セリム・ブラッドレイの許婚   作:クラレントブラッドブラッドレイ

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喧嘩にかぶる笠はない

 イシュヴァールの内乱が起きたこと自体は知っている。だけど他の事件が本当に起きたかは知らない。

 だから原作のヒューズ中佐のように軍法会議所なり国立中央図書館なりで過去の流血を伴う事件を調べようとしたのだけど、そんなものは子供の手の届くところには無かった。

 別に。

 別に、それが起きていようがいなかろうが、私にはどうしようもないし、何をすることもできないことは知っている。ただ未知であることを怖がるのは人間の性だろう。

 人造人間(ホムンクルス)たちの仲が良い。外面だけ見れば結構な事だけど、内面を知っていれば結構な事だ。

 

 まず判明しているのがグリードは離反したわけではない、ということ。仲違いをしているわけではない……と。でも強欲(グリード)は強欲だからこそ、世界の全てを自分が手に入れたいとして離反したはず。そこが変わるとなれば、彼の根本が変わってしまうことになる。

 それはあり得ないと私は断じている。ハガレン好きだから。

 

 ではお父様の方はどうだろうか。

 フラスコの中の小人。ホムンクルス。その親玉。

 それが変わる……というのはまぁあり得ない話じゃない。アレは俗物的だからこそ「まるで人間」なのだ。化け物のような見た目、化け物のような思想を語っておきながら、マクロな視点で見れば「まるで人間」。だから「強欲」や「嫉妬」に囚われ続けている人造人間(ホムンクルス)たちと違って、彼が変わる可能性はある、か。

 

「数学は得意なんですね、レイゼン」

「はぁ、まぁ。経済学よりは得意ですね」

「どちらも似たようなものだとは思いますが──また何か考え事ですか?」

「上の空でしたか?」

「はい。上の空であれだけの応答ができるのですから、よほど得意な科目なのだろうな、と」

 

 セリム・ブラッドレイとレイゼン・M・ダッドリーが許婚である、というのは周知の事実だ。ダッドリー家もお爺様が中将だけあってそこそこの家格であり、セリムは言わずもがな。休み時間の大半を私に割いてくるセリムの姿がそこにあったとしても、誰も文句を言うことは無い。

 どころかダッドリー家は怖がられている部分も大きいのだろう。お爺様が中将、父が南で大佐、長兄次兄はどちらもが少佐。完全な軍人家系で功績も多い。

 

 残念ながら私は剣を授からなかったものの、蝶よ花よと育てられてきたご令嬢というわけではない。ちゃんと鍛えているし、幼等部の皆の中では背も高い方だ。加えて足も速い。ただ腕力にだけは恵まれなかった──非力は変わらなかったから、それ以外を伸ばした結果。

 誹り、になるのか。私もダッドリー家として「未来そうなる」という目を向けられている。

 

「もう戦いませんよ」

「あはは、もしかして僕の持ってくる話全部がそれだと思っていますか? そもそも前回のは君が勝手に戦っただけですし」

「……理由がわかりませんからね。あのような反社会的な男性の前に要人二人とダッドリー家一人。私が傍観する理由が全くない」

「ええ、ダッドリー家を甘く見ていました。筋金入りとはこういうことなのか、と」

 

 何の話なんだか。

 甘く見ていた……次はもっとトリッキーな敵を、とか? vs国家錬金術師とかになったらもうお手上げだぞ。

 

 ……少し、意を決してみる。

 

「セリム様」

「なんですか?」

「始めと終わり。あのグリードという方は、セリム様を兄と呼んでいましたね」

「……ええ、そうですね」

 

 その暗い溜めに藪蛇にも程があったか、と思いつつも、もう少し踏み込む。ここで退くのは逆に悟られる気がしたから。

 

「セリム様は養子。そして大総統と夫人の年齢を考えれば──もしや、本当のお子さんは」

「……」

 

 茶化し気味の探り入れ。

 さぁどうだ。

 

