この光景に色を見出だすならきっと、気高い青色だ。赤より更に熱く、燃え上がる高温の炎の色。
笠原先輩と大喜先輩の試合は佳境を迎え、息を飲むような攻防を繰り広げている。
状況は一進一退、白熱しているのに二人は何処か楽しげに見える。
ああ、良いな。
上手い人同士の試合は見ていると面白いし、やる方も楽しいものなんだろう。片方が下手だとそうはいかないけど、ね。同じくらいの技量がないと一方的すぎる。
二年になっても女バドのみそっかすな私としては、一回あんな風に綺麗なプレイをしてみたいと思う。思うだけなら自由だし、ね。
お兄ちゃんも他の家族も皆上手いのに、私はどうも今一つ。才能の差か性格か、なんにせよ世の中思い通りにはならないものだ。
晴人みたいに対抗心を燃やす気もないし、羨みはすれど妬まない。私はいつもそんな感じ、平熱人間だから。
見所がある、とお兄ちゃんが言っていた人だ。大喜先輩に会って思い出したのは、そんなこと。
優しくて頑張り屋で、気が付けば少しだけ――好きになっていた。とは言えそれは熱に浮かされたような気持ちで、本気ではなかったようだ。蝶野先輩と話してそう気付いた、それにそもそもあの人は彼女持ち。相手がいる人を好きになってちゃいけないよね、うん。
まあそれはどうあれ、大喜先輩が好意に値する人なのは事実。恋愛的な意味ではない、というだけ。
私はそういう事には疎いから、いつのまにか置いていかれたり誤解したりしてばかりだな。晴人が蝶野先輩を好きだってのも、最近になってようやく知ったし。正直無謀だと思うけどなぁ、あれは。晴人目付き悪いし口も悪いから、女子から見るとあんまり……ねえ。蝶野先輩は栄明のスターだから相手も選ぶだろう、勝ち目なんかないよ多分。
それでも食い下がる辺りを苔の一念とか言うのかな、どうなんだろう。
出来ないことは出来ないし無理なものは無理、と割りきってしまうのは私の悪いところなのか良いところなのか。切り替えが早いのは美徳だと思ってたけど、なんだか最近は前者な気がしている。もし無駄だろうが徒労だろうがひたすら頑張ってみてたら、今とは違う生き方もあったのかも。いやでもなあ、運動神経据え置きなら同じかも。
別に現状が不満な訳じゃないし、今さら変わりたいとも思わないけどさ。やっぱ柄じゃないんだろうな、頑張る人を見守るくらいが丁度良い。他人からしたら無為な人生でも、私には大事なものだ。
「……っと」
あれこれ考えるより目の前に集中しよう。この試合が大喜先輩にとって、最後になるかもしれないから。今日そうならなくても、夏の間に必ずその時が来る。それに春になれば、どうしたって栄明からいなくなってしまう。別れの日は、近付いている。
――どうせだし在学中に一回告白して、ちゃんとフラれておこうか。引きずる余地もないように、未練を残さないように。
それくらいの勇気なら、私にも出せるだろう。ほどほどに頑張れ私、無理せず頑張れ。