天羽奏(♂︎)の戦姫絶唱シンフォギア   作:エドアルド

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人と獣

 

「……知らない天井、では無いな」

 

 視界に入った天井を見て無意識レベルで鉄板ネタを言葉にしたが見知らぬ天井では無かったので不発に終わった。

 

「いっ!?……痛ったぁ……」

 

 とりあえず体を起こそうとしたが全身に走った痛みに悶える。首だけを起こして体を見てみると病人服にさせられ体が包帯まみれだった。

 

「うわぁ……」

 

 適合したばかりの頃やの無茶した時になる見慣れた光景ではあるがついつい声が漏れる。いつ見ても酷いもんだよ。

 

「……奏?」

「ん?」

 

 名前を呼ばれた方を向けば翼がこちらを涙目で見つめていた。そして翼は勢い良くこちらに抱きついてきた。

 

「奏ぇ!!」

「おっと!元気か?翼」

「バカ!心配したんだから!」

「………わりぃ」

 

 泣きじゃくりながら俺に引っ付く翼の頭を優しく撫でる。俺の無茶は今に始まった事じゃないがここまで泣きつかれたのは初めてかもしれない。そんなにやばかったのだろうか?

 しばらくすれば泣き疲れたのか翼が俺を抱きしめたまま寝息をたて始めた。可愛い寝顔だ。

 

「失礼するわ………………奏……?」

「おう、マリア」

 

 翼を撫でていれば部屋の扉が開きマリアが入ってきた。その後ろにはセレナ、切歌、調の姿もある。

 

「奏さん!!」

「かなでぇ!!」

「おわぁ!?」

「ふぎゅ!?」

 

 俺を視認するやいなやセレナと切歌は俺に飛び付いてきた。2人も翼と同じく涙を目に浮かべている。

 というか2人が翼の上に来たせいで翼が潰れたんだが。

 

「おおぅ、熱烈だな」

「目が覚めてよかったデス!!」

「ほんとに、良かった。このまま目覚めないんじゃ無いかと……ほんとに良かったぁ……」

 

 その声は震えていて特にセレナは今にも大声で泣きじゃくりそうだった。かなり心配をかけたようだ

 

「……心配かけたな」

「ホントよ……もう」

「目が覚めてよかった」

 

 マリアと調も飛び付いてきたりはしないがどこかホッとしたような顔をしている。

 

「セレナ、切歌、心配してくれるのはありがたいんだけどよ。翼が苦しそうだ」

 

 そう言えば、セレナと切歌は下に視線を向ける。そこには俺に抱き着いてる翼がセレナと切歌に押しつぶされ苦しそうにもがいていた。

 

「ご、ごめんなさい!!」

「ごめんデース!!」

「ふあっ!?し、死ぬかと思った」

 

 2人は急いで離れて翼は自由になった体で空気を勢いよく吸い込んでいた。

 

「ぷっ、アッハッハッハッハッ」

「か、奏、笑うなよ!」

「ぶふっ、いや、すまん」

 

 コントのような3人のやり取りについ笑い声が出てしまう。

 その後も取り留めの無い話しをして了子さんが怪我人がちゃんと休めるようにと翼達を追い出して1人になるまで幸せを噛み締めた。

 あ、ちなみにネフィリムはあの後停止した状態で回収され封印がほどこされてネフィリムの研究は無期限の停止になったらしい。了子さんが教えてくれた。

 

「無事で良かった……」

 

 ちゃんと守れたんだな、俺。

 なあ、今度はちゃんと守れたよ。いつか俺があの世に行く時に自慢しても良いかな。笑って良くやったって褒めてくれるか?

 

 

 

 

 

 

****

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ私、櫻井了子が奏くんのケモ形態の解説をするわよ!」

「なあ、説明くれない?」

「グルッ?」

 

 ネフィリムの事件からはや数週間、だいぶ怪我も治ってある程度自由に歩いても大丈夫になったころに了子さんに呼ばれて集まった場所には翼、セレナ、マリア、切歌、調の装者組とウェル博士、弦十郎の旦那、緒川さん、了子さんの大人組がいて突然了子さんのこの発言だ。

 頭の上のズメイも困ってるぞ。

 

 というかケモ形態ってなんだよ。

 

「ネフィリムとの戦闘の最後の方に奏くんがなった龍人みたいな姿の事よ」

 

 了子さんが言葉と共に何やら写真のホワイトボードに貼り付ける。それは鱗と体毛が3:7ぐらいでギアを纏った龍人がいた。

 

「これがその姿よ」

 

 ……俺、あの時こんな事になってたんだな。

 なんか凄い手触りの良さそうな体毛してんな。それでもだいぶ厳ついしまさに龍といった風体だな。というか、かっこいいな。

 

「おお!!かっこいいデス!」

 

 切歌からのウケは良いみたいだな。

 

「あの時のシンフォギアからの観測と奏くんからの聴衆で集めた情報しかないから推測も含むけどね」

 

 そう言うと部屋のディスプレイに色々なグラフや映像が出てくる。

 

「この姿は奏くんとズメイが一時的に融合した姿よ。まだ詳しい事はわかって無いけどフォニックゲインの生成量の上昇、身体能力及び戦闘能力の向上、シンフォギアのシステムロックの一部解除が確認されたわ。強さで言えば準弦十郎くんかしらね」

 

 ここで弦十郎の旦那が比較対象に出てくるあたりやはりOTONAは伊達じゃない。

 

「人と人ならざる獣が融合した姿。名ずけて『人獣一体』ってところかしらね」

「安直じゃね?」

「こういうのはわかりやすいのがいいのよ」

 

 そういうもんかね?

 

「まあ、理由はそれだけじゃ無いんだけど。これを見てちょうだい」

 

 そう言った了子さんの言葉につられて新しく出てきた画像を見る。どうやら何かしらの壁画のようだ。

 

「これはね、数年前に見つかった壁画なの。ここ、人とそれ以外狼とかドラゴンとか色んな動物が描かれてるでしょう?」

 

 了子さんのその言葉通りに人1人につき何かしらの動物が傍に描かれていた。

 

「なるほど、そういう事ですか」

「1人で納得しないで教えてちょうだいウェル博士」

「ああ、すみませんマリア。あの壁画に付けられた名前が『人獣一体』というのです。確か内容は人と力を持った獣が共に『厄災』と呼ばれた怪物を倒すというものでしたね」

「その通り!この壁画にあやかったのよ」

 

 ほーん、なるほど。そういう由来があったのか。

 

「それでここからは推測になるんだけどね、この壁画にはこういうの一文があるの『人と獣、異なる生命が重なり一体となった時。奇跡は起こり厄災は地に落ちる』。ここにある人と獣、異なる生命が一体となった時っていうのが奏くんとズメイのあの時にそっくりじゃないかしら?」

「確かに」

「それじゃあ何か関係性があるのかしら?」

「いいえ、それはわからないわ。この壁画も似てるから引っ張り出してきただけだしただのこじつけに近いもの」

 

 まあ、そんなんだよなぁ。でもフィーネ疑惑がまだ解けてない了子さんだしなぁ案外正解の可能性も高いだよなぁ。

 

「まっ、これ以上は研究しないと流石にわからないわ」

「だよなぁ」

 

 まあ、強くなれるのなら良いことだよな。

 

「これからもよろしくなズメイ」

「グルァ」




多分次回から原作スタートになると思います。
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