ゆゆゆ世界にダクソの主人公をぶち込んでみた。(未完)   作:イロマス

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 ま、まさか評価バーに色がつくとは、まだ4話でこれ、本当にありがたいです。お気に入りも80件こえてもう感謝の限りです!やっぱ皆はぐんちゃんが好き。はっきり分かんだね。



乃木若葉は勇者である〜燃え殻の章
四話 空が破れた日


 

「………」

 

 雲ひとつ無い快晴の空の下、灰色の髪を豊かに蓄えた若年の男が波打つ瀬戸内海の側でまるで瞑想する様に静かに佇んでいる。

 

「ここに居たんですね。灰さん」

 

「───若葉か」

 

 若年の男──灰は背後からかけられた声に目を開け、振り向けば、凛々しい雰囲気を醸し出す少女が()()姿()()()()()()()()()()()()()()片手に灰を見つめている。

 

「いつも、ここに居ますね。郡が探していましたよ………」

 

「──あぁ。やはりというか、身体に染みついた癖、というものは抜けきれん」

 

 少女──乃木若葉の言葉に灰は苦笑を零しながら返す。

 

「あの壁を越えれば憎き相手に引導を渡せられるというのに、()()()()()()()()()()()

 

 無念そうに呻く灰の心の内は決して穏やかなものではなかった。三年前のある出来事により、灰は、()()()()()()()()()()

 

「だが、仕方あるまい。この四国を守る神樹の力を維持できるならば何も言わん」

 

 視線の先には樹木が折り重なって出来た巨大な壁が遠方にそびえ立っている。三年前。突如として現れた巨大な壁は現在、四国全土を覆うように囲んでいる。灰はその壁から微かに漂う神気を確かに感じる。

 

「……全く。神の時代に数多の神を屠った私が神に助けられるなど、なんと皮肉なものか」

 

 自嘲気味に笑う灰の脳裏には三年前の憎い記憶がありありと浮かんでくる。

 

「………私はもう少しここに居る。心の整理はこういう時でしかできない。あと10分もすれば丸亀城に戻る、と千景達に言っておいてくれ」

 

「──分かりました。そう言っておきます」

 

 そう言って若葉は去って行く。背中でそれを感じた灰は再度目を瞑る。

 瞑れば己の内のソウルが燃え盛るように脈打つのを感じる。灰は三年前のあの日、空が破れた日を思い出しながら瞑想を再開した。

 

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

 

 

2015年 7月30日

 

「灰さん……何やってるの?」

 

 千景がこの家に来てから一年が経った。この一年は灰にとっても千景にとっても印象深い一年だった。その中で千景は自分の事を名前で呼ぶように言ってきたり、灰の日課の狩猟にもついて行くと言ったりと、初めて会った時とは見違える程に変わった。

 その中で、灰の生活の当たり前と化した千景の訪問。今は灰の家で一晩泊まることになった千景が灰の手元を覗きながら訝しげに問う。

 千景が訝しむのも仕方ない。なにせ現在灰はソウルから取り出した武器を研いでいるところなのだ。この時代、生きている内には絶対に見ないような光景が千景の目の前に広がっているのだ。

 

「武器の手入れだ。少し……胸騒ぎがしてな。念の為だ」

 

「……それも、灰さんのソウルの業……のお陰なの?」

 

「あぁ。最近地震が多発している。その度に何処かのソウルが震えるのだ………杞憂で済むと良いのだが」

 

 千景にはこの一年間の間に己の事を包み明かさず語った。不死であること、それもこの時代の更に昔、神の時代と呼ばれる時代にいた事。その中で様々な異形を殺したこと、その末にこの時代を切り拓いたこと。救いようのない世界の事や、何度も同じ時間を繰り返したことは言わず、改変や脚色を加えて話した。

 当の千景は脳のキャパシティを超えたのか困惑通り越して滑稽とも言える表情になっていた。だが、故なのか、灰が警戒する程の状況に千景は落ちつかない様子だ。

 

「……ッ!……また」

 

「先程よりも震えが大きい………千景、万が一のために動きやすくなっておけ」

 

 カタカタ、と先程よりも大きい揺れに屋根が震える。

外はもう暗く、不規則に来る揺れに言いようもない不安を煽られる。

 

「…………止んだか?」

 

「………大丈夫、なの?」

 

 恐る恐る問いかける千景に灰は「あぁ」と言おうと振り返った瞬間、背筋が凍った。空から降る神気が一気に膨れ上がり、その中に灰が良く知る存在も混じっていたのだ。

 

(混……沌!なぜ混沌の気配がする?消し損ねたか?いや、私はその()()()が起きないように火を消した筈だ!念入りにだぞ!……くっ、……だが、今は……!)

