リリィちゃんをFate/Zeroに突っ込んだ安易な奴   作:鎖佐

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お前さあ…前回も言ったよなぁ?やったことないゲームを題材にするなって。


7

 雨生龍之介は世界を愛していた。とある転機の訪れからずっと、龍之介は死についてずっと考えていた。死とは人生の終着点で、華々しく、或いは惨たらしく、人間の心に強く『何か』を訴えかける。

 その『何か』をずっと探し求めていた。きっとそこに、世界の真実の一かけらがあると確信しているから。

 

最初の殺しはナイフを使った。流れ出る赤い血液と顔を白くしながら眠るように死んでいった姉。ある意味最初の作品である姉はあえて加工せず、そのままの姿で飾っている。

それから暫くナイフによる出血死を題材にアートを作っていった。人は静脈を切った程度ではなかなか死なない。だからどれくらい切れば死ぬのか、どれくらい時間が経てば死ぬのか。様々なデータを実際に殺して集めた。龍之介の下積み時代と言えるだろう。

 

程なくして、龍之介は新しい気づきを得る。喉を割いて殺した時、彼はゴホゴホと咳き込み苦しみだした。

血が、気管支から肺に入ったのだ。

世界の解像度がまた少し上がった。血液だけじゃない、内臓、骨、神経、呼吸…人体の構造は人間程度が知りつくすには余りにも複雑で怪奇で美しい。殺し方は、まだまだたくさんある。

 

 両肺にピックで穴を開けてみた。窒息という発想から真っ先に思いついた手法だ。これもなかなか面白く、呼吸をしても肺が膨らまず、開けた穴からブスブスと血と空気が出てくるのだ。溺れる苦しみと違うのだろう、苦しみかた、死ぬまでの時間、顔の血色変化、どれをとっても変化があり、アプローチを変えるという手段が間違っていなかったことに気付いた。

 

 さらに平行して解体も試してみた。適当なカッターナイフで死んだ男の中身を切り開き、ドラマで見た開腹手術を想像しながらやってみた。

 

 それはさながら、万華鏡。

 神は細部に宿る。普段目に着かないような人体の中に、鮮血に隠れながら白い骨、ピンクの胃腸、肺は黒く斑であったが、それを汚れているなどとは思わなかった。

 

 ここまでくれば、次にやることなど決まっているも同然だ。

 すなわち生きたまま解体する。出来れば麻酔などせず、抜き出した血と内臓の美しさに共感してもらいながら感動と共に死んでほしかった。

 雨生龍之介はこの芸術の理解者が欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、そんな妄想が叶う筈もなく。龍之介はスランプを迎えることになる。

 

 

 

 

 

 

男が二人、森の中を歩いている。

会話は無く、空気は張り詰め、時折鋭い風切り音まで発生しているではないか。

凡人であれば視界に入った瞬間回れ右して立ち去るだろう。どこかの聖遺物窃盗犯ならば這ってでも逃げ出すはずだ。それほどまでに異様な雰囲気を漂わせていた。

 

だが、両者の心情は決して悪い物では無かった。

ランサー、ディルムッド・オディナはこれより魔術師として戦う主の露払いの為に戦意を高め、従者としての本分を全うする決意あり。

マスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは魔術師が集う決戦であるべき聖杯戦争に、何の神秘も無い爆薬と建物の倒壊などという手段で己を殺害できると思いあがった愚物に誅罰を下すと決定した。

 

それぞれが己の役割を理解した上で、黙々と結界を破壊しながらアインツベルンの森を抜け、ついに居城の正門迄辿りついた。

 

「ランサー、開けろ」

 

「はっ」

 

 固く閉ざされた城の門は、当然魔術的にも、物理的にも強固に固められていた。

 それに一体、何の意味があろうか。

『破魔の紅薔薇』 名の通り深紅の長槍はあらゆる魔術的効果を無効化する。

『ディルムッド・オディナ』 ケルト神話の英雄、フィオナ騎士団にて至上の勇士。

このような扉一枚で止められるような男ではない。

 

一閃

それによる破壊の痕跡は一切無い。扉は硬く閉ざされたままだ。但し、

 

「どうぞ、我が主よ」

 

その扉は外敵を阻むという使命を忘れ、至極当然のようにランサーの手によって開け放たれた。

よく見れば扉の施錠の類が両断されている。余りにも滑らかな断面であるため、気づく者の方が少ないのでは無いだろうか。

 

