ゆゆゆ世界にダクソの主人公をぶち込んでみた。(未完) 作:イロマス
一応自分の中ではのわゆ編完結まではやると決めてるので、気長にお待ちください。
では、七話。どうぞ。
あれから数週間が過ぎた。若葉はいつも通りにひなたと二人で過ごし、時に白鳥と連絡し合ったりしていた。
魂子や杏、友奈や千景も特段変化のないごく普通の生活を送っていた。
だが、ある日を境に諏訪との連絡が取りづらくなってきた。ノイズが前よりも更に増え、一日中通信が繋がらない日も増えてきた。やっとの思いで通信が繋がったとしても、ノイズが走る中喋る白鳥の声色には灰にしか気づけぬほどの小さい疲労が混じっていた。
「白鳥……無理はするなよ」
『はい……ですが……ザー……大丈夫です。私は元気いっぱいですし………ザー………諏訪の為にも倒れる訳にはいきませんから』
「そうか……」
灰はかける言葉が見つからなかった。
次の日も、またその次の日も諏訪との通信があったが、通信環境の酷さは誰が見ても明らかな程に、悪化していた。
これには若葉も流石に異常に気づき、白鳥を気遣うようになっていた。
───そして、その日がやってきた。
『ごめんなさい、通信の……ザー………悪くて……ザー……』
「どうした?白鳥さん」
『……いえ、ちょっとしつこいバーテックスを退治してやっただけ……ザー………ックス襲来の影響で通信機が壊れて……ザー………しばらく通信はできなくなりそう………ザー………そちらも大変だと思いますが頑張って………ザー………なんとかなるものです。私も無理な御役目かと思いましたが………ザー……予定より二年も長く続けられて………ザー………』
まさか───。灰が通信機を見るのと若葉が慌てたように通信機に話しかけるのは同時だった。
「白鳥さん!?聞こえているか!?」
長い長いノイズが続いた後───
『………乃木さん、灰さん、後はよろしくお願いします』
その言葉を最後に、通信は途絶えた。
「………ッ、白鳥さん!聞こえてるか!白鳥さん!!」
何度通信機に喋りかけても返答はなく、ノイズが流れ続けるだけだった。
答えを求める子供の様に灰を見つめる若葉の目は動揺に揺れ動いていた。
「灰さん諏訪は、白鳥さんは……」
「……落ち着け」
いつもと変わらない声で若葉に語りかける灰に、若葉は怒鳴りかけるが、灰の目の奥に隠された激情に気づき、力なく椅子に落ちる。
「………白鳥さん………ッ!」
悔しげに拳を握りしめる若葉を灰はただただ見つめているだけだった。
───諏訪は、堕ちた。
重苦しい雰囲気の中、通信機から流れるノイズがプツッと切れる。
それはまるで諏訪の壊滅を確固たるものとして知らせるようで、若葉は一層悔しげに、灰はせめて諏訪の人々が安らかに眠るよう黙祷した。
夕方がそろそろ終わり、夜の闇が四国を覆う頃、若葉は丸亀城本丸から海を見つめていた。
「若葉ちゃん、灰さん、ここにいたんですね」
ひなたが少し駆け足でやってくる。
「探しましたよ。もう遅いのに帰って来ていないと聞いて………白鳥さんと通信していたんですか?」
「………諏訪からの連絡が途絶えた。何度もこちらから発信し直してみたが、もう回線自体が使えなくなっていた………」
「………」
無念そうに伝える若葉に、ひなたは言葉を失った。
若葉の言葉が意味することは、容易に想像できる。
「長野地域は……終わってしまったんですね」
若葉は無言で、ただ静かに頷いた。刀を握りしめる手が痛んだ。
突如──若葉と灰のスマホが耳障りなケイカイオンを鳴らし始めた。
海の波、船、蝉の鳴き声、風の動き、四国のすべてが静止する。
隣に立つひなたも凍りついたように動きを止めていた。
「───!?」
「来たか……」
すぐに若葉はスマホを取り出す。画面には『樹海化警報』という文字が大きく表示されていた。
樹海化──それはバーテックスが結界内に侵入した際に起こる現象だ。
灰も烏丸や大社神官から現象について事細かく聞いていた。
「……バーテックス……!」
諏訪を潰し、遂に人類最後の砦である四国に手を伸ばしてきたのだ。
大地が、街が、人々が、海の向こうから伸びてくる植物の根に覆われていく。
「………若葉、覚悟はできたか?」
「……はい」
