「おっひょ〜!冒険の匂いがするぞ!サンジ!!弁当だ!!肉マシマシの海賊弁当!!」
「あいよ船長」
「ちょっと待ってよ!本気であの島上陸する気!?」
メリー号の甲板から見える島は島全体が街になっていて栄えているように見える。何ら変哲のないただの栄えた島だ。しかし……。
「あの島あんなに栄えているように見えるのに誰一人として人が見えないのよ!?」
そう、人口数十万人はいそうな都市なのに誰一人として外にいないのである。もしかしたらと建物の中にいるだけかもしれないが望遠鏡で見る限り、港にも街にも誰一人として出歩いていないのだ。
「街の様子を見る限り最近滅亡したのかしら。それに中央の建物、歴史がありそうね」
「ロビン〜!お前もあの島興味あんのか!」
「えぇ船長さん、私も上陸してみようかしら」
「ロビンまで!」
「俺も行ってみてぇな。なにか島特有の食材があるかもしれねェ」
「サンジ君まで!?」
「俺もい────」
「ゾロ〜!お前は行かないでくれぇ!!」
「俺たちを見捨てるなァ」
ゾロが上陸する気を出した瞬間、ゾロに抱き着き船に止めようとするウソップとチョッパー。
「離れろテメェら!暑苦しい!!」
「「置いてかないでくれ〜」」
「分かったから離れろ!!」
「よ〜し。それじゃあ冒険だ!」
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「不思議ねこの島、突然住民がいなくなったみたい」
「なんだ〜あの建物!でけ〜!」
「大聖堂ってやつか?相当栄えてたんだろうなこの島」
ヴィクトリア様式の街を進むと島の中心である大聖堂の元へ辿り着く。大聖堂の門は禍々しい彫刻が施されている。それは大聖堂に入ろうとする者を拒絶するかのように存在している。
「文化的価値が高そうね」
門に触れて彫刻を見ているロビンを置いて自由なルフィは門を開く。
「おっじゃましっま〜す」
なにかの物語を表しているだろうステンドグラスから日光が差し、大聖堂内は意外と明るかった。長い椅子が何列にも渡って並び、数千人規模で礼拝が行われていたのがわかる。
そして異彩を放っているのが大聖堂の最奥にある祭壇の前で椅子に座った人物だ。
「うぉぉぉぉ絶世の美女!!言葉では表せられない美しさ!!」
サンジはくねくねしながら椅子に座った者に近づいていく。それに付き添うようにルフィもロビンも赤い絨毯を歩いていく。
「なんだこいつ、寝てんのか?」
ルフィが顔を覗き込もうとするとすかさずサンジを殴った。
「ルフィテメェ!寝ているレディの顔を見ようなんて羨ま……けしからん!」
「船長さんもコックさんも彼女は寝ているんじゃないわ。彼女は死んでいるわ」
「「え〜!!??」」
「それにしてもなんて保存状態がいいのかしら……。腐敗が1つもない」
「ロ、ロビンちゃん本当にこの子は死んでるのかい?こんなに美しいのに!?」
サンジが言う通り死体は透き通るような白い肌を有し、その肌にまだハリもあった。髪も銀の長髪を後ろでまとめていて毛先すら荒れている様子はない。
しかし、確かに呼吸は疎か心臓も動いていていないし生命力も感じられない。完全に死体だ。死体のはずだ
「2人共顔ばかり見ているようだけど彼女の服や周り見るべきだわ」
服は血で汚れており、その血は腹部から流れていた。そして今まで赤い絨毯だと思っていたものがその者の血で染まった純白の絨毯だったことを理解した。致死量なんて優に超えている。
「安らかな顔をしてるけど相当な痛みに襲われていたはずよ。よほど高貴な心を持った人だったのかしら……」
そう言いながら椅子の前で考え込むロビンを前にルフィは死体のジャボの下に輝く金のロケットペンダントに興味を持った。
ルフィがペンダントに手を伸ばそうとすると死体は突如として動きルフィの腕を掴みその身を近付けさせる。
「死体漁りとは、感心しないな」
耳元で囁かれているような声色が静かに大聖堂に響く。ルフィ達はただただ驚き立ち尽くすしかない。
「お、おいそんなに大切なやつだったのか!?わ、わりぃ!」
ルフィの腕を名残惜しそうに手放し、椅子を立つ
「だが、分かるよ。秘密は甘いものだ」
彼が一歩歩けばルフィ達は一歩下がるように彼の威圧感は凄まじかった。それこそルフィ達は数m彼女から離れた。しかし、その威圧感の中にまるで母親のような温かい包容力が確かにあった。
いつの間にか彼が手にしていた双刃刀を構えると『ギャリンッ!!』と音を立て双剣へと変形する。仕立ての良い貴族風の黒いコートに羽を挿した帽子の美型の男はゆっくりとルフィたちに近づく。
普段なら目を輝かせて「カッケェ〜!!」と言うルフィも彼を警戒して拳を握る。
「サンジ!ロビン!気をつ「だからこそ、恐ろしい死が必要なのさ」」
10mはあっただろう距離を彼は一瞬で詰められた。しかし、間一髪でルフィは避け、彼の太刀筋はルフィの顔スレスレを通り過ぎていった。そして剣はルフィのアイデンティティである麦わら帽子の端を切った。
「あーー!!テメェ何しやがる!ゴムゴムのォ」
「おいルフィ!」
大切な帽子に傷をつけられたことで怒りを露わにしたルフィは腕を後ろに大きく伸ばし彼を殴り飛ばそうとする。が、次の瞬間自分の腕が斬り落とされるビジョンを見たことによってルフィは攻撃をやめ彼と距離を取る。
「サンジ、ロビン!ここは俺が食い止めるからお前らは逃げろ!」
「………」
「おい!テメェ何言ってんのか分かってんのか!」
「こいつは鷹の目と同じ感じがする!」
「あのミホークと!?」
ルフィとサンジは
「今の俺たちじゃあこいつには勝てねェ!!!」
「……わかった。ロビンちゃん船に急いで戻ろう。ルフィ絶対に戻ってこいよ!!」
「船長さん……」
「ししし、大丈夫だ!」
サンジとロビンは走って大聖堂から出ていき、船へと急ぐ。その2人を彼は追いかけもせずただじっとルフィの麦わら帽子を見つめている。
「その帽子を被る者は本当に似た者たちばかりだな」
「お前!さっきから何なんだよ!突然つかんできたと思ったら切りかかってくるしよ!ペンダントに触ろうとしたのは謝ったじゃねェか!」
「君は特に似ているな」
「それと腹から声出せ!なんかお前の声変な感じするんだよ!!」
「彼も同じことを言ってたさ……。君は本当に
そう言い切った。