アオのハコSideB #101~   作:扇町グロシア

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アオのハコ#244 「頑張っているから」SideB 揺らぐことのない焔

 努力の量だけで結果が決まるとしたら、それは余りにも残酷だろう。時間を費やした事が絶対的な優位に繋がるなんて、勝っている側に有利すぎる。

 才能にしたってそうだ、生まれ落ちた瞬間にすべてが決まるなら生きている意味は無い。

 負けた側が努力を怠ったんじゃない、才能が足りなかったんじゃない。たまたまその時、歯車が噛み合わなかっただけ。そもそも物事が上手くいくなんて、百回に一回あるか無いか。

 ――まあ人の百倍回せば、いつだって大当たりだけどね。

 その為の機会を、私は大切にしたい。もしも誰かが道を見失っているのならば、前へ進む意思を汲んであげたい。

 だからこそ、だからこそ。私は「その先」へ、羽ばたくのだ。

 まだ顔を知らない、何処かの誰かの未来のために。何処かの誰かの笑顔のために。

 

 

 私は恵まれてきた、と思う。もし何かが一つでも欠けていれば、きっと今の私はいない。

 もし夢佳や渚に逢えなかったら。もし両親が私の我が儘を許さなかったら。もし大喜くんが、大喜くんがいなかったら。

 バスケも辞めて日本からも離れ、遠い場所で違う人生を生きていただろう。それが良いか悪いか、は分からない。

 分からないけど、分からないなりに。私はそれを、拒絶する。

 格好いいと憧れたチームメイト、背中を預けあう親友、支えてくれる家族。そして大切な人が、私を作ってくれている。

 でもそれは、依存する事ではない……と思う。

 大喜くんはプロを夢見て歩んでいく、私もまた夢を追って行く。お互いの行く先は自分で決めるものだ、いつも隣にいるだけが絆じゃない。

 手は繋がなくても心を結んで、道は違えど気持ちを繋いで。

 一年間、私は大喜くんの側から離れて過ごす。不安はあるけど、きっと大丈夫。

 私たちだから、私たちだもの。

 滑って転んで、倒れて起きて。嬉しい楽しい、そんな日々を過ごしてきた。笑って、悩んで、でも幸せを手にする。……多分。さてどうなるかな。まだまだ、未来なんて見えやしないかな。

  

 

 死力を尽くす試合はもう佳境を迎え、大喜くんは追い込まれている。このセットを落とせば敗北は決まる、インターハイが決まっていても、それは辛い挫折になりかねない。

 でも私は、知っている。

 ここからだ。大喜くんは、いつだってここからだ。

 敗けを認めて折れたりしない、仕方ないと諦めたりしない。いつだって、戦うことをやめない。例え勝利を獲られなくとも、食い下がって戦い続ける。

 そして戦いを終えれば、新しい目標へと進んでいく。

 ――私も、そうありたい。大喜くんを好きでいる為に、大喜くんに好きでいてもらう為に。

 祈りを込めた声は脳を滑り降り舌へと飛び乗り、勢い良く口を飛び出していく。たった一人の、愛する人へ向けて。

 

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