灰の問いに、若葉は頷き、その手に持った日本刀を抜き、その切っ先を海の先へと向けた。
「人類を守る御役目、諏訪より確かに受け継いだ。我ら四国勇者がこの丸亀城にて迎え撃つ!」
終ぞ顔を知ることのなかった友の白鳥を心に秘めながら若葉は声高らかに宣言した。
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若葉は樹海に覆われた四国に佇みながら、スマホの勇者専用アプリを起動させる。
花弁が舞い、一瞬にして若葉の姿が変わる。それは勇者の戦装束。神樹の力を宿し、纏う者の身体能力を格段に上昇させる。
若葉のそれは、桔梗を連想させる清楚な青と白の混交が特徴的だった。
「若葉ちゃーん!」
声のする方を向くと、手甲を着けた友奈と死神を思わせる鎌を持った千景がこちらへ走ってきていた。
「おまたせ……って、若葉ちゃんもう変身してる!」
「ここは既に戦場だ。『つい』や『もしも』があったら溜まったものではないからな。高嶋達は大丈夫だったか?」
「音が鳴ったと思ったら植物がバーッ!て現れてビックリした!地図を見たら若葉ちゃん達がいたから来れたよ!これが樹海なのかな?」
「そうだろう。樹海化警報と書かれていた、何より……」
言葉を区切った灰は、樹海の向こう。海の先を指差す。
友奈達は何が何やら分からなかった様だが、若葉だけがその驚異的な視力で灰の意図を察する。
「若葉は見えたな。今、あの樹海の向こうにある壁付近にバーテックスどもがいる。奴等の目的は神樹の破壊。その為に着々とコチラへ向かってきている。直ぐに着くわけではないが………時間は精々十分弱と見た」
「おーい!」
次に現れたのは、球子と杏だった。二人も変わらず各々の武器を持ち、走ってきていた。
球子は旋刃盤と呼ばれる物を、杏はクロスボウを持ちながら。
「全員集まったな。……これが我々の初陣だ。ここでバーテックスを倒す。もしバーテックスが神樹にたどり着いたら四国は……世界は終わる。命運は我々に懸かっている」
先頭に立つ若葉は固い決意をその目に秘め、全員に言う。
「私が先陣を切り、活路を切り開く。他の者は私に続け」
「ちょいちょい、若葉だけが先頭に行くんじゃなくて、タマ達皆んなで戦えば良くないか?チームワーク大事だぞ!」
「……チームワーク」
若葉に待ったをかけた球子の言葉を千景は反芻しながら、気付いたようにとある方を見る。
「伊予島さんは……戦えるのかしら」
杏は震えていた。目に見える程にバーテックスに怯え、恐怖し、萎縮していた。
必死に恐怖を誤魔化そうと拳を握りしめるが、震えは尚も止まらず、杏の目には徐々に涙が浮かんできていた。
「……ご、ごめんなさい……私……」
無言で見つめる冷ややかな視線に耐えかねた球子が間に入ろうと動こうとした瞬間、若葉達の背後から低い男性の声が聞えた。
一体何事かと全員が振り向けば、灰が何もないところから木彫りのナニカを黙々と投げていた。
『Hello〜』
「「「「……は?」」」」
「すごい!これ何ですか灰さん!」
「これは人面と言ってな、適当な所に投げると『Hello〜』こんな風に鳴るんだ『Hello〜』。あまり使い道はなかったが『Hello〜』、注目してほしい時には使えるな」
「「「「いや、そうじゃなくて」」」」
あまりに唐突な行動に友奈を除いた全員が当惑する。対する友奈は珍妙な物を目にした事により、いつも高いテンションがさらに上がる。
「まったく、こんな所で言い争っている場合か。倒すべき奴が目の前に来ているというのにそれでは倒せる敵も倒せなくなるぞ」
灰のように飛んで消えてしまいそうな儚げな雰囲気を持ったいつもの灰とは打って変わって何百何千年と鍛え上げられた剣の様な強く、鋭い雰囲気の灰に、この場にいる全員が気圧される。
「今この場にいる全員が倒すべき存在は何だ?身内か?違う、あの遠くにいるバーテックスだ。奴等の数は多い。対する私達はたったの6人だ、そうたったの6人。もしここで分裂しようものなら私達はあっという間に敗北する。一つ聞こう、この場であの大群相手に生還し、これからも一人で戦える者はいるか」
周りを見ながら言い切る灰に、反論する者は居なかった。
