あっ、今回で主人公君の処刑が決定しました♪
東堂「!!?」
「行くのは認めないわ」
イージスタワーに自分の力について分かるかもしれないという情報を和泉から聞いた瞬間、司令官が止めに入った。
「ッ!なんで!!」
「あなたの力は私も気になる。だけど、自分が戦えないってわかってる?」
「このローブ、キャンサーの外殻使ってんだろ!だったら気付かれずに入れる!」
「その可能性は大いにある。けれどあなたがここに来た時の事忘れてないわね。大量の外殻を使ってようやくキャンサーは寄ってこなくなった。あなたの力は、外殻が発する波長のようなものすら意に返さない。幾らあの時と同じ量を使って作ったと言っても、あくまで普通の人達と同じになっただけかもしれない」
「俺は外で生きてきた!キャンサーなら問題ない」
「行先はイージスタワー内、外とは違う。それに、ここに来てから働いているとはいえその頃と同じ動きは無理でしょうね」
確かに31Aに拾われるまではキャンサー蔓延る外の世界を武器を持たずに生き延びてきた。しかも人一倍キャンサーの方から寄ってくるおまけ付きだ。だが今では過去の話、ここに来てからキャンサーの脅威から離れていると言ってもいい。あの頃と同じ精神で同じ動きは無理だろう。体が訛っていておかしくない。
「それにね。行くとしたらどうしても31Aに同行してもらう事になる。今の彼女達に付いてきてもらうつもり?」
自分とは違い、ヒト・ナービィがナービィになるところを見てしまった者達、自分がナービィだと伝えられた者達、心身共に疲弊している。休む時間が必要なのは馬鹿でもわかる。
「・・・何も行くな。とは言っていない。今後、イージスタワー付近に拠点を設けます。行くとなるとそれ以降、それまでにあなたはその訛った体を鍛え直しなさい」
「・・・わかった」
「悪いわね。こちらも早く手筈を整えるから」
それを最後に司令官室を後にする。自室に戻り少し考えた。近いうちに自分の力がわかるかもしれない。それを頭の中で反芻していると、ふつふつと怒りが湧いてきた。自分でナービィの事を見抜いておいて、31Aの事を心配するでもなく、自分の事しか考えていない。きっとどこかで、自分は違って良かったと思ってしまっていた。それが許せなかった。
翌日、寝不足の状態で自室から出ると31Aメンバーが集まっていた。これから月城のお見舞いに行くらしい。手には1匹のナービィがいる。蔵だとすぐに分かった。
行っていいのか悩んだが、同行させてもらうことにする。ナービィについて知ってる者としていくべきだと思ったからだ。
医務室につき、扉を開ける。中にはベットに体を起こした月城がいた。何ともなさそうな顔をして、体の方は問題なさそうだ。
「もなにゃん、おはよう」
「茅森達か、それに東堂までも見舞いに来てくれるとわな」
「一緒に調べたしな・・・その、蔵のことはなんて言ったらいいか・・・」
「無理をするな、お前が優しいことは知っている。それに司令官に聞いたぞ、自力で辿り着いたそうだな」
「・・・ごめん、もっと早くに気づけてれば」
「いや、それは我の方だ。お前より長くいたはずなのだがな」
既に聞いていた月城は過去の仲間もこうなっているのだと察していた。確証自体はないが、確率を考えれば今も人間の姿で暮らしているなんてことはほぼありえない。月城もわかっていた。
長いしても悪いので部屋を出ていく。その時に後ろから声をかけられた。
「東堂、イージスタワーにヒントがあるのだろ?我は手伝えぬが応援をしている」
「・・・こんな時ぐらい他人の心配しなくていいんじゃないか?」
そう返し部屋から出る。そのまま31Aと共に建物から出た。聞こえないはずの泣き声が聞こえた気がした。
今は、自由時間だ。各々好きなように過ごす。司令官が気を使ってくれたのかは知らないが、自分も強制的に休みにさせられた。本当はバイトの日である。何かしないと余計な事を考えてしまいそうなので、ぶらぶらと基地内を歩く。ゲームセンターや、映画館などの娯楽施設はあるが行く気になれない。
ふと、ナービィ広場の近くを通りがかった時、歌声が聞こえた。聞きいるほどの綺麗な声。引き寄せられるように声のする方へ足を向けた。
ナービィ広場の奥、外見はオンボロだが中は綺麗なスタジオがある。今は歌声は止まっているが確かにそこから聞こえた。そっと仲を覗く。
「お前はお前だ。そう信じさせて欲しい」
「じゃ、あたしはユッキーはユッキーだって信じさせて欲しい」
中で、茅森と和泉が背中合わせで語り合っていた。自分がナービィだと知り、自分自身を見つめ直していた。茅森の歌が魂は自分の物だと信じられた。そう和泉が言ったところでこちらに気づいた。
「・・・何してんだよそんなとこで」
