夜空の綺羅星は、青空に癒されたい   作:アッド・ウィステリア

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作者「四話投稿予約、と。よーし寝るべ」

(スヤピコZzzzzz)

作者「おはよー。いってきまー(仕事→休憩中)お、感想溜まってる。どれどれ」

(昨夜寝る前)UA:約8,000 → (次の日)UA:約16,000

作者「ファ…?( ゚д゚)」


先週は大体、こんな感じになりました。日刊ランキングにも載りました。とても嬉しいが、ビックリしたぁ……。

読者の皆々様、評価・感想、誠にありがとうございます!


周回の休憩中に少しずつ書いていたはずが、熱中して書き切ってしまった……! 最後の方が駆け足だとは思うが……我慢が聞かなかったので投稿する!! 正直、クオリティ低いかも! すまないっ!


5. 空は添うⅡ

「それは多分――――君のお母さんも含めて誰もわからない。というか、正解なんてない、かな」

 

「…………え?」

 

「一概に『愛』といっても色んなのがあるから」

 

「………………そう、なの?」

 

「君は『愛』はどんなものだと思う? なんでもいいよ、聞かせて?」

 

 パチパチと、リンゴが木から落ちるなんて当たり前のことを初めて見たように目を瞬かせる。星野さんは少しだけ考え込んで、口を開く。

 

「……『愛』は、大切で、暖かくて、もらえると心がキュゥッとして、とっても貴重なもの……?」

 

「うん、それもある。だけどそれだけじゃない」

 

 正直な所、『愛』を語るなんて恥ずかしい思いはあるけれど、すがるような視線を向ける彼女から目を離すことはせずに口を開く。

 

「誰かに向ける『愛』。自分に向ける『愛』。世界を溺れさせても余るほどの『愛』。世界を焼き尽くしても足りない『愛』。……『愛』しているのに玩び、『愛』していても周囲と比べあって。『愛』すればこそより豪華にと望み、『愛』するからそれを証明したくて――――『愛』しいからこそ全部背負い込む」

 

 思い起こすのは、その所業はともかく、根底にあるのは罪深いほどに眩しい『愛』を有した(ケダモノ)たち。

 

 人として、決して否定できない悪であり、しかし乗り越えなければならない善。

 

「それだけじゃない。憎しみが、怒りが、悔いが、苦しみが、嘆きが混ざることもある」

 

 次いで思い浮かべたのは絢爛たる英雄達。輝かしい、あるいは悍ましい歴史の裏にあるものを思う。

 

 敬愛する人を失って祖国に絶望した英雄がいた。愛する人々に裏切られて尚、人の幸福を願う英雄がいた。

 

 愛する人々のため、自ら狂う道を選んだ者がいた。愛する者を奪われて復讐の道を直走る者がいた。愛する者のために我が身を擲つ者だっていた。

 

 様々な形で見せつけられた『愛』は、あるいは『悪』は、何一つ否定できない。俺にはどれもが間違っているだなんて思えなくて、だから敵対にせよ、友好にせよ、真っ直ぐ向き合うことでしか酬いる術はないのだと知った。

 

「『愛』は何時だって、誰であれ、同じものは一つもない。だから――――『愛』を説明する言葉に、正解はきっとないんだ」

 

「……………………わかんない、わからないよっ! じゃあ、何で皆、『愛してる』なんて言えるの!? 分からないことを口にするのは、嘘つきだよ!?」

 

 迷子のような目で彼女は叫ぶ。わからない、わからないと繰り返し口にする姿は、見た目よりずっと幼くて、しかし誰よりも切実に『愛』に飢え、そして『愛』に真摯だった。

 

「……その答えは、教えられない」

 

「どうしてっ!?」

 

「それは、見出すものなんだ。『愛』に正解がない以上、君が、君自身の思いを通して見つけ出さなくちゃダメだ」

 

 そんな彼女に俺が返せるのは、こんなありきたりな言葉だった。

 

 ……情けない。あれほど多くの『愛』と向き合っていながら、目の前の少女に満足のいく言葉一つ返せやしない。

 

 それでも目をそらさず見つめ合うこと十数秒、彼女はうつむき、疲れ切ったような声を紡ぐ。

 

「……じゃあ、私には無理だよ」

 

「どうして?」

 

「……私、噓吐きだもん。もう自分でどこからウソでどこまでホントのこと言ってるか、分かんないよ」

 

