ホントに送り出して良かったんですか、という後輩。まあそりゃ心配ではあろうが、とりあえず私としてはこう言っておく。
「平気平気、千夏さんだもん」
まさかあの千夏が、いくら誕生日の夜と言う特別な状況だからってハメを外すとは思えない。テンション上がって海に飛び込むとか、それくらいだろうな。…………万が一億が一彼氏さんと
どっちにしても本人同士の話だから、私らが口を挟む事ではないんだけどさ。
しかしまあ、そうなってくれても構わないと言えば構わない。周りの為に自分を犠牲にし続けてきた我が親友には、この先幸せになって貰わないと困るから。
背負わせてしまっている、それは分かっていた。夢佳がいなくなって頼る先が無くなった私たちは、ずっと千夏に依存してきたんだ。
それを痛感したのは去年の秋、先輩方が引退し始めた頃。次期キャプテンとなりチームを引っ張っていく立場になった千夏は、痛々しい程に頑張り続けるようになっていた。千夏にとって私たちはもう、護るべき存在になってしまったのだ。今までのように、ダンゴ虫になって自分の辛さを訴えたりはしない。私たちを助けはしても、私たちには助けてほしいなんて言わない。
……どうしてもっと早く気がつかなかったのか、千夏の性格上追い込まれればこうなると分かっていたのに。
それでも冬の風が吹く次期になると、千夏は少しずつ落ち着くようになっていく。それは彼氏さんのお陰なのか、それとも――夢佳との再会のお陰か。ウインターカップを観戦に来た辺り、少し前には交流が復活していたんだろうな。
あの天才様は腹が立つ程変わっておらず、その上バスケにも復帰しくさったのだから参った参った。あんなのを相手にするなんて、まったく無茶をさせてくれるよ。
でも、だけど。千夏にとって夢佳は大事なライバルだ、決着も付けたいだろう。そう思って必死でやってきたのに、――……。
どうしてあのタイミングで、どうして千夏が怪我なんかするんだ。あんなにも遮二無二戦ってきた千夏が、あんな雑に脱落させられるなんて。
それでも千夏が立ち直れたのは、私たちを頼ってくれるようになったのは。これに関しては多分絶対、彼氏さんの力があっての事の筈。
まだよく知らない後輩男子だけど、私は彼に千夏を託すつもりでいる。あの魔人に付き合えるなら胆力は十分、針生が目をかけてる後輩だけあって持久力もありそう。
……持久力、か。持久力………………、おっといけねえ大人じゃん。
誕生日会兼打ち上げ会の片付けも終え、ふと外へ出てみると空には星が煌めいていた。満月の光にも負けず輝く星を見ていると、手を伸ばしたくなってしまうな。届くことなんて無い、それでもなんとなく。
千夏と彼氏さんも、この星を見上げてるんだろうか。それともお互いしか目にいれないままイチャイチャしてたり、……はしないかな。考えてみれば同じ家に寝起きしてる二人だ、この風情を無視してまで戸外でイチャつくまい。
ま、良いけど。
それより自分の事、そろそろ考えないとね。
これから先も、人生は続くんだから。