最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
『二人は幼馴染』
「俺に恋愛リアリティショーの出演依頼ねえ……変わった事するよね」
「んで、どうすんだ? 断るならさっさとしてくれ」
「いーや……本当は出る気無かったけど……この出演予定者一覧見たらちょっとやる気出てきちゃったかも。つー訳でマネちゃん、頼むね」
「……うわ、マジかよあの子出んの? お前絶対ピンポイントで目当てだから気が変わっただろ」
「いーっしょ? アイツ弄りやすいし」
某事務所。
ここは俺の所属している都内の大型芸能事務所、俺はマルチタレントとしてバラエティからドラマ出演から歌番組から何でも出ている今をときめくカリスマ高校生『無道和也』である。
そんな俺に舞い込んできた仕事がこれ『今からガチ恋始めます』という恋愛リアリティショー。
今までそういうのは後々の人間関係が面倒で全部突っぱねてきたから今回もそうしようと思ったが、出演予定者一覧を見て話が変わった。
「はぁ……お前は本当に『有馬かな』……かなちゃんの事になるとすーぐこれなんだから」
「稼ぎ頭で強引に取ってきた仕事でも無いんだし大目に見てよ、このイケメンの俺様に免じて、な」
「……ま、稼ぎ頭なのは事実だし普通に依頼された仕事だから良いよ。でも恋愛リアリティショーっていうのは自覚して出る事、良いな?」
「分かってるよ。くっつきそうなカップルの引き立て役として脇でかなと漫才でもしといてやる」
「本当に大丈夫かコイツ?」
「ヘーキヘーキ、アイツと遊んでるだけだから」
そう、それは俺の幼馴染こと有馬かなの事だ。
一つ年上のアイツとの出会いは二人とも子役になる前……というかそもそも実家が隣同士で物心付いた時には既にかなを弄っては遊んでいた。
年上を敬えとか良く言われるが威厳の無い身長と顔をされては説得力のカケラも無かった。
そんな訳で会えば毎度弄り倒すが、別にお互い嫌いでは無い。
寧ろ幼馴染としてはお互い気の合う関係性だと思っている。
あっちだって本当にやめてほしい時のトーンと俺に弄られてる時のトーンは全くの別物だしな。
「いや恋愛リアリティショーっつってんでしょ」
マネちゃんのツッコミを無視してテーブルのコーラを飲み干す。
しかし真面目に考えて、かなに限ってヘマは起こさないだろうと確信している面が大きかった。
今でこそ役者としての仕事は少ないが、アイツは『脇役に徹する術』としては右に出る存在は芸能界全体で見渡しても少ないレベルだ。
ならこれに出たとしても上手くやれるはずだ……そういう信頼もしての出演OKなのは内緒だ。
ま、8割程度は単に弄りたいからだけどね。
さてさて今から楽しみだ。
「あ、でもかなが出演断ったら断っといて。アクアが出るような番組にわざわざ出たくないから」
「オイ本当にかなちゃんだけが目当てかよコノヤロウ」
「は? アクアだけじゃなくてアタシにも『今ガチ』のオファーが来てる? なんで?」
「なんでも『役者としての実力は世代随一の有馬かなの、リアリティショーでの現実と演技が混ざった姿を見たい』そうでな……一応、まだアイドルじゃないから出演は可能という見方をしている」
「うぐぐ……これに出れば話題にはなる……なるけどもっ……」
一方その頃有馬かなは盛大に悩んでいた。
そこまで言われているという事は、番組は自分の事を相当高く評価してくれているに違いないというのは確信していた。
そしてこれに出ればアイドルになる前に一応結構な話題にしてもらえるはずだというのも理解していた。
だが、有馬かなは小さい頃から芸能界に触れてきた元天才子役だ。
だからこそ芸能界の面倒臭さや息苦しさも理解していた有馬かなは、『恋愛リアリティショー』これが意味するもののリスクが理解出来ない人間ではなかった。
これに出た直後にアイドルになるリスク、人間関係が増えるリスク……考える度に面倒になる。
そういうメリット、デメリットの天秤の中心で彼女は揺れ動いていたのだ。
「一応、出演予定者一覧見ておくか? 後確定してないのはウチだけだが……あ、一人だけ『かなが出るかどうかで出演するかどうか決める』って言ってる奴もいたが――」
「それ絶対和也でしょ!?」
「良く分かったな、マルチタレントの無道和也……って、まあお前の幼なじみだし分かって当然か」
「……はぁ全く、なんでアイツがいるのかしら。どうせからかいに来てるに決まってるわよ」
だが話が変わった。
無道和也……幼馴染が出演予定者にいるからだ。
「でも顔見知り、それも幼なじみがいた方がやりやすいんじゃないか?」
「むぐぐ……いやでも待てよ……これは……確かに一理あるのよね……なるほど、使えるものは使っといた方が……」
暫く頭を抱えていたかなだが、ふと脳内に電流が走ったかの様な感覚に襲われる。
