自称最強チート転生者と忘却された勇者   作:ユフたんマン

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時間の流れというものは早いものですね…
今話は考えた技名を出したかったために出てきた戦闘回。これからは回想くらいしか戦闘シーンは出てこない(多分)。


手合わせ

テラシアの持つ大剣が太陽の如き熱量を放ち光り輝く。

 

「“照焼(てりやき)”ッ!!」

 

対する俺は魔法剣に、夜明けの海のように膨大で神秘的な魔力を包み込むように纏わせる。

 

「“水暁斬(すいぎょうざ)”!」

 

光と水が、膨大な魔力同士が弾けて混ざり、凄まじい衝撃を生み出す。木々は燃え果て岩は視認すら出来ぬほど砕かれ、周囲一帯は更地へと変貌する。

 

それでも終わらない。テラシアの大剣に合わせて魔法剣で迎撃する。

 

何故俺たちが戦っているのか…少しだけ時を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……手合わせ?」

 

テラシアがここに住むようになって約1週間。テラシアは朝食をリスのように頬張りながら頷いた。

 

「ここに来てから剣を一度も握っていないからな。このままでは腕が鈍ってしまう」

 

ゴキュリと頬張っていた朝食を飲み込み真剣な顔で俺を見つめる。

 

正直断る理由がない。何故かといえばぶっちゃけ暇だからだ。

これまでのような戦争といった殺し合いは勘弁して欲しいが手合わせなら命を取ることもない。

 

何しろチートを貰っているのだから存分に使いたいと思うのは転生者の性だろう。

俺とほぼ対等に戦える者など希少も希少。バトルジャンキーではないがある程度本気を出せる相手との手合わせなら大歓迎だ。

 

というわけで手合わせすることにした俺は、準備を終えたテラシアを連れてとある場所に飛んだ。

 

…空を飛ぶってことじゃないぞ?ワープの飛ぶって方だ。

俺の魔法の“転念水(てんねんすい)”。この魔法は文字通り行きたい場所を頭に思い浮かべて念じれば転移出来る転移魔法である。

デメリットとしては念じる際に鮮明に場を思い浮かべなければ転移出来ないことだろうか。

だから戦闘中だとそんな暇は無いため、瞬間移動かめはめ波みたいな芸当は出来ない。あんな殺意高い技使うのが主人公ってマジ?

 

あと魔力の残滓が残る為、少しでも魔法に長ける者が居れば簡単に追跡されてしまう。だから魔王城や勇者たちの前で使えなかったってわけ。

 

「ここは…まさかユラドラム!?」

 

ユラドラム。それはこの世界に存在する高い山々と荒れた海に囲まれた人類未踏の地。ここには1匹で国を滅ぼせると言われる伝説級の魔物の住処でもあるこの世界における暗黒大陸。

因みに王国はテラシアが魔王討伐した後はここの調査を命ずる予定だったそうだ。(俺調べ)

剣聖達じゃここは厳しいだろうし勇者がいなくなって頓挫したとは思うがね。

 

ここは俺の魔力発散場所。たまに暴れたくなったらここに来て魔物達相手に暴れ回っている。ここで暴れすぎたせいか、大半の魔物に恐れられてしまったが些細な問題だろう。

 

さぁやろうか、言葉は不要とばかりに剣を構える。人と手合わせ等何年ぶりだろうか。殺し合いは何度もあるけどね。魔族はノーカン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁこんな感じで冒頭に戻るという訳だが…

所謂俺の暇潰し。テラシアに何の目的があって手合わせを願ったのかは謎ではあるがどうでもいい。ストレス発散を兼ねて思う存分戦ってもらおう。

 

「“水槍樂舞(すいそうがくぶ)”」

「“照独(しょうどく)”ッ!!」

 

俺の周りに現れた複数の水の槍をテラシアに向けて放つ。複数の水槍は舞うかのように不規則に襲い掛かる。

テラシアはすぐさま魔法を使う。無数にあった水槍はテラシアが手を翳すと1つの巨大な槍に早変わりする。恐らくだが魔法に込められた魔力が結合された…?それにまだ光の魔法も使えるようだし油断は出来ない。

 

「“照雅焼(しょうがやき)”ッ!!」

 

弾ける炎を纏った大剣で複数の魔法を1つにして正面から叩き斬る。不規則に襲い掛かられるよりも、1つにしてからの対処か。恐らくこの技の対策としては最適解。流石は勇者だな。

