悪魔と魔女の物語   作:ゾキラファス

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 先週、ジークアクスの先行上映を観てきました。

 開始数秒で「!?」の連続でしたよ。あれは確かにネタバレできないよね。あとコモリちゃん可愛い。

 今回はほぼギャグ回みたいな感じです。それでは、どうぞ。


最悪の1日

 

 

 

 

 

「なぁ、本当にやるんだな?」

 

「ああ。既に手紙も書いてきた。それに書類も全部記入済みだ」

 

「俺もだ。覚悟はできている」

 

 学園内のあまり人が立ち寄らない倉庫。そこには、数名の男子生徒が何やら話をしていた。

 

 足元に、鉄パイプが数本置かれている状態で。

 

 彼らはこれから、ある計画を実行する。それはなんと、とある生徒への襲撃計画。本来なら、いくらアスティカシア学園でも誰もそんな事やらない。なんせ生徒同士でそういう事がないように、決闘システムがあるのだから。相手が気にくわなかったり、喧嘩をしたいのなら、その決闘システムを使えばいい。でも彼らには、こんな手段を取らないといけない理由がある。

 

「でもさぁ、勝てるか?いくら右腕を怪我しているとはいえ、相手はあの地球寮の悪魔だぞ?」

 

 襲撃するターゲットが、ここアスティカシア学園でも屈指の実力者だからだ。本来なら、しっかりと学園の規則に則って決闘をするべきなのだが、彼は強い。あの水星のホルダーと互角かそれ以上に強い。間違いなく、自分達では勝てない。

 更に彼には現在、悪魔というあだ名がついていた。これは彼が、先の決闘で恐ろしい戦い方をしていたせいである。敵を容赦なく潰し、勝利を手にする無慈悲な怪物であり、主人である魔女の為ならば、自分を犠牲にする事も厭わない悪魔。所属が地球寮なので、そこも合わせてついたあだ名が『地球寮の悪魔』。それが、彼のあだ名である。

 あの決闘以降、他のスペーシアン達は地球寮の生徒に対する嫌がらせをきっぱりやめている。それまでも例の食堂での騒動のせいで嫌がらせはほぼ無くなっていたが、決闘以降はもう完全に無くなった。誰も、悪魔に目を付けられたくないからだ。

 

 そんな悪魔相手に、正面から戦っても勝てる訳が無い。

 

 だから彼らは、こうして決闘外での襲撃という最低な手段を取る事にしたのだ。

 

「それにさ、流石に怪我人を攻撃するのは…」

 

 おまけに彼は、現在右腕にギプスをしている。いくら何でも、そのような怪我人相手に襲撃をするのは、気が引ける。

 

「じゃあお前ら、このまま黙って見過ごせっていうのか?」

 

「それは、嫌だけどよ…」

 

 しかし、彼らにも引けない理由がある。このままでは、本当に大変な事が起きるからだ。

 

「俺は腹くくった。後悔するなら、やってから後悔したいし」

 

「まぁ、両親には泣かれるだろうけどな…」

 

 今回の襲撃で、色んな所に迷惑がかかるだろう。それでもやはり、引けない。引いてなるものか。

 

「……わかったよ。ここまで来てやめるなんてしないって」

 

「俺もやる」

 

 最終的には、全員が覚悟を決めた。その時、1人の端末から音が鳴る。

 

「監視している奴から連絡だ。ターゲットが来たらしい」

 

 どうやら、襲撃をするターゲットが現れたとの事だ。

 

「よし、行くぞ!」

 

 そして彼らは、顔を覆面のような物で隠して、襲撃する為に移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 グラスレー寮 寮長室

 

「ええ。では、ルートは月とは反対側の17番のルートを使用します。いいですね?」

 

『それは構わないが、えらい遠回りだな?もっと近道がある筈だが?』

 

「モノがモノですので。可能な限り、誰にも会わずに、そして見つからずに運んで欲しいのです」

 

『そうかい。そう言う事なら、これ以上は何も言わん。ま、金額分はしっかり働くさ。例の残骸は、責任もって運んでやる。その前に回収作業があるがな』

 

「はい、お願いします」

 

 シャディクは端末を使って誰かと会話をしていた。

 

 内容は、地球で見つけた天使の亡骸、破壊されたモビルアーマーについて。

 

 元々シャディクは、スレッタと三日月が決闘をした後直ぐに、地球でガンダムフレームの捜索を行っていた。アレさえ手にする事ができれば、自分が秘密裏に計画しているあの作戦も、スムーズに進むと考えたからだ。

 

 しかしシャディクが見つけたのは、悪魔ではなく天使の方。

 

 最初その報告を聞いたシャディクは、つい冷や汗を流した。なんせもしモビルアーマーが休眠状態だった場合、下手に起こしてしまうと地球で取り返しのつかない大惨事が起きかねないからだ。

 いや、大惨事くらいならまだいい。本当に最悪なのは、モビルアーマーが復活し、厄祭戦が再び勃発する事。そんな事になってしまえば、今度こそ人類は終わりだ。英雄アグニカもいないのに、誰が最悪の無人兵器であるモビルアーマーを討ち取れると言うのか。

 

 だが調べてみると、見つけたモビルアーマーは完全に破壊されていたのだ。

 

