青い春、死の境界   作:ニゴリエース

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 みなさんお待ちかね(多分)のVSパパ黒です、どうぞ。


懐玉-⑧

 

 

 「五条悟は俺が殺した」

 

 「そうか、死ね!」

 

 瞬間、激昂した夏油が呼び出した虹龍が襲撃者の男に襲いかかる。男はそれをモロに喰らうも、噛みちぎられることは回避し、それどころか銃で反撃までしてきた。飛来してきた3発の銃弾は俺が弾くことに成功するも、今のやりとりだけで相手の力量が窺える。

 

 「こりゃヤバいな……焦るなよ夏油」

 

 「……ああ」

 

 俺の言葉に夏油は頷くものの……やっぱ冷静じゃねえな、五条が殺されたと聞きゃあまあそうもなるか。落ち着けといって落ち着けるものでもないだろうし、俺がどうにかするしかなさそうだ。

 

 そのまま俺と夏油は男を追って破壊された薨星宮の建物の方へと向かう。できれば遮蔽物のないところで戦いたかったが、仕方あるまい。

 

 「薨星宮(ここ)は隠す結界、入り口に見張りは置けない。扉の位置さえわかっちまえばあとはザル」

 

 男が何やら語り出すが、わざわざ聞いてやる義理もない。懐から投げナイフを取り出すと、夏油の呪霊射出に合わせて投擲する。夏油の攻撃から逃れた隙に当てる算段だったのだが……

 

 「うおっと!危ない危ない、話の途中だぜ」

 

 難なく回避されてしまう。投げナイフ程度では牽制にもならないか。早めに眼鏡を外しておくことにする。

 

 「話の続きだ。俺は物を格納できる呪霊を持っててな……」

 

 「もういい、語るな。見え透いている。天与呪縛のフィジカルギフテッドだろう?術式の開示と同様に能力を開示することで身体能力の底上げができるのは知っている。俺たちを追跡できたのも、残穢ではなく物理的な痕跡を追ってきたため。フィジカルギフテッドなら五感も強化されているはずだからな。違うか?」

 

 「正解、やるねえ。……ああ、道理で道中痕跡の数が足りないと思ったら、ありゃあお前か」

 

 「痕跡を残さないのは暗殺者の嗜みだ。もっとも、手前の痕跡だけ消しても意味なかったわけだが」

 

 無駄口を叩きながらも、歩きながらお互いに隙を狙い合う。……やはり無防備なようで隙がない。どうするべきか……

 

 「……途中に女性がいたはずだ。彼女はどうした」

 

 そこで夏油が質問を入れる。そういえば黒井さんのこと忘れてたな。ただまあ、この様子だと……

 

 「ああ、あのメイドか。生かす気も殺す気も無かったけどな。運良きゃ生きてんじゃね」

 

 「そうか、やはりお前は死ね!」

 

 一瞬のアイコンタクトの後、再び夏油が虹龍を突撃させる。そして無数の呪霊を射出するも、男は虹龍に襲い掛かられながらも弾き、捌き、避けていく。そしてそのまま、再び突撃してきた虹龍をその手に持つ刀で一刀両断──

 

 「なにっ!?」

 

 「シィッ!!」

 

 した瞬間、虹龍に紛れて身を隠していた俺が男に突撃する。虹龍を攻撃した瞬間の隙をつく予定だったが、まさかここまであっさり斬られるとは思っていなかった。

 しかし即座に対応した俺は、男の喉元にナイフを突き立てようとしたが、刀で防がれる。……気配からして、おそらくこの刀は特級呪具。効果は硬度無視か、それともただただ鋭いだけか……

 

 「ナイス奇襲!」

 

 「余裕ぶりやがって……!」

 

 そのまま俺たちはもつれ合いながら、崩れ落ちる建物へと落下する。突き出される刀を避け、再びナイフで首元の線を切り裂こうとするも、

 

 「フッ!」

 

