夜空の綺羅星は、青空に癒されたい   作:アッド・ウィステリア

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風魔親子の解像度を上げる、祖母目線絡繰妖術師殿がやってこられたが今回はスルー。すり抜けでワンチャンあるし、三月から続く怒涛のラッシュ(ALL爆死)ティアマト(爆死)とドラコー(宝具レベル1)に追加で捧げた諭吉(×2)のダメージがまだ抜けきってないんだ……



そして、くけゃぁ――――――――!! 一切礼装落ちぬぇーーーーーー!!!(周回&金銀銅リンゴ中毒による発狂状態



そんな無常と怒りと共に書き上げた最新話を喰らえぃ!!

あ、書きたいように書いたいつもの駄文クオリティ、かつ特殊タグのお試し運用 and 文字数伸びすぎて前後編……最悪前中後編+後日談くらいになりそうです。
というかこの部分と結ばれる瞬間と、いちゃらぶハッピーエンドが書きたくて書き始めたから、しゃあないんや許しておくれ……!




4. 空は添うⅠ

 それに気づけたのは、彼女が、あの『どこにでもいる女の子』に重なって見えたから。

 

 容姿の話ではない。その雰囲気や在り方――『周りを気にして本心を誰にも打ち明けず、周りが望む通りの言動を行い取り繕っている』という点が、もう何処にもいなくなってしまった『あの女の子』のことを想起させ、俺が勝手に重ねてしまっていたに過ぎない。

 

 カルデアの記憶を思い出してから、ふとした拍子に彼女のことを目で追っていた。あの世界の記憶を持った自分がいるのなら、もしかしたら『あの子』もいて、彼女が『あの子』なんじゃないかって、思ってしまった。

 でもそれ以上のことは、しなかった。だってこの感情はあまりにも、今目の前にいる彼女にも、『あの子』にも失礼だと思ったから――

 

 

 

 ――彼女が、空元気を出していることには気づいていても、なにもしなかった。

 

 

 

 それとなく周囲を警戒し、周りに合わせた言動を取る彼女の些細な変化。

 もらった風船が最初は浮かんでいても、次第に萎んで地に落ちるような。どんなに息を吹き込んで膨らませても、再び浮かぶことはないのに、何度も何度も懸命に息を吹き込むような、()()()()()()()()()()()姿()を見ても、何もせずにいた。

 

 そんな俺が、こんなことをやるべきではないのかもしれない。きっとこの場にあの大嘘吐き(オベロン)が居たのなら、偽善者だ綺麗事だと、それはもう思い付く限りの皮肉と罵詈雑言をいい募るのは想像に固くない。

 

 ただ罵倒を繰り返す様は容易に想像できても、止めようとする素振りはイメージはできなかった。無駄だからやめろと、アイツは言わない気がした。

 

 とっくに就寝時間を越え建物もほぼ全体が消灯している中、部屋を抜け出して、俺は施設の敷地内ギリギリの隅っこで彼女のことを待つ。

 

「こーんばんは♪」

 

 そこへひょっこりと、星野さんがやって来た。薄い水色のパジャマにパーカーという、ラフな格好だがそれでも彼女の容貌も相まって非常に可愛らしい。……というかチラリと見えるうなじがとても眩しい。

 

「こんばんは、星野さん。俺が言うのも何だけど、よく抜け出せたね?」

 

「相部屋の子が手伝ってくれたよ。藤棚くんはどうやって来たの?」

 

「俺は窓の外にある排水管を伝って来た」

 

「なにそれ、忍者みたい」

 

 まあ本職仕込みだからね、と思わず口に出しそうになったが、ギリギリ口を閉ざす。あと相変わらず一文字違う。

 

 なお、俺は現在建物の二階にある二人部屋を、同年代の子と一緒に使っている。なのでバレないように枕とシーツ、衣類で偽装、部屋の窓から軽くジャンプすれば手の届く範囲にある排水管を使って抜け出してきた。

 窓は糸と針金でちゃんと閉めてきたので抜かりはない。相部屋の子が風邪引くこともないだろう。

 

 千代女さん、小太郎君に段蔵ちゃん。こういう使い方は想像してなかったかもだけど、教えてくれてありがとう。

 

「ここに来てそれなりに経つけど、こんなところがあったんだね」

 

「俺も見つけたのはたまたまだけどね。前に小さな子たちとかくれんぼしてる時に見つけたんだ。時々、一人になりたいときとかに使ってる」

 

