ゆゆゆ世界にダクソの主人公をぶち込んでみた。(未完) 作:イロマス
あとこれ話と関係ないけど、近いうちにAC6発売されますね。6から羽ばたく新米傭兵ですけど、楽しみです。
───遅かったじゃないか(発売)
ざざんっ、ざざんっ、と波が勢いよく岩肌へと叩きつけられる音を灰は一種のメロディーの様に聴きながら黙々と釣り竿を垂らし続けている。
時刻は丑三つ時を少し過ぎた頃。大人子供も眠る時間だというのに灰は岩肌に腰掛けながら釣りをする。
「───釣れん」
当たり前だろう。光源があるならまだしも真っ暗闇の中釣り糸を垂らしても余り魚は食いつかない。しかしそんな事は知らない灰はめげずに釣り糸を垂らす。流石にここまで来ると少し可哀想になってくるが、悲しいかな、それを伝える人は居ない。
(うぅむ、せっかく魚を釣って千景達に見せてやりたかったもんだが、釣れぬとなると……今朝、千景達に任せろと言ったが……見栄を張る事になったな)
そんな落ち込む灰に、突如、運が味方した。
項垂れる灰の手に確かな感触がきたのだ。ハッと見れば微かに釣り竿の先端が動いており、それを見た灰は一気に喜色に顔を染め、勢いよく立ち上がる。
「この感覚……!求めていた大きさではないようだが、まぁまぁな獲物……!」
嬉々として釣りに励む灰。しかし忘れてはなかろうか。常々、海の岩肌は滑りやすいと言われている。藻やらなんやらによって滑りやすく、それによって怪我をすることもある。
しかしこの灰。それを全く知らず、何時ものボロボロの騎士姿なわけで。結果は分かりきっている通り、勢いよく踏み込んだ足は見事滑り、行き場の無くなった足はそのまま海へと引きずられ、灰は浮遊感をその身に感じながら海へとドボン。落ちた。
更に灰は泳げない事も加わり、動けない泳げない息が出来ないの三拍子が揃い。まあ、簡単に言えばYOU DIEDだ。
その後、何の成果も得られませんでした状態で戻った灰は千景達……主に千景にこっ酷く叱られたのは想像に難くない。
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
「───私と、付き合って貰いたいのですが、良いですか?」
「はい?」
「………???」
そよ風が心地よいある日。灰の一室へと足を運んだ若葉は開口早々そんな事を言ってのけた。
灰は理解できず何処か遠くを見つめ、若葉の隣に立つ艷やかな黒髪を伸ばした少女──上里ひなたはいつもと変わらぬ笑顔をしながら、その裏から灰すらも慄く程の威圧を撒き散らす。
「待ってくれ、若葉。付き合うとはどういうことだ?真面目に答えてくれ、さもないと私は今若葉の隣に立つひなたから世にも恐ろしい目に合ってしまう。そんな訳のわからない顔をするな若葉……!」
「あら、恐ろしい目だなんて。何もしませんよ?えぇ、何も………物理的には」
「物理的には!?待てひなた、落ち着いてくれひなた、もしかすると勘違いの可能性があるかもしれんのだ」
「いや、鍛錬に付き合って欲しいという意味だが……」
「「………」」
「????」
「………そういう所ですよ。若葉ちゃん」
「なっ!?」
「あぁ、そういう所だな」
「灰さんっ!?」
ひなたはまた柔らかい笑みを浮かべ、灰は安堵に深く息を吐く。
寿命が縮むとはこの事を言うのかと、また頭が一つ良くなった気がした。そもそも寿命などとうの昔に捨てたものだが。
「───で、鍛錬は何時やるのだ?」
「そうですね。午後一時から、丸亀城の空き地でよろしいでしょうか?」
「分かった。午後一時だな?」
了承の意を示すと、若葉は顔を綻ばせ、ありがとうございます、と言い、ひなたと二人で部屋を出ていく。
いつも二人揃って行動する若葉達はまるで姉妹だな、と思いふと、疑問に気づく。
「若葉達が本当の姉妹になるとどちらが姉になるのだ?」