 「ぐうっ……!」

 

 力任せの蹴りで吹き飛ばされてしまう。きっちり防御したからよかったものの、していなければあばらどころか内臓までやられていたであろう重い一撃。

 

 「空中でこれかよ、馬鹿力め……!」

 

 防御したは良いものの、踏ん張れない空中では衝撃をモロに喰らってしまうため、俺は崩落する建物から叩き出されてしまう。体勢を崩しながらもなんとか受け身をとり着地したものの、土煙で視界が遮られる。呪力感知に頼れない以上、無闇に突っ込むわけにもいかない。

 

 

 

 一瞬の逡巡。しかしその直後、俺は自分の判断ミスを悟る。

 

 

 

 「っ、夏油!」

 

 即座に土煙が晴れ、そこにいたのは血を流して倒れる夏油と余裕の表情の男。夏油は死んではいないようだが、気絶しているようだ。

 

 「式神使いなら殺したが、呪霊操術となるとな。こいつの死後、取り込んだ呪霊がどうなるかもわからん。ただ──」

 

 

 瞬間、男の姿が掻き消える。──後ろか!

 

 

 

 「お前は殺す」

 

 「ああそうかい……!!そりゃあこっちのセリフだっ!」

 

 

 

 そして俺と男は超近接戦闘に入る。男の振り下ろす刃を躱し、拳を受け流し、蹴りを弾く。こちらもナイフを突き出し、貫手、目潰し、金的などを狙うも全て躱される。

 

 「なかなかやるねぇ、さすがは両儀の秘蔵っ子!」

 

 「覚えてくれててどうもっ!」

 

 一見互角に見える攻防。しかし男は未だ余裕の表情を崩さないのに対し、俺は常に必死だ。そう長くは続かないだろう。

 

 「でもまあ……まだまだだな」

 

 「しまっ……!!」

 

 その瞬間、力任せの一撃によってナイフが弾かれ、飛んでいく。

 

 「終わりだ」

 

 無手となった俺に、男はトドメの一撃を──

 

 

 

 

 

 「お前が、な!」

 

 

 

 

 

 瞬間、()()()()()()()()()()()()()()。俺はそれを振るい無防備な男の胸──そこに刻まれている“死の線“を真一文字に斬り裂く。

 

 「なっ、がっ……!」

 

 「ウルォラァ!!」

 

 そして、男が一瞬怯んだ隙を逃さず、傷口に捻り込むように爪先での蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。そして、間髪いれず懐から予備の大型ナイフを取り出し、男の頭に投げつける──!

 

 

 

 

 

 ──だが。

 

 

 

 

 

 「ダメ、か」

 

 「今のは流石に危なかった……構築術式か」

 

 男は、自らの左手の平を貫通したナイフを引っこ抜いて投げ捨てながら呟く。野郎、ギリギリのところで手で受け止めやがった!

 

 「ハハハ……正解」

 

 「やっぱな。そんでもう余力もねえだろ。構築術式は燃費が悪いし反動もでかいからな」

 

 そう言いながら再び刀を構える男。傷こそ負ったものの、胸の傷は浅く、左手の傷こそあれど右手だけでも問題はないだろう。

 対するこちらは、先ほどナイフを弾かれた右手は痺れてすぐには動かせず、呪力の残りもそう多くなく、体力の方も構築でかなり持って行かれた。先ほどの攻防はもう不可能と言っていい。

 

 「そういうわけで、チェックメイトだ。次で殺す」

 

 「何言ってやがる……勝負はこれからだろ」

 

 そういって構える男に、俺も虚勢を張りながら左手一本で刀を構える。

 

 

 俺の返答に男は鼻で笑い……突撃。

 俺も応戦するものの、もはや結果は分かりきっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再びの激突から13秒後、男の刀が俺の左胸を刺し貫き、俺の意識はそこで途切れた。

 

 




 パパ黒には勝てなかったよ……

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