えっちがしたいTS欠損強化人間少女はえっちができない   作:大利トーリ

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えっちがしたいTS欠損強化人間少女は

 

 

 

「フフフフ……どうだたカ? マノシア。頑張テ調整した『テア』の身体、ファオは喜んでくれたネ?」

 

「えぇ、それはもう。……アナタにも見せてやりたかったデスよ、フィーデス」

 

「何のナンの。(ワタシ)が出しゃばるとハナシ長いなるネ、特に今回は積もる話ありスギるヨ。……フフ、今回はファオと……テアの願い、叶えてアゲルを最優先ネ」

 

「……その配慮を、ゼヒともワタシにも向けて頂きたいものデスよ」

 

「カカカカ!」

 

 

 

 積み荷と『乗客』を降ろし終わり、やっと落ち着きを見せた特務開発課の格納庫にて、角と龍腕を備えた少女ふたりが穏やかに談笑していた。

 片や、この軍施設に滞在している者。片や、大森林深部の秘境に住まう者。直近で大きな『仕事』を片付けた経緯もあり、両者とも非常に大きな開放感と充足感に満たされていた。

 

 ましてやその『大仕事』が……両者ともに密かに、憎からず思っている少女の『願い』ともなれば、尚のこと。

 

 加えて……自分達の持つ知識を悪用された結果であり、いわば(副次的とはいえ)自分達の行動によって齎された悲劇ともなれば、更に尚のことであろう。

 

 

 ある日突然自分達の拠点を訪ねてきた、素直で無垢な真白の少女。その身に秘めた魔力の美しさもさることながら、その言動はとても微笑ましいものであった。

 有り余る好奇心に隠せぬ程の、嘘偽りのない『好意』と『感動』、そして『尊敬』の念を向けられては……少女の振舞いに気を悪くする者など、キャストラム中探し回っても居やしないだろう。

 

 

 加えて……元より『可愛い雌個体』との()()()()を好む者であれば、殊更であろう。

 腕を組んで後方訳知り保護者顔しているフィーデスをはじめ、実際に真白の少女『ファオ』のことを()()()いた(シャウヤ)も、じつは決して少なくなかったのだ。

 

 まぁ、とはいえ……互いに好き合う()()()の間に割って入ろうと企てる程、野暮で厄介な感性は持ち合わせていない。

 ヒトとは比べ物にならない程、それはそれは長いときを生きるシャウヤは、そのあたりもきちんと弁えているのだ。

 

 

「……ソレで、マノシアは今後()()()()つもりネ?」

 

「ワタシ……デスか? 此処が気に入ったデスので、しばらくは世話になるつもりデスよ。ワタシの知識も役立てられますし……調べ甲斐のある『オモチャ』も、ファオ様が用意してくれマシたので」

 

「カカッ! とても()()()()してるネ、マノシア。とてもとても良いコトヨ。……ヨシャーエの者なら、大丈夫そうネ」

 

「デスね。……イロウアとの『取引』は……我々にも後悔と、反省点の多い事案でシタ」

 

「ハハハ。……全くヨ。【交渉人(ネゴシエイター)】として申し訳ナイの限りネ」

 

 

 

 恐らくではあるが……今後シャウヤと『イロウア』との取引ならびに交易は、その規模を縮小せざるを得なくなるだろう。それがフィーデスらの共通見解であった。

 

 今回の一件、実際に動いた者は少数であったが……帰還後の【副兵団長(オプティオス)】トゥリオの働きもあって、事の顛末はシャウヤのほぼ全員が知るところとなっている。

 自らが与えた魔法によって、知的欲求を暴走させられた個体が居たということ。他種族ではあるが幼い子どもが実験素材として浪費され、(おびただ)しい数の命が喪われたということ。

 ひとえに、自分達の無関心――欲を満たす対価として魔法を与え、その影響やその後の展開を知ろうとしなかったこと――が招いた、惨劇であるといえよう。

 

 

 ……元より、繁殖頻度の極めて低い種族である。シャウヤにとって『幼子』とは庇護すべき存在であり、それが他種族であろうとも、認識はそうそう変わることなど無い。

 種こそ違えど意思の疎通が出来、自分達を裏表のない好意で慕ってくれる、可愛らしい女の子。……その子は多くの犠牲のもとで生み出された存在であり、その子の命もほんの些細な切っ掛けで浪費されていたかもしれない。

 

 自分達の魔法技術に誇りを持ち、新しい命を尊ぶ彼女らが()()を知っては……冷静で居られる筈など、最初から無かったのだろう。

 

 

 一度は取引を結んだ『イロウア』だったが……今や、その狡猾で悪逆な性根は知れた。

 個人間での交友まで禁ずることは無いながら、種族単位での交流ならびに交易は、恐らく絶たれることだろう。

 集落(キャストラム)全体の方針を決める首脳部、その()()がそのつもりなのだ。もはや断交は覆らず、遅かれ早かれというやつである。

 

 取引に用いられていた【フェレクロス】も()()()()()()喪われたことだし、帝国側の取引要員も()()()()()()()()()()()()()()()