だがこれならどうだろうか。

 

「“水星変”」

 

前回の戦いで用いた魔法。今回は前のとは違う。前は逃げるために色々と気を回したが、これは破壊力重視。幻影魔法と変質魔法に使う魔力を破壊力に全振り。ただただ魔力のゴリ押しによる魔力の暴力。並の魔法使いなら一瞬で枯渇するであろう魔力を込めた一撃。

テラシアに向けて水星が迫る。テラシアはそれに対して…消えた。

 

俺は魔法剣を創造し背後を薙ぎ払う。

 

「“瞬照一刻(しゅんしょういっこく)”ッ!!」

 

それと同時に現れたテラシアが背後から奇襲をかけるが見切っている。

魔法剣と大剣がガキンッと甲高い音が周囲に鳴り響く。それだけでは無い。俺の魔法剣に更に甲高い音と衝撃が伝わってくる。

背後に回ったのは瞬間移動。いや、超加速と言ったところか。

 

テラシアの姿がブレる。

再度死角からの一撃。さらに姿を消してまた死角からの一撃。次は死角からと見せかけてのフェイントで正面。

超加速中に放たれた数百の斬撃がコンマ1秒にも満たない間で四方八方から押し寄せる。

それを一つ一つ流して、迎撃しつつ全て受け流す。水を斬れるかバカタレがぁ!!痛、ちょっとだけ斬れた。

光り輝く大剣の軌跡が残光を残し、俺の視界を染め上げる。

 

先程放った水星変が地に落ちる。当然落下地点から移動したテラシアに当たる訳もなく…

 

なんてな馬鹿め、かかったな阿呆がッ!!

 

「な、なにぃぃいい!?」

 

それは幻影魔法で出来た偽物、本物は俺の真上にある。

さらに俺は魔法剣を振り上げる。

水星変は凄まじい速度で俺の剣へと急降下。飲み込むように魔法剣にまとわりつく。

 

「“水波能売命(ミヅハノメ)”」

 

放たれたのは激流。見たことは無いがノアの洪水の如く、全てを押し流す膨大な津波がテラシアに襲い掛かる。

 

 

「“天照(アマテラス)”ッ!!?」

 

大剣に凄まじい熱量を持った神々しく輝く聖なる光が宿り、迫る津波を蒸発させんと衝突する。

光は水を蒸発させ続けるが、圧倒的な物量の前にテラシアは後退し続ける。

 

「くっ!!使えるか…!?“聖照斬”ッ!!」

 

放たれた闇を祓う聖の光を纏った必殺の一撃。光り輝く大剣はまるで古くなった街灯のように激しい点滅を繰り返しているが、問題なく津波をモーセの如く真っ二つに斬り裂いた。

 

 

グギャァァアアアアッッッ!!!?

 

 

斬り裂かれた津波はかつて世界を焼き尽くしたという伝説がある黒龍、リュドラが巻き込まれその儚い生命を散らした。

 

俺のこの一撃を防いだのは見事としか言いようがない。正直この技を真正面から受けられるのは全盛期のテラシアだけだと思ってたばかりに素直に賞賛する。

だがその代償としてもう既にテラシアの持つ大剣は使えない。俺の魔法によって朽ちて、折れて、ヒビ割れて、もう扱える状態ではない。

それでも尚、彼女の戦意が失われることは無いようだ。

 

テラシアが構える。地を這うような低い体勢に、獣のように地を両手で掴む。

この構え…見覚えがある…たしか…

 

「…武闘家ノーツの構え、嚇燐闘術(かりんとうじゅつ)か」

「しゃあっ!!」

 

雄叫びを上げながら地を投げる。大地を掴んで投げる。その反動で使用者が凄まじい速度で飛ぶという訳分からん技術を使うのが嚇燐闘術。

逆鱗に触れた龍のように暴れ回り、周囲全てを破壊しまくることからその名をつけられたバーサーク集団。

これで魔法一切使ってないんだぜ?