常に己を律し、人を率いる才のある若葉。時に厳しく、時に優しくを体現したかのようなひなた。有り得はしないが姉妹として産まれたのならどちらが姉になり、妹になるのかとんと予想がつかない。灰は若葉と思っているが、今の若葉を形作ったのは家の家訓とひなたの献身があってこそ。ひなたのもそうだ。
「悩ましい……う~む、う~む」
椅子に腰掛け、腕を組み、頭を悩ませるその姿は奇しくも灰の友のカタリナの騎士と呼ばれる男のそれと同一だった。
「う~む、う~む………ダメだ、悩みすぎて発狂しそうだ」
脳の酷使によって発狂寸前まで陥った灰は一度気分転換の為、街へと出ることにした。
いつもの鎧姿ではなく千景が見繕った今風の服を来て街へ出ていた。
やはり、と言うべきか、余り人の気配を感じない街を歩きながら灰は空を仰ぐ。
三年前の出来事によって四国の人々は少なからず浅くない傷を負った。身体的にも、心理的にも、だ。
それでも尚商売や外へと出る人は幸いにも被害に合わなかった者たちや、上手く傷を癒やした者たちだけだ。
現在、灰達と敵対している神とその下僕──天の神とバーテックスと呼ばれる奴らは三年前、突如として現れ、世界を蹂躙した。そのさなか、神樹と呼ばれる神の集まった樹が出現し、四国を壁で覆った。お陰で残った人類はこの小さな四国という箱庭で生き残る事が出来た。
しかし、灰はこれを心地よく思っていない。これは神を嫌う灰の性分もあるが、神はあくまで人の心の拠り所の一つとしてあって欲しいという考えがあるからだ。
今の四国の様に神が何もかもを施していると人はいつか神の傀儡と化す。
(今だけは全能の力があればと思える。いや、それでは神と変わらぬか)
「──灰か?」
「──ん?」
気分転換どころか更に悩む始末となってしまった灰が頭を悩ませていると、自分を呼ぶ声がし、頭を上げればそこには20代半ばの女性がこちらを見ていた。
「良く気づいたな、烏丸。鎧は着てない筈だが」
「過去に一度お前の素顔を見たんだよ。それでだ」
「───成る程な」
「どうした、何時ものあんたらしくないな」
「そうか?そういう烏丸はどうしてここに?」
「私は暇つぶしさ。あっちの机で煙草ふかしてるのもまぁ、別に良いが、流石に気が滅入る。その点外で吸う煙草は格別だな。気分が良い。あぁ、大丈夫だ、外出許可は上の奴らに貰ってる」
「奇遇だな、私も気分転換兼暇つぶしだ」
「ふぅ〜ん。そうだ、やるよ」
「………煙草か?これは」
「そうだな。灰もいつか使う時が来るかもしれないだろ?」
烏丸と呼ばれた女性は手に持った煙草を再度口に持っていき、煙を吐く。
───元巫女とは思えないな。
烏丸久美子と言う女は灰の知る中でもまぁまぁな狂いっぷりだ。烏丸は元来巫女と呼ばれる神の声が聞こえる者たちに所属してていた。巫女というのは神の声を聞き、それを四国を仕切る神官に伝える。そんな役割がある。他にも重要な仕事もあるが、それは今はいいだろう。
しかし、この烏丸は巫女としての全盛期はとうに過ぎ、その巫女としての力は失われ、烏丸は今では神官と呼ばれる役職に就いている。
「なぁ、灰。私達は暇だ。そうだろう?」
「……あぁ」
「幸いにもこの近くには居酒屋がある。知ってるか?」
「知らなかったな」
「更にその居酒屋は現在営業中だ」
「そうか、良かったな」
そこまで言ってその場を去ろうとする灰の腕を烏丸はガッ、と掴む。
「デートと洒落込もうじゃあないか?」
「酒が飲みたいだけだろう?」
なんとも分かりやすい誘いに灰は呆れる。対する烏丸はその表情は崩さず、逆に得意げな表情へと変わる。
「私はビールや煙草を吸わなきゃやってられないんだよ。子供の面倒見て上の奴らの言う事聞いて……なぁ?」
「………少しだけだぞ」
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
