ゆゆゆ世界にダクソの主人公をぶち込んでみた。(未完)   作:イロマス

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 待たせたな(震え声)
 いつの間にか小説のUAは10000を超えて、更にお気に入りももう少しで200に届きそうです。ここまで来れたのは皆さんのお陰ですありがとうございます!
 初めてここすきを見たのですがあれですね、むず痒くて夜な夜なベッドで悶絶してました。
 あとは……出来れば感想と評価が欲しいです!(承認欲求モンスター)



第十三話 奴隷騎士

 

「──ここまで来るといっそ綺麗に見えるな」

 

「うへぇーもう増えすぎだってのバーテックス。シロアリかよ」

 

「タマっち先輩それ言わないで!うぅ、もうそれにしか見えなくなっちゃった」

 

 あれから何日か経ち、何度目かのバーテックスの襲来。やはり前回よりも数を増したバーテックスに若葉達は辟易とした様子だ。

 

「新しい進化体は……見る限り居ないようだが」

 

「だが油断しない方が良いだろう。癪だが、奴らは日々進化している」

 

「今回も不利……ね」

 

 そう言う千景の表情は全くと言っていいほど絶望に染まっていなかった。いつもと変わらない顔で、仕草でスマホを出す。

 

「どれだけ集まっても、私達は負けない!だよね!」

 

「そうだ。奴らがどれだけ集まろうと関係のない事を知らしめてやろう」

 

 数の暴力、それがどうした。常に学習する敵、それが何だ。こっちは暴力を超えた()に何度もボコボコにされてきたのだ。掠りもしない、明確な意思を持って倒しにくる灰に比べれば愚直に突っ込むだけのバーテックスなど恐るるに足らず。

 若葉の声を合図に勇者装束を纏った若葉達は持ち慣れた得物を手に、構える。

 

「灰さん。今だ!」

 

 若葉達より数歩後ろ、いつもの防具を身に纏った灰は右手に持った『宮廷魔術師の杖』をゆっくりと上へと上げる。灰のソウルが震える、杖の先端に青白く光るソウルが集まっていく。溜まる、溜まる、余りの密度に周りの空気が揺れるその光は脅しなどでは無く、明確な脅威、殺意を否応なくバーテックス達に知覚させる。

 そして遂に杖の臨界点に達したその時、挙げられたその手を勢いよく振り下ろす。一直線に溜まったソウルが奔流として放たれる魔術のその名は『ソウルの奔流』。強力な密度と速度、そして強さを持った奔流は何者にも阻まれる事なくバーテックスの群に直撃する。

 蒸発。この言葉がよく似合う程、その威力は高く、そして恐ろしかった。

 バーテックスもその進化体も、さらに樹海すらも消し飛ばす威力に若葉達は覚悟はしていたがやはり驚くしかなかった。

 

「ふう、やはり威力の調整に難ありか。だが先手は取れた」

 

 ボヤきながら灰エストを飲み、若葉達のそばに寄る。

 

「作戦通りね。あとは……」

 

 そう言って若葉に視線を向ける千景。若葉は承知と視線で答え、皆んなより一歩前に立つ。

 

「ここからは私達の番だ!勇者よ!私に続け!」

 

 爛々と光る切っ先を掲げながら、凛とした声で高らかに言う。

 一番手として斬り込む若葉は腰を深く落とし、脚に溜められた力を解放。何キロもある距離を瞬時に詰めた若葉は納刀された刀を顕にし、一閃。バーテックス5体を一太刀のもとに下す。

 戦いの火蓋が文字通り斬って落とされた。

 

「『降り注ぐ結晶』『ソウルの結晶槍』……むっ!『ファランの速剣』!」

 

 右、左、更には上と間隙なく連続して雪崩れるバーテックスに灰は多勢に無勢だというのにかなり善戦していた。

 しかし厄介なものには変わりは無く、無駄に脅威にはならないくせに数だけは多いバーテックスにイライラしていると、偶然近くで戦っていた若葉がこちらを案ずるように話しかけてきた。

 

