だが、勝ったのは私だ!   作:ゆっくり歩く人

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小学校時代の第一話

「すいません、バッティです…篠ノ之殿を迎えに上がりました……」

 

やぁ、フラジールだ。

奇妙な出会いを果たしてしまった保育園生活も過ぎ去り、今や小学校の4年である。

父は相変わらず家を不在にしがちだが、それでもたまに父の友人が娘さんを連れて家に来るのである程度賑やかだ。

 

それはともかく、私は篠ノ之を迎えに来ている。

元々は織斑の仕事だったのだが、最近は日直だの委員会の仕事だので忙しいらしく、ほぼ毎日私がその役割を請け負っている…迷惑な話だ。

 

「あら、フラジールちゃん…今日もありがとねぇ…待ってて、すぐに準備させるから……」

 

しかし代行を断ったとしても、何だかんだ言われて押し付けられてしまうのが目に見えている。

引き受けたふりして無視すれば良い話でもあるのだが…父の友人カーチスさんの話じゃ、父はどんな依頼も完璧にこなす何でも屋的な存在なんだそうだ…そんなことをすれば父の名に傷が付くだろう。

それは息子心的には、回避したい。

 

「ふーくんお待たせ~!!!」

 

だから、どんなに腹に重い一撃が来ようとも、私はそれを受け止めなければならない。

 

「んふふ、ふーくん毎日迎えに来てくれるね~?」

 

正直この奇妙な知人、腹の内がよく読めない…何を考えているのか、さっぱり…とまではいかないが殆ど読めやしない。

 

「お前を毎日学校に行かせる、その為のフラジールだからな……」

 

はい、その為のフラジールです…と、昔の私ならそう言っただろう。

少なからず私も、人間として成長したということだ。

 

「そっかぁ~…ねぇねぇ、ふーくん」

 

「ん、何だ?」

 

今のところ私は学校に行く事“だけ”を考えていたいのだが……。

と、そう考えている私に篠ノ之はお構いなしに話し掛けてくる。

 

「ふーくん」「ふーくん!」「ふーくん?」「ふーくん!?」「ふーくん…!」「ふーくん……」

 

この際、煩いと言えれば楽なのだが…そんなこと、できる限りしたくない。

 

「なぁ、篠ノ之」

 

ならば自分が話の主導権を握るなりなんなりすれば良い。

 

「ん~?ふーくんからお話ししてくれるなんて珍しーね!」

 

確かに私から話を振るなんて事、カーチスの娘さん以外にしたことがない。

カーチスの娘さん、フランも私と同じか、それ以上の無口で…そしてあがり症で、怖がりで、にも関わらず知らない相手に毒を吐く…そんな人なんで私から話を振らなければまず会話は始まらない。

話をしていないとき…私は静かに読書に勤しんでいるんですが、彼女は人間観察の趣味があるようで、私の行動をジィー…と、見てるんです。

見られる事に対して特に嫌悪感や羞恥心等は感じないのですが、どうも…相手の方が恥ずかしがるばかりで…見られているのはこちらの筈なのだが……。

 

「篠ノ之、どこに行こうとしているんだ?学校通りすぎてるぞ……」

 

「あ、ほんとだ~テヘッ」

 

「……はぁ」

 

何はともあれ、今日は家にカーチスとフランが来るらしいし…菓子類買っとかないとな。

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