人生にはたまに、思わぬ形で出会いが訪れる。
示し合わせた訳でも、付け回している訳でもない。特に理由もないのに、どういう巡り合わせなのか。
悪縁か因果同士かはたまた前世で仇の末か、分かりはしないがまあそれはそれで構うまい。
かつての我が家こと木戸家から程近い小さな公園で、かつての親友と出会って思うのはただ一つ。
会えて良かった、それだけだ。
無心にボールを駆るナツの背中を見詰め、しばし私は足を止めて考える。
今日のこの瞬間には、どんな意味があるのだろうか。
もしかしたらこれは、何かの符号なのかもしれない。
でもまあ、――良いか。
滅多にない機会だ、少しだけこうしていよう。どうせこの先、敵同士になる身だし。
ナツの姿は、昔とそう変わらなく見える。成長していないのではない、芯がそのままなんだ。コイツはいつだって、ただ真っ直ぐ前を向いている。――いや、そんな簡単でもないか。悩んだり立ち止まったりもするんだろうけど、それさえ呑み込んで突き進む。要するに、良い意味でバカなのだ。
まあ、人のことは言えないが。
古ぼけたゴールを通り抜けて転がっていくバスケットボールを拾い上げ、私はナツに笑いかけた。
「――相変わらず練習熱心で」
「そこを夢佳に誉められたしね」
まるでチームメイトのように、極々自然に。そんな話をする日が、また来るとは。
そもそも今こうしてるのも、なかなかに有り得ない事なのに。
ナツは時間的に学校の部活を終え、一旦帰宅してから出てきたのだろう。そして私は家に居づらい事情もあって、自主トレ兼ねてフラりと歩いてただけ。練習出来る場所はあちこちにあって、何処に行くかなんて分かるわけがない。
それなのに、よくもまあ。
気が合うのかなんなのか、どういうタイミングなのやら。考えてみればあの日まで、別段避けていた気もないのにすれ違う事すら無かったな。同じ街に住んでいて、なんでそうも。
いやこれも、天の采配というヤツか。劇的な再開を演出するには、まああり得る手だろう。誰が得するんだか知らないけどさ。
冬の始まりに、男連れで遊びに来ているナツを見掛けて――少しだけ腹が立ったのを覚えている。それで悪態を吐いて、少し後に言い合いになって。そこからあのチキンタツタ野郎がくれたウインターカップのチケットが、また私たちの間柄を変えることになる。
同じ方向を向いていた私たちは、中三の別離の日からは180度反転して背をむけあっていた。それがまた、180度動いたのだ。……言葉で言えば一周して戻った事になるだろうが、実際首をそうやって同じ方向に回したらどうなるか。見た目はもしかしたら同じかもしれない、でも本質はどうしようもなく変わっている。
隣に立つ事も背中を預けあう事も、最早無い。最後の夏を賭けて、私たちは戦うのだから。
そしてそれが、嬉しくて仕方がない。全く因果なものだな、私と来たら。
輝くように笑って見せるナツを見て、思う。きっとこの笑顔だけで、何もかも許されてきたに違いないと。それは無邪気で、優しい笑顔。将来これを独り占めすることになるであろう、
――もしあの時、中学で一度折れなかったなら。学費の都合があるし栄明には残れなかっただろうけど、彩昌で一年からバスケを再開していたら。
去年一昨年と、ナツたち相手に戦えたのに。泣いても笑っても最初で最後、インターハイを目指す最中にぶつかってそこで終わる。惜しいったら無いな、全く。
まあでも、折れた事さえ無駄ではなかったと思いたい。挫折感さえ叩き潰し、踏みつけて上へと進む。それが私のやり方だ、誰にも否定はさせない。今の私は最強だ、負ける気はしない。その一言をもって最後まで勇敢に戦おう。
勝つか負けるかは結果にすぎない、一切合財派手にブチまけてやろうじゃないか。
さあ、出があるよ。