コトッ、と灰の隣で烏丸がジョッキを置く。烏丸の誘いで居酒屋へと入った灰は、鼻を突く匂いに顔を顰める事はせず、飲み続ける烏丸を眺めるだけだった。
「朝からよく飲むな。戻ったときが大変じゃあないか?上の連中は五月蝿いから」
「言わせておきな。私は気にしない」
そう言ってグイッ、とまたジョッキの゙中のビールを煽る。灰は呆れを隠さずため息をつく。
また店主に生を頼む烏丸を見ていると本当に辛いのだな、と憐憫の情が湧いてくる他、長生きはしないな、と少し寂しい気分になる。
手元を見ればまだ冷たいビールが目に入るが、灰はどうにも飲みたい欲が出ない。そもそも飲んだ所で酔うことのない灰からすればただシュワシュワするだけの水と変わりない。
「朝から飲むビールは良いな。最高だ」
「……全く」
日頃の鬱憤を晴らす様に飲む姿はここまでくると妙な清々しさまで感じてくる。
「なぁ、灰。お前はこの四国に何を見ている?」
「………見ている。とは?」
ちびり、ちびり、と烏丸にならってビールを飲んでいると酔いが回り始めた烏丸にそんな事を聞かれる。
「ハッ、分かってるくせに。今の四国は天空恐怖症によって苦しむ奴らがごまんと居る。最初なんて狂った奴らがいすぎて精神病院がパンクしたりと散々だったじゃあないか。落ち着いたとはいえそれは一時的。また何時悪化するか分からない。こんな四国をなぜ守るんだ?」
何杯目か分からない。ジョッキを置いた烏丸は少し赤くなった顔をコチラに向けて問いてくる。灰は数秒考える素振りを見せ。
「────さあな」
「さあな?理由は無い、とでも?」
「多分な。なんというか、癖、のようなものだ。何かを成す、守る、殺す、そういうものは心じゃなく体が勝手に動くんだ。なんだ、仕事がないと落ちつかない。みたいなものだ」
「なるほどな。私はてっきりアイツを守るついでかと思ってたよ」
「───千景か」
「そうだ。こんな詰みかけの四国に手を貸す理由なんてそれしか無いかと思ってた。今四国を覆ってる結界は灰、お前のお陰で保たれてるんだ。
まったく手加減せずに言い切ってくる烏丸に灰は反論の余地もなく、だんまりを決め込む。
「お前は別にこの四国の人間を救おう、なんて微塵も思ってないだろ?そんなお前をここまでさせたのはお前の心一つじゃあないだろ?」
「………そうかな」
「まっ、知らないがな。でもお前がここまでするのは癖なんてつまらないもんじゃあない筈だ」
ジョッキ片手にそう締める烏丸の目はいつもより真剣に、そして鋭かった。どうにも居た堪れない灰は逃げるように置かれたビールをグイッ、と呷った。
「渋い」
「ハッ………この渋さが良いんじゃあないか」
結局酒盛りは昼近くまで続いた。
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
「まずルールを説明するが、これはあくまで鍛錬だ。実戦じゃあない。勇者の゙力は認めるが、真剣は使わず、木刀を使う。勝敗はどちらかの木刀が折れるか、負けを認めるか。以上だ」
「分かりました。ですが、一言言ってもよろしいですか?」
「どうした?若葉」
「────どうしてひなただけではなく郡達もいるんですか!」
午後一時。太陽が雲の切れ間から覗く下、丸亀城にある空き地で私は叫んだ。
右を見ればひなたと郡が、左を見れば三人の同い年の女子が騒いでいる。
「………頑張って、灰さん」
「頑張ってください!若葉ちゃん!」
「ひなた!?ひなたが集めたんだな!」
「いいえ、私じゃなくて」
チョイっと私の背後を指差す。釣られて見れば灰さんが心なしか自慢気に片手を腰に当てながら立っている。
「わ た し だ」
「灰さん!?」
驚いた。灰さんはてっきりこういうのは少数でやるのが好きなのだと勝手に思っていた。灰さんの新たな一面が知れた感じがして少し嬉しい。
「別に三人でもよかったのだが、人は多ければ多い程良いだろう?」
「お二人とも!頑張ってください!」
