アオのハコ#241 「ラヴオールプレイ」SideB 火の花舞う、蝶の如く
勝ち負けは世の必定、勝って驕らず負けて腐らず。……それはわかってても、実際負ければ凹むし勝てば調子に乗るのが人間だ。
そしてそれが自分ではなく他の誰かに降りかかる時、どうするのが正解なのか。
私には、見当も付かない。
一番に応援はできない、と言った手前様子を見に行くのもなんか気が引けるし。でもこのまま大喜の所に顔出すのはなあ……、絶対千夏先輩いるし気まずい気まずい。
思い入れのある参加者はとりあえず他にいないし、どうしたもんだろう。
体育館の通路脇で、少しの間黄昏てみる。
インターハイ出られたら付き合ってください、と言われて即座に袖にしたのは良かったのか悪かったのか。もしあそこで悩むフリでもしてたら、晴人の気合いが違ってて――大喜に勝ったりもしたんだろうか。
まあ、無いか。あんな雑に告って、それで発奮したりはすまい。インターハイ出たら告白しよう、ならまだしも。
……それで失敗したのが、私なんだけどさ。
県予選突破の勢いで、千夏先輩がいない時を狙って告白した。返事を聞く勇気もないくせに、もしかしたらと甘い事を考えて。
結局大喜を苦しめただけ、そして更に焼け木杭に火を着けてまで追い込んでしまった。我ながら、酷い女だよ。
好きでもないのに告白される、ってこんな気持ちになるのか。される身になって漸く分かったよ、うん。そりゃ晴人を嫌いだとは言わない、だけど「そう」ではないのだ。大喜にとっての私は友達だった、一貫してずっと。そして私にとって晴人は、世話の焼ける手のかかる不承の後輩だ。
それでいい、それがいい。
私のために頑張って、なんて柄じゃないしね。
とりあえず決勝が終わったら、大喜も晴人も纏めて労ってやろう。
大喜が戦う相手は、晴人のお兄さんだとか。兄弟仲は良くないし、晴人はどっちを応援するのかな。
まあ私はお姉ちゃんの応援なんかしたことないけどね、家族とは言えなんかそんな気がしなくて。と言うかお姉ちゃんは結構早い段階で新体操を辞めてしまっているから、そこまで機会がなかったのもある。
それに新体操は何処まで行っても、自分との戦いだ。相手がいるバドミントンとは、やはり全然違う。
晴人の気持ちも大喜の気持ちも、私にはきっと完全には理解出来そうにない。
してやるつもりもないけど、さ。そこまで御人好しじゃないよ、雛さまは。
――と。
「コールします。男子シングルス、決勝――……」
流れてきたアナウンスに、ふと我に帰った私。
そうか、もう始まるのか。最後の時が、もうすぐそこまで近付いている。
この感覚は、きっとどの競技も同じだ。ずっとずっと、早く来いと待ち望んで。でもいざそれが目の前に来ると、何故か離れがたい。
ああ、――祭りが終わってしまう。