なんだか羨ましいな、とも思ってしまう。互いに引退を賭けた試合の最中でも、まるで遊んでいる途中のように軽く話せるなんて。
何を話したのか、観客席までは聞こえない。分かるのは、あの二人の仲の良さ。思えば私が猪股家に住む事を、大喜くんが唯一打ち明けた相手なんだよね。それに笠原くんも、大喜くんと私の事に気を回してくれていた。信頼関係があるから、尊敬しあえるからこその親友なのだ。
私と夢佳は道を違え、でも紆余曲折を経て敵味方として相対し、そして最後の試合を終えた。コートを跨いだからこそ、友達にもどれた。
でもあの二人と来たら、中も外もなく親友だ。咲季さんが大喜くんに……というかバドに嫉妬したのもうなずける、男の子ってシンプルで良いな。あれこれ背負って構えて、それでやっていくのも大変なんだぞ。
考える事が多くて、でも取りこぼしばかり。上手くいかないなぁ、なんて――ね。
親友であっても仲間じゃない、そんな間柄は難しい。大喜くんのお陰で切れかけた縁は繋ぎ直したけど、ライバルとして立ちふさがってくるとはちょっと思ってもみなかった。試合が近付けば連絡を控えあい、偵察と思われてもお互い癪だから会うことも減らして。色々と面倒は増えたな、得るものもあったから良いんだけどね。
また同じチームでやりたい、背中を預けたい預かりたい。そんな気持ちを持つこともある、夢佳の選択を否定するわけではないけれども。
あの日あの頃、夢佳の異変に気付けていたら。
そうなっていたら私たちはチームメイトのままでいられただろうか。
……未練だな、良くない良くない。今の私たちがこうしているのだから、仮定を重ねるのは止めよう。渚たちと作り上げたあのチームだって、かけがえのない存在なのは変わらない。ウインターカップで引退したのが、惜しいくらいに。
楽しかったなあ。
楽しかったねえ。
最後の最後まで、そんな事ばかり言って笑いあって。勢い余って涙を流して、泣きながらそれでも笑顔を作って。私たち栄明女子バスケ部は、そんな風に終わりを迎えたのだ。
――試合はもう1セットが終わった、次で決着かそれとも。どうあれもうじき、幕が降りる。
勝っても負けても自分のせい、と大喜くんは言っていた。個人競技の経験がない私とは感じ方も違う、でもきっと同じだと言える事がある。
いつだって、何処とだって。練習試合でも公式戦でも、終了間際に感じる寂しさだ。
ただひたすら勝利を求め、死力をぶつけあい。終わる瞬間を待っているのに、いざとなると離れがたい。
ああ、ああ。……祭りが終わってしまう。ずっとこうしていたいのに、鐘はいつも無情に鳴り響く。
だけど私は、もう一つ知っている。その寂しさを振り切って進む力は、ちゃんと胸の奥にある。私にあったものが、大喜くんに無いわけがない。
次の為に、そのまた次の為に。引退しても歳を取っても、歩き続ける。その隣に、私は寄り添いたい。
私は声を張り上げ、大喜くんへと応援を伝える。私がいるから、私といるから。
あなたはきっと、だいじょうぶ。