「っぷ、あはは! あぁ、そうですか、そう見えますか。確かに確かに……。ええ、そうですよ、彼は本来のブラッドレイ家が長兄です」

「そこまで笑い飛ばしてそう見えますか、の後にそれは無理があります」

「いえいえ、家族であることに間違いはありませんから。そうですね、では今度もっとちゃんとした形で紹介しますよ。彼だけではなく、弟……兄? 三……ああいや二人、うーん、一人と、姉がいるので」

「複雑なご家庭なんですね」

 

 スロウス、エンヴィー、グラトニーを最初に思い浮かべて、スロウスは話が通じないからと除外して、グラトニーも無理っぽいな、と除外した……感じだろうか。

 つまりその二人はちゃんと化け物化け物した人造人間、ということ。確かに常識の備わっているのはエンヴィーとラストくらいか。常識の備わっているというか、人と人との会話ができるのは。

 

「だとしても、彼がセリム様を兄と呼んでいた事実はよくわかりませんが」

「アレは南部の者特有の二人称ですよ。男性であれば兄ちゃん、女性であれば姉ちゃんと。それだけです」

「成程」

 

 ……まぁそうだと言われたらそうか、となるしかない。

 

「レイゼンは、お兄さん方との仲は?」

「比較対象がいないのでわかりませんが、良くはあるのだと思いますよ」

「末の娘など、猫可愛がりなのでは?」

「可愛がられているのか、こわれもの扱いされているのか。剣を授からない私にはわからないことです」

「……毎回思いますが、そんなに大事ですか、剣を授かる授からないというのは」

「一般家庭で見ればそう重要な事ではないですよ。ただ、そうですね……。家族皆が言葉無しに繋がり得る物を、自分だけが貰っていない。そういう感覚です」

 

 ただぽけーっと。思い浮かんだ言葉を口に出したら、抱きしめられた。

 

 what’s?

 hug?

 

「なんですか?」

「寂しそうに見えたので」

「はあ」

 

 ……こんなのプライドじゃない、と私が読み手ならいうだろう。解釈違いだ。他人の情緒に機敏でケアもできるプライドなんかプライドじゃない。他人の情緒に機敏まではいいけど他人の情緒に機敏だからめちゃくちゃ煽ってくる、がプライドだ。

 あと仮にも要人が簡単に他人に抱き着くな。もし私が刃物を持っていたらどうする気なんだ。その程度で死なないとしても、セリムとして、人間としてはあり得てはならないラインを踏み越えるだろう。

 

 ……。

 

 むに、と。抱き着いてきている彼の頬を後ろ手に抓む。

 

「……なにするんですか」

「婚前の男女がそう簡単に接触するものではないです」

「僕たち、まだ幼等部に通う子供ですよ」

「それでもです。離れてください」

 

 セリム・ブラッドレイの容器は頑丈だ。

 今の頬は柔らかかった。……この頑丈がどれほどの何に対しての頑丈かがわかり難い。エドワードのあの錬成パンチってどんくらいの威力なんだろう。機械鎧のパンチってどれくらい痛いんだろう。

 ああ、そこを確かめたいならグリードと戦うのを見守るべきだったのでは。

 

 だから。

 それがわかったところで、なんだ、と。

 

「好きですよ、レイゼン。一日中こうしていたいくらいには」

「いいじゃないですか。何事も無ければ婚姻を結ぶのでしょう。過剰なアプローチは要りませんよ」

「けれど、1915年の春までに君を振り向かせないと答えは貰えないのでしょう?」

「私の答え如何で政治的な婚約が破綻することがあるんですか?」

 

 権力は明らかにあちらが上だ。どうせ終わるアメストリスといえど、嫌がる令嬢とセリムが無理矢理結婚というのは確かに外聞が悪いのかもしれないが、そんな程度の外聞を気にするタマじゃないだろう。

 なぜこうも愛を囁くのか。なぜこうも私に構うのか。

 そんな暇があるならスロウスの国土錬成陣作りを手伝ってやればいいものを。

 