 キャストラムに出入りしていた帝国の交易担当は、ほんの数人しか確認できていない。恐らくは交易による莫大な益を身内で独占したいがため、情報を絞っていたのだろう。

 

 実際、これまでにキャストラムまで辿り着いた者は数える程しか居らず、担当者の引継ぎがなされた形跡も特に無い。

 ……つまりはあと数回、交易担当者が()()()()()に見舞われれば、帝国民がキャストラムへと辿り着くことはほぼほぼ不可能となってしまうことだろう。

 

 

 そうとも、濃密な環境魔力渦巻くヨーベヤ大森林とは、危険だらけの魔境であるからして。

 脆弱なヒト種族など、ここでは食物連鎖の下層に過ぎない。互いに助け合わねば容易く命を落としかねない、それはそれは危険な場所なのだ。

 

 

 

「そうそう、トゥリオも【擬人肢鎧(アルマトロポス)】持ち出したみたいヨ。コレで守りはカンペキ、ショットやゾットでは落とされナイネ」

 

「それはそれは…………副兵団長殿の肢鎧(アルマ)はえげつないデスからネ。……そもそも、大森林そのものが強固な守りデスので……イロウアのことは、心配要らなさそうデスね」

 

「ウム。先に『契約』を反故にシタのは『イロウア』だが、ヤツラに道理が通るとも思えナイネ。備えるは備えるが……マァ、大丈夫ヨ。マノシアは安心して『ヨシャーエ』と仲良くするネ」

 

「もとより、そのつもりデスよ。……見守りたいものデス、あの子らの回復と……健やかな成長を」

 

「当然、アエら(ワタシたち)も全力で協力するネ。必要なモノ有れば、スグに報せるヨ。【リヨサガーラ】でバッチリお届けネ」

 

「フフフ。……ご愛用頂けているようで、何よりデス」

 

 

 

 近年における『イードクア帝国』の躍進、特に機甲鎧をはじめとする各種兵機開発には、シャウヤ由来の魔法技術の影響によるところが少なくない。

 しかしそれは、ただ単に『ヨーベヤ大森林のキャストラムが初めて接触した国家がイードクア帝国だった』というだけのこと。立地的による()()()()に起因するものであり、決して『最初からイードクア帝国と取引を結びたかった』わけでは無い。

 

 同様の立地条件で、圧倒的に優良な取引相手が開拓できたというのなら……そちらに流れるのは、至極当然のことだろう。

 独占利権の立場に甘え、自らの価値を高めることを怠り、取引相手との関係構築さえ投げ出したのだ。見放されても文句は言えないだろうし、尚も何か言うようであれば……不慮の事故(実力行使)で黙らせるだけだ。

 

 

 自分達はこれから、ファオとその姉妹たちの居る『ヨツヤーエ連邦国』との間で、良好な関係のもと取引を行う。横暴で失礼で実力にも劣る()取引相手が、今更しゃしゃり出る隙など無いのだ。

 わざわざ言葉に出すまでもなく……それはこの場にて言葉を交わす二人と、キャストラムの同胞たちのほぼ総意だろう。

 

 

 

「……ソレはソウと……まーたく、ファオも罪な女ヨ。アウラとシスだけでなく、姉妹らのほぼ全員がアツい視線ネ」

 

「無理も無いでしょう。……あんな環境から救い出してくれた、まさに救世主デスから。……ファオ様に惚れてしまう子が出てくるのも、まぁ当然でしょうね」

 

「カカカッ! あの子ら全員の欲求を解消スル、ナカナカに大変そうヨ。身体がいくつあっても足りないネ」

 

「…………まったく、笑い事じゃないでしょうに」

 

「イヤイヤ、そう言テくれるなヨ。今ばかりは笑いたい気分ネ。……ファオもテアも嫌われたくナイ、二人はトテモお似合いヨ。想い告げる前に負けてシマタネ」

 

「はー…………それはそれは。まったく、難儀なものデスねぇ……【交渉人(ネゴシエイター)】殿の『好み』は」

 

「カカカカ。……マァ、『惚れた弱み』というヤツネ。今後ともお助け、チカラになる次第ヨ」

 

「はいはい、ワタシも同意でございマスよ。遠慮なく相談させて戴きまスとも」

 

 

 

 ひとりの少女の『もっとほめられたい』『評価上げたい』『最終的にはえっちされたい』に端を発する、行き当たりばったりの大冒険は……大恩ある所属国へと、こうして膨大な利益を齎すこととなった。

 全ての問題が消え去ったわけでは無いだろうが、敵意や理不尽や脅威に晒される可能性は、ほぼ潰えたと言えよう。

 

 発端となった少女が、今後どういう人生を送っていくのかは、それはさすがに知る由もないが。

 自身と、そして血の繋がらない姉妹たち含め、以前の環境より喜びに溢れる日々を過ごせるだろうことは、まぁ間違いないだろう。

 

 

 ちょっと独特な感性をもった彼女の、内に秘めた『願い』のほうも……早ければ今夜あたり、やっと叶うのかもしれないね。

 

 

 

 

 







『なにが』とは言いませんが『できる』状況になってしまったので、
このおはなしはこれでおしまい、めでたしめでたしです。


こんなタイトルで出オチじみた作品に長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。



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