周りでも風邪を引く人が多くなりました。皆さん、くれぐれも体調管理にはお気をつけ下さい。
最近、hoi4のアプデが来たこともあり、やりこんでいます笑
色々な新要素があって遊び甲斐がありますね!
フェン王国 首都アマノキ沖合
パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊所属のレクマイアは海を漂っていた。フェン王国懲罰の命という、彼にとっては簡単すぎる仕事を命じられ、栄光ある列強パーパルディア皇国のワイバーンロード部隊の一員として派遣された彼は、自分一人であっても武士団一個大隊を軽く屠るつもりであった。
軍祭は、パーパルディア皇国の力を各国武官たちに再認識させる良い機会であった。フェン王国側に与していれば痛い目を見るということを分からせるため、湾内の中で目立つ赤い船を狙った。
しかし、その船は必中距離で放った導力火炎弾を信じられない速度で全てかわしてしまった。必ず当たるものと信じていたレクマイアは驚いだが、そこで終わらなかった。
湾内に展開していた灰色の超巨大船から放たれた光によって、自分をはじめワイバーンロードが次々と撃墜されていくのだ。幸い、レクマイア自身は相棒であるワイバーンロードが身を挺して守ったことで、命が失われることはなかった。
だが、仲間たちは超巨大船から放たれた光や
この世で自分たちの敵となりうる存在は同じ列強しかないと思っていたが、文明圏外にあっていとも簡単に撃ち落とした国に興味さえ抱くレクマイア。彼はしばらく海を漂った後、現場に現れた『ロバートソン』に救助され、そのまま拘束された。
「……竜騎士との通信が途絶えました」
「なっ!?一体何が起こったというのだ……?」
絶対無敵の航空戦力だったワイバーンロード部隊からの通信途絶は、皇国監査軍東洋艦隊に衝撃を与えた。第三大陸圏にワイバーンロードを超える航空戦力は存在しない。文明圏内国家のワイバーンロードはほとんどが劣化種、お古扱いとなった皇国からの輸出品だ。文明圏外国家が20騎もの改良型竜を撃墜するなど考えられないことであった。
不可解な事態が起きている。東洋艦隊を率いるポクトアール提督は嘆きたくなった。しかし、第3外務局長カイオスからの命令である以上、撤退などできない。国家の威信がかかっているのだ。引くわけにはいかない。
皇国監察軍東洋艦隊22隻は、フェン王国に各国武官の前で懲罰を加えるため、さらにワイバーンロードを落とした落とし前をつけるため、風神の涙を使用して最大船速で東へと向かった。
「なんてことだ……まさかこんな事態になるとは……」
日本国外務省職員の島田は、日米英仏の艦船がフェン王国を攻撃しに現れた正体不明の部隊を、見事なまでに殲滅する様子を見て頭を抱えた。
国交のない国家間の争いに首を突っ込む形となった。運が悪すぎるとしか言いようがない。しかし、敵は同盟国であるカナダの巡視船に対して先制攻撃を加えた。それに対して反撃したのだから立派な正当防衛であり、それに対して物言いする権利はない。
まして国籍不明の部隊は数が多く、敵として参戦しなければ被害は拡大し、王城近くにいた国連各国の外交官たちにまで死の危険性があった。
「……考えたくはないが、フェン王国はこうなることを想定していたのではないか?」
「列強との戦争に我々を関与させるために、ですか。随分と……舐められたものです」
島田と共にいたアルバッグとハリファックスは、フェン王国が国連を対パーパルディア皇国戦争に参戦させるためにこの場を仕組んだのではないかとの疑念が募っていた。
現状、フェン王国の戦力だけでは皇国には勝てない。だが、ロウリア王国を倒し、先ほどの演習で圧倒的な力を見せつけた国連がつけばどうなるだろうか。間違いなく、フェン王国は亡国化を逃れることができるだろう。
国連の船を襲わせ、皇国に対する開戦理由を作り、戦争に参戦させる。剣王シハンの狙いは、亡国化を防ぐために関係のない第三国を巻き込む意図があったのではないかと2人は考える。それに対してアルダンも同意した。
「我々は便利屋ではない。国連加盟国ならば助ける義務はあるが、非加盟国に対しては国際法上の義務が生じないため、助ける必要はない。外交は人情だけではやっていけないのだ」
