作者、そこまで深い事考えていません。
正直、見てくださっている皆さんの方が凄いと思う。いや、本当に。今後も皆さんが納得できる作品になれるよう、チマチマ努力しながら更新しますので、何卒宜しくお願い致します。
そしてキャリバーン、買えませんでした。
あと今回は説明会です。
(腹へった…)
拘束されて既に3日目。三日月はいい加減、空腹に耐えかねていた。一応、これまでも食事は与えられてきたのだが、食事係のフロント管理社の職員が揃いも揃って三日月を怖がっており、三日月に食事を渡すのにトングを使うというシュールな状態になっている。
まるで動物園の檻越しの肉食獣に餌をやっているような扱いだが、初日に聴取係に重体を負わせたのだからこの対応も仕方が無い。
そしてその間食べた物と言えば、水星でも食べたクッキーのような宇宙用固形食と水だけである。ハッキリ言って物足りない。せめてもう少しくらい沢山食べたい。
(それにいい加減、このままはキツイなぁ…)
更にトイレ以外ずっと拘束されているこの状態。これが結構きつくなってきた。水星では筋トレをよくやっていた三日月。そのおかげもあってか、身体を動かすのは好きな方だ。
しかしこうしてずっと拘束されていると、その筋トレも出来ない。いくら三日月のメンタルが鋼だとしても、そろそろキツイ。もういっその事、この拘束を力づくで壊そうかと思い始めていた。
(そういや、いつの間にか職員がいなくなったな)
因みに今三日月が拘束されている部屋だが、当初は武装したフロント管理社の職員が2人かかりで見張っていたのだが、見張りを担当した職員が全員『精神的にキツい』というクレームを言い出した為、今では部屋の外の扉の前で待機しているという状態になっている。
なっている。
彼らにしてみれば、何時暴れ出すかもわからない猛獣と同じ檻にいるような状態だ。これは仕方が無い。
そうやって何時もの様に過ごしていると、突然部屋の扉が開いた。
「どうも」
軽い挨拶をして入ってきたのは、アスティカシア学園の制服を着ている男子生徒だった。その手には、何かを持っている。
「誰お前?」
「僕はエラン・ケレス。君と同じ、アスティカシアの学生だよ」
彼の名前は、エラン・ケレス。スレッタや三日月と同じアスティカシア学園の学生で、決闘委員会のメンバーだ。そしてエランは軽い挨拶をすると、三日月の拘束を解き始める。
「何してんの?」
「拘束を解いてる。係の人から許可は貰ってるよ」
エランの突然の行動に首を傾げる三日月。これまで、決められた時間以外では解かれなかった拘束。それが急に解かれたのだ。身体の自由が利いて嬉しくはあるが、理由がわからない。
「はいこれ」
そんな三日月に、エランは何かを差し出す。それは平べったく、少し縦に膨らんでいる長方形の箱だった。
「これ何?」
「お昼ご飯」
「食っていいの?」
「勿論」
どうやら、エランが持ってきたのは弁当のようだった。三日月がエランから弁当を受け取り、蓋を開ける。中には厚めのパンで作られたサンドウィッチ。良い焼き加減のされた肉。そしてサラダなどが入っている。拘束されている三日月が食べるには、かなり上等な弁当だ。因みに飲み物は牛乳だ。
「あむ」
そして三日月は、その弁当を食べ始める。拘束中、宇宙食クッキーくらいしか口にしていなかった三日月にとって、この弁当はまさにご馳走。空腹も相まって、今は兎に角食べたい。そうして三日月は、一心不乱に弁当を食べ続けるのだった。
「はぐ…むぐ…」
「……」
その間、エランはじっと三日月を見ていた。三日月はそれを気にする事なく、ただ弁当を食べ続ける。
「ふぅ。久しぶりに腹いっぱい食べれた」
数分後、弁当はあっという間に空になっていた。そこそこ量のある弁当だったが、そんなもの空腹であれば関係ない。
「スレッタ・マーキュリーに感謝するんだね」
三日月が食べ終わったのを確認してから、エランが口を開く。しかも、スレッタの名前を口にした。
「―――何でスレッタ?」
スレッタの名前が出たことにより、三日月はエランを警戒する。もしもエランが、数日前にトマトを食べたあの温室を破壊していたグエルのような事をスレッタにしていたら、容赦しない。弁当の恩はあるが、それとこれは別なのだ。