「それ、私に教えてよかったの?」

 

「うん。知ってる人は知ってるみたいだし、星野さんも一人になりたいときに使えばいいと思うよ」

 

「そっかー。うん、機会があったら使ってみようかな」

 

 キョロキョロと興味深そうに星野さんが周りを見渡しながら、そう口にする。

 

 今俺たちがいる場所は茂みの中にポッカリと空いたスペースで、冬場以外はその年の葉の生い茂り方にもよるが、外からはじっと観察しなければほぼ見つからない。

 

 見つけたのは本当に偶然だが、『もしかしたら過去、施設にいた先輩たちが職員さんたちに見つからないように作っていたのでは?』と思うくらいには絶妙な塩梅と広さがある。子供とは言え、二人入っても余裕があるくらいだ。

 

「で、こんな人気のないとこに手紙まで使って呼び出したってことは――――もしかして、告白でもされちゃうのかなー♪」

 

「ごめんなさいお友達で」

 

「呼び出した方が言う言葉じゃないでしょ! というか私が告白したみたいになってるよ!?」

 

「いや、ちょっと場を和ませようかと……」

 

 ニマニマとチェシャ猫のような顔をされたので思わず、鉄板ネタを挟んでしまった。というか全体的に話がズレ込んでいる。

 

「ええと、まずは来てくれてありがとう。あと急に呼び出したりしてゴメン」

 

「……むぅ。いきなり手紙で呼び出した挙句、女の子を揶揄ったからには何かお詫びがあるべきと、私個人としては思うわけですが」

 

「後日ケーキを献上します。ホールで」

 

「仕方ないなー。許してあげましょう」

 

 ぷっくりと柔からかなほほを膨らませていたのが、瞬く間に笑顔になった。……女の子は甘いものが好きとは言うけれど、ちょっと心配になるくらいの早変わりだった。というか二人きりになるにはちょっと薄着な格好と言い、この子色々警戒心薄くないでしょうか?

 

「それでそれで? 話って?」

 

「ええと………………………ゴメン。先に謝っておきたい」

 

「? なにを?」

 

「今まで気づいていたのに何も言わなかったことと、今から酷いことを言うから」

 

「何のことかよくわからな「――あの、さ。もう、自分にまで嘘つくの、止めない?」……………え?」

 

 とても残酷な現実(ハナシ)を、目の前の少女に突きつけようとしている自分に吐き気すら催す/カルデアの記憶を極力思い出して、心を透明にする。

 

 今の一突きで崩れかかっているだろう彼女の心を、今から、滅多刺しにするのだ/思い出すごとに、『今更なんだ、何度も何度もお前は世界を滅ぼしただろう』と、自責の念が染みのように湧き出す。

 

 ――けども/――それに

 

 そこで止まれるような性格なら苦労はしない。/ただ『生きたい』という思いで此処まで来た以上、止まれはしない。

 

「こんなこと俺が言えた義理じゃないのは、わかってる。でも、もうやめよう?」

 

「…………何の話かな?」

 

「職員の、医務室の先生から聞いたんだ。君の……その、お母さんのこと」

 

「…………」

 

「釈放、されたんだよね。でもまだ来てない」

 

「…………時間がかかってるだけだよ、お母さんのんびり屋だから」

 

「でも、もう十日も経つよ」

 

「……………………道に迷ってるんだよ、きっと」

 

「本当に、心から、そう思ってる?」

 

「……………………めて」

 

「本当は、分かってるよね?」

 

「…………やめて」

 

「君のお母さんは、きっと、ここには「やめてよっ!!!」

 

 先ほどまでの余裕のある微笑みを浮かべていた、何処か超然として浮世離れした少女は何処にもいなかった。いや、その仮面は途中ですでに朽ちて剝げ落ちている。

 

 目の前にいる――この世で頼れる人もなく一人ぼっちになってしまった女の子は、震える体を抱きすくめて、暗く淀んだ星を浮かべた目で俺を睨みつけていた。

 

「分かんない。そんなのまだ分かんないよっ! どうしてそんなこと言えるの!? 私のことも、私のお母さんのことも何も知らないでしょっ!!?」

 

「……うん」

 

「なら、知った風に言わないでよ!! なんなの、私に同情してるの? それとも憐れんでる? そんなことしてくれなんて一言も言ってない!!!」

 

「……両方、かな。でも、言われたからやったわけじゃないよ」

 