「いやぁ〜、綺麗な声が聞こえたもんで吸い寄せられるように・・・すまん!覗く気はなかったんだ!!」
「いや、別にいい。というか、お前はお前で気負いすぎだ。あたしは生きることにした。だから大丈夫だ」
「つまり・・・るか×ユキてぇてぇって言うことを期待されてる?」
「なんか久々に聞いた気がする♪」
「違ぇけどな・・・」
るかユキは大丈夫そうだった。というか、間に挟まるどころかてぇてぇを邪魔してしまった。みんな許してくれ、わざとじゃないんだ。茅森の歌のせいなんだ。
「もしこれが同人誌とかなら俺叩かれてんだろうな」
「何言ってんだ?」
「和泉!勘違いしないでくれ!間に挟まる気はもちろん、邪魔する気はないんだ!!今回に限っては茅森の歌声が綺麗すぎるのがいけないんだ!!」
「いやいやいやいや〜」
「そうだったな、お前は本来そっち側だったな。昨日は滅茶苦茶、頭よさげだったのによぉ」
昨日は真面目モードでしたので。普段は、31Aメンバー同様るか×ユキを期待しているだけの一般人です。
「天才キャラと思ってくれていいぞ!」
「昨日はマジでそうかと思ってたよ。いや、賢いんだろうけど普段がなぁ。こいつに毒されたってのはマジみたいだな」
「そうだよ!あたしのせいみたいになってんじゃん!どうなってんだよ!!」
「樋口のことひぐみん呼びして、みこくーーーん、ショック!って言っただけなんだけどなぁ〜」
「月歌に毒されたな」
「あたしのせいじゃないよね!?」
その後再度てぇてぇを邪魔した事を謝罪し、2人と分かれる。今回の事のように考える時間が必要なのは分かりきっている。そして、それを邪魔してはいけないことも分かっている。でも何かしていないと落ち着かない。司令官に言われた通りに体を鍛える事にしようと思いジムへと向かう。
ジムに来たはいいものの何をすればいいか、それに関しての知識は何も無い。先立っては体力だ。外にいた時はずっと走り続けられるだけの体力はあった。ここに来てからは走る事なんてほとんどしてない、落ちた体力を戻す目的にランニングマシンを使う。走る為の足も鍛えられるだろうし一石二鳥だ。
「おっ、東堂じゃねぇか。ここにいるなんて珍しいな」
「水瀬姉じゃねぇか。珍しいも何も初めてですが?」
水瀬姉こと、水瀬いちご。31Bの部隊長ではないがその位置と言っても過言では無い気がする。姉と言うだけあって、妹に水瀬すももがおり、2人で殺し屋をしていた。が、人情に厚いいい人。
「で、お前はなんで走ってんだ?」
「詳しい事は省くが司令官に、鍛え直せと言われたからな」
「ふ〜ん・・・なぁ、なんでその速度で普通に喋れてんだお前?」
「は?普通だろ?」
ランニングマシンからはありえないほどのモーター音が鳴り響いていた。
「普通じゃねぇよ!それ最高速だろ!!ずっと見てたけど結構走ってるだろ!!あたしだってついてくの精一杯なんだぞ!!」
「時速20km出せるんだなここの」
「なおも普通に会話してるお前の方が普通じゃねぇよ!!見ろよ!周りのヤツらドン引きしてんじゃねぇか!!」
「いやまぁ、これを長時間保てないと逃げれなかったしな」
「お前がどうやって生きてきたか、分かった気がするわ」
しばらくの間、ランニングマシンを続けていた。バイトは週2に減らしその間はとにかく走った。しかし、悲劇が起こってしまった。体と心に鞭を打って走り続けていた俺は
カフェテリアで起こった、かれ×つか てぇてぇを見逃してしまった!!
「チクショオオオオオオ!!!なんて世界は残酷なんだ!!!」
「なんか、この間とのギャップがすごい・・・」
「そうね・・・」
「いやまぁ、これ正常運転なんだろうけどさ・・・ところでさ、トレーニングの方はどうなったの?」
「あ〜、そっちなら時速20kmを3時間キープ出来るようになったぞ。水瀬姉の補給有りでギリギリだけど」
「もはやバケモノじゃん!!」
ちなみにフルマラソン(特殊な補助有り)の非公認記録で1時間59分40秒という記録がある。時速にすると約21km/h
ある日の日常
茅森「よし、カレンちゃん、すがやん、いちごは揃った!後はアイツだけだ!行くぞビャッコ!!」
ビャッコ「ヴァウ!」
茅森「いたぁーー!!20km3時間!!」
東堂「人をタイムで表すな!」
茅森「行くぞ!ビャッコと競走だ!!」
東堂「状況説明をしろ!!」
茅森「なんで20km3時間キープ出来るのに最後尾なんだよ!!」
東堂「一定のリズムで走れる屋内と・・・アップダウンある・・・屋外じゃ・・・話が違う!」
菅原「ロリータに何やらせんだ!!」
カレン「カレンちゃんの沽券にか・か・わ・るぅーー!!」
いちご「まさか東堂に勝てるとはな・・・」
茅森「よし!もう一周だ!!」
東堂「やめろ!敵襲と勘違いされてただろうが!!」