数秒、周りの反応を確かめた灰は、俯く杏の元に行く。
「……杏」
怒られる──そう思った杏は肩を震わせる。
「ご──ごめんなさ──」
突如額に軽い痛みと硬い感触を感じる。呆けた表情で灰を見れば、デコピンの構えで杏の前に立っていた。
「直ぐに謝れるのは貴公の美徳だが、何でもかんでも謝ってばかりでは誤解を招きやすいぞ?」
図星な杏は赤面し俯く。
「貴公のその反応はしょうがないものだ。怯えや恐怖は誰にでもある、特に人知を超え、明確に我々の害となるものならばそれが顕著に現れるだろう。私はソレを否定しない」
「───ぁ」
「ただもし貴公に大切な者を守りたいと思う気持ちがあるならば、その殻……破ってみせろ」
未だ怯えの中に確かな熱さを感じた灰は、杏に背を向け、若葉の隣に立つ。
「若葉。真に決心はついたか?」
「……はい。私達勇者は全員揃って一つだ。諏訪の、白鳥さんの仇、奴らに報いを受けさせるという事だけに捉われていた。ですが、もう大丈夫です」
決意の固まった若葉に満足気に頷いた灰は若葉に追従する形で後ろに下がる。
それは若葉を真に勇者のリーダーと認めた証。ほか三人も勇者装束を纏う。
リーダーとしての重みを理解する若葉。けれど折れず、気圧されず、しっかりとその足で立つ。
「───行くぞ!」
先陣を切ったのは若葉だった。その驚異的な脚力でバーテックスの懐へと入り込み、一刀のもとに斬り伏せる。流れるように二つ三つと斬っていく若葉の背後から新たに現れたバーテックスがその首を食らわんと大口をあけて迫ってくる。
──雷が落ちた。
一瞬の閃光と轟音を響かせながら、光の槍がバーテックスを貫く。
「『雷の槍』雷系統の奇跡の中では初級に入るものだが……貴様ら程度にはちょうど良いだろう」
槍を投げた張本人である灰は、心底軽蔑した表情でバーテックスだったものを踏みつけた。
「……あのときはデーモンや混沌の類かと警戒したものだが……所詮は混沌の紛い物、比べることすら烏滸がましかったか」
灰目掛けて飛び込んでくるバーテックスを右手に持った黒騎士の剣で斬った後、火炎壺を投げ、ご丁寧に焼却まで熟す。
「は……灰さん?」
「ん……あぁ、すまん。つい殺意が漏れ出てしまった」
普段の灰とはまるでかけ離れた姿に一同騒然となる。
今の灰の姿はいつもの外套を羽織った鎧姿だが、その手に持つのは見慣れたロングソードではなく、黒光りする刀身に血が所々付着した一本の剣だった。
「久しぶりに引っ張り出してみたが……無駄骨だったな」
また一つバーテックスを屠った灰は、至極残念そうにその手に持つ黒騎士の剣をバーテックスから引き抜く。
「さて、千景達はどうだ?」
周りをぐるりと見渡し、千景達の姿を発見した灰は黒騎士の剣を樹海に突き立て、各々の無事を確認する。
友奈はバーテックス相手に対して苦戦はせず、目立ったキズもないようだった。少し間を空けて、千景も戦っていた。
千景、球子はまだ戦闘に粗やぎこちなさが目立ったが、友奈と同じ傷はなかった。
「───あとは」
性懲りも無く襲いかかるバーテックスを捌きながら、灰は今なお燻る一人の少女へ意識を傾けた。
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怖い───。
タマっち先輩や皆さんが戦う中、私は一人で立ち尽くすだけだった。
(皆んなが戦ってるのに……私は……こんなんじゃ……!)
いくら勇者アプリをタップしても、勇者装束は現れず、スマホのタップ音がいやに私の鼓膜に響く。
「──っ!タマっち先輩」
何度目か分からない、轟音に体を震わせながら音の鳴る方を向く。
私の脳裏に嫌な光景が浮かぶ。ボロボロの灰さん、倒れ伏す若葉さん、大鎌だけが残る千景さん、力無く項垂れて動かない友奈さん、そして───。
「い、いやっ!」
そんな事はない、皆死ぬ訳がない。頭を振って形成された『もしも』の結末を振り払う。今だけは、この瞬間だけは持ち前の想像力を忌々しく思う。
動け、動けと必死に言い聞かせても、私の体は……心は石化したように固まっていた。
このままで良いのか?守られっぱなしの自分で本当に良いのか?誰かの後ろでウジウジとする、そんな自分で良いのか?