 動力部は木っ端みじんになっており、体もあちこちがボロボロ。肝心のAIもうんともすんとも言わず、誰が見ても死んでいる状態。無事と言える部分は、全体の3割程度。そこから更に調査を依頼した夜明けの地平線団に念入りに調べさせた結果、見つけたモビルアーマーが動く事は無いと判断するに至った。

 そしてシャディクは、そのモビルアーマーの亡骸を秘密裏に運ぼうとしているのだ。養父である、サリウスにも内緒で。

 

「運び終わるのは、早くて3週間後くらいだね」

 

 地球では現在、モビルアーマーの亡骸の発掘作業を行っているが、その作業速度はかなり遅い。先ず、万が一モビルアーマーが目覚めてしまうかもしれないので、モビルスーツは使えない。なのでモビルクラフトを使っているのだが、他の企業や勢力に気づかれないようにしないと

いけないので、大規模な回収作業をする事が出来ない。秘密裏に、それでいて素早くしないといけないのだ。そこから目的地までの遠回りルートを使うので、運び終えるのは早くてもそれくらいかかってしまう。

 だがこれでもかなり早い方である。普通に回収作業をすれば、最低でも2か月はかかりかねない。それを数週間でしてしまうあたり、彼らは相当に優秀なのだろう。

 

「うん、美味しい」

 

 今回は運ぶ品物が品物なだけに、考える事が多すぎた。少し疲れたシャディクは、サビーナが新しく淹れた紅茶を飲む。

 

「それにしてもシャディク。あんな物運んでどうするの?」

 

 紅茶を飲むシャディクに、メイジーが話しかける。シャディクが地球のテロ組織『夜明けの地平線団』に仕事を依頼し、地球でモビルアーマーを発見しているのは知っていた。

 しかし、それをどうするかをまだ知らない。折角全員集まっているのだ。この期に是非聞いておきたい。

 

「まさかとは思うけど、あれを量産するとか考えてないよね?」

 

「流石にそんな事しないよね?」

 

 今度は不安そうな顔でイリーシャとエナオが尋ねる。もしもモビルアーマーが量産されてしまえば、莫大な富と絶大な力を手にする事はできるだろう。だが同時に、世界を終わりに導く事にもなりかねないのだ。大昔の人類も、モビルアーマーを制御出来ず滅びかけていると伝わっている。

 

「いやいや、そんな事しないさ」

 

 勿論、シャディクはそんな事考えていない。いくら何でも、人類滅亡の道筋を作るなんてしたくないし。

 

「じゃあ、一体何を?」

 

 今度はレネが質問する。その質問に、シャディクが答える。

 

「俺達はいずれ、あの計画を実行に移す。その為にも、あの力は是非有効活用したい」

 

 シャディクには、ある計画がある。まだ準備段階ではあるのが、必ず実行に移さないといけない計画だ。

 しかしその計画を実行しても、結果が得られるにはかなり時間がかかる。だがそれが実現するために繋ぎとして、モビルアーマーはある意味うってつけなのだ。計画が実現するまでの間、モビルアーマーを使って時間を稼ぐ。それがシャディクが、モビルアーマーを回収する理由だ。

 

「ま、その時に使うのはオリジナルからコピーした劣化品になるだろうけどね」

 

 と言っても、回収したモビルアーマーをそのまま地球で使う訳では無い。地球で使うのは、性能を落とした模造品にする予定だ。

 しかしその模造品を作るにも、データが必要。だからシャディクは、回収しているモビルアーマーを1度どこかで使用し、そのデータ収集をしようと考えている。そして丁度良く、戦闘データ収集ができそうな催しが数か月後にある。そこで復元したモビルアーマーを使い、データを収集する予定だ。

 

「俺も、モビルアーマーを完全復活させる気は全く無いよ。計画が実現したら、モビルアーマーは直ぐに破壊するつもりだし」

 

 当然、その結果完成したモビルアーマーをそのままなんてしない。そんな事をしてしまえば、計画も何も無くなってしまうかもしれないから。シャディクの目的は、破壊ではなく改革なのだ。その為に力は必要だが、その力をずっと持ち続ける事はしない。

 そもそもあの力は、あまりに強大すぎる。だから計画が実現したら、全て破壊するつもりだ。

当然、技術流用も絶対にしないよう徹底する。少しでも技術流用をしてしまえば、それだけで量産されかねない危険があるから。

 

「尤も、データ収集する為に復元するにしても、300年前の姿そのままには出来ないだろうけどね。見つかった状態がボロボロって話だし、大部分は現代風になると思うよ」

 

 しかしシャディクの言う通り、発見したモビルアーマーを完全に元の姿にする事は叶わないだろう。なんせ本当にボロボロの状態なのだ。報告では内部データも破壊されているので、当時の事を知る事も不可能らしい。

 

 だが、主兵装である高出力ビーム砲は無事らしい。

 

 それなら大丈夫だ。それさえ無事であれば、いくらでもなんとかなる。

 

(できれば、ガンダムフレームを発見したかったんだけどな)

 

 しかし、今回のこれは正直言えば予定外のプランである。元々シャディクは、バルバトスと同じガンダムフレームを探していた。もしあれが見つかれば、計画を大幅に実現できる錦の旗になりえた筈。でも、見つからないのなら仕方が無い。今後も探索は続けるが、望み薄だろう。

