前回の時点で超えてたの忘れてました。遅ればせながら、祝☆10万UA突破!! お読み頂いてる皆様ありがとうございます!!
そしてアニメ推しの子、第二期制作決定おめでとうございます!! 拙作ともどもよろしくね!!(腹切って詫びても足りないほどの便乗)
ようやくおじいちゃん登場。あと、一部に顔文字を使ってるので、苦手な人は苦手かも知れない。それでも良ければお読みください。
……ところで、拙作のアイから嘘吐き成分が抜け出ていくのですが、どうすればいいのでしょう。誰か、この駄作者に教えておくれ……
────おじいちゃんから手紙が届くのは、およそ一年周期。時期としては、決まってクリスマスから年始にかけて、である。
大体は『元気にしているか』という安否確認と、『すまない。まだ会いに行けない』という内容が、言い回しや語彙を変えて送られてくる。毎度毎度、封筒がパンパンになるくらいの枚数とプレゼントと共に。
そもそもおじいちゃん及びおばあちゃんが、孫が養護施設にいることを知ったのは、既に俺が施設に入って数年後のことだったらしい。当時、初めて届いた、封筒に無理矢理納められた五十枚ほどの手紙の誤字・脱字、間違った所に引かれた二重線や塗り潰し、乾く前に手紙を重ねてインクが滲んだ箇所の多いこと多いこと。
そんな祖父母から、今回届いた手紙の内容を纏めると────
【おじいちゃんの実家や親戚筋への恐喝根回し説得が終わり、今ある仕事も可能な限り引き継いだので、急な話だが来日する】
【こちらの都合満載の身勝手な話だと分かっているが、今まで放置することになってしまったことへの謝罪、および今後のことを話し合う場を持ちたい】
【共に暮らすにせよ、施設に残るにせよ、あるいは独り立ちするにせよ。一人の人間として、孫の選択を尊重する】
以上の三つとなる。そして、手紙が届いて数日後の今日、来日したおじいちゃんの下へと向かうことになっているのだが────
「…………………………………………」
「アイ? そろそろ行かないといけないんだけど……」
「…………………………………………(グリグリ)」
自室で学校の夏制服に着替えた後、玄関前で今回付き添いをしてくれることになった医務室の先生を待っていたところ、やって来たアイが抱き着いてきた。
そして、そのまま離れない。今もイヤイヤとばかりに、額をこすりつけてきている。おじいちゃんに会いに行くことを暴露し問い詰められた日から、ここ数日こんな感じでべったりである。
…………いや、半年くらい前からこんな感じな気もする。でも、そろそろ離れて欲しい。
この身体も思春期で、アイもその、色々育ちざかりですので。いい匂い、だとか、柔らかい、だとか、割りと大きいな、とか。そういう五感から来る情報が毒っていうか、いい加減刺激が強すぎると言いますか。
「おーい、藤丸君。準備は良いかね」
「なんだか身体が前に動かせないんで、先にお祓いにでも行った方がいたたたたたゴメン今のは俺が悪かったから肋骨ゴリゴリするのやめてぇ……!」
「むぅう~~~~~~っ!!」
こすりつける勢いが増したことで、脇腹付近の肋骨からゴリゴリと削れていきそうな音を立てるが、無理にこのひっつきむし状態のアイを止めずにいると、先生が近寄ってきてこう言った。
「うむ、仲良きことは美しきかな。……とはいえ、星野君? 時間はあるけど、そろそろ放してあげよう? ちょっと痛そうにしてるし、ね?」
「……むぅ」
幼児に言い聞かせるような口調だが、その言葉にアイは胴に回した腕を渋々解きはしたものの、今度は俺の夏服の裾を指先でつまんでくる。
……流石にちょっとまずいかも知れない。ないと思いたいが、このまま置いていくと炎天下の中、帰ってくるまで外で待ち続けるかもしれないし、もしかしたら徒歩で追いかけてくる、なんてこともしかねない危うさがある。
「あー、その、先生」
「……ふむ。私が言い訳を考えるから、まずは車に乗ろうか二人とも」
助け舟を欲して先生に目をやれば、心得ているとばかりに頷かれ二人して車に案内される。…………本当に惜しいよなぁ。この人めっちゃ頼れるのに、どうしてこんな怪しいんだ。この胡散臭さだけで人生の半分は損しているのではなかろうか、実に惜しい。
「シートベルトは閉めたかな二人とも? OK? では、
そうしておじいちゃんの指定した喫茶店についたのだが、
「……………………」
「……………………」
「ふむ、中々良い趣味だね」
「いや、これ見て『中々』とか先生、価値観バグってないですか?」
「距離感がバグってる君が言えた話じゃないなぁ。ま、私もそれなりに良いお店に行ったことあるからね」
俺とアイが二人して
内装は一言で言うと……隠れ家系のバー、だろうか。
高級感のあるシックなモノトーンで統一されたカウンターテーブルと、蠟燭の灯を思わせるオレンジ色の間接照明で照らされた店内は、薄暗くも気品と妖艶な魅力で満ち、カウンター奥の一段床が低いキッチンの奥にずらりと並ぶのは色とりどりのガラスの器。
パフェでも入れるようなものからワイングラス、なんかよくわからない複雑な器まで、形状も大きさも様々。ラム・ウィスキー・ジン・ブランデーなどの瓶も、器とは別の棚に、しかし同じようにずらっと並んでいる。
……うん、まあ。車を止めた指定された住所はコイン・パーキングだったし、そもそも「車を止めたら、裏路地に入る横道を背にして右」などの道案内が記されたメモ書きが同封されていた時点で確かにちょっとおかしくはあった。
でも普通、中学生を迎えるんだから、それ相応のお店だと考えるだろう。俺もまあ、実際に見るまでは「一見普通の家に見える隠れ家風の店かなぁ」と思っていた。
ところがどっこい、どう考えても学生が入るには200%戸惑われるような、雑居ビルの一角にある会員制とか、一見さんお断り系のお店でした。…………予想できないよこんなの!
