夜空の綺羅星は、青空に癒されたい   作:アッド・ウィステリア

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うーん、一応隔週だけど、流石に投稿ペースが微妙に落ちてる。

いや、熱が落ちたわけではなんですよ。むしろ書きたいシーンとか、番外編とかがちょこちょこ思い浮かぶんですよ。

FGOを主軸にした『推しの子』特異点(聖杯として蘇ったアイをアクアとルビーから奪う鬱展開)とか。

最後の最後で怖気づいたリョースケ君が通報した結果、生き延びたゴローせんせを物にせんとするルビーちゃん大勝利√。
その裏で展開される、アクアとして転生した藤丸、同じく転生した『予言の子』、藤丸の魂にくっつけた『記録』がインストールされ、その記録に対する反発と一目惚れによる恋心に振り回される『推しの子』世界のモルガン(ヴィヴィアン)、そしてかなとあかねを加えた修羅場とか。

でも、作者の文才とか遅筆とかで、そも本編完結するのにどんだけかかるんだって話ですよ。設定だけ練るんで、誰か書いてくんねぇかな。それともAI、導入するか?



そんなこんなで出来上がった本編第9話です。感想もしくは評価お待ちしてます。



9. 星の懊悩に寄り添う空。迫るは離別

 

 夏休みも残り半分といった頃。今日も今日とて宿題を、と言いたいところだったが、アイから「頭がパンクするー!」と泣き言もとい苦情が入ったため、本日は完全に休日とした。

 

 時間のかかる自由研究を除けば、既に九割方終わってるので問題はない。こう言っては何だが、今年は台風の影響もあってぐずついた天気も多く、出かける機会には恵まれなかった。その分、宿題は手早く終わらせられた。勿論、プールとか外に遊びに行こうとしていた子たちは残念そうにしていたが、こればっかりは人間にはどうしようもない。

 

 そんな今日は久しぶりに雲一つなく晴れ渡った空模様。風も前日の小雨の影響か、少しだけ涼し気で、出かけるには持って来い。なので、俺もアイと一緒に出掛ける予定だったのだが、用意まで終わったところで職員さんに呼び出された。

 

 間が悪いけど、まあでも、少し遅らせればいいかー、くらいに考えていたのだが、なんか意外と真面目な内容らしいので、できれば今日は残ってほしい、とのこと。ぎゃってむ。

 

 ……とりあえずアイには申し訳ないが断りを入れ、当然のようにブーイングされたので「次は絶対一緒に行く」と約束を取り付けてから送り出す。お昼代など駄賃を含めたお金(+俺の買い物、つまりお使いのメモ)を渡しておいたので、返って来た時に少しは機嫌が直っているといいのだが。

 

 そんなことがあった今日、夕食が終わった後の自由時間に、アイがどこでなにをして遊んでたのかを土産話に聞いていたのだが。

 

「へ? スカウトされた?」

 

「うん。『アイドルやってみないか』って言われちゃった☆」

 

 職員さんからのお話が終わったところで暇になったので、なんとなく作ってみた氷出し(水筒の底にお茶のパック入れてから氷を詰めたので半分水出し)の緑茶と抹茶味のわらび餅もどきをつついていたら、気になる発言が飛び出してきた。

 

 いやー、ビックリしたよー、とのほほんとした調子でわらび餅を口にするアイ。…………ぱっと見は何ともなさそうだが、ちょっとだけ違和感を覚えたので、すこし深掘りして聞いてみることにした。

 

 うん、抹茶ラテを飲もうとして声をかけられて? 最初は断ったけど「サイズは一番大きい奴でいいし、何ならケーキも付ける」って言われたので、話だけでも聞いてみようと。ふむふむ。それで色々と話をしてみて、とりあえず答えを保留して名刺だけもらって、俺の買い物(ほぼ製菓材料)を済ませて帰って来た、と。なるほどなるほど。

 

「あ、そうだ。これおつりね。はい」

 

「うん、お使いありがと。…………それはそうと、これからお説教をします」

 

「なんで!?」

 

 なんでも、カレーでも、ましてやシチューでもない。どっからどう鑑みてもお説教案件である。

 

 声をかけてきた人物の風体を聞くに、ヤから始まる自営業の方にしか聞こえないんですけど。児童誘拐が疑われる案件なんですけど。そこのところ理解していらっしゃる? いや、「意外と優しかったよ?」って、フォローになってないからね? 「優しくされなくても意外じゃない」って言ってるようなものだから。

 

「むぅぅ。私だって警戒心はあるし、これでも人を見る目には自信があるんだけどなぁ」

 

「だからと言って無頓着過ぎだよ。アイはすごく可愛いんだから」

 

「……………………………………」

 

「?」

 