「そっか。……俺と、おんなじだ」

 

「………………え?」

 

 そんな言葉に思いもかけないとばかりに彼女はうつむいていた顔を上げる。次はもう俯かせないように、今度は軽く、壊れ物を扱うように優しく彼女を抱き寄せる。

 

「俺もね、分からなくなったこと、あるよ」

 

「………………嘘だよ。キミはいつでも、心から笑ってた。私、見てたんだから」

 

「今は、うん。心から笑えてると思う。でも、前は必死に取り繕ってた。普通に笑うって、普通に過ごすってどうだったか、わからなくなった」

 

 世界を奪い返すために世界を壊す。ただ自分が生きるために、その世界に生きる人々を破滅へと追いやる。

 

 個人が背負うにはあまりに度を越した重すぎる罪を背負っておきながら、よくもまあ、()()()()()立て直せたものだと、我がことながら呆れるほかない。

 

 最後の戦い、その後に過ごした二年間。語り明かすにはあまりに長く、実際に過ごせばあまりにも短すぎた、俺とカルデアの最後の思い出があって、ようやく立ち直る目途がついた。

 

 思い返してみても、あの日々の大半は涙と共にあった。

 

 嬉しくて視界がゆがんだ。楽しさのあまり涙が浮かんだ。心配で夜も眠れなかったというのに、お気楽な様子に思わず泣くほど怒った。

 

 何より――――二度と訪れない望外の青春を、共に過ごす人たちとの別離を思い、一人嗚咽を漏らした。

 

 あの満天の星空のような思い出が、今の俺にとっての『輝ける星』。その輝きを知るものとして、少しでも腕の中に収まる少女の心に届くように祈りながら言葉を紡ぐ。

 

「たくさん笑って、それと同じくらい怒って、その倍くらい楽しんで、そしてそれ以上に泣いて――、それで俺はようやく思い出すことができた。……きっと君にもできる。できていると分かる時が必ず来る」

 

「……信じられないよ」

 

「大丈夫。俺、噓ついているように見える?」

 

 最後は少しだけ冗談めかして、軽やかに彼女に問う。……返事はないが、否定されることはなかった。代わりに返って来たのは別の懊悩。

 

「……意味がないよ。『愛してる』って言いたい、言って欲しかったお母さんは、いないんだよ?」

 

「……うん。でも、これから言いたい、言って欲しい『誰か』にはまだ会ったことがないだけで、きっと出会えるよ」

 

「……出会えるのかな?」

 

「勿論。君の努力も必要だけど、きっと何処かにいる」

 

「……『きっと』って言葉ばっかり」

 

「未来なんて、見えないからね。でも、『君の未来がよいものでありますように』――そう願うことはできるよ。嫌だった?」

 

「嫌、じゃない、けど……」

 

 おずおずと、背中に少女の手が回されていく。ほんの少しだけ抱擁を緩めて、額と額がくっつくような姿勢で彼女の瞳を覗き見る。

 

 垣間見えた瞳を見た最初のイメージは迷子。泥のような淀みは薄れているが、しかし綺羅星のような輝きは未だ戻らない。

 

 今の彼女に必要なのは――――

 

 

 

「そう、だな。じゃあ最後に、愛じゃないけど夢のある話をしよう」

 

 

 

 ――――きっと夢が必要だ。誰もが聞けば『随分と都合がいい』と嗤われるような、けれど一度は誰もが夢見るような、そんな理想(ユメ)が。

 

「……愛じゃないけど、夢?」

 

「うん。……前提として、君のお母さんは迎えに来てない。ここは変えられない。変える術も、力も、俺達にはない」

 

「…………っ!」

 

「でも君は、お母さんはのんびり屋だから時間がかかってるって、道に迷ってるって言ったよね? それは、確かにそうかもしれない」

 

「……さっき否定したのに、そんなこと言うんだ」

 

「否定はしてないよ。本当に君がそう信じてたなら、俺もそれを信じるつもりだった」

 

「……ずるいよ、そんな言い方」

 

 否定できないなぁ、と苦笑いを受かべるしかない。

 

 それでも彼女の――――いや、自分がそう思いたいという願い(ワガママ)を込めて口を開く。

 

 

 

「だからこれは俺の推測――――というか、願望かな。『そうだったらいい』程度の妄想・空想かもしれない」

 

 

 

「君のお母さんが君のことを傷付けながら、でも手放さなかったのはきっと『愛』はあったから」

 