「抱き返しては、くれないんですね」

「両者ともに手が塞がってしまってはいざという時に対応できませんから」

「学舎の中で、そんな時が来ますか?」

「想定できないからいざという時と言うんですよ、セリム様」

 

 拒絶し過ぎだ、という声もわかる。

 だけど相手はあのプライドだ。この国に未来がないと知っている私でも、プライドに食われて死ぬのは御免被りたい。この好きがあなたを食べてしまいたい、みたいな意味合いだったらどうするんだ。厚みのない影の化け物に食われる瞬間、絶対痛いし。

 国土錬成陣発動前に死んでおきたいのはそれはそうなんだけど、だったらダッドリーとして戦いの中で死にたい。人造人間(ホムンクルス)との戦いの中ではなく、出来れば剣術家との死合いの中で。

 

「!」

「わ、レイゼン?」

 

 気配。セリムには悪いが彼を振り払う。

 丁度携行していた水筒をそちらへ蹴り飛ばす。

 

 ……鳥が一羽飛んで行っただけ、か。

 果たしてあの鳥は、鳥か?

 

「セリム様、SPの方々と合流を。校内に侵入者がいる可能性があります」

「……いえ、気にしなくていいですよ」

「ですが、セリム様……セリム様?」

 

 気のせいでなければすごく怒っている。青筋を立てて怒っているような。

 

「煩わしい野次馬がいただけです。あとで僕の方で対処しておきます」

「はあ」

「それにしても、どうやって気付いたんですか? 僕は全く気付けませんでしたが」

「気配がしました。動物とも人間とも言えない息遣いでしたが、どちらにせよ私達を覗いている時点で悪者と」

「気配、というのは……達人同士が感じるという奴ですか」

「いえ、気配というのは例えば足音だとか、呼吸音だとか、生命体がこの世界に存在するにおいて発する波のことを指します。ですので、セリム様も感覚を研ぎ澄ませてみれば気配を辿ることはそう難しくないことだと思いますよ」

「……それ、ダッドリー家の皆さんは全員可能なのですか?」

「恐らくは。私はダッドリーの剣を授かっていませんので、その教えを受けたことがありません」

 

 本当は氣とか流れがわかったらいいのだけど、私にできるのはこれが精いっぱいだ。子供と教師数人しかいないはずの校舎にドタドタ、あるいは素早く動く足音があったらおかしい。だから何者かの気配がする、とか。今であれば動物らしい肺のくせに人間らしい呼吸音だったからおかしい、とか。

 気配を読むなんてその程度のことだ。龍脈とか大地の流れとか魂の氣とか、そういうファンタジーなことはわからない。イシュヴァールの地で修行してもスカーはわからなかったのだから、シンの修行は余程すごいものなのだろう。

 

「はぁ」

「セリム様?」

 

 珍しい。

 彼が額に手を当てて溜め息を吐くなんて。

 

「困りました。僕が君を守りたいのですが、君がどんどん遠くに行ってしまいます」

「命の優先度を考えればこれで問題ありません。許婚が懐刀であれば、セリム様にとっても良いカードになるでしょう」

「そういう話ではないんですけどね……」

 

 ちゃんとクリアリングしてから、蹴り飛ばした水筒を回収する。

 ……少しへこみができている。蹴った衝撃じゃなくて、壁か地面にぶつかった衝撃だろう。あるいは鳥ではない鳥にぶつかった衝撃の可能性もあるが。あれ超質量のはずだし。

 

 円を描いて、正三角形とその頂点に円を三つ。錬成。

 

「そういえばレイゼン、君、僕に嘘をついていましたね。錬金術にはとんと疎いだとか」

「はい。根掘り葉掘り聞かれた所で答えられることがありませんでしたので、知らないふりをしていました。気に障りましたか?」

「そんな狭量になった覚えはありませんよ。……けれど、すごいですね。そんな簡単な錬成陣で錬金術は発動するんですか」

「水筒のへこみを直す程度なら、はい。……壊れたラジオを元通りにする、とかであれば無理ですよ。構造の理解から私には無理ですから」

 