 

(仮にだが、もしもあの英雄アグニカのガンダムフレームが手に入れば、いや、考えるのはよそう…)

 

 仮に、あのアグニカ・カイエル専用機と言われたガンダムフレームを手にする事が出来れば、シャディクの計画は大幅に進める事が可能だろう。

 しかし、そんな美味い話は無い。そもそもアレは、アグニカ戦記によるとアグニカ自身の手によって破壊されていると書かれているので、無い物ねだりになってしまう。これ以上は脳の無駄遣いと思い、シャディクはそういった考えに蓋をする。

 

「やはり、私は反対だ」

 

 その時、サビーナが口を開く。

 

「シャディク。今からでも遅くない。今回の件はサリウス代表に報告すべきだ」

 

 実はサビーナ、今回のシャディクの考えに否定的なのだ。シャディクはモビルアーマーを完全復活させる気はないと言っているが、万が一があるかもしれない。むしろ、それを利用するのではなく、この事を全部サリウスに報告した方が色々と有意義の筈。

 

「大丈夫だよ。何度も言うけど、モビルアーマーをそのまま復活なんて絶対にしない。そもそもエイハブリアクターが無いから、完全復活なんて不可能だしね」

 

「しかし」

 

「全責任は俺が取る。だから心配しないでくれ」

 

「……わかった」

 

 正直納得はしていない。でもあの力が必要なのも理解できてしまうので、あまり強く言えないのだ。だからサビーナは、渋々だが納得する。何もない事を祈って。

 

「そういえばレネ。彼から例の賭け事について連絡はあったのか?」

 

「……まだ」

 

 ここでシャディクは、レネに質問をした。内容は、決闘の賭けについてだ。レネはあの決闘で、自分を好きにする権利を三日月に賭けていた。

 そして三日月は、その権利を見事手にしている。だが未だに、三日月からなんの連絡も無い。その事に、レネは少しだけ不満気味。

 

(大丈夫。既に新しい下着は用意しているし、防弾チョッキも秘密裏に買ってる。ホテルも、ちゃんとした場所を吟味して選んでる。もしそういう事を言われても、準備は万端!だから大丈夫!)

 

 しかし、準備は万全である。レネは本気で、三日月とそういう事をしても良いと思っている。

そもそもそれが賭けの内容だったし、それを反故にするのは自分のプライドが許さない。なのでしっかりと準備をしてきた。後は、三日月から連絡を受けるだけである。

 

そんな事を思っていると、寮長室に電子音が鳴り響く。

 

「あ、私だ」

 

 どうやら、レネの端末に電話があったらしい。

 

「もしもしシュウジ?どうかしたの?」

 

 何時もの猫を被ってる声色で、電話に出るレネ。こうして瞬時に切り替える事が出来る辺り、やはりレネの演技力は凄いとシャディクは再認識。

 

 

 

「は?」

 

 

 

 しかし直ぐに、声のトーンがかなり低いのに変わる。この時レネは、心底驚いた様な顔をしていた。まるで鳩が豆鉄砲を食ったような。

 

「うん、わかった。教えてくれてありがとね」

 

 レネは電話を切ると、直ぐに立ち上がり、

 

「ごめんシャディク!ちょっと出かけてくる!!」

 

 そう言い残し、大急ぎで寮長室から出て行くのだった。

 

「何かあったのかな?」

 

『さぁ?』

 

 とりあえず、戻ってきたら話を聞こうとその場の全員が同じ事を思ったりした。

 

 

 

 

 

「遅くなっちゃたわね」

 

「ですね」

 

 日が落ちた学園の歩道。そこには、ミオリネとスレッタと三日月の3人が並んで歩いていた。3人は先程まで、ミオリネの温室でトマトの世話をしていたのだが、ちょっと何時もより熱が入ってしまい作業に没頭。その結果、何時もより遅くなってしまったのである。

 

「三日月。腕は大丈夫?」

 

「うん、特に問題ないしね」

 

 スレッタは、隣にいる三日月を気遣う。今三日月は、右腕の肘から手首まで範囲にギプスを付けている。これは例の阿頼耶識の後遺症を隠すための処置なのだが、やはり少し動きづらい。

 そして可能な限り右腕を使わないようにしているのも、ちょっとストレスが溜まる。でもそれも、GUNDが開発されるまでの辛抱だ。

 

「にしても、今日もトマト料理かな」

 

「あ、ダメだよ三日月。そんな事言っちゃ。折角ミオリネさんが取れたてを沢山おすそ分けしてくれてるんだから」

 

 三日月の両手には、ビニール袋に入った収穫したトマトが沢山ある。ここの所ほぼ毎日、地球寮ではトマトを使った料理を食べていた。トマト煮込みやカプレーゼ。トマトパスタに冷やしトマト。どれもこれも美味しいのだが、こう毎日食べていると飽きてくる。

 

「まぁでも、毎日は飽きるわよねぇ…」

 

「えー。他ならぬミオリネさんがそれ言いますか?」

 

「美味しい物だって、毎日食べたら飽きるものなのよ」

 

 そのトマトを作っている本人が言うくらいだ。いくら好物でも、誰だって毎日は飽きる。偶には別の物を食べたい。

 

