今日も体育館は満員札止め御礼、練習の声が響き渡る。
皆やる気に溢れていて、羨ましい。年取ってみられるよ、とは言われたって若い人たち見てるとそう思ってしまうのだ。
別にバドミントンが好きなわけでもなんでもなく、遊佐くんに会えると思って二年からマネージャーになった私としては、皆が眩しい。
その前はもっとやる気無かったけどね、うん。
好きなことしかしなくて、それで許されていて。私の生きている世界はフワフワしてて、楽しいことばかり。
人を好きになったりなられたりも、その一環だった。私は私を好きになる子が好き、だからこっちも好きになるよう努力する。無理ならバイバイする、それだけ
そこから多少は変われたと思っていたのに、そう信じていたのに。
私は結局、変わらないままだ。
修学旅行の途中、高砂くんと別れた。
お互い気を遣いすぎて遠慮して、なにも見せていなかった。高砂くんがそう言うのを、遮ろうとは思えなかった。ああ、そうか。やっぱりな、くらいの気持ちだったのを覚えている。
笠原くんはあのいけすかない幼馴染みと寄りを戻した、だから育ちつつあった「好き」の芽は行き場をなくして。告ってきた高砂くんへと、とりあえず向けていただけ。今度はちゃんとしよう、雛っちみたいに真剣に人を好きになろう。そう思ってはいても、私は私過ぎた。
きっと今度は素敵な恋を作れる、なんて中身の無い事を言うくらいならすがりつけば良いのに、それさえもしなかった。
泣けもしないし嘆きもしない、普段通りの私がそこにいた。
あれから高砂くんと私は友達に戻って、なにもかも文化祭前と同じになっている。元カレをイチイチ気にしてたら校内を歩けない、なにしろ人数が多いから。
――雛っちは、そうじゃなかったのにな。いのたとどう接するか悩みに悩んで、今も上手くいっているとは言い難い。必死で傷口を繕って、なんとか笑顔を維持してるだけだ。ちーちゃんがいなくなってから更に色々悩み出してて、下手したら焼け木杭に火を付けかねない。
それは良くないことだし止めるべきなんだろうけど、でも私は少し憧れてしまう。あんなにも一途に誰かを想えるなんて、想像もつかないから。
泣いて叫んで、目一杯暴れて。そこまで誰かを好きになれる日は、来るのだろうか。
「……あ」
そう言えば雛っち、
あの後輩なんて言ったかな、あー……確か遊佐……遊佐晴人だっけ?一個下ってあんま覚えてないからなぁ私、同期はともかく。
「ん。んー……あれ」
遊佐。
遊佐、遊佐と言えば。
……そもそも私って、あの遊佐くんが目当てでバド部にいるんだよね。それで別の学校だって知って即抜けしようとしたら健吾になじられて、なんか居座ることになったんだ。
あれからずっと会えてないとは言え、あの後輩が遊佐くんの関係者だとしたら。あんまり多い名字でもないんだから、その可能性は大いにある。あのマッシュくんとの縁は、まだ残ってるのかも知れない。
これは――忙しくなるかもな。