 

「千景………!」

 

「灰さ……きゃっ!」

 

 瞬時の判断で灰は千景の腕を掴み、外へ投げ出すのと一際強い揺れが来るのと同時だった。家の節々が悲鳴を上げる。ガラガラと、音を立てながら家は崩れ、灰は抵抗できずに瓦礫の山に飲み込まれる。

 

「──さ──!灰───ん!」

 

 当たりどころが良かったのか、意識を失うことはなく、灰は今自分が置かれている状況をしっかりと確認する。

 上半身は問題ない。下半身は、右足が瓦礫に挟まれていて動けない。一先ず死ぬような怪我がない事に安堵の息を吐く。

 

「──灰さん!」

 

 瓦礫の向こうに居る千景はどうやら瓦礫の餌食にはなってないようで安心する。

 

「大丈夫だ……!目立った怪我は無い」

 

「──そう。良かった。今、瓦礫を退ける───ぇ?」

 

「どうした、千か──ッ!」

 

 再度、悪寒が灰の身体を駆ける。瓦礫で外が見えないが、その向こうは何かが起きている。

 

「そら………白い」

 

「………ヌゥっ……ウゥ!」

 

 急がねば。酷い焦燥感が灰を焦らせる。即座に絵画守りの曲剣を取り出し、自分の右足に突き刺す。

 多量の血が傷口から溢れるが気にせず念入りに曲剣を深く突き刺し、力ずくで右足を引き千切る。

 ブチ、ギチ、と嫌な音を立てながら、遂に右足が千切れる。自由になった灰は瓦礫を退かし、外へと這い出る。

 

「………空が、灰さん。白い」

 

「何だ、これは……?」

 

 這い出た灰は空を見上げる。空は星が覆い尽くし───いや、()()()()()()()()()が空を覆い、蠢いていた。エストと呼ばれる不死御用達の回復薬を一煽りした灰は、千景の側に寄る。

 

「あれ、何?………怖い」

 

「分からん。しかし、今見える星全てが敵だと見える。やはり神は何時の時代も問題を起こす……!」

 

 目に映るあの白い物体一つ一つが生きている。蛆のように動く存在達に灰は嫌悪感を隠せない。神の時代でも見ることが無かった、異常な程の大群に面食らいながらも灰は粛々と武器を構える。

 

(驚いたな………今見えるソウル全てが上等な物ばかりだ。見たところ英雄並か………少々、いや、非常に分が悪い)

 

───灰は冷静に焦っていた。

 

 神の時代を幕引いた灰はこの時代で最強と呼べるほどの力をつけていた。だが、灰は最強であって無敵ではない。灰はあくまで殺しても生き返る不死、灰を殺す方法は幾らでもある。その中で特に苦手とする方法が落下と物量で押す、この二通りの方法だった。

 

 故に空を覆う敵に灰は焦っていた。己は千景を守りながらあれらを捌くことは出来るのか?と。

 答えは、否。神ではない灰は己の力を過信せず、現実を直視する。油断、慢心などすれば千景諸共死ぬと分かりきっているからだ。

 

「千景。少し、乱暴に動くが舌を噛み切らんよう気をつけてくれよ?」

 

 ポカンとする千景を背中に背負い、装備を軽くし(軽ロリ)、なんの装飾も施されていない無骨な直剣──ロングソードを手に持つ。

 

 

 

────パリンッ

 

 

 

 警戒する灰の耳にそんな小気味いい音が入る。心なしか空にうつる敵の姿が大きくなっている気がする。

 

「──気の所為なんかじゃあないな!」

 

 千景の返答も待たずに灰は駆ける。自慢のスタミナ(持久力99)を活かし、なるべく遠くまで移動する。

 瞬間。灰の第六感が警鈴を鳴らす。足は止めず、振り向きざまにロングソードを振るう。それはまるで豆腐を切るよりも容易く、殺したには圧倒的に軽すぎる手応えの存在だった。