「それにしても、会社設立まで長かったですね」

 

 このままだとトマトに対する愚痴大会になりそうだったので、スレッタは株式会社ガンダムの話題を話す。シャディクとの決闘に勝利した事で、ようやく設立できた会社。その過程でエアリアルとバルバトスはボロボロになったし、三日月も後遺症を負っている。でもその怪我の功名と言うべきか、おかげで地球寮の皆は一致団結出来た。これなら、会社設立後もなんとかなりそうだ。

 

「まだまだやる事沢山あるけどね」

 

 しかし、問題は山積み。本来作る予定だったGUNDを、より高性能化させないといけなくなったし、そもそも作るに当たって学生だけじゃ限界があるので、どこかから技術者を招かないといけないし、仮に作れたとしても、販売ルートの構築も考えないといけない。それらが現状ほぼ白紙のままなのだ。本当にやる事が山積みである。

 

(あいつの力を借りてれば、多少は楽になったんだろうけど…)

 

 ミオリネは、自分の幼馴染の事を思い浮かべる。もし彼と協力できていれば、その辺の問題もあっという間に解決できただろう。しかし、それはもう叶わない。お互い、共に同じ道を歩む事は2度と無いだろう。

 

『ホルダーになって君を守る。その一言が言えてれば、俺も中に入れたのかな』

 

 昨日、ミオリネの元にやってきて調印を完了させた彼は、静かにそう言った。それは、本心から言った台詞なのだろう。

 そしてその言葉は、かつてミオリネが欲していた言葉である。もし彼がもっと早くその言葉を言えていれば、違う未来もあったかもしれない。

 

(本当に今更だってのよ、バカ…)

 

 自覚は無かったが、多分あれはミオリネにとっての初恋だったのだろう。けれど、全てはもう遅い。どれだけ後悔しても、時間を巻き戻す事なんて出来ないのだ。

 

「……」

 

「三日月?どうかした?」

 

 ミオリネが内心過去と決別していると、突然三日月が足を止めた。

 

「2人共、動かないで」

 

「「え?」」

 

 そして手にしていた袋を地面に置くと、スレッタとミオリネの前に出る。すると、歩道脇にある茂みの中から誰かが出てきた。

 そいつらは全部で5人で、顔にパイロットヘルメットを被っている全身ジャージ姿で、手には鉄パイプが握られていた。どう見ても、強盗や暴漢のそれである。

 

「何?お前ら?」

 

「……」

 

 三日月が殺気を出しながら声をかけるが、不審者達は答えない。

 

「だ、誰ですかこの人達!?」

 

「誰よあんた達。所属寮を言いなさい」

 

「……」

 

 続いてスレッタとミオリネも声をかけるが、やはり無言。その間、ミオリネは手元を隠した状態で端末を使い、フロント管理社に連絡を入れるよう地球寮にメッセージを送っていた。

 そうしていると突然、

 

「ふっ!!」

 

 不審者の1人が、三日月に向かって鉄パイプを振り下ろしてきた。三日月はそれを、難なく避ける。

 

「くそ!!」

 

「くらえ!!」

 

 今度は2人同時に三日月に攻撃をしてくる。だがこれも三日月は、普通に避ける。三日月がこうも簡単に避ける事が出来るのは、眼の前の不審者達の動きにあった。

 

(こいつら、喧嘩した事無いな)

 

 どう見ても、攻撃が遅い。もし多少は喧嘩慣れしていれば、もっと早く鉄パイプを振り下ろす事もできる。なのに眼の前の5人の不審者は、全員少しへっぴり腰だし、何より鉄パイプを持っている手が震えている。

 もしこれが喧嘩慣れをしていて、尚且つ殺意すら持っている状態の不審者であれば、三日月も容赦なく撃退していただろう。しかし流石に、こんな喧嘩素人相手に本気を出す訳にもいかない。スレッタやミオリネとの約束もあるし。でもこのまま避け続けるのもしんどい。

 

(武器を落として、無力化させるのがいいかな)

 

 ならばもう、喧嘩できないようにすればいい。とりあえず手にしている鉄パイプを奪い、歩道脇の茂みにでも投げよう。そう決めた三日月は、直ぐに行動を開始。

 

「なっ!?」

 

 三日月は先ず、1番近くにいた不審者に一気に近づき、手首を掴む。そしてその手首を、思いっきり捻ったのだ。合気道でいうところの、小手返しに近い。

 

「いでででで!?」

 

 手首を掴まれた生徒は、捻った際の痛みで堪らず鉄パイプを落とす。三日月はそれを直ぐに拾うと、思いっきり茂みに向けて投げたのだ。これで1人無力化できた。

 

「く、くそぉ!!」

 

「舐めるなぁ!!」

 

 それを見ていた他の不審者が、三日月に攻撃を仕掛ける。だが三日月はそれを避けて、

 

「うぐ!?」

 

「あぎ!?」

 

 片方に腹パン、もう片方には蹴りを食らわせた。勿論、かなり手加減しているので怪我とかは一切ない。そして攻撃を食らった不審者は、その場に蹲る。その間に、三日月は鉄パイプ2本を再び茂みに放り投げた。

 

(あと2人)

 

 これで3人無力化した。残るは2人。さっさと片付けようと思っていたその時、

 