「彼女に直接頼まれたからさ」
当然だが、エランはグエルのような事は何もしていない。そしてエランは、ここに来る事になった経緯を話し出した。
――――――
「あ、そうだ」
「どうかした?」
エランは三日月がいる独房に来る前、スレッタがいる独房へと足を運んでいた。そして三日月と同じように、弁当を差し入れしていた。それを受け取ったスレッタは、とても美味しそうに弁当を食べる。だがその途中、何かを思い出したように手を止めた。
「えっと、このお弁当のもう半分は、もう1人の方、三日月に渡してくれませんか?」
そして今まで食べていた自分の弁当を、三日月に渡して欲しいとエランに頼み始める。
「どうして?」
「その…聴取係の人曰く、三日月って全身を頑丈に拘束されているらしくて、多分まともにご飯も食べれてないと思うし…だから、せめてこれを食べさせてあげたくて…」
スレッタは、三日月が心配なのだ。取り調べ初日に、聴取係の職員をボコボコにし、それからずっと厳重に拘束中。もしかすると、ご飯を食べていないかもしれない。そんなの三日月が可哀そうだ。
なのでこの弁当を、三日月に分けてあげようと思ったのである。
「……わかった。でも流石に食べかけは悪いと思うから、彼には新しい弁当を渡しておくよ。だから、それは自分で食べきるといい」
「あ、ありがとうございます!」
エランはスレッタのお願いを了承。そしてそれを聞いたスレッタは笑顔になる。こういう経緯があって、エランは三日月に食事を持ってきたのだ。
――――――
「そうなんだ。じゃあ後で、スレッタにお礼言わないとな」
エランから話を聞いた三日月は、ここから出る事が出きたらスレッタにお礼を言おうと決める。同時に、エランの事を『スレッタと自分に弁当を持ってきてくれた良い人』という認識をする事にした。
(やはり、彼のモビルスーツもガンダム?そして彼は…)
そしてエランは、そんな三日月をじっと見つめながら考える。三日月もスレッタも、自分と同じなのではないかと。
同時刻 審問会会場
「ガンダムフレームだと?」
「はい」
プロスペラが言った衝撃の発言。そしてその発言を聞いた幹部の一部は、プロスペラを睨みつける。
「レディ・プロスペラ。ふざけているのか?」
「いいえ。ふざけてなどいません」
「ありえん。ガンダムフレームは300年前に全て破壊されているのだ。他ならぬ、当時人類を守護した組織『ギャラルホルン』を率いたアグニカ・カイエルによって」
サリウスがプロスペラを睨みつけながら言い放つ。だってあり得ないのだ。なんせガンダムフレームは伝説のモビルスーツ。どうして伝説かというと、300年前に存在した72機全てが破壊され、誰も現物を見た事がないからだ。写真すら残っていない。あるのは、存在したという僅かなデータ資料だけ。
その事をサリウスは知っているから、プロスペラに苛立っている。今のプロスペラの発言を例えるなら、おとぎ話に出てくる伝説の剣を持ってきましたと言っているようなもの。そのような存在しないモビルスーツで、呪われたモビルスーツであるガンダムを誤魔化せると思っているプロスペラに。
「どういう意味だ?」
「さ、さぁ…?」
だが半数の幹部は、未だにピンときていない様子。だがこれは仕方が無いだろう。いくらベネリットグループ幹部とはいえ、ガンダムフレームの事をしっかりと知っている者など殆どいない。なんせ伝説扱いをされているモビルスーツな上、そういう歴史を好き好んで学ぶ人間はあまりいないからだ。
「シャディク」
「はい。養父さん」
それを見かねたサリウスは、義理の息子であるシャディクに説明をさせる事にした。
ガンダムフレーム。
それは300年前、人類が絶滅しかけた戦争『厄祭戦』で活躍したモビルスーツシリーズ。当時、天使の名を冠する無人兵器から、人類を守り抜いた守護者。そして、現在の如何なるモビルスーツをも凌駕する圧倒的な力を持った最強のモビルスーツ。