 

ステゴロなら俺もステゴロで行かねば無作法というもの。

 

俺も剣を捨てて応戦する。この世界では格闘術もしっかり学んでいる俺に死角はない。もちろん抵抗する。拳で。

 

「“水技(みずぎ)海波(かいぱん)”」

 

水の魔力が俺の腕を纏う。そしてそれが一点に解放されるように弾け飛びテラシアへと向かう。

 

対するテラシアは技とは言えない力任せの大振り。

だが甘く見ることなかれ、大振りのその一撃は腕と空気の間での摩擦熱によって発火。更には空気に混じり宙を舞う魔力の元となる魔素を摩擦熱により融解させて腕に纏う。

どういう原理だそれは。

 

弾け飛んだ水を蒸発させながら貫いたテラシアの拳と俺の拳がぶつかり合う。

そこから拳による激しい応酬が繰り広げられる。

 

“嚇燐闘術”には奥義の1つ以外技がない。何故なら全てが基本だからだ。他の武術で奥義となる技でさえ“嚇燐闘術”は至極当然とばかりにやってのける。全て嚇燐闘術を極める為の道でしかないからだ。

拳を打ち付けた場所に2重の衝撃、熱を纏い発火、電気摩擦で雷撃を伴ったパンチ。

繰り出されるは暴力の嵐。拳の弾幕。

 

それに対する“水技”は受け流す事に特化した武術である。まるで流れる水のように真を掴ませない。

あらゆる攻撃を全て流す。そしてそこから放たれるカウンターは相手の力を利用しているため、相手の力が強ければ強い程効果を発揮する。

 

テラシアの拳が音速を超えて突き出される。それと同時に紫電が走る。それを掻い潜るように交わしてボディブロー。

テラシアはそれがどうしたと言わんばかりに被弾覚悟でインファイト。

それを受け流しながらも鋭い突きをお見舞いするが、テラシアはそれにアッパーを合わせてきた。

俺の顎を正確に捉えて脳を揺らすが、すぐさま衝撃を受け流し中段の蹴りを放ちテラシアを吹き飛ばす。

 

「“水技・掬潤(すくーる)”」

 

吹き飛ばしたテラシアへ追撃。水を掬うように手のひらを空に泳がす。そしてそこから放たれるは魔力が込められた水しぶきの弾丸。

まるで機関銃のようにテラシアへ降り注ぐ。

 

「フンッ!!」

 

テラシアは吹き飛びながらも足を地面に突き刺して急停止。そのまま地面に腕を突き刺して大地を持ち上げる。地面は隆起し、強靭な壁となって水の弾丸を防ぐ。

周りの木々や地面は大きく抉れるが隆起した地面は一切貫けない。魔力で強化しているな…

 

魔力を全身に回す。

 

「“水技・飛磯(びき)…”…ッ!?」

 

動き出す直前、足が止まる。動かない。足に炎が絡み付くように現れる。

 

「“炎結(えんむすび)”」

 

ここに来て炎の魔法?水の俺に光ではなく…!?

 

ほんの一瞬。魔法に気を取られた俺に地面の壁を突き破りながらテラシアがしてやったりと笑う。

すぐさま炎の拘束を弾き飛ばし迎撃の態勢を整える。

だがテラシアの方が速い。

 

蹴りで空気を踏み台にし飛翔からの隕石のような突撃。辺り一面の地面が陥没し、大きなクレーターを生成する。

衝撃波が襲い掛かって来るが、後ろに大きく跳ねたことで威力は軽減されている。しかし砂煙で視界が悪いためテラシアを見失なってしまう。

 

気配。

 

瞬間、俺は右足を前に出して飛来したものを踏み上に飛び上がる。

バキリという音。足裏に瓦礫の感触。

テラシアによる投石。

 

「うおおおおおッ!!」

 

クレーターが生成された際に出来た大量の瓦礫が雨のように降り注ぐ。

圧倒的な物量。空中での回避方法は…

 

「“水槍樂舞”」

 

先程とは違い、空中での移動のために水槍を使用する。不規則に激しく移動する水槍を足蹴にしながら、水槍と共に舞うように空を走る。

身体の端をすり抜けていく瓦礫の弾幕。

厄介だが対処は出来る。

 

飛んできた瓦礫の1つを蹴り返す。それはテラシアにすぐさま砕かれるがここが狙い目。その砕いた時間によるほんの僅かな弾幕の隙間。そこを使い一気に懐まで潜り込む。

 

「ここに来ると…読んでいたぞッ!!」

 

笑うテラシア。そこで俺は彼女が体内に秘めていた膨大な魔力を感知する。テラシアはこれを狙っていた…!隙に見えたのはブラフ…回避…せねば…!!