彼の言葉は非情だが、法的には何ら違法ではない。後世大戦の後、国際連合を結成した際、加盟国間で戦争が起こった場合、直ちに国連軍が介入し戦争を停止させる『国際警察軍構想』が盛り込まれたが、これはあくまで加盟国に限定されていた。そしてフェン王国は国連非加盟国につき、多国間による防衛義務や国連軍が介入する法的義務はない。
あくまで自衛のための行動であり、決してフェン王国を防衛するために行ったことではないことを早急に表明する必要を迫られていた。
各国は事態悪化を防ぐため、情報収集を開始し次の内容が分かった。
・襲ってきた敵はフェン王国西側約500kmにある、フィルアデス大陸に位置する第3大陸圏の盟主であり世界5列強国の一つ、パーパルディア皇国のワイバーンロード部隊である。
・所属は皇国監察軍であり、彼らは文明圏外国家を対象に外交を行う第3外務局の指示で動く。
・フェン王国に対する懲罰攻撃を、各国関係者が集まる軍祭の日に合わせたのは偶然ではない。自国の権威を高め、他国を従わせるための砲艦外交のような意味合いがあったと思われる。
・現在、フェン王国西側約200kmの海域を速力15ノット程度の速度で東に向かう22隻の艦隊が確認されている。
夕方からフェン王国首脳との会談が予定されていたが、それどころではなくなった。各国はフェン王国外交部署に即時会談を求め、フェン側もこれを承諾した。
同日 正午 フェン王国王城
応接の間で待つ日米英仏加愛東の一団。王城には派手さはないが、この部屋は奥ゆかしさや趣のある部屋で、質素ながら居心地が良かった。もてなしの茶と菓子が出されしばらくすると、剣王シハンと、武将マグレブが現れた。
「日本、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、アイルランド、東方エルサレムの皆々さま。今回はフェン王国に不意打ちしてきた不届き者どもを、真に見事な武技で退治していただいたこと、謝意を申し上げる」
代表してシハンが深々と頭を下げた。それに対する各国の反応は冷たいものがあった。
「まずはっきりさせておきましょう。我々は同盟国に対して攻撃が及んだので、それに対して反撃したまで。貴国を守ったわけではないことは、ご理解いただきたい」
アルバッグはあくまで冷静に、そして要らぬ誤解を生ぬよう牽制した。軍祭前の好意的な姿勢から一転、各国の態度はどこか冷たいものがあった。
その言葉と態度からマグレブが焦ったのか、矢継ぎ早に話を進めようとする。
「早速、国交開設と国連加盟の事前協議を……。実務者協議の準備をしたいのですが……」
フェン王国側は、明らかに国連からの軍事的支援を求めてきている。その姿勢に島田をはじめ、各国外交官は苛立ちを隠せない。そしてとうとう我慢の限界を迎えたアルダンは語気を強めながら、シハンとマグレブに言い放った。
「貴国はどうやら戦争状態にあるようだ。援助をしたいところだが、我々には国連非加盟国を援助できる法的根拠はなく、貴国についても特例を設ける気はない。
貴国の問題は貴国自身が対処すべきであり、我々が不干渉の立場だ。貴国自身の力でもって解決されることを願う。また、国交開設については各国政府が判断することになるが、協議に時間がかかることをご理解願いたい」
国連はフェン王国側に、一切の安全保障支援を行わないーーその意図を含めて言い放ったアルダンにシハンとマグレブはただ黙って聞いていた。だが、彼らの心中は穏やかではいられない。ワイバーンロードを撃ち落とした時点で、確実に皇国は報復に動く。これをフェン王国の仕業と誤認した皇国によって、アマノキは遅かれ早かれ火の海にされるだろう。
何としてでも各国の軍事的関与が欲しいシハンは、両者の間に流れる沈黙を破るように口を開いた。
「皆さまには大変なご迷惑をおかけしたことを申し訳なく思う」
「剣王さま!?」
驚くマグレブを制し、シハンは深々と頭を下げた。
「皆さま方の言われることはよく分かる。我々も同じことをされれば憤るだろう。貴国らの言動に対して、我々は一才の弁明の余地がないことを認める」
だが、とシハンは続けた。