「大丈夫そうか?灰さん」

 

「大丈夫だ。……ただかなりのハイペースで来るから灰エストの消耗が早い。モテ過ぎなのも難儀なものだな」

 

「その様子では余裕そうだ。この数は灰さんが脅威と見做されている一方で私達は天の神からすればさして脅威でもないと思われているようだな……ハァッ!」

 

「『ソウルの大剣』。いや、進化体をぶつけてくる辺り十分脅威と思われているさ。ただ今回の戦い、進化体の数が少ない。今までの戦いでは既存の進化体は4.5体は居たが……今は3体」

 

「単純に進化体への進化が間に合わなかったか、それとも何か大きなモノの為に温存しているのか」

 

「それか……()()()()()()()()()()、か」

 

「願わくば前者だと嬉しいが。まずは!」

 

「周りの有象無象の掃除か……少しギアを上げるか」

 

 『宮廷魔術師の杖』をソウルに仕舞い、次に取り出したのは剣にしては大きく特大剣に部類されるものだった。その剣は同じ特大剣の中でも分厚く、そして刀身は煙のように歪んだおり、斬るよりも潰すを主軸としたものであった。人が持つには大きく、重すぎるその剣の名は『煙の特大剣』。

 過去、古き遠い地である反逆者が扱ったとされている剣は多勢のこの状況にうってつけの武器だった。

 

「……それ、武器、なのか?」

 

「私も初めは思った。しっかしとある騎士狩りが扱うもんだから武器として使えるのだろう。私もこれを持つのは久しぶりだ」

 

 慣れるにはうってつけだな、と付け加えて軽く素振りをしてみる。風を斬る音にしては重く、鉛のように鼓膜に張り付くその音は風を斬るなどではなく、どちらかと言うと『風を潰す』という表現が合っている。

 戦える。1.2振りしてまだ特大剣の動きを身体が覚えているのを確認した後、両手持ち(筋力1.5倍)にして、更にバフを重ねがけ、過剰とも思える自己強化に若葉は軽く引く。

 

「そこまでしなくても……」

 

「いや、他の皆んなの為にも早急に奴らを倒さねばならない。過剰にしておいて損はない」

 

 そうこうしていると灰の今の姿を隙だと思ったのか一体のバーテックスが物陰から現れた。あっと若葉は声をあげたが灰はそちらの方へは見向きもせず、あと数センチといえる所で軽く煙の特大剣を振るう。

 

「すごい……威力だな」

 

 煙の特大剣がバーテックスの体表に触れたその瞬間、バーテックスは一瞬にして消滅する。あまりに呆気のない終わりに若葉はあんぐりと口を開ける。灰自身も軽すぎる手応えに本当に斬ったのか?と疑問を抱くがこれを見たバーテックスが一気に隊列を成して攻め込んで来たため仕方なく思考を切り替えて応戦する。

 

「ふん!──ぬぅん!」

 

 斬る、転がる、斬る、転がる。神の時代から変わらず身に染みているいつもの動きをしながらバーテックスを斬っていく。若葉達勇者の持つ超人的な脚力を灰は持っていないがためにバーテックスの軍団に突っ込んで暴れるという芸当は出来ないが、彼女達の魅せと派手に重きの置かれた動きでは無く生存と勝利に重きを置いた動きでじっくりとバーテックスを追い詰めていく。

 もし固まって来ようものなら煙の特大剣を盾にして攻撃を防ぎ、カウンターに勝ち上げを見舞わせてやる。

 

「ふん……今更進化体など」

 

 頭上から突然降り掛かる火球を避ければ、飛ばした張本人である進化体が他に二つの火球を携えながら静止していた。

 

「──私も居る事を忘れるな!」

 

 進化体の背後から声を上げて突っ込んでくるのはやはり若葉で、まったく警戒していなかった進化体はモロに若葉の攻撃をくらい、あまりの膂力に吹き飛ぶ。

 しかも吹き飛ばされた先はタイミングよく煙の特大剣の戦技である『踏み込み』をしていた灰がおり、見事進化体は上から下へ一刀両断された。

 