 最初の心外と言いたげな顔から、何やら顔を赤くして黙りこくり、しかしジトーッとした目を向けてくるアイに首をかしげる。あと、どこかから「そういうところだァ!」という声が聞こえたような。

 

 アイに声をかけた人の気持ちがわからない、ということはない。目の前にいる少女には、確実に人の目を引き寄せる天性の素質がある。

 

 どこか世間知らずな無頓着さも、太陽のような微笑みも、好奇心に輝く大きな瞳も、人の視線を集めるの容貌も。彼女のすべてがきっと、人の目を引き付けてやまないのだろう。

 

 

 

 ────けれど、そうあること、そういう風にあれることは幸福な話ばかりではない。

 

 

 

 虐待を受けたことで培われた警戒心は、()()()()に対して敏感に反応し、

 

 相対した人が敵意や悪意を持たないか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 どんな暗闇にいる者をも照らす太陽のような()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 関心の強さと無頓着さが矛盾せずにいられるのも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 どれもこれも、生きるために、傷つかないために、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()難攻不落の“嘘”の牙城。…………その奥で涙を流す、誰より“愛”を夢見る寂しがり屋な女の子がいると、その人は知っているのだろうか。

 

 

 

「…………アイ。その人に施設のことは言った?」

 

「うん。というか、お母さんのこともちゃんと言ったよ?」

 

「ちょっち流石に無頓着というか無神経に過ぎるでござるよ???」

 

 思わず千代女さんがインストール。アイさんや? 初対面の方にする話題としてはヘヴィ級が過ぎませんか? と思ったのだが、どうやら狙いがあったらしい。

 

「お母さんのこととか、ちょっと脅かすようなことを言えば、お引き取り願えると思ったんだけどねー」

 

「あーうん、まあ。普通だったら話を続けるのは戸惑うと思う」

 

「だよねー? …………なのに、そのスカウトさん、『そういうのも個性』『嘘を吐けるのも才能だ』って言ってた」

 

「……………………それは、個性、かも知れないけど。才能なんかじゃ、ない。少なくとも、そんな言葉で片付けるのは、絶対に違う」

 

 声音が硬質なものへと変わるのを自覚しながら、吐き捨てるように口にする。

 

 周囲の環境が、状況が、自分が“普通”であることを許されないときに培われたものが、“才能”などと呼べるものか。…………そんな言葉で、片づけていいもので、あってたまるか。

 

 

 

────“普通”でなくなった、いることができなくなった者が、どれだけ“普通”に焦がれると思っている。

 

 

 

────“愛”を知らない少女が、どれだけその言葉に絶望し、(かつ)え、誰より真摯に追い求めていると思っている。

 

 

 

 胸中を渦巻くのは、そんな理不尽な怒り。…………八つ当たりだと、自分でもわかっている。

 

 そのスカウトさんは、俺やアイの事情なんて知らない。心情を打ち明けたわけでもないのに、こんな思いは抱くべきじゃない。

 

 

 

 ────それでも、俺は、目の前の少女の苦しみを、ほんの少しでも共感できる身としては、“才能”なんて言葉で片付けて欲しくはなかった。

 

 

 

「…………アイは、どうするつもりなんだ?」

 

「うーん、どうしよっか?」

 

 頤に人差し指をあて、思案顔で小首をかしげるアイ。その様子を見て「可愛い」とは思うものの、こういう時の彼女は何かを隠してる…………気がする。別に完璧に見切れる訳ではないが、まだ違和感のような引っかかりを感じており、少なくとも多分何か言ってないことがある、というのは分かるのだ。

 

 じっと輝く星のような瞳を見つめていると、何処か諦めたように、でも嬉しそうにしながら、アイが口を開く。

 

「………………………………あの、ね、立香」

 

「うん」

 

「その、立香はさ、“嘘”で言った『愛してる』って言葉は、“本当”になると、思う?」

 

「…………スカウトさんから、そう言われた?」

 

 少し逡巡してから、コクリと首肯する。真っ直ぐに、しかし迷いを秘めた彼女の瞳は僅かに暗く濁っていた。

 

 それに対して、俺は逆に問うてみた。

 

「…………もし俺が『ならない』って言ったら、アイはどうするつもりだった?」

 

「断るつもりだったよ」

 

「ダウト。…………やってみたいんだろう? やってみたいなら、やってみればいいよ」

 

 流石に今のは分かりやすい嘘だった。なので、容赦なく言い切り、思考の逃げ道をふさぐ。

 

 どこかの妖精王ほどではないが、彼女の本音は汲み取りづらい。だからこそ本音を口にするしかない状況に持って行く。核心を突いて、わざと感情を荒げさせて、無理やりにでも吐き出させる。

 

 なげやりのようにも聞こえる俺の言葉に苛立ちを覚えたのか、アイは柳眉をわずかに逆立てて口を開く。

 