「皆さんには頭にとどめて置いて欲しいことがある。先ほどあっさりと落とした飛竜部隊だが、第3大陸圏の列強、パーパルディア皇国のものだろう。我が国はパーパルディアより、領土を無条件で明け渡せと一方的な脅迫を受けている。当然拒否したが、それだけで襲ってきたような国である」
島田は息を呑む。パーパルディア皇国第3外務局から門前払いされたと同僚が嘆いていたのは記憶に新しい。
淡々とシハンは続けた。
「過去、我々のようにパーパルディアに懲罰的攻撃を加えられた国がある。その国は敵の竜騎士を狙い、不意を突いて殺した。その報復としてパーパルディア皇国に滅ぼされ、叛逆者は全て処刑、服従した民は奴隷として他国に売られ、王族は直系、傍系問わず皆殺しにされ、その遺体は王城前に串刺しにされ晒されたと聞く。
ーーパーパルディア皇国、いや列強国というのはプライドが高い。そのことをどうか覚えておいてほしい」
まさに蛮族、外交手法も懲罰制度も何もかもが封建時代的だ。特にユダヤ人であるシュタイマンは、皇国の残虐さにかつて民族が遭ってきた悲惨な歴史を思い出し、身を震わせた。まさにあの欧州帝国の生き写しのような国家である。
ゾッとする話を聞いた後、使節団一行は王城から港に向かった。
西より接近中のパーパルディア皇国の艦隊がフェン王国に接近している。それより前に早く引き上げたかった使節団一行は、会談終了後速やかにアマノキ近郊にある港湾施設に向かった。帆船方式のフェン王国軍船や各国の戦船も停泊している光景は、壮観な眺めである。
既に各国の空母機動艦隊はアマノキ海域から離脱しており、公海上を東に向かって移動している。残るは各国外交官たちのみであり、彼らを送り届ける日本国防海軍とアメリカ海軍のヘリは埠頭に待機していた。向かう一行を、大勢の人が見送りに来ていた。
「とーちゃん!灰色の船、すごかった!さっきの悪い奴らをやっつけてくれたんだよね!」
「そうだろー!あの大砲、凄かったな!」
「ありがとうー!」
満面の笑みで外交官一同に手を振るフェン王国民に対して、外交官たちは硬い笑みで返すか鉄のような無表情をしたまま、ヘリに乗り込んでいく。外交官がこんな好印象をもって送られることはなく、初めての経験だった。
「完全に国連がフェン王国に味方したと勘違いされているな。我々はあくまで自衛の範囲で攻撃を行ったまでだというのに」
「ここはあくまで冷静にいきましょう、デイビッド。彼らとはまだ何の外交的関係はありません」
アメリカのヘリに搭乗したアルバッグとハリファックスは、フェン王国民の中に少なからず「有事の際には国連が助けてくれる。だって、軍祭の時はそうだったのだから」という意識が芽生えることを警戒していた。
将来的にパーパルディア皇国と対峙する事は避けられないとしても、今ではない。国連加盟国の領土や国民の命が失われていない状態での参戦は、先制攻撃に該当する恐れすらある。大義がない戦争は、国民の支持を得られない。故に、各国は手を出さないのだ。
憂鬱さと申し訳なさを抱いたまま、彼らを乗せたヘリコプターは激しい風と轟音を発しながら、フェン王国を後にした。
同時に離陸した日本側のヘリでも同様の議論がされ、同じような結論に至った。特に戦争の危機にありながらそれを通達せず、意図的に戦争に巻き込む意図さえ感じられたフェン王国に対する評価は低下していた。
それでも彼は、どうにかして接近中の艦隊からフェン王国を救う方法がないかと考え、衛星電話で外務省に問い合わせを行った。
日本国 首都瑞穂 大統領官邸
「そうですか。しかし、フェン王国は我々と国交を結んでおらず、国際組織にも加盟していない国家です。我々が正規軍で応戦する正当性もないのが実情です」
島田からの報告を携えて大統領官邸にやってきた木戸は、庭先で1人碁を打っていた大高と歓談を行う。しかし、大高も正当な理由が無ければ正規軍を派遣することはできないとはっきり明言した。
「大統領。現在接近しているパーパルディア艦隊を見過ごせば、首都アマノキの民らは間違いなく惨劇に晒されます。ここで関与しないというのは外交的には正解なのでしょうが、人間としては見過ごせません」
「確かに今パーパルディア艦隊のフェン王国侵攻を止めればフェン王国の民たちは救われるでしょう。しかし、それは同時にパーパルディア皇国との全面衝突に発展するリスクを負う。ここで彼らと決定的に対立することは避けておきたいのです」
