産まれた世代が悪かった、とはよく言われたものだ。まあ少し上には兵藤さんとかいるし、この地区でそだった時点でトップには立てやしない。
二位三位で良いと思っているようじゃそこにも残れない、いつも一位を目指さないと勝負の土俵にさえ上がれない。そんなのは分かっているけど、どう足掻いても太刀打ち出来ない相手にどうやって挑み続けろってんだか。どこぞのバスケ部みたく300点差でも諦めないようなの、そうそういるもんか。
負け犬の遠吠えただの屁理屈と言わば言え、今さら傷つきもしないから。
遊佐がいなかったら、多少は上に行けたんだろうけどさ。引退した今となっては、どうでもいい。
――まったく、楽しそうにしやがって。俺と打つとき、そんな顔したことないだろうに。
目の前の試合をなんとなく眺めながら、溜め息を一つ。
どうも相性が良いんだな、遊佐と猪股はさ。別に羨む気はないが、ないけれど。
少しだけ、複雑だな。
もう一年以上前か、進級前の一年生大会で猪股とやったのは。遊佐が海外遠征で出場辞退したおかげで優勝の目もあると思ってたのに、とんだ伏兵がいたものだ。
天才にはなれない、努力は皆がしている。なら上へいくには、運にすがる他にない。凡人が分不相応な夢を見るより、足元を固めて一歩ずつ歩けばいい。超人に憧れても仕方ない、嫉妬したって追い付かない。そう理解していた筈なのに、ああもやられてはな。
遊佐の側じゃない、どっちかって言えば俺の側。でも愚直にまっすぐに、ただひたすら突き進んで。無理を通して道理を蹴飛ばす、要するに――バカなんだなあれは。バカには勝てない、バカは強すぎる。失礼な話だけど正直そう思う。
二年になっても三年になっても、部内ではそこそこのところをキープして一定の成績は出してきた。ただ、あんな風にがむしゃらにはなれない。
半端に理性的なのが俺の悪いところだな、うん。
内部進学せず栄明へと都落ちした晴人を下し、今は遊佐と一騎討ち。猪股は何処までも、まっすぐなんだな。
身の程なんか考えずやれてたら、俺があそこにいた未来もあったのだろうか。
未練がましい、終わってからぐちぐちと俺は何を考えてるんだ。
気持ちを切り替えようと上げた視線のずっと先、向こうの観客席には猪股を応援しているらしい一団がいる。親らしき人もいるが、何処かで見たような美人さんも。……彼女とかか、おい。二物も三物も手にしやがって、肖りたいやら金借りたいやらだ。
晴人もどっかで応援してるのか、それとも不貞腐れて帰ったか。まあ、別にいいんだけどさ。
とりあえず、同期のよしみもある。一応、言ってやるか。
「頑張れよ、――二人とも」
スカスカな言葉は軽さゆえに宙を舞い、体育館の空気に解けていった。