天羽奏(♂︎)の戦姫絶唱シンフォギア   作:エドアルド

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ショッピングモールの決死戦〈中〉

 

翼の手を引きながらショッピングモールの中を慎重に駆ける。時々見えるノイズ達を回避しながら何とか進んでいく。

 

目指すのは弦十郎の旦那が車を止めた場所。旦那さえいれば何とかなる。地面を隆起させてノイズに対処する男だ。なんとかなるだろう。

 

「かなでぇ」

 

翼が度々泣きそうになりながら名前を呼んでくるが俺には手を引いて声を掛けてやる事しかできない。

 

「大丈夫だからな。俺がついてる」

 

そんなありきたりの事しか言えないが何もしないよりはマシだ。

 

そしてノイズが居ないか通路の影から先を見ていた時だった。俺達が張り付くように立っていた壁の反対側からノイズが現れた。

そういえばこいつら物の透過できたっけな!!

 

「走るぞ!!翼!!」

 

俺は翼の手を握り直して走り出す。

 

「奏!痛い!!」

 

翼に文句を言われるが今は無視だ。止まったら死ぬぞ。

そう自分に言い聞かせて走る。

ノイズから逃げる時に気をつけなきゃ行けないのは走るコースだ。あいつらは走って追いかけてくるだけじゃなく体を槍状にして突貫してくる。

 

案の定ジグザグに走っていれば目の前の柱にノイズが突き刺さった。

 

「ひぅ」

 

翼が声を漏らすが止まる訳にはいかない。こんな所で死ぬ訳にはいかない。

 

だが場所が悪かった。ここのショッピングモールは広大で複雑な道もあるそれにここに来たのは初めてだ。とにかく逃げる事だけ考えていた俺は行き止まりにぶち当たった。

いよいよ追い詰められた。

 

俺は翼を背にしてノイズに向き直る。ノイズ達は俺達に少しずつ迫ってくる。

 

俺は首に掛けてあるギアペンダントを握った。

だが歌ってどうする。LiNKERはない。ギアを纏ったところですぐに活動限界が来る。しかも俺は戦った事はない。翼を守りきれるとも言えない。

そう考えていた時。

 

「かなでぇ」

 

泣きそうな翼の声が聞こえた。

俺の服の裾をキュッと握り怖くて不安でしょうが無い顔で俺を見つめてくる。

それを見て俺は吹っ切れた。

 

パァン!!と大きな音を響かせながら自身の頬を叩く。

翼がこんな不安そうにしてるのに何をうじうじ考えている。今大切なのは後のことを考える事じゃねぇ。今をどうするかだ。

俺達の前にはノイズがいて翼は助けを求めている。じゃあ何をするかはわかってんな天羽奏!!

 

笑え笑え。不安を見せるな。ある人だって言ってただろ。最後まで笑ってた奴が一番強いんだって。

俺は翼に声をかける。

 

「大丈夫さ翼。言っただろ俺がついてるって」

 

そうして俺は歌う。

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(覆すべき運命、守るべき命)

 

俺を身体にシンフォギアが構築されていく。

男だからか知っているシンフォギアよりも装甲が多くなっている。

 

そして

 

「ガッ、グゥッ」

 

全身に痛みが走る。そりゃそうだ俺はLiNKER無しじゃあ適合者にはなれなかったんだ。LiNKERも無いのにシンフォギアを纏えばこうなる。

だけどなぁ。言ったはずだぜ俺!笑えと!虚勢はるなら最後までぇ!!根性見せろやぁ!!

 

「ハァ、ハァ」

 

何とかシンフォギアを纏えたが体が重い。だがどうしたってんだそれが。今の俺は騎士(ナイト)だ。護るもん護らなきゃぁなんねぇ。

気張れよ俺!!

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

「状況はどうなっている!?」

『ショッピングモール内に多数のノイズの反応!』

『客はパニック状態です!』

 

通信機から聞こえてく報告に弦十郎は頭を悩ませる。

翼と奏としばらく離れた途端にこれだ。迂闊にあの場を離れた自分に嫌気がさす。

 

『ショッピングモール内に高エネルギー反応!!』

『これは、ガングニールです』

「なんだと!?」

 

ガングニールの反応が出たそれはつまり。

 

「奏くん!!」

『無茶よ!あの子はLiNKERの投与が無ければすぐに動けなくなる。死にに行くのも同然よ!』

 

通信機から聞こえる了子くんの意見は最もだ。

だが、ある意味懸念していた通りでもある。奏くんはノイズへの憎しみに囚われている。最近はその雰囲気も和らいできたと思っていたが。

 

「予想以上に彼の憎しみは大きかったか」

『ショッピングモール内の監視カメラの映像。繋がりました!』

 

その通信と共に通信機にも映像が映る。そこに映っていたのは。

翼を背負いながらノイズを蹴散らす奏くんだった。

 

『無茶苦茶よ!バイタルは全て異常値を示してるのに!なんで笑っていられるのよ!』

 

事実、こちらの端末に送られてくる奏くんのバイタルはレッドゾーンに突入。即座に医務室へ運び込まなければならないレベルだ。

 

そして映像の奏くんは笑っている。

だがそれは、復讐ができて嬉しいという顔では無い。何処までも強がっている男の顔だ。

 

「奏くん!君ってやつは!」

 

あんな子供が精一杯の虚勢で頑張ってるんだ。大人が助けてやらないでどうする!

 

「藤尭 !!」

『は、はい!?』

「現場にLiNKER持って来い!応援もできるだけ回せ!子供に任せっきりなんて恥ずかしくて顔向けできん!」

『ッ!はい!!』

 

俺も俺に出来る事を。

そう思い俺は走った。

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