「ここらのバーテックスは倒し尽くしたか」

 

「いや……まだまだ来る」

 

「いい加減腹一杯なんだが……」

 

「それを言った所でバーテックス達は聞きもしませんよ」

 

 やっと一区切りついたかと一息つこうかとしていた矢先にまだまだ壁の向こうから来るバーテックスに収まりつつあったムカつきがまた再燃しそうであった。

 それに樹海のあちこちではまだ戦いの音が止まずに鳴り続けており、まだまだ戦いが終わる気配は無さそうだと不死人御用達の回復、エストを一煽り、念の為と記憶しておいた奇跡『回復』を若葉にかけてやる。

 

「老骨に堪える敵ばかり出しやがって……神の時代でもここまで酷い連戦はなかったぞ」

 

「休みますか?千景から聞いたが最近疲れてるみたいですね」

 

「バカ言え……まだまだ私は戦える。心配するな」

 

 こちとらアレだ、神の時代から灰の時代まで戦い続けた事によって鍛えられた足腰と体力(持久力カンスト)で長期戦には慣れているのだ。そこにスタミナを回復させる効力を持った草『緑花草』を食べればもうアレだ、スタミナ不足など恐るるに足らずだ。若葉にも一枚あげて食べるよう促す。

 

「これ、毒とかないですよね」

 

 過去バーテックスを齧ったんだからイケるはずだと内心言ったが口には出さずただ食えとだけ言う。手に待たされた緑花草を訝しげに眺めたあと、覚悟を決め、一枚丸ごと口の中に入れて何度か咀嚼する。

 

「言い忘れていた。緑花草はかなり苦い」

 

「……遅いです、灰さん」

 

「……すまん。ただ良薬口に苦しと言うから、我慢してくれよ」

 

 至極苦そうな表情をしている若葉だが吐き出しそうになる草を必死に押し留めて一気に飲み込む。

 効果は直ぐに現れた。戦闘で消耗されたスタミナ、特に至近距離で戦い、素早く動く事を強制される若葉はその効果は顕著だった。

 

「すごいな。減ったスタミナが直ぐに回復していく」

 

「そうだろう。ただこれは一時的な効果だから長くは続かん」

 

 だからと言ってもう2枚若葉に渡す。

 

「効果が切れたら直ぐに分かる。そうなったら直ぐに草を食べろ」

 

 左手のヒーターシールドをソウルに戻し、次に草紋が描かれた盾を取り出し装備する。

 

「この盾は草紋の盾と言って、緑花草の効力を常に持ち主に与える盾だ。聞こえは良いが盾にしては薄くそして弱い。攻撃を防ぐには少々心許ない」

 

 まあ、当たらなければ良い話だが。と不敵に笑いながら背中に背負う。

 準備万端。若葉も自分も今出来る事はやった。あとは自分の力で切り抜けるだけ。若葉は緊張に汗を、灰は変わらず不敵に笑みを浮かべながら迫るバーテックスの群勢へと走っていく。

 まだ、戦いは終わる気配を見せない。

 

 

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 ソレは居た。極彩の樹海の壁の更に向こう、四国の外にソレは腐食し半ば折れた剣を支えにジッと佇んでいた。

 形状は人型、年老いた感じもする。しかし身長2メートル超に理性を感じさせない風貌にもしこの場に人が居たならば決して近づこうとしないと確信させる。

 ソレの表情は顔を大きく覆う赤頭巾に隠れて見えない。ふと、ソレの背後にある()()()()()()()()()()()()()()()の物陰から一体のバーテックスが現れる。まだ天の神によって生み出されて間もないバーテックスだ。生まれて間もないバーテックスはソレの事をよく知らない、あくまで自分達を助ける為に()()()()()から生み出された自分達とは別の存在、としか知らない為もっとソレをよく知ろうと近づいていく。

 ふよふよと浮いていき、あと少しで触れる所まで近づいた瞬間。

 

『───!!』

 