ピンと来たのだ……全てのリスクを相殺させる方法、自分がそこそこにカメラに映って尚且つメインにならない方法が。
「アタシ、出ます」
「お、本当か?」
「はい。これでアタシをほぼノーリスクで話題にしてもらうんだから……」
「いや一応恋愛リアリティショーなの分かってるよな? 大丈夫だよな?」
「勿論ですとも! ちゃちゃっとやって適当にフッて終わらせますから!」
「本当に分かってるか?」
和也と同じツッコミを入れられているとは露知らずしたり顔のかなは既にどうやって自らを売るかの計算に入っていた。
有馬かなは自らを売る事に関しては『子役時代に干されてから身に付けたスキル上』計算高い、このゾーンに入れば『ほぼほぼ失敗しない』。
だが彼女は一つ失念していたのだ。
そう、この番組には自分の想い人かも知れない……同事務所の星野アクアが出演するという事に――
『鷲見ゆき ファッションモデル 高校1年生』
『熊野ノブユキ ダンサー 高校2年生』
『黒川あかね 女優 高校2年生』
『MEMちょ YouTuber 高校3年生』
『森本ケンゴ バンドマン 高校3年生』
『星野アクア 役者 高校1年生』
『有馬かな 元天才子役(現役者) 高校2年生』
『無道和也 マルチタレント 高校1年生』
遂に迎えた今ガチの収録。
次々と自己紹介が終わり、ラストに俺が回ってきた。
全くかなもクレジットはツッコミどころ満載だが無難に終わらせやがって……ここはいっちょこの天才の俺様がやってやりますか。
「このイケメンッ!! マルチタレントこそが……そうッ!! 無道和也様だ!!」
「お、おう……そうか。いつもの和也らしいな……?」
反応したのは友人としての付き合いがあるノブユキだけだったが全員、特にかなが面白い顔をしていたので良しとしよう。
視聴者の掴みは完璧だろう。
ディレクターから後は自由に仲を深めてほしいと言われ、カメラがそれぞれの出演者に付く。
俺はそれを聞いて迷わずかなを捕まえ……あっちからも来たのでニヤリと笑みを浮かべる。
そもそも俺とかなが幼馴染というのは割と有名な話であり、共演すれば俺の弄りが発動するという一種の名物として人気だ。
所謂恋愛関係ではなくコンビという感覚だからかここで絡んでもリスクが低い……いや、もっと言えば賑やかしと思われている可能性が高いだろう。
だったら後は簡単、脇役として箸休め程度に、それでいて適度に映してもらえる様な絡みをすれば良いだけだ。
「お前から来るとか珍しいじゃん、かな。もしかして俺に惚れたか?」
「んな訳無いでしょバカ、そんな寝言を言う暇があるなら女の子でも落として来たら?」
「俺はちょっと様子見で良いや。てかかなも俺以外の男に絡みにいかないの? 同事務所からも来てるんだろ?」
よしよしいつもの軽口合戦になったな。
カメラマンも恋愛リアリティショーになってないのを除けば悪くないと言った感じで満足そうだ。
さてこっから勢い付けて……
「っ! お、同じ事務所から来てるからこそ絡む必要なんて無いでしょうよ!」
「……そうだな? ま、ちんちくりんなお前だと相手にされてないかも知れないがな!」
「……! 背が高いからって勝手な事を言うんじゃなーい!」
ん? なんだコイツ、今ちょっと顔が赤くなったか?
カメラマンは……気付いてない、とするならカメラには映ってないだろうが……いや、気のせいか……?
いや、違う。
今の反応を見るに少なくとも気になってる存在……と言ったところか。
……星野アクア、か。
よりにもよってかなの気になってる相手がコイツとは……いけ好かねえ。
……ま、だがいけ好かないとしてもコイツが誰と恋愛しようと関係無い。
俺とコイツ、二人はただの幼馴染なんだからな。
そう、気にする必要なんてどこにも無い……
無道和也
この作品の主人公、明るいくせっ毛の茶髪に高身長、タレ目のイケメン
趣味は有馬かなを弄る事だが気の合う幼馴染として大切には思っている
運動神経も歌もギターも演技も高いマルチタレントとして人気が高いがナルシストで口調が軽い
女に興味はそこまで持っていない
有馬かな
この作品のヒロイン(?)
和也には弄られてばかりだが悪くは思っておらず気の合う幼馴染だと思っている
この時空では今ガチに出演する事になった
和也の自己紹介時『面白い顔になった』と言及されているがただ呆れていただけである
斎藤壱護
アクア、ルビーが高校生になった時点では失踪していたはずの男
何故か苺プロダクションにちゃんといる
星野アクア
和也曰く『いけ好かねえ奴』と目の上のタンコブ扱いされている
星野ルビー
一緒にいるはずだったかなも取られて一人ブツブツアクアへの怨念を唱えているとかいないとか
24年11/22追記
初期設定と今の設定で整合性が全く取れてなかったのでセリフを一部全く別のものに改変しました