 そうして難なくアインツベルンの居城に侵入したケイネス・エルメロイ・アーチボルト。これから先、ランサーはセイバーの抑えとして起用する為、正しく愚物と己の一騎打ちになる。それこそが、己が此処に来た理由。

 

「エルメロイ家9代目当主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが罷り越した。アインツベルンの魔術師とそのサーヴァントよ。その姿を見せるがよい」

 

 返答は沈黙。

 軽く見渡せば周囲には凡俗の世界に普及するかめらなる物がこちらにレンズを向けている。

 

「姿を見せない、と言うのであれば、失礼だがこちらから向わせて頂く」

 

 そう宣言し、極めて自然な姿で、時計塔の廊下を歩く姿勢と何ら変わりない速度でケイネスは歩く、

 

 1歩、2歩、3歩、4歩、5歩、そして…

 

「止まれ、ランサーのマスターよ」

 

 ようやくアインツベルン側の人間、聖杯戦争の敵対者、セイバーが姿を現した。

 姿は当然戦闘態勢。蒼銀の甲冑を身に纏い、室内であるはずのエントランスに風が流れている。

 

 

 

「ランサーのマスターよ。まさか聖杯戦争を取り巻く今の状況を知らぬとは言うまいな。聖杯戦争に無関係な人々を巻き込むキャスターを聖堂教会は討伐せよと指令を出した。その間の停戦指示も合わせてだ。今引き返すなら、目を瞑ってやってもいい。速やかに去るが良い」

 

「何を言うかと思えばセイバー。よもや昨日のホテル倒壊事件を知らぬわけではあるまい。無関係な者を巻き込んだのは、そちらの傭兵も同様だ。よってこの私自ら誅罰を下しに参じたまでの事。其方は此度、手出し無用だ。ランサー、セイバーの動きに注視し、動くようなら掣肘せよ」

 

ギシリと歯を噛み締める音が鳴る。

ホテル倒壊事件の事を云われると痛い。知らなかったこととは言え確かにセイバーの本来のマスター、衛宮切嗣がやったことだ。民間人の避難は完全に終わっており、死者は出なかった奇跡の倒壊事件。しかしあれだけの高層ビルが倒壊し、瓦礫やガラス片が飛散し、誰も怪我を負わなかったなんてことはない。

 

 確かに、間違いなく、我々の陣営は無関係の民間人を巻き込んでいる。

 だが、これに関してセイバーは内心で決着を付けている。

 

 敵サーヴァントと敵マスター、どちらも脅威である以上、アレは手段としてアリだと。

 真にマスターが外道ならば民間人の避難を無視してビルを倒壊、不意を打つことも出来ただろう。だが、そうはしなかった。だから、あの一件はセイバーにとって黒よりのグレーだ。

 

 故に今セイバーを追い詰めているのは其処ではない。即ち、切嗣をアインツベルンの傭兵として補足し、聖杯戦争に横から首を突っ込んでいる部外者を殺しに来たと述べている点だ。加えてランサーも動かないとなればそれは魔術師同士の決闘以外の何物でもない。

 しかし、はい、では切嗣を呼んできます。とはならない。

 

「…その一件については謝罪しよう。ランサーのマスター。どうやら彼は貴殿を今まで殺してきた凡百の魔術師と同一視してしまったようだ。おかげで聖堂教会に睨まれ、抗議文が届いてきた。

よって彼は先の失態を取り返すため、キャスター捜索の為打って出ている。残念ながら不在であるし、キャスター捜索の手が減じるのは聖堂教会も本位では無いはず。機嫌を損ねたくないのなら、彼との決着はキャスター討伐後まで待たれるほうが良いだろう」

 

 腹芸は好きではないが、出来ない訳もない。魔術師と聖堂教会は天敵同士、という情報は(切嗣がアイリスフィールへ教えていたのを聞いた為)知っている。時計塔のマスターであるなら危険な橋は渡りたくないはずだ。

 

「誠に残念なことだが、その提案は却下させていただく。何しろ人の魔術工房を何の対策もなく吹き飛ばすような愚か者だ。聖堂教会はむしろ排除に賛成だろう。故に…」

 

 ケイネスはさらに、一歩を踏み込む。

 足を振り上げ、足元に伸びる一本の鋼線を踏み潰すように。

 