 見るだけで嫌悪を誘う見た目、灰よりも大きく、されどその巨体に見合わぬ速度で来るソレは空だけではなく、今では地上をも埋め尽くさんと降ってくる。

 

(多い………!弱いが、多すぎる。これでは千景を守りきれん)

 

 目の前だけでも十体以上。苦々しく超えて忌々しく舌打ちしながらも灰は脳をフル回転させ、この逆境を乗り切る術を模索する。

 そして、閃く。

 

「千景。今から渡す物を絶対に離さないでくれよ」

 

「………な、何が……ゆ、指輪?」

 

「ヌゥン!……ああ、銀猫の指輪と言ってな、簡単に言うと落下しても痛みがないというものだ」

 

「………えっ?落、下?」

 

「私は頭がそこまで良いとは言えない。今までも考えるより先に行動していた。まあ、俗にいう脳筋?に近い存在だったさ。そんな残念な頭で考え、導いた答えはこうだ………()()()()()()()()()()()()()

 

「………と、飛ばす?………飛ばす……!?」

 

「残念ながらこの物量を千景を背負った状態で捌くことは不可能だ。故にこそ、千景には安全圏まで移動し、私はその間に全力でこの有象無象を殺しきる。これが最適解と考えた。安心したまえ、銀猫の指輪は先程も言った通り落ちても痛みはない、死ぬことも無いだろう。さあ、行くぞ?」

 

「えっ?……ま、まって灰さ………!」

 

 ソレから距離をとった灰は、背負った千景をその手に抱え、やり投げの要領でぶん投げる。

 余りの出来事に、悲鳴を上げる暇もなく千景はみるみる間に視界から消え去った。

 それを見て良しとした灰は粗布のタリスマンと呼ばれる触媒を取り出し、太古の時代の更に昔、猛威を振るった悪名高い奇跡を実行する。

 

「『緩やかな平和の歩み』」

 

 灰を中心に波紋が流れ、波紋に当たったソレらは動きが鈍重になる。

 

「本来は逃げるか膠着状態に持っていく為の奇跡なのだが、まあ、あの時代でも平和とは程遠い使い方をされていたから問題ない」

 

 ゆっくりとしかし、確かな害意を持って迫るソレに灰は恐怖は抱かず、逆に言いようもない高揚感に包まれ、バイザーの奥で獰猛な笑みを浮かべながら視界を覆う純白の波へと足を進めて行った。

 

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

 

 コンコン、と頭を小突かれた感覚に灰は微睡みから覚める。

 

「………やっぱり、寝てたのね」

 

「寝てたのか……私は」

 

 目の前には千景が呆れた様な、困った様な表情で見つめてくる。

 

「………十分後には戻る、なんて言ってたのに……結局、三十分も掛かったじゃない」

 

「う、む……すまなんだ、千景。まさか私も寝入ってしまうとは思わなんだ」

 

 バツの悪い声で萎縮するその姿は本当にあの英雄なのか非常に疑問だ。

 

「はぁ………早くしないと、上里さんが怒るわ………灰さんも、上里さんの怒ったときの恐ろしさは」

 

「知っておるさ。今でも思い出すことすら猛烈な拒絶反応が出るくらいだ」

 

 そう言って身体をブルリ、と震わす灰の脳裏には一人の火防女と呼ばれる女性が浮かぶ。

 まだ灰にとって新しい記憶。王たちの玉座がある祭祀場に居た火防女を思いだす。一度、怒られた事があったが、アレは恐ろしかった、としみじみと言う灰を千景はジト目になりながら見上げる。

 

「………どうした?」

 

「……なんでもないわ」

 

「まったく、気難しいな。いや、これも可愛らしいものか」

 

「………灰さん?」

 

「大事ない。単なる独り言さ。行こうか」

 

 不機嫌そうに歩いていく千景に肩を竦めながら灰は一度後ろを振り返り、そして丸亀城へと続く道を千景と肩を並べながら歩いていく。

 

 

 

 




 今は良いけどこれから戦闘描写が増えるからちゃんと書けるかスッゲー心配。
 あと、ぐんちゃん以外の子達も「灰さん」で大丈夫かな?何か案があったら感想下さい(承認欲求モンスターの片鱗)

 我々ぐんちゃんを幸せにする会はぐんちゃんのこれからを応援しています。
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