「っ~~~~! じゃあ、なんなの!? 君は何がしたいの!!?」

 

 もはや我慢ならんと、思いのほか強い力で襟首をつかまれ体勢を崩しかけるが、無理やり保つ。今にも額がくっついてしまいそうな体勢だが、物理的な距離が詰まったことは好都合だ。

 

 広げた両腕を彼女の背中に回して思い切り抱き寄せる。

 

「――君を、放っておけない」

 

「……っ、離して!」

 

「…………ゴメン」

 

「謝るくらいなら離してよ! 私を『愛』しているわけでもないのに、こんなことしないで!」

 

「愛してないと慰めちゃダメなのか? 助けたいから助けるのは、悪いこと?」

 

「それはっ! ――――それ、は…………」

 

 有無を言わせない抱擁の中から、抜け出そうとしていた彼女から次第に頑なさを残したまま力が抜けていく。

 

 五秒、十秒、二十秒と経ち――――

 

 

 

「………………なんで?」

 

 

 

 少女の口唇から零れ落ちる弱音(ほんしん)が聞こえた。

 

 抱き寄せた腕はそのままに、僅かな嗚咽と共に零れる(こえ)に耳を傾ける。

 

「なんで、こんなことするの? なんで、『愛』しているわけじゃないのに、抱きしめてくれるの?」

 

「……俺が、そうしたかったから。気づいてたのに、気づかないふりをするのが嫌になったんだ」

 

「………………知らないふりしてたの?」

 

「……本当に、ゴメン」

 

 いや、もう、ほんとうに。そこをほじくり出されると、ましてか細い囁き声で口にされると、とぉっっっっっっっっても罪悪感を刺激されて、謝罪というか土下座以外の選択肢がない。焼けた鉄板の上で土下座(やれ)と言われたら、拒否どころか進んでやらせていただきたいくらいには本気で後ろめたい。

 

 そんな内心を読み取ってくれたのか、ほんのわずかに持ち直した声音で彼女は言う。

 

「……知らないふりしてたのは許してあげるから、質問に答えて?」

 

「……うん」

 

「…………なんで、なんで私に『愛してる』って言ってくれたお母さんは、来てくれないの? それとも『愛してる』って、嘘、だった、の、かなぁ?」

 

「それは、違う。違うと思う」

 

 持ち直した声が瞬く間に崩れ去ろうとしているところを、慌てて喰い止める。

 

 抱きしめていたままだった腕を肩に乗せて、僅かに体を離して、彼女の目を真正面から見つめる。彼女の瞳には、もう星の光輝も暗黒もない。本当にただの迷子のような、すがるような視線だった。

 

「少なくとも、君に向けた『愛してる』って言葉はきっと本物だ」

 

「……じゃあ、何でお母さんは居ないの? どうして君は『愛』してる訳じゃないのに、抱き締めてくれるの? ……そもそも『愛』って何なのかな?」

 

 ……『愛』とは何か、と来たか。本来そんなこと、小学生がするような質問ではない。

 

 だけど、そんなことを聞かなければならないくらいに、彼女は追い詰められていて――――そんな彼女に気付かないふりをしていた俺に、それを拒否する資格などない。

 

 ただ、申し訳なくも思う。俺に、彼女が望むような素敵な回答はできないから。

 

 

 

「それは多分――――君のお母さんも含めて誰もわからない。というか、正解なんてない、かな」

 

「…………え?」




サブタイトルを藤丸立香のパーフェクト・コミュニケーション教室(前編)にするか迷ったが、流石に断念。今回はシリアスで。

……正直、書いてて自分でも『これってEXTRA CCCのパニッシュじゃね?』と思ったし、『主人公もそっちが良かったか?』とも思った。読んでくれた方がCCC履修済みならそう思うはず。
でも、作者が最初に、実際にプレイしたFateシリーズがCCCだったので、ザビーズの伴侶は嫁王か、良妻狐か、白くて黒い後輩という前提が脳裏に焼き付いてしまった。特に前者二人はEXTELLAで解像度が上がりすぎてしまったんだ。ドウシテゲンサクシャハネロチャマヲナカソウトスルノ……


何よりぶっちゃけた話、特別な星を特別視しないからこそ落ちる恋が、特別視しないからこその拗れたイチャコラが書きたかった(愉悦予備軍の歪みなき歪んだ欲望)


後編もしくは中編はまた後日、周回と箱交換が終わってから執筆します。
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