 本当に老人かと錯覚してしまうほどの獣の如き俊敏さでバーテックスを掴んだソレは勢いよく地面に叩きつけて空いた手でバーテックスの顎に手をかける。

 バリ、メキャ、と何かが外れる音、固いものが更に強いものによって引き裂かれる音が響き、その後咀嚼音が聞こえてくる。

 無惨にも顎から真っ二つに引き裂かれたバーテックス、しかも完全に消滅しないギリギリ……辛うじて生きている状態に留めておいてソレはバーテックスの一部を食っていた。

 知性も品性も無い四つん這いになりながら必死に喰らい尽くす姿はまるで飢えた猛獣。

 

「足りん……もっと、暗い魂を……」

 

 絞り出すように発した言葉は誰に向けたものか、それは分からない。しかしソレの心の奥底に眠ったチリに満たない理性を繋ぎ止めているのは確かにソレの中にある一つの使命であった。

 

「お嬢様の……為に」

 

 お嬢様。それがソレを完全な獣へと変貌させない最後の砦なのだろう。しかし暴れろ、獣になれと天の神の強制力が働く。それに成らずとなけなしの理性がせめぎ合う。

 苦悶とも懺悔ともとれる慟哭を上げながらソレは──奴隷騎士は高く跳躍する。

 全ては天の神(お嬢様)の為に。

 

 

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 戦闘が始まってから数十分経った。灰と若葉達は順調にバーテックスの数を減らし、あと残り50と少しまでいった。途中灰と若葉の見事なコンビネーションに嫉妬した千景が突っ込む事態があったが目立った怪我もなかった為結果オーライ。

 あともう数分もすればこちらの勝利だ。

 

「何か……変だ」

 

 違和感。救援の為に樹海を走り回る灰の中で、この戦いに対しての引っ掛かりを感じていた。

 

(なんだ……どこが違和感に感じる)

 

「どうしたの?灰さん。何か考えてる?」

 

「……何かがおかしい。なんと言うか……試されているような感じがする」

 

「そうかな?うーん。あっ、そういえば今日のバーテックスってなんだか()()()()()()気がする!」

 

「友奈もそう思うか……念の為だ、奇跡を施してやる。ほら」

 

 友奈に近づくように言って側に近づいた友奈に奇跡『固い誓い』を掛ける。

 

「凄い、力が溢れてくる!」

 

「そう何度も掛けられないからな、深くは期待するな。なんせ──ッ!」

 

 刹那。灰の脳裏に過ったのは一本の剣。しかも鈍重で、刃こぼれし、満足に肉も切れないなまくらのそれであった。それが喉元に突きつけられている感覚。

 嫌な予感。いや、予感よりも確に信じれる確信。

 

「……灰さん?」

 

「何かが来る……しかもデカく、強い」

 

「それって、どういう……」

 

「今すぐ若葉達の元へ行け、なるべく早く、そして……なるべく遠くに逃げろ」

 

「でも、灰さん」

 

「……行け」

 

 ソリット越しから聞こえる声は尚も食い下がろうとする友奈の反論の意思を簡単に霧散させる。

 極度の緊張、恐れ、困惑。灰のソウルが捉えた存在のソウルは勇者、バーテックス、神樹のどれよりも澱み、狂い、そして強力だった。

 

(……だが、何故?あの壁の向こう、奴の気配はバーテックスとのどれもに合わない……()()()()()()()()()()()()()()……圧が強い、そして!)

 

「クソっ!速すぎる!友奈ッ今すぐにそこから離れろ!」

 

 灰の叫びに友奈は一瞬何故と迷ったが、訓練や元から備わっていた武術の勘が瞬時に迫る脅威を察知、友奈に咄嗟の回避行動を取らせた。

 体をできる範囲で丸め、被弾面積を減らす。そしてすぐにでも来る衝撃に備える。

 先程まで友奈のいた場所へ大きなナニカが落ちてきた。

 何が来た、そんな事を考える暇もなく灰は臨戦体制に移る。

 

「これって……バーテックス?」

 

「分からん。だが……いや、まて。まさか……」

 