 壊れたスロットマシンを直す、はできるかもしれない。廃棄物としてはポピュラーだ。作りもシンプルだし。そんな機会は訪れないだろうが。

 

「錬金術師。会ってみたくないですか?」

「……次は錬金術師と戦え、と」

「ですから、前回のは君が勝手にやったことですよ、レイゼン」

 

 でもそうなる未来しか見えないんだよなぁ。

 

 

 

 

 

「吾! 輩! が! 豪腕の錬金術師アレックス・ルイ・アームストロング! ですぞ!」

「今日はよろしくお願いいたします」

「ええ、なんでも錬金術を習いたいのだとか。吾輩でよろしければなんなりとお申し付けくだされば」

 

 言ってねーよ、とか粗い言葉が出て来そうになった。

 

 この日、空いてますか? はぁ、はい。じゃあここに向かってください、で出て来たのがこの人。

 ……ただの国家錬金術師じゃなくて軍人、だよね。仕事は?

 

「改めまして、ダッドリー家が長女、レイゼン・M・ダッドリーです。此度はセリム様の妄言に付き合っていただきありがとうございます」

「妄言……と、吾輩がそれに頷いてしまうのは些か問題がありますが、その言い方、錬金術を習う気はないと?」

「いえ、独学でやっていただけで、国家錬金術師に指導してもらうほどのものではないと思っていますから。見ての通り非力の身。戦闘に長ける、というわけでもありませんし」

「ふぅむ。それにしては……鍛えておりますな」

「はい。ダッドリー家の一員として、せめても、とは」

 

 アレックス・ルイ・アームストロング。

 恐らく原作で一番錬金術が上手で、一番優しくて、一番癒しで、一番……んー、まぁ脆い人、かな。

 それはもちろんフィジカルではなくメンタルの話だけど。

 

「ただ、せっかくこうして時間を取っていただいて何も教わらない、というのはそれはそれでアームストロング少佐の面子にも関わるでしょう。なので、軽く手ほどきをお願いします」

「そのようなことは子供が気にすることではありませぬが、よろしい。ではまず、貴女がどこまでできるのかを見させてくださいますか。具体的には、吾輩に錬金術をぶつける形で」

 

 ほーらー!

 ほらー!

 hola!

 和了!

 

 見えていた未来である。

 

「申し訳ありません、アームストロング少佐。私の錬金術はその、戦闘に組み込んだスタイルで。基礎的なことは」

「よろしいですぞ、レイゼン嬢。吾輩も国家錬金術師の端くれ、どうぞこの胸を借りる気分で」

 

 ……まぁ、この人には裏とかないだろうし。

 監視カメラとか盗聴器もなさそうだし。

 

 やる、か。

 

「ダッドリーの名は吾輩も知っております故、真剣を使っていただいても構いません」

「ダッドリーの剣は授かっていません。ゆえ、真剣に行かせていただきます」

「よろしい」

 

 四足の構え。

 この人に小細工とか無駄だけど、小細工以外切れるカードが無いのだから仕方がない。剣での戦いから錬金術メインの戦いに思考をシフトチェンジして、まず肉迫する。

 七歩目。少佐との彼我の距離が二メートルにまで近づいたあたりで、パチンと破裂するのは足裏に仕込んであった爆竹。ただ、その程度の事では動じない少佐。まぁ本物の銃声をこれでもかってくらいに聞いているだろうしなぁ。トラウマになるほどに。

 

 とはいえ銃声で驚かせるための爆竹ではないのでどうでもいい。

 驚くべきポイントがあるとすれば、それが破裂したタイミングで私が高く高く跳躍したことだろう。

 

「なんと!」

 

 子供らしからぬ跳躍力は、超高身長な彼の頭上を軽々と超える。

 そうして少佐の背後に着地し、またパチンと弾ける爆竹。

 

「成程、これで頂点が二つできたわけですな」

「流石です。ただ──」

 