というか、こんなところを指定するおじいちゃんって何者!? ヤの付く、いや、海外だからマから始まる感じのご職業です? え、俺引き取って何させる気? あれですか、後継者探しですか? 俺って十代目? 赤ちゃん姿の家庭教師兼
そんな風に混乱のデバフを喰らった俺ときょろきょろと不安そうに周囲を見渡すアイを尻目に、先生は店主らしき銀髪、いや、白髪に褐色肌の男性に声をかけ、封筒ごと手紙を渡す。
店主さんはひとしきり手紙を読むと「奥のテーブル席でお待ちです」とだけ言って、グラスを磨き始める。……どうやら案内してくれることはないらしい。
「ええと、お邪魔します」
「お、お邪魔します」
「…………ごゆっくり」
とりあえず頭を下げ、アイの手を握って奥に進むと、小さく言葉を返してくれた。横眼に見えたのはほんのりと、しかし確かに微笑ましいものを見るような表情。……強面に思えたが、意外といい人かもしれない。
店の奥まったところに進むと、品の良い薄手のカーテンで廊下部分と分かれた二つの広いテーブル席。その内、右手にある一つから人影がぼんやりと浮かび上がっていた。
「────入って来てくれるかな」
人影から声がかかる。口内に溜まったつばを飲み込み、カーテンに手をかけ────開く。
「────貴方が、俺のおじいちゃん、ですか?」
「────ああ。君が、私の孫だね?」
────そこにいたのは、金髪の初老の男性。俺の知っている人物で一番近いのはガウェイン、あるいはアーサーだろうか。
若いころであれば『白馬の王子様』を名乗っても可笑しくはない、金髪翠眼の整った顔立ち。
しわが刻まれ髪色がくすんでもなお、その美貌に衰えはない。いや、むしろ歳月の経過と共に樹木に刻まれる年輪のような重厚感が、より一層美貌を引き立てていると言ってもいい。
そんな紳士がきりっとした表情で────なんか、でっかいプリンを頬張っていた。
…………いや、本当にデカい。器の直径が成人男性の顔ぐらいある。あと、口の端にカラメルがついてて、精悍に固めたであろう表情が台無しですおじいちゃん。
「…………うわ、なんていうか完全に立香のおじいちゃんだぁ」
「…………これは、見事に藤丸君のおじいちゃんだね」
そこの付き添い二人、小さい声でなんと申した? どこをどう見て、そんな言葉が出てくるのか、後でOHANASHIしようか。
「おじいちゃん。ええっと、口の端に……」
「……おお、失礼。いや、久しぶりに妻や周囲の目を離れたもので、ついね」
おじいちゃんはそう言って茶目っ気のある表情を浮かべると、テーブルに備え付けの紙ナプキンでさっと口の端を拭うと、ナプキンをたたんでいく。……なんだろう。フランクというか庶民的な動作の中にも、折り目正しいというか育ちの良さが垣間見えるような。
とりあえずおじいちゃんの対面の席へ、奥の方からアイ、俺、先生の順に座る。そうして一呼吸の間を置いてから、まずは先生が口を開いた。
「初めまして、ミスター。自己紹介させていただきますが、私は養護施設で嘱託医兼カウンセラーをしている及森、と申します。今回は施設からの付き添いとして、貴方の孫である藤丸君に同行いたしました」
「ええ、初めまして。私はアルトゥス。今回の同行、及びこれまで孫息子を育ててくれたことを妻ともども感謝しています。『…………ガールフレンドも同伴、とは予想していませんでしたが』」
『いや、その。…………恋仲という訳ではないんです、この二人』
『ハハ、冗談がお上手なドクターだ。今も手を握っていて、実に初々しく、そしていじらしいではありませんか』
『…………私個人としては、そうあって欲しいんですがねぇ。どちらも中々鈍感というか』
『……………………え、本当に? ……この距離感で?』
『本当に。真剣と書いてガチと呼ぶレベルで』