「う、動くなぁ…!!」

 

 不審者の1人が、大声で三日月にそう命令を下す。

 

「そのままそこでじっとしてろ!じゃないと、こいつが怪我するぞ!いいのか!?」

 

 スレッタに鉄パイプを向けて人質にしている状態で。

 

「え!?な、何!?」

 

 突然、鉄パイプを向けられたスレッタは困惑。そもそもが意味のわからない状況。

 

「ちょっと!あんた今すぐ武器を下ろしなさい!!」

 

 そんな不審者に、ミオリネが声を大にして言う。だってこの状況、かなりマズイからだ。よりにもよって、三日月の目の前でスレッタに武器を向けている。この状況で、三日月が黙っている訳が無い。

 

「う、うるせぇ!!兎に角大人し「やめろ」ぐっ…!?」

 

 そして案の定、不審者はそう言い切る前に、思いっきり三日月に蹴り飛ばされるのだった。

 

「あ…ぐ…」

 

 かなり良い所に入ったのか、不審者はその場で苦しそうな声を出して蹲る。三日月はそんな不審者の持っていた鉄パイプを手にして、残った最後の1人と向かい合う。

 

「ひっ…」

 

 最後の1人は、小さく悲鳴を出す。しかしもう後には引けないのか、鉄パイプは構えたままだ。三日月もそれを悟ったのか、ゆっくりと近づいてトドメを刺そうとする。

 この時既に、三日月の中では不審者を無力化するじゃなくて倒すという結論に至っていた。なんせスレッタに武器を向けたのだ。こんな事、許せる訳が無い。だから倒す。もう2度とそんな事できないようにする。

 

「三日月!ダ「ストッッッップ!!」え?」

 

 このままでは不審者が大怪我をしてしまうと思ったスレッタが止めようとするが、その前に別の誰かが大声で静止させる。スレッタとミオリネが振り返ると、そこにはモーターバイクに乗ってこちらに向かって爆走しているレネが見えた。

 

「あ、グラスレーの人」

 

 三日月もそれに気が付いたのか、鉄パイプを足元に捨てて攻撃を止める。その周りで無力化されている4人と、鉄パイプを持って立っている1人の合計5人の不審者。現場に到着したレネは、モーターバイクから降りてその5人に近づく。

 

「な、何でここに?」

 

 その内の1人が、レネがここに居る事に驚き、つい質問を投げる。

 

「シュウジから連絡貰ったのよ。あんたらが馬鹿な事しようとしてるって」

 

「あの裏切り者…!」

 

 どうやらレネ、誰かから今回の出来事を聞いて大急ぎでここまで来たらしい。そして道に蹲っている1人に近づいて、眼の前にしゃがんでゆっくりと相手のヘルメットを外す。

 

「何してんの、ナブ」

 

 ヘルメットを外されたのは、ナブという名前らしい。

 

「ご、ごめん…実は、いっっつ…!?」

 

「……とりあえず、全員そこに並んで」

 

 このままの状態で話を聞くのもアレなんで、先ずは全員しっかり並ばせる。

 

「えっと、大丈夫ですか?」

 

「す、すんません…」

 

 その間、スレッタは三日月に無力化された不審者に心配そうに声をかけていた。

 

 

 

 

 

「で?何でこんな事した訳?」

 

 歩道に正座する5人の生徒に、レネが問いかける。彼らは全員、グラスレー寮所属の男子生徒で、レネのキープくんとファンクラブの生徒である。名前はそれぞれ、ナブ、ジェジー、ケーン、ラゴウチ、アラガだ。

 

「レネちゃんを、守りたかったんだ」

 

「はい?」

 

 その質問に、代表してナブが答える。

 

「だって、あの決闘で負けたら、レネちゃんはそこにいる三日月・オーガスに酷い事させられるんだろ?そんな事、いくら決闘で懸けたからだと言っても、許容できなかった。だから三日月・オーガスを襲撃して、怪我を負わせて入院させようって考えたんだ」

 

 この蛮行は、レネに対する愛故の行動だったらしい。

 

「だからって、こんな事してただで済むと思ってんの?」

 

 勿論、レネはこんな事望んでいない。いくらレネが負けて酷い事をさせられそうになったとしても、レネはそれを受ける覚悟がある。こんな風に、決闘外で妨害をして賭けを無かった事になんてしない。それにこんな事をすれば、決闘委員会も、そして寮長であるシャディクも黙っていない。

 

「勿論、責任を取るつもりでやったよ」

 

「どういう事?」

 

「俺達全員、退学届け書いてきてここにいるから」

 

「な…」

 

 しかし5人は、全員相当な覚悟を持ってこのような蛮行に及んだらしい。退学届けに署名はしているし、レネに宛てた手紙を書いた。そしてもし三日月を入院させる事ができていれば、自首するつもりでもあった。そうなれば親にだって迷惑がかかるだろうから、自分達の親にも『自分達は生まれてこなかったものと思って下さい』といった内容の手紙を書いている。

 

「だからって、こんな事していい訳ないでしょうが」

 

「そ、そうですよ!暴力はダメです!」

 

 でもミオリネとスレッタの言う通り、だからと言ってこんな真似をしていい理由にはならない。そもそもこの学園では、決闘の賭けは絶対なのだ。そのルールを無視してこのようは真似をするなんて、到底許されない。