「しかし先程養父さんが言った通り、ガンダムフレームはその全てが破壊されています。当時、人類を天使から守護していた組織『ギャラルホルン』のリーダー、アグニカ・カイエルによって。これは、現存するデータ資料にもはっきりと残されている」
それほどの力を持ったモビルスーツを、当時の人類はどうして自ら破壊したのか。
主な理由は3つある。
先ず、人類を滅ぼそうとした天使を全て破壊したから、ガンダムフレームが必要とされる事が無くなったから。要は、無用の長物となってしまったのである。
次に、ガンダムフレームには特別なリアクターが積んであるのだが、これは周囲に強力な電波障害を引き起こす特徴があった。これのおかげで、あらゆる電子機器が使えなくなってしまうのだ。これでは、戦争でボロボロになった地球の復興すら出来ない。なのでガンダムフレームを破棄したという理由。
そして最後。これが最も大きな理由なのだが、ガンダムフレームがあまりにも強大な力を持っていたからだ。なんせ、当時人類を滅ぼそうとした天使と唯一互角に戦えるモビルスーツなのだ。単純な戦力を計算すると、ガンダムフレーム1機で1個大隊に匹敵するとさえ言われている。
更に先ほど言った電波障害を引き起こすという特徴。これのおかげで、対策をしていないモビルスーツは動く事さえできなくなる。もし並のモビルスーツがガンダムフレームと戦ったら、まともに反撃も出来ずに破壊されているだろう。
これだけの力を持ったガンダムフレームを悪用される事を恐れた『ギャラルホルン』のリーダーであるアグニカ・カイエルが、全てのガンダムフレームの破壊を命令した。
殺戮の天使がいなくなった今、人にはあまりに過ぎた力だとして。
「以上の理由により、ガンダムフレームは全て破壊されている筈です。なので、レディ・プロスペラが仰っているように、バルバトスがガンダムフレームというのは余りに不可解かと」
シャディクの説明を聞いた審問会に参加している幹部達は、皆納得したような顔をする。確かに、それなら可笑しい話だ。そんな大昔に活躍したモビルスーツが、現存している訳が無い。仮に現存していたとしても、あんな風に動く訳が無い。
だとすれば、やはりあのバルバトスもエアリアルと同じGUND-ARMの方のガンダムなのだろう。そしてプロスペラは、それを誤魔化す為に態々そんな言い訳をしたのだろうと。
「いいえ。バルバトスは本物のガンダムフレームです。恐らくですが、先程おっしゃった破壊された筈というのは、その時ギャラルホルンの手元にあったガンダムフレームの事だと思われます」
「何?」
「あのバルバトスは、三日月・オーガスの両親によって火星で偶然発掘されました。機体データにそう記されています」
しかしプロスペラは話を続ける。デリングもそれを止める事なく、話を続けさせる。そしてプロスペラは、バルバトスが見つかった経緯について説明を始める。
三日月・オーガスの両親は、火星でも有数の大企業でモビルスーツの整備士をしていたシロウ・オーガスと、モビルスーツパイロットだったアイナ・オーガス。プロスペラが調べたところによると、2人共相当な腕利きだったらしい。同時に2人は非常に仲睦まじい夫婦であり、職場からの評価も高かったという。
そして今から16年前。2人が所属していた火星の企業が、クリュセシティ郊外にある砂漠で区画整理中に偶然何かを発見。この時発見したのが、バルバトスだ。
企業は見つけたバルバトスを発掘し、クリュセシティにある自社の整備工場まで持って帰った。そして工場でバルバトスを調べ始めた。その時の現場指揮官が、三日月の父親だったらしい。彼はまるで子供の様に興味津々にバルバトスを調べ、遂にはバルバトスを起動させることに成功した。
そしてバルバトスを起動してしまった結果、ある大事件が起こってしまう。
バルバトスには、特別なリアクターが積んである。それは起動すると、強力な電波障害を発生させるのだ。その事を知らずにバルバトスを起動してしまった結果、クリュセシティの全電子機器が破壊された。
テレビにラジオ。作業用のモビルスーツに、病院で使用している医療機器まで。それらが全て一気に停止したのだ。結果、大惨事となる。
