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( ’_’)っ⌒◦ポーイ
オレ、斉藤壱護は芸能事務所の社長である。事務所の
社長という立場ではあるがやっていることそのものは営業職のようなものだ。
要はウチの事務所に所属するタレントたちの仕事を振ってもらうべく、あちこち足を運んだり、時には頭を下げたり、接待で酒の席を用意したり、だ。
未だ小さい事務所ではあるが、所属するタレントたちは厳選した粒揃い。自らスカウトした贔屓目もあるんだろうが────特にアイドルグループ【B小町】のメンバーは大手のアイドルグループにも負けないだけのポテンシャルがある、と思っている。
そんな彼女たちを育て上げ、いずれはドームを声援とサイリウムで満たすのが俺の夢であるのだが、それを実現するには様々な点で不足している。
例えば【B小町】の知名度。またはファンクラブの会員数。あるいは事務所そのものへの信用────色々とあるが、今現在最も必要としているのは
タレントたちの仕事はそれなりに順調に入ってくるが、芸能の世界は表に出る華やかな印象とは真逆の欲望渦巻く魔窟だ。明確なルールより不文律・暗黙の了解の方が多く、同業者は少しでも上に立つべく足を引っ張り合い、芸能界の上位に位置する一部のスターたちは引っ張られまいと下から這い上がってくるものを足蹴にする。
そんな魔窟を歩み進ませる以上、タレントたちには事務所の中でくらい気を抜いていてもらいたい。
そのためには事務所のスタッフは信用できる者である必要があるのだが、なかなかそんな奴は見つからない。見つからない以上、今いる人員で回すしかなくなり一人一人の負担が増える。負担が増えた分、人員確保に動く時間が足りなくなる悪循環だ。
いい加減ミヤコの視線が痛いレベルになってきた────そんなところで事務所の稼ぎ頭兼問題児が爆弾を持ってきやがった。
『立香もウチの事務所でバイトすればいいんだよ!』
そう言って
曰く、『事務所には人が入って、立香はバイト先が確保できて、私は立香のお弁当が食べられる。一石三鳥!』。もしかしなくとも最後が本音だな、このバカ娘が。
「あれ、お弁当まで作ることになってる……?」と呟く藤丸には軽く頭を下げ、次いでアイに対して説教と注意を口にするが、どこ吹く風とばかりにあいつは反論してきやがった。
『でも他の事務所の推薦とかテレビ局のADさんに移籍してもらうより、確実に
『それは……まぁ、そうかもな。意外と警戒心の強いお前がここまで懐いていると来れば、藤丸君の人柄は信用できるんだろうさ』
『だよね! じゃあ──』
『けどな、お前はアイドルやっててアイツは男なんだよ。ファンに邪推される人選をするリスクを取る必要はあるか?』
その手のやっかみや罵詈雑言は、芸能界に関わる上で避けては通れない問題ではある。それでも少しでも避けうる選択肢があるなら、
しかし、当事者であるはずのアイはのほほんとした調子で反論してくる。
『そういう人たちはどんな人を雇っても邪推してくるじゃん。実際、うちの事務所って男の人が少ないから社長のハーレムだって言う人いるよ? というか、社長のことを『【
『そりゃそうだが……って待てぃ。誰だそんなこと言う奴は。藤丸君は『え、マジ?』みたいな顔でこっち見ないでくれるか!?』
『…………性癖は人それぞれです』
『優しい目で見ろって言ってんじゃねぇんだよぉ!?』
そうして藤丸君────もう藤丸でいいか。彼のロリコン疑惑を解こうとするうちに話の流れでとりあえずお試しで雇うということになった。藤丸は「本当にいいのかなぁ」みたいな顔だったが、話をこじれさせた
いやまぁ、相談せずに決めてしまった俺も後で怒られたんだがな……。
そんな経緯の元、藤丸を雇い入れたのだが────
「要は現状『とりあえずバーサーカー』スタイル、もしくは『やっちゃえバーサーカー!』戦法になってる気がするんですよね」
「バーサーカー!?」
「「「ぶふっ」」」
…………なんとも気は抜けるしあんまりな言いようだが、この後に続いた言葉は年齢を考えれば余りに異質。しかし、アイとの関係性を鑑みても『コイツを逃がす手はない』と腹をくくるには充分な素質を垣間見たのだった。
どうも藤丸です。アイさんからの突然の勧誘からの面接(というか顔合わせ?)を経て斉藤さん、もとい斉藤社長の事務所でアルバイトとして雇ってもらいました。
雇われてからは報告書や精算用書類の作り方を教わったり、海外生活の癖で英文で報告書作ったり、レッスンの付き添いに行ったり、レッスン終わりにはちみつレモン(カーマちゃん印)を差し入れたり、驚愕のカロリーにアイを含むアイドルさんたちにギルティされたり、向こうで修得した運転免許を使えるように申請しに行ったりと慌ただしく過ごした。この間、僅か二週間余りである。
