチして見ると、それは水が入ったペットボトルだった。
「少し話すぞ、来い」
「…はぁ…」
公園のベンチに座り、クリスが水を飲んで一息つく。
「それで、何ですか即堕ち二コマ夜叉って」
「いやお前、『あり得ませんよ、私が不知火さんに恋をするなど』とか言っていた割にはあっさり恋したな、と思ってな」
「う、うるさいですね…!アレはフリルさんが予想外過ぎたんです…!」
「ま、そうだな…あの雌はお前の知らない要素の塊と言っても過言では無いな」
「全く……取り敢えず即堕ち二コマ夜叉は分かりました。で、今日は何の用ですか?」
「ん、ああ…森に帰るから、別れの言葉を言いに来た」
狼がそう言うと、クリスが少し目を見開く。
「え、もしかしてあの日からずっと人の街に居たんですか?」
「ああ、今ガチが終わるまでは居てやろうと、蛙のとこに居座っていた」
「どうしてそんな事を…」
「なに、私はああ言ったが、本当に不知火フリルがお前を変えるのか気になっていたし、どうなるのか興味があった…結果は大満足だ」
「…そうですか」
「不知火フリルには感謝せねばな、お前のあんな表情、前世では見た事が無い。アレは傑作だったぞ」
「斬りますよあなた!?」
「はっはっはっ…随分と人間らしくなったな。お前…」
「!」
狼はどこか安心したように微笑みながらそう言い、クリスを見つめる。
「人間の事を知ると…お前が前世で本当に人としての生を投げ捨て、災いになっていたのだと理解した…人間という種族を捨てた化け物…それがお前だった…知れば知るほど…お前を哀れだと思った」
「狼……」
「なぁ夜叉…いや、
「……最近、よく悩みますね」
「そうか…けどな、クリス。私は嬉しい」
「!」
「お前が生まれ変わってくれて嬉しい。お前が、人として生きる事が出来ている。それがこの上無く嬉しいんだ。きっと私だけでは無い。蛙や狐、干支の連中、蜘蛛や鹿、鳥共に蝙蝠も、きっと今のお前を見れば喜ぶ」
「………そう、でしょうか…」
「ああ…クリス、悩んだらいつでも森に来い。どの森かは分かるだろう?前世で何回も来たんだからな。それか巳以外の干支連中や狐は神社にいるからな、そこに行け」
「狼…はい、是非そうします。森にいる他の皆にも、よろしく伝えてください」
「ああ、そうする」
そう言って狼はベンチから立ち上がり、その場を離れようとすると、少し歩いたところで「あ、そうだ」と言ってクリスの方に振り返る。
「お前、母親を殺そうとした父親を探しているのか?」
「何でそれを知っているのですか…そうですよ。それが?」
「…お前、父親を恨んでいるか?」
その問いにクリスは少し悲しそうに笑いながら答える。
「恨んではいません…ただ…悲しいとは、思っています」
「………そこは前世と一緒か」
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。なあ、クリス…お前はもう、人を殺める必要は無いんだ」
「…はい」
「あまり、前世に囚われるなよ。ではな、またいつか会おう!」
「ええ、またいつか。あの森で」
クリスの返事を聞いた狼は満足そうにしながらその場を去っていった。クリスは狼が去った後、ペットボトルの水を飲み切ってゴミ箱に捨て、自宅に向かって走り始めたのだった。
(そういえば、姉上達の初ライブがJ…I、F?なるものに決まったらしいですが、大丈夫でしょうか…)
「ただいま戻りました」
クリスが新生B小町の初ライブがどうなるか考えながら帰宅すると…
「おかえり、クリス」
「………え?」
帰って来たクリスをアクアが出迎えると、クリスは一瞬固まってしまう。それもその筈…何故なら今アクアは…
「ぴえよんさん…?」
「ちょっと頼みたい事があるんだが、いいか?」
何故か苺プロの年収1億の稼ぎ頭のマスクを着けていたのだから。
ファーストライブ編 開幕
正直展開で悩むこと沢山あって作者は大変だよ!だからアンケートで皆の意見を、くれぇぇぇぇぇぇぇ!あ、感想、お気に入り、高評価、お願いします。