 

「“多元照法(まるちしょうほう)”…ッ!」

 

照らし合わせ中心に凄まじいエネルギーが発生し、周囲の魔力が吹き上がるように荒れ狂う。

 

見たことがある、この現象を。王国で初めて戦った最後の瞬間、彼女はこの魔法を使った直後に初めて“聖照斬”を放った。だが少しだけ前と違う。魔力の性質が…水に近い…?

 

「“水照(すいしょう)”ッ!!」

 

放たれたのは水晶のように透き通った巨大な水球。中には凄まじい密度の光の魔力が込められている。

 

 

 

 

………なぜお前がその魔法を使える?

 

 

思考が止まり迎撃が遅れた。魔法を撃つにも時間が足りない。

 

受け止めて受け流す。それしかない。

 

魔法剣の創造。その速さは僅か0.1秒ほど。どんな奇襲でも対応出来るように磨いてきた俺の魔法剣。

それは俺の意思と魔力に呼応し、瞬時に通常以上の出力を発揮する。

 

あの魔法は俺が一番知っている。その威力を、その驚異を。

魔法剣に膨大な魔力が注ぎ込まれる。これでも足りるかどうかわからない。

 

 

そして衝突。刹那、腕が弾け飛びそうな衝撃が襲うが何とか魔法剣を離さずに水球へと押し付ける。

 

拮抗する剣と球。

 

「ウォォォオオオッ!!」

 

拮抗して数秒、魔法剣が弾け飛び、魔力が水飛沫のようにキラキラと虹を描きながら飛散する。

同じく水球も真っ二つに斬られていたがこの魔法はこれで終わりでは無い。

 

すぐに水の壁を水球との間に創造する。そして腰に力を入れて腕を突き出して衝撃に備える。

 

爆発。内包する光の魔法が衝撃を受けたことにより大爆発。しかもその場で普通に爆発するのではなく、相手へ向けて、つまり俺の方向へ全ての爆破のエネルギーが襲い掛かる。

 

「グ…ッ!!」

 

体が悲鳴を上げるがそれでも動かす。壁が破られる。貼り直す。また破られる。また貼り直す。

全てを受け止める訳では無い。受け止めるのではなく爆発エネルギーを受け流す。俺の位置だけを避けるように鋭角な壁を創り背後に衝撃を全て受け流す。

 

 

グギャァァァァァアアアッッッ!!!?

 

 

背後から執念と怨念で蘇ったリュドラゾンビが蒸発した悲鳴のような声が聞こえたが無視する。

 

それを数度続けると、ようやく衝撃は収まった。爆破によって舞い上がっていた砂埃も次第に収まり、大規模なクレーター、あちこちが陥没した地面といった酷い様相が姿を現した。

 

さして何の行動もせず佇むテラシア。

気を失っている。

 

魔力枯渇か、気を失ってもなおその闘志は衰えることはない。

手合わせは終わり。テラシアの戦闘不能状態のため俺の勝ち。

だが、だがそんな事はどうでもいい。

 

 

 

どうしてあの魔法が使えたのか…聞き出さなければ。

だってあの魔法は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミネアの魔法なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

「あ゛あ゛あ゛ぁ゛〜…」

 

ザプンと風呂に浸かると淑女とは思えない汚い声が出てしまった。傷と痣が染みるがそれも心地よい。

 

「負けてしまったな…」

 

分かっていた。私が今、ウォルボルクに敵わないことなど。

それでも手合わせを願い出たのは現在の自身の実力の把握。全盛期の半分程も無い。

それでもやはり悔しいなぁ。手加減されていたことも悔しい。

 

だがしかし、分かったことがある。

今回の手合わせではいつも以上に力が発揮出来た事だ。普段ならここまで動けないし対抗出来ない。

普段通りなら最初の数回で動けなくなっていただろう。

何故ウォルボルクと戦った時にだけ力を発揮出来たのか…他との違い…

 

「私への記憶の有無か?」

 

いつも付けている手袋、風呂に入っているので脱いでいるが、本来なら指先が薄く透けているはずだった。

 

「指先が透けていない…」

 

ここに来てから私自身の存在が安定している。

これもウォルボルクが関係しているのだろう。

だがどうしてだ?何故ウォルボルクは私を覚えている?

女神メラシーが直々に私に忠告したのだ。勇者となれば全て忘れ去られ、その後は誰の記憶にも残らず消え失せる。

それでも私は家族を救うために聖剣を授かり勇者となった。

ウォルボルクはこの世の理から外れた存在…?