「よいしょっ、と。社長、最後の段ボールの搬入終わりましたー」
「おう、確認するからちょっと待ってろ。…………よし、問題ないな」
そして現在資材搬入なう。詳しく言うとミニライブを行うため、アイを含む【B小町】のメンバーと一緒に小規模のライブハウスへやって来た。
着いてからは社長と共に施設の管理者・スタッフへの挨拶回りに始まり、楽曲の音源と順番の最終チェック。CD・ブロマイドといったグッズの搬入と購買準備。その他細々とした用意と準備を続け、最後の一箱を置いてようやく一段落である。社長はこの後もう少しやることがあるとのことだが、俺は【B小町】のライブが終わるまでは一旦待機となる。
ただし、休憩というわけではない。
「じゃあ、ライブ終わりまで邪魔にならないよう見学させてもらいます」
「ああ。後で感想聞かせてもらうからちゃんと見ておけよ?」
そんな言葉を背に受け車内でもらったチケットを手に客席の方へと回る。勿論今回のライブのものだ。
事務員というか見習いマネージャーというべきか定かではないが、「アイドルグループを有する芸能事務所に所属しながら一度もライブを生で見たことがない、というのはよろしくない」と判断された。なので今回は客席側からの見学が最大のお仕事である。
位置としては客席の中央列と後列のちょうど中間にあたる地点。「雇うのがもっと早ければ前列の関係者席も取れたんだが」とのことだが、アイドルライブは正確には初めてではない。聖杯絡みの特異点だったり、エリちゃんやネロ陛下のリサイタルだったりしただけで。
ついでに俺としても色々と考えてたこともあったし、それを纏めるには
ステージ脇から出てきた少女たちはみな一様に笑みを浮かべながらも、一人は歓声に応えて手を振り、別の一人はその快活さを見せるようにピースサインを、といった具合に思い思いにファンサービスで観客たちを引き込んでいく。
更に熱を上げた歓声と楽曲が流れ出すまでのわずかな静寂────それを経て少女達が踊り出す。
ホゥ、と。思わず漏れた感嘆の吐息。
掲げられるサイリウム、ステージを照らすライト、舞い踊る少女たち。直接的・間接的・象徴的を問わず
ダンスがうまいとか声がいいとか、パフォーマンスが素晴らしいとか、そういうことではない。只管に極まった一点
しかし、それでもその一挙手一投足に引き寄せられる
そんな考えを脳裏に浮かべているとふとアイと視線が合った。
…………何と言うか「こっちちゃんと見ろー」と言われているような。歌もダンスも表情も、雰囲気すら変えていないのに視線だけでそんな思念が伝わってきそうな視線だ。実に器用である。
思わず相好を崩し手を上げて応えると、満足げにしながらステージに集中していく。
実に楽しそうに響く歌声を耳にしながらだいぶ逸れていた思考を戻すとライブを集中して観察する。単に観客として来ているのならばまだしも、一応は研修? も兼ねているのできちんと感想を纏めておかなければ。
────その後、数時間に及ぶライブの熱狂に危うく何度か吞み込まれて黒髭とミス・クレーン仕込みのオタ芸を打ちかけるも、何とかやり過ごす。そして拍手と共にライブが終わると同時に裏に回って社長の元へと向かった。
ちょうど【B小町】の皆が着替えに向かう後姿を見送っている社長に声をかける。
「お、戻ってきたな。どうだ、うちのアイドルたちは?」
振り返った社長は『ニッ』と音が聞こえそうに笑う。自信と自負、それ以上にどこか子供が胸を張っているような稚気が覗く、そんな笑い方だ。
「そうですね……………………んー、ちょっとここじゃ言いづらい、というかまだ仕事もありますし帰りの車内でもいいですか?」
「それはいいが…………ちゃんと見てたんだろうな?」
「そこはばっちりです」
思っていた反応とは違ったのか、いつもの強面スタイルに戻ってしまった社長をなだめながら撤収の準備を進めていくのだった。
というわけで、久方ぶりに投稿でござる。
いや、違うんすよ。飽きたとかではなくアヴェンジャー・ロストが結構効いてて、サバフェスのストーリーとかを振り返りながらプロットの見直ししてるうちに推しの子原作があっちもこっちもお辛いことになって、水着エレちゃんにシエルパイセン、岸波先輩までやってこられて、カミキ君性癖歪みすぎっつーかアイさんマジ魔性の女ってアクアお前「死んでも守る」を有言実行してんじゃぬぇーー! ってやってるうちにクリスマスがやってきたのでボックスとレイド回ってました。
後編が少しずつ形になってきたので、一月以内には再度投稿できるかと。ただ、これからチョコと小町さんとニトオルタの育成の為の周回が始まるんだ。SUMNAI。