かなつばは少し待ってね
「発掘調査?」
F.I.Sから帰って来て暇をしている俺に了子さんが提案して来た。
「そう、発掘調査よ。今度私行く事になったんだけど奏くんもどうかと思って。優吾さんとかも来るし」
どう?て言われてもな。発掘調査ねぇ…………行ってみてもいいかもんしんないな。母さんと父さんも行ってたし。
「まあ、良いけど。……あんがとな了子さん」
「……なんの事かしら」
普通なら了子さんが発掘調査なんかに俺を誘うとは思わないけどたぶん、そういう事なんだろうな。
少しは、母さんと父さんのやって来た事わかるかな。優吾さんとかにも話し聞けるかな。
「別に……」
「子供に悟られちゃあ面目丸つぶれね。じゃあとりあえず行くて伝えておくわね」
そう言って了子さんは部屋を出て行った。
にしてもそんなわかり易かったかな俺……いや、この場合は前世の事思い出して丸くなったせいかな。
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俺は今、雪山を歩いていた。現在地はロシア、その山間部。もちろん発掘調査の為に来ていた。
でも、まさかこんな極寒の地に来るとは寒くてかなわない。風邪ひきそう。
「もう少しですよ」
そんなガイドの人の声が聞こえる。
よかったやっとこの寒さとおさらばできる。
ガイドの人が言った通り、少し進めば建造物の入口が見えて来た。
「あれが、ズメイ遺跡」
ズメイ遺跡と名づけられたその遺跡の入口にたっていた。
早速遺跡に足を踏み入れれば少し広い空間に出る。そこでは先に来ていた、発掘調査隊人達がテントを建て焚き木をしていた。
「先遣隊の人達ですね。我々もテントと道具を広げましょう」
ガイドの人の言葉に従ってテントを張り、調査の為の道具を取り出し何か不備が無いか見る。
特に不備も無い為、しまって纏めた。
「奏くん〜元気してる?」
「了子さん。体調は問題無いですよ」
俺に声を掛けて来たのは了子さんだ。
「ここまで大変だっでしょ。はい、ココアよ」
了子は手に持った湯気を立てるコップ、ココアを差し出してきた。
ありがたい。
「あんがとな了子さん」
「どういたしまして〜」
ココアを一口飲めばさっきまで冷えきっていた体が温まる。あ〜、あったけぇ。
「そうだ、了子さん。この後はどうすんだ?」
「少し休憩した後遺跡の奥に入って行くわ。今回は遺跡を探索して地図を作ったり聖遺物何かが無いか探すわ。それが終わったら壁画調査とかもあるんだけど私達はやらないわ」
「ん、わかった」
「じゃ、また後でね〜」
そう言って了子さんはその場を後にする。
……温まったら行くか。
そう思いながらココアを啜った。
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暫くして調査を開始した調査隊は通路を進んでいた。
俺も電気式のカンテラを手に進んでいる。
「にしても、すげぇな」
壁を見るだけでも相当精密な壁画が書かれている。これだけでも歴史的価値はあるのだろう。
特に竜の姿が描かれてるな。
了子さんによればズメイ遺跡のズメイもロシアの伝説に出てくる邪龍の名前からとってるんだっけか。
暫く進めば大きな空間に出た。そこからは大きな空間を手分けして調べ始めたが特にめぼしい物はなかった。
「了子さんなんかあった?」
「特に何も無いわねぇ。この場所以外道は無いんだけど」
了子さん達の方も似たようなものらしい。
もっとこう、イン○ィー・ジョー○ズみたいなものを想像したのだが地味だな。
とりあえず合流するかと思い了子さん達の方に歩きだそうとした瞬間。
足元が崩れた。
「オワァァァァァァァァ!?」
「奏くん!?」
俺はそのまま暗闇を真っ逆さまに落ちていく。咄嗟にギアを纏ったが空中に放り出されたせいでどこが下だか分からない。
体感にして数秒か数分か分からないが過ぎた頃俺は背中から地面に激突した。
「グヘッ!?いったたた……ここ何処だァ?」
幸いシンフォギアを纏っていた為に怪我は無いが何処か分からない。それに暗くてそもそも周りが見えない。
「えーとカンテラ、カンテラ」
手探りで一緒に落ちてきた荷物を探りカンテラを出す。スイッチを押せば電気がついた。
「良かった壊れてなかった」
カンテラなかったら手探り探査しなくちゃ行けなかったぜ。
明かりをつけたは良いが何も見えない。壁とかも見えないとなると相当広い空間だな。うーむここからどうするか。
とりあえず歩くか。
俺はカンテラで先を照らしながら歩いていく暫く歩いていると水を踏んだ。
「のわ!?」
水に一瞬驚き、水がある床を照らす。
「み…ずじゃあねぇな」
液体ではあるのだろうが透明では無く赤いのだ。そして鉄の匂いが鼻を突く。
それは嗅ぎなれた匂いだ。
「血、だな」
結構血を流してるから何となくわかるようになったんだよな。
まあ今はそれは置いといてだな。
血があるという事はそれ即ち生き物がいるという事だ。ここは先史文明期の遺跡で俺達以外には発掘調査に来ている奴らはいなかったはずだ。
そうなるとここには何がいるんだ?
それによく見ると相当な血が飛び散っている。まだ乾ききって無いものや乾いて床や柱にこびりついたものもある。
これだけの血がありながら死体すら無い、確実に生きた何かはいるな。
そう言えば急に柱が出てきたな。それに柱にしては床と材質が違うな。
床をコンクリートと例えると柱は鉄だな。
ジャラ
俺が色々と考え込んでいる時に鎖が擦れるような音が聞こえると同時に柱の間から伸びた巨大な何かが俺を掴んだ。
「なん!?」
そして俺は暗闇に引きずり込まれた。