ゆゆゆ世界にダクソの主人公をぶち込んでみた。(未完)   作:イロマス

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 んー、難産すぎる。最近は納得の行く話が作れない。後々大幅修正するかもしれません。


幕間そのニ 灰の一日

 

 瀬戸大橋。本来は本州と四国を繋ぐ為に作られた橋なのだが、バーテックス襲来によってその役割は失われ、今ではその目的は過去のものとなってしまった。

 灰さんと私達はその近くの瀬戸大橋記念公園にいた。時刻は現在11時。休日な為に人は多いが、今の灰さんの姿は全身鎧姿ではなくジーンズにシャツといったラフな姿でいるのだが、いかんせん目立つ。

 服装にはなんの違和感はないのだが、まず見ない灰を被ったかのような褪せた白髪に、その身に纏う雰囲気に近づく人はもれなく全員が二度見している。

 

「……目立つね」

 

「あそこだけ空気が違いますからね。いつも一緒に居たせいでどれだけ異質なのか忘れていました」

 

「近づくなオーラ凄いな。灰さんはそんな事思ってはいないのだろうけど……あっ、女子高校生が灰さんにナンパしようと近づいていった」

 

は?

 

「千景ッ……!ステイ、ステイ!そんな殺るき満々の目でアイツらを見るなよ!やばっ力強い!ちょっ!若葉助けて!」

 

 離しなさい土井さん!今私はあの女狐どもを鏖殺してやらなければならないの! 

 激情に駆られて走ろうとする私を二人がかりで抑えていると、灰さん達の会話が耳に入る。

 

「ねぇねぇお兄さん。暇?」

 

「暇ならさ、一緒に遊ばない?楽しいよ〜?」

 

「君達は……なるほど、私を誘っているわけだ」

 

「話が早いねー。そういう人……私は嫌いじゃないよ?」

 

 さっきよりも距離を縮めた彼女達の内一人がそっと灰さんの肩に手を掛ける。

それを見た私は──。

 

「……コロス

 

「不味いッ!千景が人に見せてはいけない顔になっている!!」

 

「やべーぞ鏖殺だ!抑えろっ!」

 

「デスクイーンぐんちゃんだ!本当になるんだ!」

 

「友奈さんは何を言ってるんですか!」

 

 キレた。

 修羅の如き殺気に周りの人が青ざめた表情で通って行くがそれを気にするほどの余裕は私には無い。あるのはあの邪智淫乱の女共を亡き者にする、ただそれだけだ。

 

「……ふむ、身体や顔を巧みに使い相手を魅了させるか。それも手慣れている」

 

「どうしたのお兄さん?ボソボソ喋って〜?」

 

「そうそう。そんな辛気臭い……顔……しない……で?」

 

 灰さんが立った。ただそれだけの行為をしただけだというのに女共の動きが固まる。今彼女達の目には先程まで弱々しい姿を晒していた男の姿ではなく、きっととぐろを巻いた業火を背負った巨漢の姿が映っているはずだ。実際のところは目の錯覚だ。しかし、実際に背負っていると思わせるほどの圧と説得力を今の灰さんから感じられる。

 彼女達も漸く目の前の男がどれほどのものかを理解したようだ。先程の色目は鳴りを潜め、獲物を前にして怯える子鹿の様な姿で怯え固まっている。

 

「──貴公ら」

 

「「………ひっ」」

 

 声をかけられただけで怖気付く彼女達。……無様ね。灰さんの二の句を待たずに二人は蜘蛛の子をちらすようにその場を足速に去っていった。

 

「……あそこまで怖がられては私も悲しくなるのだが」

 

「やっと落ち着いた……アイツら面倒なことして……!」

 

 危なかったわ。危うく本気(マジ)で殺しに掛かるところだった。乃木さんと土井さんに感謝ね。

 

「……あぁ。また灰さんに近づく女子高校生の姿が」

 

「やはり色気があるのでしょうかね?」

 

「そんな事言ってる場合か!千景を止めるの手伝ってくれ!」

 

「□□□□〜!!」

 

「ああもうなんでタマがこんなことをぉ!」

 

──2回戦、開始。

 再度憤怒の表情になり、到底人前で言えない様な罵倒を繰り返しながら私はまた二人に抑えられるのだった。

 

 

 

「──ん?」

 

 

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

 少々トラブルがあったものの、次に向かったのは小さなレコードショップだった。

 街中にポツンとある店はマニアの人しか来ないような趣きだらけの店だ。中に入れば外の空気とは違う曇った空気が肺を満たし、目が痛くなるほどのCDジャケットやレコード、ポスターやらが私達を出迎える。

 

「……なんか、圧倒されますね」

 

「ロック、Jポップ、クラシック、何でもありますよ」

 

「初めて入ったが、慣れないな。当たり前か、だが灰さんがこんな所に行くなんて予想だにしなかった」

 