「若葉ー!タマは若葉が勝つにお小遣い500円賭けたんだぞ!絶対に勝ちタマえよ!」
思ったより安い!というよりもまず私達を賭け事の道具にしたのは頂けない。後で話をしよう。
そんな私の思念を受け取ったのか、この中で一番背の小さい活発な少女───土居球子は隣に立つブロンドに似た髪を豊かに生やした少女───伊予島杏の背に隠れる。
「灰さん、若葉ちゃん!頑張ってね!応援してるよ!」
赤みがかった髪を暴れんばかりに揺らす少女───高嶋友奈は太陽の゙様な笑顔で手を振っている。
「オールキャストだ。なぁ、呼んだ私が言うのもなんだが、凄い騒ぎようだな」
「ですよ。早く始めましょう?」
「………だな」
そう言うなり、私と灰さんは構える。私は腰に力を入れ、居合の構えになるよう構える。対する灰さんは圧倒的自然体。抜き身の木刀を手に持ち、防御も攻めもないいつも通りの姿でいる。
端から見れば隙だらけだ。しかし、見えない。隙という隙が、無い。
「……だが!」
ゴウ、と勇者としての力をフルに使い、十メートルもある距離を一息で詰め、灰さんの腹から左肩にかけて木刀を滑らすように斬り上げる。
「……速い。しかし」
常人では回避すら不可能に近い技を灰さんはバックステップで後ろにズレる。当たるはずだった木刀は空を斬り、力の行き場を失った木刀と腕はそのまま伸び切ってしまう。
「届かないか………!」
「───フゥっ!」
初手を躱されることは分かりきっていたが、しかし本当に躱されると、少しショックを受ける。完全に戦闘態勢へと切り替えた灰さんは助走をつけて木刀の切っ先を私の首目掛けて突き出してくる。
「グッ………ハァっ!」
首を傾けギリギリで直撃を避け、木刀の硬さをその首で感じながら上げきった腕を即座に振るう。
「───甘いな!」
メリ……と腹に衝撃と鈍い痛みを感じ、下に目線を向ければ灰さんの腰にあった鞘が私の腹にめり込んでいた。
やられた!そう理解するのと同時に灰さんの蹴りが脇腹にモロに入る。
「ゲホっ、ケフッ……やりますね。鞘は……予想外でした」
「実戦では無いが、これも戦いのいっかんさね。使えるものは全て使う。若葉に若葉なりの信条があるなら、私の信条はそれだ。鍛錬だろうが本気でやらせてもらおう。ロスリック式戦闘術だ」
圧倒的経験差。刀の使い手としての練度は私が上だと自負している。しかし刀以外の経験値は灰さんが上。
灰さんは全ての武器を使えるが、そのどれもが二流止まりと言っていた。あぁ、そうだとも。素人目では分からずともソレを修める者からは違和感を指摘されるその腕前。しかし勝てない。
灰さんの戦いは魅せる為の戦いではない。命を奪うための戦い方だ。何百、何千年と積み上げたその戦いの記憶が灰さんの動きを最適化させる。
私の攻撃は当たらず、灰さんの攻撃が当たる絶妙な距離を維持し続けている灰さんの集中力は並外れたものではない。一撃一撃は重く、その身のこなしはあまりにも軽い。
(やはり………灰さんは常に無我の境地にいる!)
再度灰さんの強さと力の差を痛感させられる。しかしそんなものは私の闘志を消すには及ばない。逆に、私の闘志を更に沸き立たせる。
灰さんの技を捌く度に私の成長を実感する。数歩、いや、一歩にすら満たないがしかし!灰さんに近づけているという事実、それが私を奮い立たせる。
「ハアァァァァ!!」
徐々にキレを増す私の攻撃を捌き続ける灰さん。鍛錬とはかけ離れたこれは、名目上だけの形になる。
私が数十の技を出せば灰さんは数百の技を繰り出し上を行く。全身の痛みはアドレナリンが和らげていてくれる。多分、私の体は痣や打撲だらけだろう。腕も痺れてきている。何分?いや、何秒打ち合ったか分からない。
疲弊する体とは逆に、恐ろしいほどに冴えている脳が、この戦いの中で、些細な違和感を感じた。
(変だ……力が入れづらい。腕が限界か?いや、まだ動かせる。ではどこに………まさか?