 

「三日月・オーガス」

 

 レネは三日月に面と向かうと、頭を下げる。

 

「この子達がこんな事をしたのは、私の責任。罰は私が受ける。だから、この子達には何もしないで」

 

 そして全ての責任は自分にあるといい、今回こんな事をしたキープくん達を見逃して欲しいと言いだす。そもそも、自分が決闘前に皆を焚きつけているのが原因だ。いくら皆のやる気を出させようとしたとはいえ、あんな事言うべきじゃなかった。だから今回の襲撃は、自分の責任。罰を受けるべきは自分であると、レネは考えている。

 

「ま、待ってくれレネちゃん!これは俺達のせいだって!」

 

「そうだって!罰を受けるのは俺達だよ!」

 

「三日月・オーガス!罰は俺達が受けるから、レネちゃんには何もしないでくれ!頼む!」

 

 その様子を見たキープくん達は、直ぐに三日月に土下座をしながら懇願する。彼らも、随分馬鹿な真似をしているのはわかっている。

 けれど、その責任をレネが取るのはダメだ。そんなの、レネに対して迷惑しかかけていないから。

 

「黙ってて。今私が話しているから」

 

 だがレネにそう言われてしまうと、何も言えなくなる。

 

「へぇ、意外だね。てっきりそいつら切り捨てるもんかと思ってたけど」

 

 そんなレネに、三日月は意外そうな顔をする。こんなバカな事をしているのだ。普通であれば、こんな風に庇う真似はしない。何より本人達が自分で責任を取ると言っているし。

 

「馬鹿にしないで。この子らは私のキープくんとファンクラブの子だよ?そんな大事な子達を見捨てるなんて真似、私は絶対にしない」

 

 だがレネは、決してそんな事はしない。そもそもレネは、自分のキープくんやファンクラブの子をかなり大事にしている。

 以前、キープくんの1人が地球寮のリリッケを食事に誘って断られた時もかなり怒っていたし、レネのファンクラブの子をバカにしていた他寮の生徒には決闘を挑んで勝利し、相手を土下座させている。それほどまでに、レネはキープくんやファンクラブの子を大事にしているのだ。

 

「どんな罰でも、償いでもする。そもそも賭けの事もあるしね。だから、この子達には何もしないで」

 

 レネは再び頭を下げて、三日月からの沙汰を待つ。もし三日月が土下座しろと言えばするし、

退学と言えば退学だってするつもりだ。そうなったら、シャディクの計画に参加できないかもしれないけど、その時はその時だ。

 

「ここはあんたが決めなさい」

 

「えっと、三日月。酷い事はダメだよ?」

 

 ミオリネとスレッタは、三日月に決めるように言う。そもそもこの賭け事態、三日月とレネがしていた事だ。そこに自分達が何か言うのは違うだろう。

 

「えっと、じゃあ」

 

 そして遂に、三日月はレネにある事をお願いする。

 

 

 

 

 

 翌日 学園外 中華料理屋 タムラ

 

「あぐ…むぐ…」

 

「……」

 

 その日三日月とレネは、学園の外にあるとある中華レストランにいた。周りには自分達以外にも、ベネリットグループの社員や職員がいる。しかし、学生は自分達2人だけ。おかげでちょっとだけ浮いている。

 そして三日月は、レネと同じ席に着いて注文したちょっと高い中華料理を食べていた。

麻婆豆腐に肉団子。小籠包や春巻き。どれもこれも、学園では食べる事の出来ない品ばかり。おまけに全部かなり美味い。ついスプーンが進んでしまう。

 

 これが、三日月がレネにした命令である。

 

 昨日三日月は、あの場でレネにこう言った。

 

『えっと、じゃあご飯奢って。学校じゃ食べれそうに無いやつを』

 

『……え?そんなんでいいの?』

 

『うん、それでいいよ』

 

 その結果、レネは学園の外にある有名店に来て、そこで三日月にご飯を奢る事になっているのだ。

 尚、この話を聞いた地球寮では今『三日月がレネとデートに行った』ともっぱらの話題になっている。

 

(ご飯って…)

 

 それにしても、あまりにも安すぎる賭けの内容。正直、肩透かしだ。レネは三日月が望めば、死ぬこと以外なら何でもする気だったと言うのに、実際はただご飯を奢るだけ。確かに学生の財布じゃ厳しいかもしれないが、別にこれくらいの値段の料理ならそこまでじゃない。端から端まで全部全部注文とかされたら流石に困るが。

 

「美味しい?」

 

「うん。ちゅうか?って初めて食べたけど、美味しいねこれ」

 

「ま、ここは有名なお店だしね」

 

 でも、これが三日月が望んだ事ならそれで良い。実際彼は今、美味しそうに食べているし。因みに左手を使って食べている。

 

(とても決闘で、私達をボコボコにした子と同じとは思えないわね…)

 

 そんな三日月を、レネは少し不思議そうに見ている。今の三日月と、決闘での三日月が同じに見えないからだ。決闘の時の三日月は、本当に容赦がない。最後の動きが変貌したバルバトスの時は、恐怖すら覚えた。

 だが今の三日月からは、そういったものが全く感じられない。どこにでもいそうな、小柄な男子生徒と言った感じだ。

 