…………何やら途中から英語でやり取りをし始める老人二人だが、アイはともかく俺には筒抜けである。なんでいきなり俺の恋愛話になってるんですか。どう見ても仲のいい兄妹の距離感だと思うのですが。
そういう意味合いを込めて二人を見ていると、視線とそこに含まれる意味を汲み取ったのか。こちらを向いた祖父は「おいおいおい、マジかね我が孫」と言わんばかりの胡乱げな視線を浮かべる。
しかし、すぐに気を取り直したのか、場を仕切り直すように軽く喉を鳴らすと、こう続けた。
「んんっ! ま、まあ、とりあえず何か飲み物とお菓子でも頼みなさい。ここの支払いは私が持つから、気にせず注文すると良い」
「いいの?」
「構わないさ。孫と…………えー、その友達の飲食代くらい余裕だとも」
「……じゃあ、遠慮なく。アイ、メニュー取ってくれる? 何か頼もう」
「……………………え? 本当に良いの? な、なんだかすごく高そうだよっ!?」
声にすれば「はわわっ!?」と口にしそうな慌て具合のアイだが、その心境は分かる。
流し見した程度だが、濃い琥珀色の【アイラモルトの女王】とされる銘柄とか、俺もよく知るフランス皇帝の名前を関した奴とか、見たことはないけどなんだかラベルの時点で高価そうな酒瓶があった。そもそも会員制と思しきカフェ兼バーが、そう安いものを出すわけもない。
しかし、こういう時に遠慮しても、むしろ相手に対して失礼だったりするのである。限度は勿論あるが、奢る方が見ていて気持ちいいくらいには飲み食いするべきなのだ。
…………というか、すまない。カルデア・キッチンの教えを受けた身として、今後の参考に是非色々食べ比べてみたい。先程の店主も『かなりできる』と見たが…………ゴルドルフ新所長並かな?
「遠慮することはないよ、小さなレディ? 孫との初めてのティータイムに無粋なことはご法度だ。君たちは育ち盛りでもあるのだから、たくさん食べると良い」
「あ、でもアイは少し遠慮した方がいいかも。アイドルになるつもりなんだし、余分なお肉が付いちゃうかもよ?」
「付ーきーまーせーんーっ! 立香のおバカっ、イジワルっ!」
「意地悪なことを言った覚えは……あるけど、本当に大丈夫? ニキビとかできない?」
「…………シェアして、運動すれば問題なしっ。多分!」
「よし。じゃあ、色々食べ比べてみよう。あ、抹茶シェイクだって。アイ、抹茶ラテとか好きだったよね。これにする?」
「ん、飲み物はそれかなぁ。あ、でも、こっちのほうじ茶ラテも気になる、かな」
「じゃあ、俺はそっちにするから一口頂戴?」
「いいよー」
「(ドクター、本当に付き合ってないのかなこの二人?)」
「(まあ、一応。いえ、もう少しこう、きっかけさえあればコロッと関係が変わるような……)」
さらっと、先生に名前追加。あとおじいちゃんの名前も。
おじいちゃんは次回纏めるとして、先生の名前は、ヤング・モリアーティが若森と呼称されるので、アラフィフのモリアーティ→老森→おいもり→及森という具合です。でも多分あんまり使わない。
そして、暑さのせいか、なんか思ったように筆が進まない……。
早く離別まで持って行きたい。恋心に気付かせて、(傍から見ると)遠距離恋愛(してるけど、実際は両片思い)させたい。誕生日とかに「物理的には重くないけど、意味合いとしては重いようで重くない、でもやっぱり重い」プレゼント合戦させたいぃ……
……そういえばアイの誕生日っていつになるんですかね(小説未履修勢)。
漫画の内容を見るにドームライブの前週に引っ越ししてて、二十歳を迎えるのも恐らくライブと同じ週。かつライブ予定日の三日後に「例年より早く雪が降った」みたいな描写があるから、12月下旬辺り?
……まさかとは思うけど、クリスマス当日もしくはイブとか? そうだとしたら、その辺でカップル成立してる時に殺されることにならない? 最近の原作者様方は「人の心」を何処に置いて来ていらっしゃるので? 無間地獄? 無惨様のお友達なの?