信号が止まった事による交通事故なんて軽い被害。中には延命装置を使っていた病院の患者が死亡したり、街が機能不全に陥った事により治安が悪化して暴動が発生し、そのせいで大勢の人が亡くなる事もあった。
だが1番酷かったのが、クリュセシティにあった企業の株や金融に関するデータが消失してしまった事だ。幸い、データのバックアップを取っていて何とかなった企業が殆どだったが、これのせいで甚大な金銭被害を出してしまった。
当然、企業やクリュセシティに住んでいた人は犯人捜しを始める。そして直ぐに、バルバトスを発見した企業を見つけてしまう。これでその企業が全責任を負えば終わるのだが、この時バルバトスを発見した企業は、全ての責任をバルバトスを起動させた三日月の父親に押し付けようとしていた。
その程度でどうにかなるとは思えないのだが、企業の上層部は兎に角人柱が欲しかったのだ。だが三日月の両親はそれを事前に察知し、火星からの逃亡を図った。
そして2人は、バルバトスを企業から強奪。同時に、本当に運良く火星に立ち寄っていた木星圏で活動している企業に助けを求めた。対価として、所属していた企業の金融情報や裏帳簿を手土産に。この手土産と、2人のあまりに不遇な対応を哀れに思い、木星圏のとある企業は2人の火星からの脱出を手伝った。
そして2人は、そのまま辺境の地である水星へと逃げ延びたのだ。当時まだ、赤ん坊だった三日月と共に。
どうしてバルバトスも一緒に水星にいったのかはわからないが、恐らく例の電波障害を木星で起こす訳にはいかなかったので、2人に押し付けたのではないだろうかというのがプロスペラの考えだ。
「随分と、詳しく調べたのだな」
「情報は正確でなければいけませんから」
まさかそこまで細かく調べていたとは思わず、ついデリングは驚いた。そしてそれは、審問会に参加している幹部達も同様である。そもそもシン・セーはベネリットグループの末端企業。そんな末端の零細企業が、どうやってこれだけの事を知ったのか疑問が残る。
だが実際、16年前に火星では街が突然数日間も停電して大変な事になった事件があった。例え作り話だとしても、辻褄は合う。
「質問よろしいかしら?」
「何でしょう?ニューゲンCEO」
そんな中、ペイル社CEOの1人、ニューゲンが手を上げてプロスペラに質問をする。
「あれが本物のガンダムフレームというのならば、あるのかしら?永久機関と言われている、エイハブリアクターが」
その質問に、多くの幹部達が一斉にプロスペラを見た。
「当然です。バルバトスにはオリジナルのエイハブリアクターが、2基積まれています」
『!?』
そして質問をされたプロスペラは、はっきりと答えた。そのプロスペラの返答を聞いた瞬間、周囲がざわめく。
エイハブリアクター。
それは数百年前に、エイハブ・バーラエナという1人の科学者によってつくられたリアクターだ。どのようなリアクターかというと、モビルスーツにも積めるくらいの大きさなのに、たった1基で街ひとつの電力を賄えるエネルギーを生成でき、とてつもなく頑丈。データによると、いかなる方法でも破壊する事は困難との事。
しかし1番の特徴は、半永久的に稼働できるというものだ。1度制作され、起動すればそのまま壊れる事なく動き続けるという、最早魔法としかいえない永久機関とも言えるリアクター。それが、エイハブリアクターである。
だがこれも、厄祭戦以降アグニカ・カイエルによって破壊されている。リアクターだけでなく、その製造方法もだ。
「もしも、エイハブリアクターを解明する事ができれば、パーメットに頼らない新しい動力源を作る事が可能です。なんせ、殆ど永久機関とも言えるリアクター。もしこれが量産されれば、エネルギー問題を一気に解決できます。なのでどうか、バルバトスも認めて下さい」
『……』
沈黙が訪れる。先程のエアリアルと違い、バルバトスの価値はまさに天井知らず。当然、実際に作ってみないとわからない事はあるだろう。例えば、費用対効果が合っていないとか、実際はそれほどエネルギーを生成できないとか。
だがもしプロスペラの言う通り、バルバトスのエイハブリアクターを量産する事ができれば、それはもうエネルギー問題を根本から解決できるとも言える。