 

「なんてな…」

 

お湯を掬い肩に掛ける。

気持ちいい。一般的には水浴びか蒸らしたタオルで体を拭くのだが、ここでこうして風呂に浸かっていると王国の宮廷での生活を思い出す。

水を用意するのも沸かすのも、さらにそれを風呂として貯めるのも大きな手間がかかる。

つまり毎日風呂に入るなんて王族や裕福な貴族ぐらいにしか出来ない贅沢な行為だ。

そんな手間を全て1人で一瞬で出来るなんてウォルボルク様々だ。一家に1人は欲しい。

 

それにしても…

 

ミネアとは誰のことだろうか…

 

私の朧気な意識の中で最後に聞き取ったウォルボルクの言葉。

 

『ミネアの魔法…何故テラシアが使える…』

 

「“水照”」

 

ほんの僅かな魔力を練ってあの魔法を再現する。

サイズで言えばトマト位の大きさだろうか。

 

私の魔法の説明をしておく。“水照”の前に使った“多元照法”。これはかつて、或いは未来に存在するであろう技、魔法を模倣し再現する魔法である。未来については憶測に過ぎないが、次元を超えているとゲルデに言わしめたため、案外間違いではないかもしれない。

この魔法で私は“聖照斬”を取得した。

 

だが欠点はある。まずこの“多元照法”は使う技や魔法を選べない。使いこなせていない可能性もあるが、どちらにせよ全盛期の私でさえ扱いきれなかった。

そしてもう1つが、この魔法で再現した技と魔法はその1回限りの使い捨てなのだ。

 

ゲルデに手伝って貰い検証した結果、再度好きなように使えるものは光魔法、つまり歴代の勇者の技のみである可能性が高い。

何せ今まで何度も試してきて“聖照斬”しか使えてないのだから判断するのも難しい。

そもそもの話、歴代の勇者の記録は存在しない。私と同じ様に存在が消え去っているのだろう。

 

かつて女神を殺した魔王や、人間と魔族の文明を壊滅に追い込んだ竜王、世界を混沌に貶めた時王といった勇者でなければ対処出来ないであろう存在がいる時代に勇者はいたと推測は出来るが確証はない。

 

この“水照”はその法則に当てはめるのなら勇者の魔法。だがここ数百年で今回の魔王以外に世界を脅かす存在は産まれていない。記録を見ても300年以上は間が空いている。それなのにウォルボルクはこの魔法を知っていた?

 

ウォルボルクが超長寿の可能性。魔族は人間と同じ程度の寿命のはず、ありえない…が、魔法での不老は聞いた事はないがありえなくはない。光魔法というデタラメな存在もあるのだから。

 

逆に勇者が現代まで生き延びていた…?いや、私が1番分かっている。それは絶対にありえない。

 

ミネア。ウォルボルクのあのような悲痛な声を上げる女性。多分名前からして女性。

 

気になるな…

 

口元まで浸かり、ブクブクと湯の中で泡を立てる。

本人に聞いてみるのが1番手っ取り早いのだが…安易に踏み込んでいい領域ではないのは確かだろう。

その程度は私でも弁えている。

 

時間はある。それにウォルボルクのあの取り乱し具合。いずれ自分から話してくれる可能性もあるかもしれない。

それまで気長に待つしかないのだろうか…

 

 

コッコォォォオオオッッ!!!

 

 

小屋から抜け出したであろう鶏が風呂に乱入してきた。バチャバチャと水浴びをして水飛沫を飛ばしてくる。やったな?と私は軽く鶏を抱き、一緒に肩まで風呂に浸かるのであった。

 

 

いつの間にか上がる頃には温泉卵が出来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テラシア(全盛期)>ウォルボルク>魔王>弱体テラシア(ウォルボルクとの戦闘)>勇者パーティー(テラシア抜き)=他四天王=リュドラ>弱体テラシア>ユラドラムの魔物


・水技
かつて存在した武術。現在継承しているのはウォルボルクのみ。

・テラシア
実はテラシアの本来の適正の属性は炎。光はメラシーによる後付け。名前の由来は照らすから。太陽との関連性から炎。光魔法を聖魔法とよく間違える。

・ウォルボルク
由来はウォーターとウロボロスを合わせたもの。初期案では青山、もう一つがブルー・マウンテンだった。

技名にルビを付けて欲しいと意見があったので皆さんの意見を聞きたいです。

  • ルビを付けて欲しい
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