だが、勝ったのは私だ!   作:ゆっくり歩く人

11 / 12
フラジールは感情が昂るとラスボスっぽくなります。

傭兵騎士…騎士って僕の中じゃ速いってイメージがあるんですよね……
まあ、チャリオッツで(´神`)とも言えますけど。

ふむ、いつからオッツダルヴァが水没“王子”だと錯覚していた?


傭兵騎士と水没王女の第十一話

「オッツダルヴァだ。また貴様と組むのか…まぁ、貴様の腕は認めている…今回もそこそこ期待しているぞ」

 

偽名や偽造戸籍を使っていたとはいえドイツ軍による指名手配(実は目撃者が何も話せない状態にあるのでされていない)はされているでしょうし、皆に迷惑をかけるわけにもいかないので日本に帰らず傭兵生活をしている今日この頃…帰りたくないって訳ではないのですが、傭兵稼業ってのがどうも…面白くてですね…ははっ

面白い方ばかりなのですよ…えぇ。

特にこのオッツダルヴァ殿…おっと、団長と呼べと言われてたんでした…団長殿とは何故かよく仕事で一緒になる事が多く……。

結構毒舌で口が悪いですけど、腕は確かですし口ばっかりじゃない人です…とても心強くて助かってます。

最近はどことなくフレンドリーですしね…最初は空気で良いとか言われてましたし。

どんな感じでフレンドリーなのかと言うと…例えば……

 

「ふむ、今日は雨が降るかもしれんな…河の増水には気を付けろよ?」

 

気にかけてくれたり、

 

「今回はこの町の警備の仕事だ…ふむ、そうだ劇場に行ってみないか?」

「いいか、これは劇場に不審者がいないかチェックする為だからな?」

 

私では気づかなかった事を教えてくれたり…

 

「くっこの私が泳げないだと……!?」

「おのれ狙ったな…!!!」

 

でもたまにちょっと抜けてます……そこがまた面白い。

そんな訳で考えてみると最近は依頼と一緒に団長殿も僚兵としてセットで付いてくるようになってます。毎回団長殿が一緒です。

 

「おい、キューブ」

 

そんな信頼のおける彼女にすら未だ私は偽名と偽造戸籍を使い続けている。

 

「今日から私をテルミドールと呼べ」

 

「……?」

 

「良いな?」

 

「は、はぁ…?わかりました……」

 

「……よろしい」

 

かといって…彼女にも謎がないとも言えず……というのは見苦しい言い訳か。

 

私は今も昔も、皆に嘘を吐き続け…約束も果たせずにいる。

フランには早く帰ってくると嘘を吐いた…もう皆の元に帰る事ができないのはわかっていたのに。

マギーには次の誕生日に大きな卵焼きをつくってあげると嘘を吐いた…帰る事なんてできやしないのに。

束には研究の手伝いをしてやると約束した…けれど手伝う前に彼女は終わらせてしまった。遅すぎたんだ。

千冬には料理を教えてやると約束した…けれど、その約束は結局もう果たすことはできない。

妹達にも嘘を吐いた…身分も、名前も…彼女達の記憶に残っているのは嘘で塗り固めたCUBEという人間だ。

そして、仕事仲間で優しい彼女にも…私は嘘を吐き続けるんだろう。

 

いつかフランと見たドラマでは、友達だろ?迷惑だなんて思うなよ…なんて綺麗事が流れていたけれど……。

迷惑なんてものじゃないんですよ…軍に連行されるんです。その後の人生は最悪なものでしょう。

皆をそんな目には合わせたくない…私は脆いのです。

そして、自己中でもあります……相手がどう思うかではないのです…私がどう思うかなのです。

そう、だからこそ…私は、嘘で塗り固めた人生を選んでいるんです……。

好きな様に生き、好きな様に死ぬ…誰の為でもなく…自分の思うままに。

それが…私のやり方なのだから……。

 

 

 

 

 

「なぁ、キューブ」

 

この時

 

「はい」

 

何故私はあんな事を聞いてしまったのか……

 

「お前は…何の為に戦っているんだ?」

 

その時の彼の能面の様な顔を覆った寂しそうな表情…私は忘れる事はないだろう。

 

「さて、何の為なんでしょうかね……」

 

彼は隠してるのではなく、本当にわからないのだろう…私には何故かそれがわかった。

 

「私の心の中にあるのは全部…見苦しい言い訳ばかりなんでしょうね……」

 

やめろ…そんな寂しそうな顔をするな……

 

「私、脆すぎますね」

 

お前は、冷たい表情が売りなんだろ?

あの無表情で有名なお前がそんな悲しそうな顔をするなよ……

やめろ……やめろ…やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ……

 

「お前には失望したよ……」

 

気付けば感情が抑えられなくなっていた…嫌な意味でいつもの私らしい言葉を彼にぶつけ、駆け出していた。

ゲリラ戦の真っ只中…目の前の運河を忘れて……。

 

「テルミドール!!!」

 

覚えているのは凶弾に貫かれる彼の姿と…冷たい水の感覚。

これじゃ…まるで笑えないファルスだな……。

 

 

 

目覚めるとそこは医療ベッドの上だった。

医者に聞けば運んできた青年は重傷だったにも関わらず、制止を振り払い消えてしまったらしい……。

 

「私は…また、ひとりになってしまったのか……」

 

いや、そんなことは有り得ない……彼は、彼は私の…ふふふ………




敵のキャラクターから台詞を参考にしていると言ったな?
偽りの発言、失礼します。
騙して悪いが…心動かされてしまったのでな……。

ファットマン(ACVD)はおじいちゃんにしたい人ナンバーワン!
マギーは一緒に ここたま したい人ナンバーワン!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。