 直後発生するのはC4爆薬の爆発。伴って高速で飛来するベアリング球1400発。

 クレイモア対人地雷。ワイヤー信管などと言うオタワ条約に真っ向から喧嘩を売っている代物は極めて優秀な殺傷能力を発揮して、アインツベルンの内装を容赦なく粉砕した。もちろん…

 

 「品性に欠けるが、少しばかり手荒に行くぞ、ドブネズミめ」

 

 渦中の人物、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトには埃一つ付いていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おじさんどいて。そいつころせない」

「ごめんなさい、おじさん」

 

この一幕を切り取れば、さも物騒な展開に発展したかのように見えるだろう。大丈夫、表面張力限界まで膨らんだ水面のような緊張感は、今は幾分和らいでいる

 

「むうう。次は、ここ」

「あたらないよ、そんなの」

「じゃあ次はこう、こう、こう」

「だから、無駄。こことここ」

「あ」

 

 

YOU WIN

バトルロワイヤル形式ゲームにおいて桜のアバターキャラが最後に残り、高々と拳を掲げている。現実の桜ちゃんも同じようなポーズをし、我に返ってまた表情を隠す。最後の接戦を演じていた少女セイヴァーも悔し気であるが、どこか微笑まし気で穏やかだ。少なくとも実力行使になるような展開は無いだろう。

おじさん?開始2行後の行間で倒されたよ。

 

『ボンバ〇マン』

 

平面見下ろし型の2Dアクションゲーム。プレイヤーは爆弾魔となって爆弾を設置、3秒後に爆発し、上下左右の4方向に発生する爆風でオブジェクトや敵モブ、対戦プレイなら敵プレイヤーを攻撃するという、実にタイムリーな作品だ。

 (極めてどうでもいいが、例のホテルのオーナーが親父だった為、損害を回収すべく今保険会社と喧々諤々の鍔競り合いをしている。流石に間桐家の金の話になるので親父はその方面に集中していて欲しいところだ。)

 

 

 

 

 桜ちゃんが部屋に入ってきて暫く、緊張の空白時間が発生した。だが、桜ちゃんはセイヴァーを見つめたまま動かなかった。

ふと、可能性を感じたのだ。だから俺はなけなしの度胸と気合を駆使して…

 

『────やるか?』

 

 

 そう、提案してみた。

 桜ちゃんは今まで多分テレビゲームなんてしたことが無い。魔術師と言うのは基本機械関係が嫌いだから時臣の家には下手すればテレビすら無いだろう。そんな彼女がゲームに好感触を抱くかどうかはかなり分の悪い賭けだったと思う。でも。

 

『────やる』

 

 そういって雁夜を挟んでセイヴァーの反対側にボスッと気の抜けた音を立てて腰かけたのだ。

 それから、流石に3人で1対1のゲームをするのは違うだろうと思って取り出したのが、『ボンバ〇マン』だったというわけだ。

 

 

 

 

 

最初こそボタン操作の覚束ない桜ちゃん含め、およそ全員自爆したりしていたが、今ではセイヴァーと勝利を競っている。

おじさん?おじさんは大人だからね。二人が仲良くなるための三枚目って奴さ。

だが、しかし。

 

「だからって12回連続最下位は納得いかねえ!ここらで大人の本気見せてやる‼」

「あ、まって、ダメ…‼」

「よっし‼」

 

 

 

 

 

YOU WIN

堂々とウィナーポーズをとるのは黒色のボンバーマン。現実においても堂々たるウィニングポーズを掲げるのは桜ちゃんだった。一拍置いてすぐさま表情を隠す。

 

 

「こほん、わたしに逆らうから」

 

 …葵さん。すみません。どうあがいても間桐家は、教育的に悪すぎました。

 因みに何故か桜ちゃんの反対側の肩にすごい連撃が響いてくる。なんで?

 ボスっと気の抜ける音を立てながら桜ちゃんはまた深くソファに座りこみ、続きを促す。だが続行を選択できるのは1Pのセイヴァーだ。

 連撃が止まる。だがゲーム画面は動かない。振り向いてみればセイヴァーの表情から穏やかさが消え、怜悧な雰囲気を纏っている。

 

 背後に現れたのは黒衣の剣士

 

「アインツベルンの城で戦闘だそうだ。向かうかどうかはお前に任せる」

 




作者はボンバ〇マンをやったことがありません。
この時代にスマブラかエアライドがあればなぁ。
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