旅をしたいのに周りが許してくれない! 作:どこにでもいる名無し
「まいったなこりゃ。とうとう犯罪者に目をつけられた」
旅をするにおいて、昔から行なっている役目のせいで全宇宙で広まっている噂。曰く『流れ星を見つけて、三回願い事を言うとどこからともなく人が現れて叶えてくれる』とか『心からの祈りを捧げ、真の願いの思う時、その人が現れる』とか、ウェクトル本人にとってはとんだメルヘンチックな思考回路だなと苦笑するが、事実それに似たような行いをしているせいで噂が噂を呼ぶてんてこまい状態だった日がある。
今となっては星穹列車でのんびりと過ごしているが、そこで問題が起こった。
先の連絡、プライバシーのへったくれもない赤の他人とも言える人からの通達。
星核ハンターと呼ばれる危険人物の一人からのお誘い。要するに一緒に犯罪者になろうよー的な会話だった。
ウェクトルはそれに対してもちろんNO、本人は別になっても良かったがそんなことすれば物理、虚数、氷、炎の属性達が一斉に放たれるのは間違い無いだろう。
「刃くんは過去の羅浮での一件もあるせいか死合おうとしてくるし、何よりもカフカ本人が怖い」
怖い…というのは純粋な脅威ではない。前出会した時があるのだが、何故か異様に距離が近いこともあってトンチキな格好をしたことを覚えている。更には次会った日には耳を軽く舐められた記憶もある。
そのせいかウェクトルにとってカフカは油断できない相手であり、出来れば会いたくない人でもあるのだ。
「やっほ〜遊びに来たよ!」
「おぉ、なのかか。他の人はどうした?」
扉が強い音を立てて開くと思えば見知った顔が現れた。列車で一番のおてんば娘『なのか』である。
「そうなの聞いてよ!みんな自分のことに没頭してて誰も相手してくれないの。それに今日の分の写真撮ってないでしょ?だから二人で時間潰そ!」
「そっかそっか。となるとここは…オセロでもするか?」
「それいいかも!」
「旅の話も聞きたいしちょうど良いな。あっオレは黒でなのかは白な」
「わかった!でも…う〜ん。ただ勝負するだけじゃ味気ないし、ここは何か賭けない?」
「賭け?まぁいいけど…」
「決まり!じゃあ賭けはどうするの?」
「……ここは『何でも言うことひとつだけ聞く』でどうだ?」
あっけなく放たれた言葉。しかしそれには他人に衝撃を与えるには十分過ぎるほどの火力を有しており、現になのかは硬直し、その顔は前髪で隠されてよく見えない。
「………それ、ほんとう?」
「ん?何が」
「なんでもいうこと聞くって」
指をもじもじさせて、言いにくそうになのかは語る。心なしか頬も赤い、それに対して不思議がるウェクトルはいそいそとオセロの卓をテーブルに置き、コマを用意する。
「おう、なんでもいいぞ。なんなら高い物奢ってやる」
「言ったね?言質取ったから!」
その言葉に待ってました!と言わんばかりになのかは声を張り上げる。「元気がいいなぁ」なんて彼は笑いながらなのかの遊びに付き合うのだった。
………
「ふふふ、釣れないお人ね」
そこは誰も知らない場所。およそ認識から外れた空間で妖艶な怪しさを抱える声の持ち主は静かに語る。
「今日は随分とご機嫌だね、なんかあったの?」
「ふふっ聞いて銀狼?私フラれちゃったの」
「ふーん、そうなんだ」
「エリオの最終案。御大層な大義名分を掲げる正義の味方の癖に私たちみたいな悪人にも手を貸してくれるおかしな人。本当、揶揄い甲斐のある人だったわ」
「…はぁ?ねぇカフカ。連絡先が欲しいって言ってたのはそう言うこと?言っておくけど、あいつは私のフレンドだから。手を出すのは許さない」
「あら…銀狼もお熱なんて彼も罪な子ね」
「お熱なんかなってない。言わせてもらうけどウェクトルはちょっとやそっと関わっただけじゃ特別な関係にはなれないから。私みたいにゆっくりじっくり構築していかなきゃ」
「あらそう。それは残念ね」
「ちょっと、適当に流さないで」
星穹列車に乗る前にウェクトルは何度も星核ハンターと出会っています。その度に面倒事に巻き込まれている。特にカフカは持ち前の技術でウェクトルを拘束しては弄り、その度に逃げられている。
ウェクトルはやけに距離感が近いのとあまり女慣れしてないのもあってカフカの前では身構えてしまうようになった。
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