この時、審問会に参加している幹部達は、皆同じ思いを抱いた。
『欲しい』
彼らは既に、GUND-ARM疑惑のエアリアルの事はもうどうでもいいと思っている。それより今は、伝説のモビルスーツであるバルバトスの方がずっと重要だ。もっと詳しく言えば、バルバトスに内蔵されているエイハブリアクターが。
「新しいエネルギーですか。興味深いですね」
「そうですね。パーメットがいつまで採掘できるかわかりません。それに代わる新たなエネルギーは必要でしょう」
「ですね。大昔の人類も、石油からパーメットにエネルギーを鞍替えしたように、我々も新しいエネルギーを模索する事は必要かもしれません」
「総裁。いかがでしょう?エアリアルは破棄するにしても、バルバトスの方は存在を認めてもいいのでは?」
ならばここは、多少のリスクを負ってでもプロスペラに協力するべきだろう。その見返りに、エイハブリアクターの情報を求めればいい。
しかし、
「ダメだ」
それすらも、デリングの鶴の一声で却下される。
先程まで多くの幹部達が言葉を発していたが、デリングの一声で皆口を閉じる。
「バルバトスはGUND-ARMでは無くガンダムフレームですが、認めて下さらないので?」
「そうだと言った」
「どうしてでしょう?」
デリングだって、エイハブリアクターには興味がある筈だ。しかしデリングは、頑なにバルバトスを認めるつもりはないように見える。そしてプロスペラが質問をすると、デリングは答える。
「レディ・プロスペラ。貴様は、あの殺戮の天使を復活させるつもりか?」
「そんな気は毛頭ありません」
「だがエイハブリアクターが量産されれば、人はいずれ必ず作るだろう。天使の名を冠する無人兵器、モビルアーマーを」
かつて人類を絶滅寸前まで追い詰めた、天使の事を。
モビルアーマー。
それは人類史上最悪の無人兵器。数十年前のドローン戦争でも、名前の通り無人兵器であるドローンが大量に使用され多くの被害をもたらしたが、モビルアーマーはその比では無い。あれはまさに、人類の敵そのもの。
なんせ搭載されているAIの基本プロトコルが『人類を殺す事』というものである。300年前の厄祭戦は、このモビルアーマーと人類の戦争だった。
そしてガンダムフレームは、このモビルアーマーに対抗できる唯一のモビルスーツである。ついでに補足しておくと、モビルアーマーがその全てに天使の名前が与えられている。天使の名を冠する無人の殺戮兵器。
それが、モビルアーマーだ。
「私とて、伝説と言われているエイハブリアクターには興味がある。ほぼ半永久的にエネルギーを生成するなど、興味が無い訳が無い。しかし、あれはモビルアーマーの動力源としても使われていた。もしエイハブリアクターを我々が作り出してしまえば、何時の日か必ずモビルアーマーが作られる可能性がある。そしてその時こそ、人類は滅亡するだろう」
デリングは、数十年前のドローン戦争を生き抜いた元軍人。ドローン兵器がどれほどやっかいで甚大な被害を出すかよく知っている。実際、デリングは多くの仲間をドローンにより失った。
だからこそ、人類史上最悪の無人兵器と言われるモビルアーマーを生み出すかもしれないエイハブリアクターを作るとは言えない。もしも再びモビルアーマーが作られたら、今度こそ人類は終わりだろう。
「それこそ、ベネリットグループで厳重に技術管理をすればいいのでは?」
「私が生きているうちはそうもできるだろう。だが例えば私が死んだ50年後は?100年後は?情けないが、その時までベネリットグループが今の形そのまま残っているとは思えない。そしてその時にエイハブリアクターが技術流出してしまえば、それは必ず軍事転用される」
デリングのこの考えは、あのアグニカ・カイエルと同じだった。実は彼がエイハブリアクターに関係するものを徹底的に破壊したのも、再びモビルアーマーが生まれるのを防ぐ為だったのである。
厄祭戦は、まさに人類存亡の危機だった。あの時は、1000年に1人の天才とも言えるアグニカがいたので何とかなった。
しかしアグニカのような天才が、今後現れるとは思えない。もしこのままガンダムフレームやエイハブリアクターの技術をそのままにしておけば、人類は再び戦争に使うかもしれない。