木戸の人道的な配慮を見せるべきとの主張に、大高は努めて現実主義的な回答で返した。レミールという大きいカードを得た今、大高はパーパルディア皇国という列強国と友好的な関係を構築したいと考えていた。
仮に全面衝突になれば、それは日米英仏加に加え、クワ・トイネ公国、クイラ王国も参戦した世界大戦規模の戦争となってしまう。そうなれば多くの死傷者が発生し、無駄に命が失われる。だが、レミールというイレギュラーが現れたことで、その運命を回避できる可能性が出てきた。
また、彼らの性質上、その行動を妨害すれば何をしてくるか分からないという懸念もある。それ故、大高は軍展開に慎重になった。
「……フェン王国の民の死でもって皇国との友好関係を保つ、ということですか」
「我々の世界標準憲法条約にも国連憲章にも、外交関係を構築していない国に対する交戦規定はありません。法的根拠が無い中で感情に端を発する軍事行動というのは、私はナチスと似ていると考えています。戦争国家でない以上、我々は軍事行動に慎重さを持たなければなりません」
「確かに大統領の言葉には正当性があります。しかし……」
クワ・トイネ公国とクイラ王国が戦火に巻き込まれた際は、両国が各国と国交を結んでいたからこそ、軍事行動に踏み切ることができた。つまり、迫害に苦しむ両国民に義憤をかられた各国が立ち上がったケースとなっている。そのことを忘れていない木戸はどうにか出来ないか頭をフル回転して、模索した。
「木戸さん、私は先ほど正規軍でパーパルディア皇国艦隊を迎え撃つのは不可能と言いました」
「ええ。その通りです」
「そういえば、第二次・第三次世界大戦時、我々は噂が絶えない艦隊や兵器を積極運用し、戦争を勝利に導いたことがありましたね」
大高が含みをもたした笑顔を見せる。後世世界大戦時、日本にはいくつもの戦場伝説が誕生した。その代表例が、日本武尊、そして紺碧艦隊である。
敵であるアメリカ、ドイツ両国の艦隊を苦しめ、その神出鬼没の戦術から『モビー・ディック』、『X艦隊』と呼ばれた。ある者にとっては希望の光、ある者にとっては死神となった日本が誇る最強艦隊なのだが、その存在は決して日本国民や諸外国に知られることはなかった。大高総理や高野軍令部総長が、戦時・戦後で日本が不利にならないようその存在を隠し通したからだ。
「正規軍では軍事衝突のリスクがある。ですが、正体不明の敵に攻撃を受けたらそのリスクはどうなるでしょう?」
「……皇国側は敵が分からないため戦争を起こそうとも起こせない、我々は皇国との外交関係を壊すことなくいられる、ですか」
「その通りです」
戦後、その艦隊の存在はごく一部の関係者によって守られた。米英仏加をはじめ、世界各国や国連にも知られることなく今日までその歴史は続いている。
大高は、世界の誰も知らない『X艦隊』という最強の切り札を遂にきるのか。木戸は固唾を飲んで大高の答えを待った。少しの時が流れ、大高はすぐ横に置かれた紺色の受話器に手を伸ばす。
「もしもし、富嶽さん?お久しぶりです、大高です。……ええ、最近ご無沙汰でしたから。今回はあなたに新作の絵をお願いしようと思いましてね。
……題材ですか?そうですな、フェン王国首都アマノキから眺めた海原などどうでしょうか?冨嶽さんは海を描くのがお得意でしたからな。是非ともお願いします」
木戸は大高が話していた『富嶽』という画家に確信を持った。間違いなく、
「近々、我々が尊敬してやまない富嶽先生が絵画を持ってきてくれるそうです。中々の傑作になるようですな」
「アメリカ大陸は、その自由で独立した状態により、今後、いかなるヨーロッパ勢力によっても植民地化の対象とはみなされない」ーーアメリカ合衆国第5代大統領ジェームズ・モンロー
新孤立主義(国際モンロー主義)
フェン王国軍祭事件以降、アメリカ政界を中心に拡大した新外交姿勢。
国際連合に属する国は、別国際組織内ないし未所属国家同士の対立に対して不干渉をとるものとする。
一方で、悪意をもって別組織に属する国家が国連のいずれかの国家へ干渉した場合、それは国連全加盟国に対する敵対行為とみなす。
ーージェームズ・ローディ国務長官の下院議会演説より