「…………そんな簡単に言わないでよ。ダメだったら、どうするの?」

 

「別のことをやってみる」

 

「例えば?」

 

「結婚式のプランナー、とかはどう? ………………………………ゴメン、アイのセンスじゃ難しいかも」

 

「それって、どーゆー意味かなー? んー?」

 

 言外に「お前にはセンスがない」と、言わんばかりの言葉は流石に聞き捨てならなかったのか、ニッコリ笑顔で青筋を立てるアイ。いや、冗談で…………もないな。普段はそうでもないけど、この子ったら時々センスが明後日の方向に行くんです。

 

「図画工作で『もう少し頑張りましょう』とか、俺は初めて見たんだけど」

 

「…………………………………………図画工作なんて、人生に必要ないもん」

 

 そう言ってプイ、とそっぽを向き、頬を膨らませる様はまるでリス。いや、フグかな。うーん、先生がいたら激写する可愛さ。居なくてよかった(フラグ)。

 

 しかし、これ以上、この話題に触れると以降、口を聞いてもらえなくなりそうなので、名残惜しいが話は戻そう。

 

「まずは、やってみなよ。それでダメだったなら次。次もダメだったら、また次。そうやって、色々試してみないことには、始まらないと思う」

 

「それは、そうだけどさ。…………ちなみに、本当は立香はどう思ってるの? 『嘘が本当になる』と思う?」

 

「…………なるかならないか、で言えば『ならない』」

 

「…………っ!」

 

「『嘘が本当になる』としても、勝手になるものじゃない。『自分で本当にしていく』ものだと思う」

 

 かけがえのない、二人のトモダチを思い出す。二人とも“嘘”を、虚勢を張り続けて、それでも大真面目に、全力でそれを叶えようとした大バカ野郎。そうやって駆け抜けて、一人は無間の“闇”に堕ち、もう一人は砕けてなお、欠片が“星”となった。

 

「自分で……本当に…………むぐ?」

 

「あくまで、俺の考えだよ。アイはアイで、自分で答えを出さなきゃ」

 

「あむ…………むぅ」

 

「そんな顔してもダメ。…………美味しい?」

 

「…………うん」

 

 わらび餅の最後の一切れをつまみ、懊悩するアイの口にくっつけて、思考をキャンセルさせる。そも何も始めてさえいない今、下手に考えたところで、グルグルと思いが回るだけ。その考えが正しいものなのかどうか、行動に移さなければわからないのだ。

 

 だから、今は只────

 

「『やってみたい』と思ったのなら、やってみればいい。アイがどんなに嘘吐きでも────その思いだけは、嘘偽りじゃないだろう?」

 

 大それたことでなくていい。くだらないことだって構わない。やりたいようにやってみていいんだと、背中を押す。────迷う俺の背中を押してくれた、英雄達(彼ら)のように。

 

「――――うん。うん、そうだね。“これ”は。少なくとも、“これ”だけは、嘘なんかじゃない」

 

 その言葉を聞いて、アイは胸に手を当てる。その瞳から迷いが消え、星のような輝きが一層増していった。

 

 それと同時に、悪戯っ子染みた笑みを浮かべると、こう口にした。

 

「ふふー、じゃあスカウトさんに電話してみよ。アイドルになったら、立香には一番に見てもらうからね?」

 

「………………………………………………………………………………ええと、それ難しいかも」

 

「? …………あ、そっか。立香、来年から受験だもんね。ちょっと忙しいかな?」

 

「いえ、そうではなくてですね。…………今日、おじいちゃんから手紙が届いてですね? 『もしよかったら一緒に暮らさないか』って「は?」

 

 

 

 …………このあと、能面のような表情のアイに滅茶苦茶詰め寄られた。とても怖かったです。

 





映像(盗撮)を眺めるドクトル・フィクサー
「――――いい。実にいいよぉ。やはり藤丸君と一緒にいると、星野君の表情がくるっくる変わるねぇ。いや、若いっていいなぁ。本っ当、素晴らしい。
 ……にしても、何でこの二人くっ付かないのかな? いや、物理的な距離感は縮まってるけども。むしろほぼZEROだけど。藤丸君につられて星野君までバグってないかね――って、おっと。今の赤面ジト眼、あと藤丸君の珍しい怒りを堪えるような顔は画像として保存せねば。
 いやー、写真もだいぶ貯まって来たね。まだ十年は先だが、結婚式が今から楽しみだよ。彼らの驚く顔が目に浮かぶようだ(圧倒的善意)。
 笑顔で青筋、ぷっくり拗ね顔に――――FOOOOOO! 『はい、あーん』! 『はい、あーん』来たよコレ!! ちょっと()()が必要だが、絶対にこれは使わねば!!
 いや、やはり私の目に狂いはなかっ怖っ!?(←完全に表情の死んだアイを見て)」
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