カーチス父娘が家を訪ねて来た……。
「やぁ、こんばんはフラジール君…元気してたかい?」
この気の良さそうな若い顔の男がブルー・カーチス…父の友人だ。
これでも二児の父なんだとか…愛妻家なんだとか。
妻の方はフランの妹の世話の為に彼の家で留守番をしているらしい。
聞いてもいないのに色々と話してくれた…フランの妹はマグノリアという名前なんだとか。
父、ブルー・カーチス
娘、フラン・カーチス
娘2、マグノリア・カーチス
ひとりだけ異彩を放つ名前だな…字数的にも語呂的にも。
と、呟くと
「ははは、君もそう思うかい?実はマギーちゃんの名前は妻が付けたんだよ……」
と、丁寧に返答してくれた。
マグノリアには、もうマギーという愛称が付いているらしい…この男が自宅で赤ん坊を「マギーちゃ~ん」と、猫可愛がりしている様が容易に想像できる。
「はは、恥ずかしいなぁ…お見通しって事か……」
どうやら想像通りだったらしい…恥ずかしいと言いつつ、フランの頭を撫で回している。
当の撫で回されているフランはボーッとしている。
ちなみに私は話を聞きながら宛てもなく木を削っているが…まぁそれは話題にしなくてもいいだろう。
「なんと…本当に家族大好きなんだな……」
さっきからカーチスのノロケ話を聞かされていている為、正直うんざりしている。
……しかしまぁ、パートナーを大切にするのは良い事だ。
「おや、何処に行くんだい?」
「ちょっと、菓子類を持ってくる……」
部屋から菓子類、冷蔵庫からゼリーを…何となく買ったものを出してみた。
「おや、これ食べても良いのかい?」
と、カーチスが聞いてくる。
フランは目を輝かせている。
俺は苦笑い……
「出した意味がないだろう?」
そう、二人が来たから出したのだ。
フラジールとフランの二人は部屋で各々が自分の思う事をしていた……。
フラジールは週末の宿題らしいものを片手間に片付けつつ家計簿を書き、フランはそんなフラジールをジィー…ッと、見詰めていた。
「……どうかしたのか?」
いや、何かさっきから視線が気になってしょうがない…見るなとは言わないが、流石にこうもジッと見られるとな……。
「へ?あ、うぅん…な、何でもない…よ?」
フランは申し訳なさそうな顔をして視線を下げてしまった。
いや、別に床見てろって言ってる訳じゃないんだがなぁ……。
「………」
「………」
ちなみにフランパパ、カーチスは何故か娘ひとりを置いて仕事とやらに出てってしまった。
父から呼び出されたらしいし、フランを家に置いて行った事に関してはあまり強く言えない。
「……ね、ねぇ?」
まぁフランは大人しくて静かで、どこぞの奇妙な知人達みたく家計簿ミッションの障害にはならないし……
「ねぇ、聞こえてますか……?」
この空気…悪くない……が
「……何だね?」
頬を膨らませ顔を近づけて…何をしているんだ?
「あなたは…意地悪な人ね……」
「まさか…私が何か悪い事をしたのか?」
「そう、ね…無視されてたわ……」
「それはすまないことをした……」
「い、良いの…私の声が小さかったのよ…多分……」
「………」
「………」
フランの喋り方はどことなく、大人びている…気がする。
とても私と同年齢で小学4年なんだとは思えない……。
「で、ね?」
「ん…何か?」
「あ、えっとね?」
……いや、多分喋りなれていないだけなのかもしれない。
「ご飯…どうしますか……?」
と、フランがそう尋ねてきた瞬間…何処からかキュルルルル…と、主にフランの胃の辺りから聞こえてきた。
「え、あ…えっと…うぅ……」
恥ずかしそうだ…あまり顔を見ないようにしよう。
「作るから待っていてくれ……」
「え、でも……」
「気にするな…私はカーチスにお前を任された立場なんだ…私がお前の為に何かをするのは当たり前の話だろう?」
「う、うぅん…そうなのかしら?」
「まぁ、待ってろ……」
こう、ごり押しでもしないと倒れるまで迷ってそうだ……。
さて、何を作るかな……?
まさかのヒロイン枠に「ここたま!」で有名なマギーちゃん登場。