 意外、興味、関心、そのどれもが私達の胸の中を埋め尽くす。私生活では決して目にかかれないような物の山だ。見ていると大衆が知るものからマニアが好きそうなものまで様々あり、そういうものに疎い私でもそれなりに価値が分かるほど歴史を感じさせる。

 

「あ、灰さんがいた」

 

 高嶋さんの声に釣られるように近づいてみれば、ショップの隅にある棚の前で灰さんが悩ましそうにうめき声を上げていた。

 

「あれって、ジャズ?」

 

「あんず、ジャズって分かるか?」

 

「あまり聞かないから分からないかな……でも、なんだか」

 

「妙に様になるな」

 

 私も音楽にはあまり詳しくないが、喫茶店などで流れるジャズを聴きながらコーヒーを飲む灰さんの姿を想像すれば、妙にしっくりくる。

 少しの間、2枚のレコードを見ていた灰さんは一枚を置いてもう一枚を手に取りレジへと向かう。

 

「今日はジャズですか?お客さん」

 

「まあな、クラシックも良いがジャズは落ち着く。こっちの方が私にあっているよ」

 

「そうですか。おっ、C jam Blues。良いですよねぇ」

 

「単調だが、それが好みだ」

 

「にしてもお客さんも物好きだ。いまじゃスマホで何でも聴けるのにわざわざこんな円盤買うなんてそうそういませんよ」

 

「スマホよりレコードの方が味があって好きなだけだ」

 

 レジの店長は灰さんと喋りながら手際よくレコードを入れていく。レコードの入った袋を手渡された灰さんはご満悦な表情で店を出ていった。

 私達も置いていかれまいと足速に店を出る。それにしても今日灰さんの後を追っていて思ったのだが、灰さんも俗っぽいところもあり、意外だった。

 ん?武器集め、あれは習性よ。

 

「あれ、灰さんが居ない!さっきまで歩いてたのに」

 

「本当ですね。どこに行ったのでしょう」

 

「───あっ」

 

「どうした千景。何か心当たりでもあるのか?」

 

 

 嫌な心当たりに声を上げる私に隣を歩いていた乃木さんが反応する。何ごとかと聞いてくる乃木さんに私は言ってよいものかと一瞬言い淀むが、言わないよりマシだろうと思い口を開く。

 

「確か灰さんの持ち物の中に姿を消す物があった気がするわ……横目に見ただけだから確信は……無いけれど」

 

「へぇーそんな物があるんだ!でもなんでこんな所で使うんだろ?」

 

「……まさかバレたなんて事ないだろうな」

 

「いやいや、タマ達灰さんの死角にいたんだぞ?そんなワケ……」

 

 

気配を感じて姿を消してみたら……なんとも可愛らしい追手がいたものだ

 

 

 背後からかけられた声にとっさに振り向くと、そこにはレコードが入った袋を下げながら良い笑顔をした灰さんの姿がそこにあった。

 

「バレてた!」

 

「とっくの前から気づいてはいたさ。千景、私がソウルを垣間見る事が出来ること、忘れてたのではないか?」

 

「あっ……」

 

 完全に忘れていた。そうだ、灰さんはソウルを見ることが出来る。距離関係なく見ることが出来るのならば……。

 

「……初めから気づいていたのね」

 

「ああ。ただ最初は偶然かと思ったが、途中から私の後を追うような動きでいたからな。敵意の無い尾行など可愛いものだしせっかくだからと泳がせていたが……なかなか根気強い」

 

 私の頭にポンと手を置きながら全員に称賛の声をかける。私は皆んなの前で撫でられる恥ずかしさと、久しぶりに灰さんに褒められた嬉しさにニヤニヤ?はにかむ?どちらともとれない微妙な顔になっているに違いない。

 

「楽しかったか?」

 

「──へっ?」

 

「私の一日は君達の楽しみたり得たか、と聞いている」

 

 撫でる手を止めたと思ったら真面目な表情でそんな事を聞いてくる。突然の問いに私は。

 

「えっ……楽しかっ…たわ、です」

 

 なんて、変な返事を返してしまい、恥ずかしさに顔を背けてしまう。

 高嶋さん達も各々の思いを述べていき、全員の思いを聞いた灰さんは真面目な表情を崩し、笑みを浮かべて良かった、と一言言って先頭に行く。

 

「さて、私は帰って買ったレコードを聞いて時間を潰す予定だが。千景達はどうする」

 

 振り返ってそんな事を聞いてくる。偶にはぼーっと音楽でも聴きながら過ごすのも良いかもしれない。そんな事を皆んなと相談し、ついて行く旨を伝える。

 

「せっかくだし、ご一緒させてもらおうかしら。ね?灰さん」

 

「そうか、ならば一緒に戻るとしようか」

 

 そう言って前を歩いて行く灰さんの後を私達はついて行くのだった。

 

 

 

 




 次から本編に行きます。

我々ぐんちゃんを幸せにする会はぐんちゃんのこれからを応援しています。
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