アオのハコSideB #101~   作:扇町グロシア

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アオのハコ#198 「攻めないと」SideB 年下の男の子

 たった一年の差で、こうも変わるんだろうか。同学年の男子を可愛いなんて思ったこと無いのに、後輩相手だとなんだか違う。晴人くんはなんだか可愛いげのある子なんじゃないか、等と思ってしまったり思わなかったり。

 雛にちょっかい出したり猪股に対抗心燃やしたりしていたのが急に落ち着いたと思ったら、そういう事か。

 尊敬する人にもっと慎重になれと言われたから冷静になろうとしているとか、誉められるのが嬉しくて背伸びする子供みたい。見た目はともかく中身は素直で可愛いんだな、なんて。

 しかしそうか、ちゃんと考えた上でやってたんだな。単に興味本意で雛をからかったり、なんとなく猪股に突っ掛かったりしてるのかと。

 ようやく雛も落ち着いてきたんだから余計な事はしないで欲しかったけど、これは変に止める方が不粋かもしれない。……そういう話だって、有って良いはずだ。

 

 思えばもうあれは一昨年の秋だから、一年どころじゃない時間が経ったのだな。一年の時の秋合宿、私たちが恋を実らせると言うキャンプファイアーを楽しんでいた頃、雛の恋は終わりを告げた。

 猪股には好きな人がいて、雛の告白を受けても気持ちは動かなくて。傷付いても尚食い下がった雛に引導を渡した猪股へ嫌味を言ったりしたけど、でも考えてみれば――仕方ない事だ。菖蒲じゃあるまいし、告られたらとりあえず付き合っちゃおうなんてのは少数派だろう。……菖蒲も菖蒲でよく分かんないんだよなぁ、彼氏いるのに男子に気安いし。あと雛といつのまにか仲良くなってて、気が付けば親友ポジにいたっけ。友達を取り合うほど子供じゃないけど、なんか距離感がおかしい子だとは思う。

 まあ私一人じゃああなった雛のフォローは難しかったから、いてくれて良かったけどさ。さすがにあれは手に余る。

 暫くは大変だったな、着ぐるみの頭被ったまま体育館で泣いてたり彼氏つくって立ち直るとか言い出したり。

 とりあえず二年に上がった頃にはどうにか振り切って、今ではすっかり元通りではあるけれど、あるけれども。

 傷口がまだ塞がりきってはいなさそうなのが、ちょっとだけ気になってしまう。

 本人が平生を装ってるんだし、こっちから言うわけにもいかないんだけどさ。

 

 晴人くんは単純でシンプルだ、きっと――雛みたいに。でも、だからこそ。時に考えすぎて動けなくなる、動いても決め手を打てない。搦め手は使えないし誰かに悪意も向けられない、上手くいかないまま突っ走ってしまう。

 ここから先がどうなるにせよ、誰かが側で見守っておくべきだろう。特になあ……晴人はたまに余計なこと言うし……。

 まさか面と向かって「レオタードが印象的だったから覚えてた」なんて言うかね、本当にさ。そう言えば海の時はなにも言ってなかったな、水着だったのに。まあ良いんだけどね、あれこれ口を滑らせるよりは。

 なんにせよ、私が一から十まで考えてやるべき事ではない。晴人くんと雛と、その周りがそれぞれの分限でやる事だ。

 私は雛の友達として、出来ることをするだけ。自分の事もしないといけないし、ここから忙しくなるな。

 まずは修学旅行だ、高校生活最大のイベントが待っている。そこできっと何か、大きな事が起こるだろう。楽しみだな、うん。

 

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