「そういえば、昨日のあいつらは?」

 

「シャディクとサビーナに説教受けて、今は自室で謹慎中」

 

 そして昨日事件を起した5人と密告した1人の合計6人は、数日の停学処分と奉仕活動が罰となっている。三日月が怪我をしていなかったとはいえ、流石に全く罰を与えないというのはダメ。だから停学処分と、それが終わったら学園内の清掃活動を命じている。本人達もシャディクとサビーナにこってり絞られたせいなのか、かなり反省しており、今は自室で大人しくしているらしい。

 

「ふーん。大変だね」

 

 三日月はそう言うと、興味を無くしたのか小籠包を食べる。このままでは食べるのに夢中で会話が無さそうだったので、レネは三日月に話題を振る事にした。

 

「そういえばさ、あんたってスペーシアンなのに、地球寮のアーシアン達を全然差別とかしないよね?あれ何で?」

 

 三日月はスペーシアンだ。そして普通、スペーシアンはアーシアンを見下している。だというのに、三日月やスレッタはアーシアンの地球寮に所属している。普通はそんな事しない。誰が好き好んでアーシアンと一緒の寮に入りたいと思うのか。

 でも三日月は、地球寮の皆を一切差別せずに過ごしている。その理由が気になったのだ。

 

「別に理由無いけど?」

 

 だが三日月の答えは、シンプルなもの。

 

「アーシアンとかスペーシアンとか関係無しでしょ。あいつらはあいつらなんだし」

 

 要するに三日月は、偏見を持っていないだけなのだ。これは三日月とスレッタが、そういった偏見とは程遠い水星で育ったせいである。幼い頃の環境というのは大事で、そこでどう過ごしたかで子供の性格は結構決まる。

 更に地球寮の生徒は全員良い子ばかりで、三日月がイラつく理由が存在しない。最初に衝突したチュチュでさえ、既にちゃんと和解している。よって、アーシアンだからとかいう偏見が無いのだ。

 

「……じゃあもしもさ、私がアーシアンとかでも、あんたは普通に接するの?」

 

 ここでレネは、三日月に更に質問をする。三日月からすれば、少々奇妙な質問だ。だってレネはスペーシアンの筈。なのに何故、こういった質問をするのかよくわからない。でも聞かれたからには答えるべきだろう。そしてその質問に三日月は、

 

 

「当たり前じゃん。あんたはあんただろ?」

 

 

 レネを真っすぐに見て、そう答えた。

 

「……」

 

 するとレネは、ゆっくり息を吐いて天を仰ぐ。今までも、似た様な質問をしてきたレネ。その時は皆、1度怪訝な顔をしたり、少し言葉を濁したりしていた。

 なのに三日月は、一切そういった事無く答えている。こんなの、初めてだ。

 

「レネ」

 

「は?」

 

「私は名前はレネ・コスタ。あんたじゃ無い」

 

 どういう訳か、顔が熱い。心臓も何だかうるさい気がする。でも今は、そんな事どうでもいい。先ずは三日月に、名前を憶えて貰いたい。何故かレネは、この時強くそう思ったのだ。

 

「わかったよ、レネ」

 

 そして三日月は、ようやくレネの名前を覚えた。これでもう、三日月がレネの事を変な風に呼ぶ事は無いだろう。

 

(本当に羨ましい、スレッタ・マーキュリー…)

 

 自分にも、こんな幼馴染が欲しかった。もし彼がいれば、もっと違う人生を歩んでいたかもしれない。レネはそう思いながら、ウーロン茶を一口飲む。

 

「あ、そういえばさ、ああいうのやめた方がいいと思うよ?」

 

「ん?何が?」

 

 その時、今度は三日月から話しかける。これを期にもっと三日月と仲良くなりたいと思ったレネは、その会話に食いつく。

 

「だからキープって奴らとの事。毎晩毎晩そういった事すると、碌な事にならないってスレッタと一緒に読んだコミックに書いてたし」

 

「うん?」

 

 しかし、話が見えない。キープくんと毎晩とは一体何なのか。

 

「待って、もう少し詳しく説明して」

 

 考えても答えが出そうになかったので、レネは三日月に直接聞く事にした。そして三日月はそのレネの質問に、

 

 

 

「だからさ、レネってあのキープくんとかと毎日そういう事してるんでしょ?そういうの、あんまり良く無いと思うよ」

 

 

 

 とんでもない答えを返してきた。

 

「……」

 

 レネ、思考を高速で回転させる。そして三日月の言っている事を、理解したくなかったが理解した。

 

 要するに三日月の中では、レネは毎晩男をとっかえひっかえしている女という事になっているのだ。

 

「ふっざけんな!!そんな事してないわよ!!」

 

「え?そうなの?」

 

 レネは立ち上がり、両手で机を思いっきり叩く。いくらなんでも、その勘違いは無い。

こんな事を言われて怒らない女子など、絶対にいないだろう。それに、これだけは言わないといけない。

 

 

 

「そもそも私はヴァージンだ!!」

 

 

 

 レネは、あれだけキープくんやファンクラブの子がいるのだが、未だにそういった経験は無いのである。だから三日月には言わないといけない。自分は股の緩い女などでは無いと。

 

「……」

 