───違う。
私はタマっち先輩に救われた。バーテックス相手に震えて竦む事しか出来なかった自分に差し伸べてくれたあの手に、背中に憧れ、いつか隣に立ちたいと思った。
「──タマっち先輩!」
私の視界に、吹き飛ばされるタマっち先輩の姿がうつる。
コマ送りの様に落ちていくタマっち先輩。トドメを刺すのか、バーテックスは群を成して迫りかかる。
タマっち先輩が死ぬ──。
瞬間、私は弾かれた様にタマっち先輩へと手を伸ばす。しかし、何十メートルも離れた距離では決して届かない。ただの一般人の私では………。
「──っ!」
この時、私は咄嗟に勇者アプリをタップした。目を覆う程の光が私を包み、勇者装束を形成する。変身が済むとほぼ同時に手に持ったクロスボウの矢を群がるバーテックス向けて放つ。何百と放たれた矢は寸分違わずバーテックスに突き刺さる。
「タマっち先輩……」
「あんず……お前」
驚いた様に目を見開くタマっち先輩。私は助けられたという安堵の感情に崩れ落ちそうになるのを堪えながらタマっち先輩の元に駆ける。
「うん……変身できちゃった。タマっち先輩を危ない、助けたいって強く思ったら……勇者アプリが起動して」
もういつの間にか体の震えは無くなっていた。今の私を支配するのは、タマっち先輩を守るという使命感とそんなタマっち先輩を傷つけたバーテックスに対する怒りだ。
目に残った涙を拭い、タマっち先輩の隣に立つ。
「行こう……タマっち先輩」
精一杯の笑顔で言ってみれば、タマっち先輩はいつもの勝ち気な笑みを浮かべ、半歩前に出る。
「一丁前に言っちゃって!まだまだあんずがタマの隣に立つのは早い!……後ろ、任せたぞ!」
「──っ!うん!」
タマっち先輩が飛ぶ。私は眼前に見えるバーテックスにクロスボウを構える。
(私とタマっち先輩が揃えば……絶対負けない!)
私の決意を表すように今、クロスボウのトリガーを引いた。
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「成ったか……杏」
明らかに増えたソウルの数に、感嘆の声を上げる。辺りには先程までいたバーテックスは見る影もなく消滅しており、灰が意識を向けるものといえば他の勇者の戦闘音ぐらいだった。
「──少し、疲れたな」
表に出さずとも中に蓄積された疲労は誤魔化せるものではなく、樹海の根に背中を預けるようにして座り込む。
「しかし、私に対して仕向けるバーテックスの数が異様に多い。千景達が苦労を被らない様なら別に良いが………」
目測だが、今回灰が戦ったバーテックスの数は全体の半分。一人に対してけしかける量がまあまあ多い。これは天の神が灰を警戒しての行動か、それとも
灰が求める解は直ぐに得られた。
「あれは──残ったバーテックスが融合しているのか?」
肺の視力が捉えたのは、残り数少ないバーテックスが集まり新たな存在へと変わりゆく瞬間だった。
その姿はまるで棒。今までのバーテックスにあった牙は失われ、武器という武器を持たなくなった姿は貧弱そのもの、弱体化なのでは?と疑ってしまうほど、その姿は弱々しかった。
「──灰さん!」
「千景、無事か?」
「えぇ、灰さん……は大丈夫よね。あれは………一体何?」
「バーテックスの進化体……だろうな。三年前の日にも現れたらしいがそれ以降現れてはいない。だが、現れた進化体はどれも強力な力を持っていたらしいが……」
「あのバーテックスからはそれが見当たらない……ってことなのよね」
千景の言葉に灰は頷く。今すぐ調べたい所だが、いかんせん千景が近くにいる為迂闊に変な行動はとれない。
変化は直ぐに現れた。進化体を囲う様に赤い体組織が形成され、展開する。
悪寒が灰の全身に走る。
「千景、私の背中に隠れろ。何か……くる!」
咄嗟に千景を背中へと退避させた灰。バーテックスの体組織は形を成す。
まるで発射台を思わせるその形にただならぬ気配を感じた灰は、ソウルから身の丈を遥かに超える大弓を取り出す。本来は竜を墜す為に作られた弓を構え、同じく竜を殺す為の矢をつがえる。
一呼吸置いて放たれた矢は一直線にバーテックスの中心目掛けて接近していく。そのままバーテックスに風穴を空けると思われたが、移動した体組織によって阻まれる。
「弾かれたか……成る程、あの組織は反射板か。しかも……!」