 ほぼ同時、こと、ことんと落ちるは剣と鞘。

 少佐の頭上に来た時に放ってあったものだ。

 

「むぅ、正方形の記号……しかし、円はどうしますかな?」

「知っているから振り返らないのも流石です。私としても二番煎じはしたくない。ですので、これを使います」

「……100センズ硬貨?」

 

 そう、お金。

 知っているだろうか。まぁそうではない地域もあるけれど──。

 

 お金は、丸い。

 

 ピン、と指で硬貨を少佐の足元に飛ばす。

 その瞬間、硬貨はメキメキと音を立て、錬成反応を走らせ、変形を始めた。

 思わずと言った様子で回避行動を取る少佐。その動きで先ほど配置した正方形の錬成陣も発動する。エドワードの錬成パンチ……の成り損ない。グーの形してないから。

 

「ふぅん!」

 

 で、それは今バラバラに砕かれた。気のせいでなければ錬金術も使っていないただのパンチに。

 ……強度は課題だなぁ。

 

「終わりです。これ以外はまた仕込み直す必要があるので」

「ナルホド。発想も奇抜さもよろしいですが──一つ、叱らねばならぬことがあります」

「……硬貨の偽造ですか」

「偽造? ああいや、吾輩は硬貨を変形させてはいけない、と叱ろうとしたのですが、なるほど、これはこの錬金術のためだけに偽造されたコインでしたか」

「はい。アルミの外側だけ100センズ硬貨に似せて、中身には"自らを捩じってスパイクにする"という内容の錬成陣が入っています。なのですぐに偽造硬貨だとわかるものですが、硬貨の偽造自体が法に罰せられることであるというのは理解しています。申し訳ありません」

 

 足裏の爆竹と剣と鞘。これらは偽造硬貨の錬成に驚いた対象が回避行動なりカウンターなりをした時のための仕込みであり、偽造硬貨自体は私がいざという手段として常日頃持っているものだ。勿論それを使うことは無いけれど、持っているだけで、作っただけでダメ、という倫理観はわかる。

 ただその罰則って国家錬金術師に対してだけじゃなかったっけな、とか思ったり。

 

「うぅむ。そこまで自らの行いを罰しているのならば、吾輩から言うことはありませんな」

 

 ここだ。

 

「何故ダメなのかは、教えてくださいますか?」

「む? む……ふむ? わかっておられるのでは? レイゼン嬢ほどの聡明さであれば」

「いえ。世界情勢が平穏であるのならば理由もわかりますが、今は戦争中。不自然に湧いて出たお金について嗅ぎまわる国際組織や為替市場が目に見える何かがあるのならばともかく、使う気のない100センズ硬貨くらい良いのではないか、と思いました」

「それが、ダメなのです。1811年にウェルズリ事件というのがありましてな。……ああ」

「子供への言葉選びなら要りませんよ。それに、ウェルズリ事件なら知っています。3月のですよね」

「おお、博識ですな。そう、それで大量に金を錬成した錬金術師がおりまして、そこそこの……その、流血沙汰を伴う事件にまで発展したのです。いいですか、レイゼン嬢。たかが100センズ、されど100センズです。それが回りまわって誰かが傷つく結果になった時、貴女は責任を取り得ますかな?」

「いえ、理解しました。ありがとうございます」

 

 ウェルズリ事件は起きている。

 あとはソープマン事件とカメロンの内乱あたりを抑えられたら「やはり国土錬成陣は描かれている」と把握できるんだけど……。

 

 把握してどうするのか、は。

 まぁ。

 

「それではレイゼン嬢。基礎の部分からやっていきましょう。最後の正方形の錬成陣は良い錬成速度でしたが、強度があまり無かった。構築式から見直していきましょうぞ」

「はい。よろしくお願いいたします、先生」

 

 単純に国家錬金術師に教えを乞える機会、というのは非常にタメになった。ちゃんと感覚派じゃない授業をしてくれたし。これは代金を支払うレベルだなぁ。

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