「あ゛」

 

 しかし言い終えた後、レネは直ぐに冷静になる。周りを見てみると、大勢の客がこっちを見ている。そしてほぼ全員が、何やらヒソヒソと話し始めた。

 

「~~~~!?」

 

「何してんの?」

 

 両手で顔を覆ったレネは、椅子に座って両足をバタバタとさせる。顔は耳まで真っ赤で、湯気も出ているようだ。

 

「私のイメージが…!プライドが…!!」

 

 たった一言で、レネがこれまで積み上げてきたイメージが壊れて行くのをその身で感じる。ここに自分達以外の学園の生徒がいないのが、唯一の救いだろう。

 

「別に変じゃないでしょ。俺も経験無いし」

 

 そしてこうなった元凶は、澄まし顔で餃子を食べていた。まるでレネの事など気にしないといった感じで。

 

「許さない」

 

「ん?」

 

「絶対に許さない!!」

 

 再びレネは立ち上がり、三日月に指を指して言い放つ。

 

「三日月・オーガス!こうなったら絶対に責任取ってもらうからね!!」

 

また大声で話すが、もうレネは周りの事なんで気にしない。それよりするべき事が出来たからだ。

 

「何の責任?」

 

「私に恥をかかせた責任よ!!」

 

 こんな恥をかかせた三日月に、絶対に責任を取ってもらう。でもそれはこの場でとか、決闘で勝ったらとかじゃない。そんなやり方で三日月に責任を取らせるなんて真似、プライドが許さない。

 そしてレネは宣言する。

 

 

 

「あんたは絶対に!私が落としてやる!そして恥をかかせた責任を取ってもらうんだから!!」

 

 

 

 必ず三日月を、落としてみせると。

 

「?よくわからないけど、頑張れば?」

 

 当の三日月は意味がわかっていないが、レネがなんか決意をした事だけはわかった。ならそれを蔑ろにするのも悪いと思ったので、一応激励を送る。

 

「ふん!そんな澄まし顔しているのも今うちなんだから!すみません!エビチリ2つください!!」

 

「は、はい!ただいま!」

 

 その三日月の態度が気に障ったのか、レネは更に怒りのボルテージを上げる。同時に、大声を出した事でお腹が空いたので、追加でエビチリを食べる事にした。レネの態度にビビったホールスタッフは、直ぐにその注文を受け取り、オーダーを出す。そして届いたエビチリを、レネは全部綺麗に平らげたのだった。

 

 

 その後、その中華料理屋では『アスティカシアの学生が変な痴話喧嘩してた』という噂が流れたとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アスティカシア学園 ジェターク寮 寮長室

 

「どうだった2人共!?」

 

「ダメっす!寮内もくまなく探しましたけど、いませんでした!!」

 

「デミトレが保管されてるモビルスーツ格納庫も探しましたけど、どこにも…!」

 

 ジェターク寮の寮長室では、グエルに代わって新しい寮長になったラウダが、フェルシーとペトラからの報告を受けていた。

 3人は今、とある生徒の行方を捜している。事の発端は、何時ものように隠れて例のテントに行った時だ。何時もそこにいる筈の人物が、どこにもいない。最初こそトイレかなにかだと思っていたが、ラウダがテントの中にあった手紙を見つけて事態は急変。

 ラウダは直ぐに、秘密裏にジェターク寮の生徒に捜索願いを発令。しかし捜索が開始されて2時間、未だに見つからない。ラウダは机の上に綺麗に広げている手紙を見る。

 

『ラウダへ。俺は暫く姿を消す。いずれ必ず戻って来るが、それまでお前や父さんや皆に迷惑を掛ける事を許してくれ。自分勝手な兄ですまない』

 

 そこに書かれていたのは、兄グエル謝罪の言葉。そしてグエルは今、行方不明となっている。もしかすると、既に学園にはいないのかもしれない。そうだとすれば、探すのはかなり難しい。

 

「兄さん、一体どこに行ったんだ…?」

 

 ラウダは両手で頭を抱え、敬愛する兄の行方を心配する。

 

 

 

 だが結局、それから数日たってもグエルが見つかる事はなかった。

 

 

 

 

 




 これでレネもヒロインレースの乗れると思う。成就するかはわからないけど。

 そしてシャディクの発見した天使の件なんですが、ちょっと悩んでまして。
 このまま鉄血のハシュマルを出すのか、鉄血から別のモビルアーマーを出すのか、他のガンダムシリーズのモビルアーマーを鉄血のモビルアーマーとして出すのか、はたまたオリジナルのモビルアーマーを考えて出すのか。
 どれがいいですかね?私的には、他作品から出してみたいと思っていたりするのですが。その方が面白そうだし。それに本作だとハシュマルは、既にプロスペラが回収して、バルバトスの強化素材になってるしね。あと単純に、エイハブリアクター無しであの動きは出来ないだろうとも思ってるけど。

 参考までにアンケート設置しましたので、お時間あればお答えください。

 そしてよくわからない箇所や、おかしなところや、矛盾点などがありましたら言って下さい。修正しますので。

登場させるMAは?

  • ハシュマルを出す
  • 他の鉄血のMAを出す
  • 他シリーズのMAを出す
  • オリジナルMAを出す
  • 自分で決めなさい
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