「灰さん、矢が!」
「衝撃に備えろよ……!」
弾かれた矢は体組織を巡り、放った張本人である灰の元へ帰ってくる。
灰は左手にハベルの大盾を出現させ、来るであろう衝撃に身を固める。新幹線がぶつかったのではないかと錯覚する程の衝撃に全身が軋む。
「……左手は……逝ったか」
後ろの千景の安否を確認し、感覚のない腕を触った灰はまだ安いもの、と割り切って進化体の動向を見る。
その時、灰の視界にある者が映った。
「───友奈か!」
颯爽と現れバーテックスの体組織に拳を叩きつける姿に、目を見開く。しかしこれはまたとない絶好の瞬間と、ソウルからタリスマンを取り出し、『雷の槍』の上位互換である『雷の大槍』を振りかぶり投げつける。
雷光の尾を引きながら体組織にぶつかり、その強固な壁を破壊する。すかさず友奈が勇者に備わっている「切り札」を使い、威力を底上げする。
遠目から見れば竜巻と間違えてしまう程の勢いと力を友奈は遺憾なく振るう。
十数分にも及ぶ闘いの果てに、友奈の拳に耐えきれなくなったバーテックスは粉々になる。
光の粒子となって消滅していくバーテックスの残骸を見届けながら、灰は腰を下ろす。
「勝ったの?……高嶋さんが」
「だろうな……あそこまで粉々にされては流石の進化体も成すすべ無しだろう」
樹海化が解け、元の街に戻る瞬間を見ながら灰はエストをひと煽りした。
「何やってるんですか!若葉ちゃんは!」
帰ってきて早々に、若葉はひなたに怒られていた。ご丁寧に正座もさせられている為、相当ご立腹であると見える。
「まったく、バーテックスを食べるだなんて!」
「なぁ……球子、杏、私と千景は遠くに居たために事の一部始終を知らないのだが、バーテックスを食う……とは?」
「そのまんまだよ、若葉の奴背後から迫ってきたバーテックスを避けて食ったんだよ。いやーあれは怖かった。ギリィ!ブチィ!ってこっちまで聞こえてきてさー、杏と「若葉だけは怒らせないように」って喋ってたんだ」
「バーテックスを……食う」
「は、灰さん!?待ってください、そんな少し引いた目で見ないでください!」
「いや、私は別に否定はせんよ。人の好奇心は侮れんからな、うん。ただしかし……好奇心の的は良く考えてくれよ?」
「は、灰さぁん!「若葉ちゃん!」……うっ!」
「あの若葉があそこまで怯えるなんてなぁ〜」
怒るひなたに何を思ったのか、どこか悟った様子で遠くを見る灰の隣で珠子は腕を組みながら。
「一番怖いのはひなただったか」
頷くのだった。
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バーテックスとの戦いが終わったその夜、バーテックスの侵攻とそれを撃退した事を報じるニュースが四国中にながれた。
四国の人々はその吉報に安堵と歓喜の声を上げる。それと同時に四国の他にも生き残りがいる事、四国と諏訪の通信記録が公表された。
外にもバーテックスに抵抗する人々が居るという事実は、四国の人々に希望を与えた。
しかし、その報道では諏訪との通信が途切れた事は報道されなかった。それをしるのは若葉達だけである。
食堂に設けられたテレビの報道を見ながら、灰と若葉は蕎麦を食べていた。
「灰さん。本当に、本当に諏訪は終わったんですかね」
「………」
「まだ、白鳥さんは生きてて……今も何処かで………いや、すみません。こんな気弱な事言ってしまって……」
「──偶には、弱さを出しても良い。誰も貴公を責めやしない」
何でもなく言うと、若葉は軽く笑い、蕎麦を啜る。灰もそれに釣られる様に蕎麦を啜る。
静かな食堂に、蕎麦を啜る音がこだまする。
「……白鳥さん。やはり私には蕎麦は口に合わない……うどんの方が良い……蕎麦は少し……塩辛い。灰さんはどうですか」
「………そうだな、私は別に…………いや……少し、塩辛いな」
そうですよね、とぎこちなく笑う若葉。テレビから流れる喜色に満ちた声だけが、延々と食堂を包んだ。
六話の時に書いた勇者御記はストーリーの節目とかに囲うかなって思ってます。
(決して編集や中身を考えるのが面倒くさいなんて事はないよ決してそんな事はアリエナイヨ)
後やっぱり戦闘描写が難しすぎる。楽しんでくれるなら嬉しいけど、どうかなぁ〜?
我々ぐんちゃんを幸せにする会はぐんちゃんのこれからを応援しています