 砂塵で新手の姿は捉えられないが煙の向こう、醸し出す殺気と狂気はすっかり友奈から抵抗の意思を無くさせた。

 勇者としての矜持、誇り、勇気。三年間の経験、バーテックスとの戦い。今までの全ては無意味とも思える程に向こうのナニカは友奈の理解の範疇を超えていた。

 

「恥じるな!素直にここは退け!じゃないとお前が死ぬ!」

 

 怒号が飛ぶ。自分ほどではないものの切羽詰まった声色はけれど友奈の意識を回復させるのに充分であった。

 行けと再三言われて友奈は言われた通りにこの場から去る。

 ソレは脱兎の如く去ろうとする友奈に狙いを定めようとするが灰がさせまいとソレに向かって剣を振り下ろす。

 鈍鉄と鉄がぶつかる音が灰の耳に届く。仕留め損ねた、そんな後悔が芽生えるが煙から伸びた巨腕にそんな思いは瞬時に失せる。

 身を捩るようにして後ろに転がり間合いを取る。あと数瞬回避が遅れていたならあの腕で首を捩じ切られていただろう。今更死ぬことに恐れはないがこの樹海内でもし死んだなら何がおきるか分からない。すぐにその場で復活するか、それとも樹海外に復活するか、最悪そのまま神樹に取り込まれるかもしれない。万が一の最悪を引いてしまったらと考えるとほんの少しばかりの死への抵抗が生まれるのも無理はない。

 

(くそ、特大剣では部が悪いか!)

 

 動きが予想よりも速く、どうしても動きが遅くなってしまう大剣では部が悪いと思い煙の特大剣をソウルに戻すと同時に一本の曲剣を取り出す。

 刀身がまるで黄金の様に輝き、振ればその軌跡は黄金に光るその剣『黄金の残光』に持ち替えた灰はまるで曲芸を踊るかの様にその残光を振り切る。

 微かに手応え、しかし深手には至らず。

 一手で足らぬなら二手、三手、十手でも与えよう。黄金の残光の真価とは一撃にあるのではないのから。

 

(この大剣、動き……やはり)

 

 己の横っ腹に突き刺さる巨腕。咄嗟に左腕で防ぐも強引に腕ごと拳をねじ込ませてくる。鎧の軋む音と肉と骨が混ざり合う音が灰の耳に木霊する。万力の如き力で吹き飛ばされた灰は樹海の根を折りながら地面に激突する。

 

「カ──ハッ!」

 

 何度か地面をバウンドした後、残光を地面に突き刺して強引に体制を戻す。

 

「左腕は……文字通り皮一枚か」

 

 力なく垂れる左腕を一瞥、軽いものだとエストを一飲み、治った腕を何度か動かして感触を確かめる。

 友奈は無事に若葉達と合流できただろうか。今すぐにでも安否を確認したいが灰が吹き飛ばされた際に出来た穴の向こうからひしひしと感じる、暗く肌にまとわりつくような殺意にまだ先は長そうだと武器を構える。

 

「──成る程。此度の戦い、何故進化体やバーテックスが少なく、そして脆かったのか。分かったよ」

 

 灰の目の前にソレが降り立つ。

 

「なら尚更若葉達には荷が重い。私の居る場所に来てくれてよかった」

 

 砂煙が晴れる。

 

「──なぁ?ゲール。偽者か……本物か、測りかねるがまぁいい」

 

 灰の記憶とは差異があれど目の前の姿は最後に目にした姿と変わりない。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのよう。臭いも、気配も、ソウルの淀みも……変わらずに醸し出すその姿に灰は少なからず怒りの感情が沸々と胸の底から湧いてくるのが分かる。

 

「良いさ……狂った同郷の者を殺すのも、また私の役割だ。あの子達の役割では無い。来たまえ、貴公。あの戦いをもう一度再現と行こうじゃないか」

 

 狂い、そして何かに苦しむように悶える巨漢──奴隷騎士ゲールは人ならざる雄叫びを上げながら灰へとその巨体を奔らせた。

 

 

 





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