だから破壊した。現物も、技術も。
「私は、厄祭戦を再現するつもりは無い。当然、ドローン戦争も再び起こすつもりも無い。その可能性があるのならば、エアリアルもバルバトスも破壊する」
厄祭戦の再現とも言われたドローン戦争。あの戦争は、本当に地獄だった。今も地球の復興が殆ど進んでいないのが、その悲惨さを表している。
そしてデリングは、それを身を以って体験している。だからこそ、あんな地獄は2度と起こしたくない。
「決まりだ。2機のモビルスーツは破棄。操縦者の生徒も登録を抹消だ」
こうして審問会の結果が出た。これでエアリアルとバルバトスは破壊され、スレッタと三日月は水星に送り返されるだろう。
そんな時だった。
「ん?」
審問会を行っている会場に、誰かが入ってきたのは。
「何の用だ。ミオリネ」
「あんたに文句があってやってきたのよ。このダブスタクソオヤジ!!」
そしてそれは、デリングの1人娘、ミオリネ・レンブランだった。
「……」
独房でスレッタは、膝を抱えて宙に浮いていた。エランからの差し入れを全て食べ、聴取も無い。ありていに言って、暇をしていた。
「お母さん…エアリアル…三日月…」
寂しさ故か、ついそう呟いてしまう。
(というか、三日月本当に無事かな?)
同時に、幼馴染の心配もする。あの後、エランはしっかり三日月に弁当を届けてくれたのか。三日月は今も窮屈な拘束をされているのか。それとも、また誰かを殴っていないか。そんな心配を沢山していた。
(だ、大丈夫だよね?いくら三日月でも、だれかれ構わず殴ったりしない、よね?)
そう思うスレッタだが、正直普通に心配だ。なんせ三日月は、相手が自分より年上だろうが図体が大きかろうが、自分が戦うと思ったら必ず戦う。水星でも、イジワルをしてきた老人に普通に殴りかかったりしていたし。
もしまた聴取係の人から聞いたように、誰かを重体にしているかもと考えると、心配でたまらない。
(あ、何か少しお腹痛くなってきた…)
もしまたエランが弁当を持ってきたら、その時は胃薬を頼もうとスレッタは決める。
「スレッタ!!」
「うえぇ!?」
そうやって考えていると、突然独房に入ってきた者がいた。それは、少し前まで行われていた審問会から帰ってきた花嫁のミオリネである。
「み、ミオリネさん?一体どうして?」
「決闘、するよ」
「……はい?」
「あんたが負けたら退学処分。エアリアルも廃棄処分。あの三日月って子とバルバトスも同じ事をされる。だから、必ず勝って!!ていうか勝て!!」
「……ええ!?」
そして再び、決闘をすると言い出す。
こうしてスレッタは、学校に編入して僅か数日で、また決闘をする事になったのだった。
決闘まで行かなかった…
本作における、超大まかな歴史
地球で戦争勃発→MA建造→なんでか暴走→厄祭戦勃発→アグニカ、ギャラルホルンを結成し反撃→ガンダムフレーム建造→厄祭戦に勝利する→アグニカ「あれ?ガンダムって超強力だから、悪用されたらヤバくない?」→全ガンダムの破壊を決定→アグニカ「あとギャラルホルンは地球復興を一通りやったら解体しよう。権力持ちすぎると碌な事にならん」→アグニカ死後、ギャラルホルン解体→300年経って水星本編へ。
大体こんな感じです。
変なところや矛盾していたら言って下さい。編集しますので。
次回こそ、VSグエル2回目。ついでに鉄血から1人出す予定です。
もし三日月が『可愛いと思ったから』と言い、思わずキスするとしたら誰?(改)
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ニカ
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チュチュ
-
リリッケ
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アリヤ
-
フェルシー
-
ペトラ
-
セセリア
-
サビーナ
-
レネ
-
イリーシャ
-
メイジー
-
エナオ
-
ソフィ
-
ノレア
-
ミオリネ
-
スレッタ