私は理解した。理解してしまった。先程から否応なしに感じる違和感。視線を木刀の腹へと向ければ、数ミリの罅が入っていた。
不安が絶対的な確信へと変わった。
(刀の軌道………逸らせない!防御も、無意味……!)
一度とった行動は戻すことはできず、灰さんの刀は木刀に走った罅へと寸分違わず入っていく。
象がぶつかるよりも重い物量と衝撃が木刀と私を襲う。体の芯に響くほどの音を立てながらも、その木刀は薄氷の様に簡単に折れた。
「………私の勝ち、だな」
「ハァ、ハァ……そうです、ね」
尻もちをついた私の前に立つ灰さんは額に滲み出た汗を手で拭きながらそう言った。
「若葉。貴公、前回よりもキレが増したな。私も今回は焦ったぞ。これは近いうちに抜かれるかもしれんな?」
「そうは言っても、涼しい表情で捌きますよね。あれ、結構習得難しいんで「若葉ちゃん大丈夫ですか!?」ひ、ひなた!?」
い、痛い!?血相抱えたひなたが私の顔や体を触り始めるが、アドレナリンの切れた今は全身が痛いため、ひなたの行為は痛みを助長させるに過ぎない。と、いうかそろそろ痛くなってきたぞひなたぁ!
「ひなた、これ以上は若葉が倒れる。少し退け」
「あぁあ……若葉ちゃぁん……。でも、戦いの中の若葉ちゃんは撮りました。苦悶の中で浮かべる一瞬の笑み、それはまるで戦姫の様な……あぁ、とても、とても素晴らしいです若葉ちゃん!」
「いちいち説明するのをやめろォ!あと、その写真を早く消せ!」
「動くと傷が………はぁ、『回復』」
「あっ………傷が」
「傷を治した。体力も少しは回復したが、無理は禁物だ。今動いたらもれなく筋肉痛一週間コースに入るぞ」
「うっ……それは勘弁したい」
「そうですよ若葉ちゃん。休憩は大事ですよ?安心してください。あの写真は決して変な事には使いませんから。えぇ、本当ですよ?」
ツヤツヤとした表情を浮かべるひなたを恨みがましく睨む。
「うわぁぁ!タマの500円がぁぁ!」
「タマっち先輩……」
「球子はまたやらかしたのか……杏も災難だな」
呆れと憐れみを含んだ声が向けられる方向を向けば、土居が慟哭しながら拳を叩きつけている。まぁ、気の毒だが、これも当然の報いだ。
「二人ともお疲れさま!若葉ちゃん凄かったよ!こう、灰さんの攻撃をスッ、バーン!って見惚れちゃった!灰さんもですよ!若葉ちゃんの攻撃を全て捌いちゃうし、同じ所に何度も攻撃を合わせるなんて、さすが灰さんですね!」
「やはりか。戦いの途中から違和感を感じてみれば、木刀の中心に罅が入ってたんですよ。その後も一ミリの誤差なく罅に攻撃して……」
握られている木刀を持ち上げれば見るも無惨な姿になった木刀がある。
「過去にいろいろあってな。それで鍛えられた」
「どんな過去を経験したらああなるんですか」
「別に、私のような過去を経験せずとも絶えず修行を積めばなれるさ」
「そうですかね」
「そうさ」
額の汗を拭い、いつの間にかひなたが持ってきた水を飲む。
ひとしきり戦った後の疲労感とやりきったという達成感、己の成長をその身で再度実感しながら、私は芝生へと身を預けた。
補足ですけど、今作の神樹は原作とは違って弱体化してます。理由としては天の神との戦争で、地の神が原作よりも敗北し、死んでいるからです。なので、火の無い灰が薪の王としての力を半分神樹に譲渡し、結界を維持させてる。というわけです。終わってんなこの世界(白目)
我々ぐんちゃんを幸せにする会はぐんちゃんのこれからを応援しています。