 

 

「愛したいのにちゃんと愛せない、ちゃんと愛せないくせに愛おしい」

 

 

 

「……葛藤があったはずだ。『なぜ自分はこうなのか』って思ってたはずだ」

 

 

 

「警察に捕まって、君から離れて、今までのことを振り返って、君のお母さんが少しでも、自分が悪いことをしていると自覚していたのなら――」

 

 

 

「『もう傷付けられない』って思うよ。でも、今の今まで傷付けてきた以上、『君に嫌われてる』って思ってしまう」

 

 

 

「――だから、手を離したんだ。もう二度と、君を傷付けることのないように。どうか汚れた自分の手を離れて、健やかに暮らせるように」

 

 

 

「君のお母さんは、きっと、君のためにここに来ることを選ばなかったんだ」

 

 

 

 ――嗚呼、本当にこんなのは詭弁だ。

 

 だって、夢はとことん夢だ。届きはしない。現実は何処までも悪辣で非情だと、カルデア()の記憶がある以上、そこは肯定するほかない。

 

 けれど――――それがなんだ。

 

 夢を見て何が悪い? 理想を掲げて何が悪い? 例え、夢そのものが嘲笑われるような内容だとしても、それを目指して進む姿まで否定される謂れはない。否定する権利なんて、それこそそれを追うと決めた当人にしか無いものだ。

 

「だから、いつか君は『愛』を理解できるよ。俺はそう信じてるし、そう信じていたい」

 

 片腕を上げて、慰めるように彼女の艶やかな黒髪を梳りながら、祈るようにそう締めくくる。

 

「………………酷いよ。なんで、どうして今更、そんなこと言うの……!」

 

 数秒ほどの無言の後、聞こえてきたのは俺を詰る声。肩越しに感じたのはぽたりぽたりと零れ落ちる()の雫。

 

「そんなこと言われたら、わた、私、お母さんのこと、嫌いになれなくなっちゃうよぅ………!」

 

 背中に回されていた腕がきつくきつく締まっていく。縋るように、無くさないように。

 

 ……正直、苦しい。でも、一番苦しくて痛いのは俺じゃない。だから我慢する。梳る手を止めず、彼女の慟哭にただ身を任せる。

 

「痛いのはやだっ、苦しいのはやだよ! ……でも、でも寂しいよぅっ……! こんな、こんなに寂しくて、胸の奥が痛くて、苦しいのに、何でお母さんは側にいてくれないのっ!?」

 

「うん」

 

「酷いよ、あんまりだよっ。君が言わなかったら、()()()()()()()()()()()()()()()()っ!!」

 

「……ごめんね」

 

「謝らないで、謝らないでよ! ()()()()……! ()()()()()()()()()()()()!」

 

「……それが君の願いなら」

 

「う、ぁ、あああ。ひっぐ、ぅ、わああああああああああああああああああああああああああん!!」

 

 一番星の生まれ変わり。そんなものはこの場にない。

 

 ここにいるのはただの嘘吐きで怖がりで、なにより寂しがりな少女。その涙を、夜空と星々だけが見ていた。




とりあえずまず最初の書きたかった部分を書ききった……!!

斎藤社長に会う前に思いっきり誰かに縋りながら泣いていたら、原作の末路に至る前に「愛してる」ってアクアとルビーに言えてたんじゃないかなー、という作者の個人的な考えによる、救済の一つにがこちらになります。とはいえ、これだけじゃ救済になりきらないので、まだまだ続きます。

『許さない』の部分はFGO原作第二部一章と空の境界の第七章、両方のイメージから抜粋。人生を左右されるほどの呪いであり祝福。どうしてこう、型月はネガティブな言葉にここまで愛を込められるのか……!

次話はラブコメ(コメディ寄り)を挟んで、幕間(カルデアの記憶)かな、と考えております。ただし、幕間はともかく次話は一文字も進んでねぇという状況ですので、いつになるかわからんです。申し訳ない。

裏設定(本編に絡まないネタバレ、以下反転)
前回のお話も含めて、アイに寄り添い過ぎた答えを返すと依存・独占・ヤンデレ√に直行します。待ち受ける結末は多少の差はあれ、基本的に『幸せ監禁(主夫)生活』か、『安珍(比喩表現)される』か。……溶岩水泳部の期待の新人かな?(恐怖

あとがきを含め、最後までお読みいただきありがとうございます。評価・感想お待ちしてます。
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