最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
結局のところ、星野アクアが死ぬ気で作った動画は初動1時間で1万RT、24時間で10万RTを得た。
これによりあかねちゃんの印象は回復、盾にすると言っていた番組に関しても大きく話題になり炎上もしたがそれ以上に注目度が上がりお釣りが来るレベルまで達していた。
ただ全部が全部回復した訳ではない。
やはりそれでも執拗に叩く連中は多く、一度番組側から何人か開示請求を行い晒し首にするという連絡が回ってきた。
それで更に回復はするだろう、後は本人次第だ。
「だけど……うん。次の収録から復帰する」
「良かったぁ〜」
「今度は無茶はダメだからね?」
「分かってる、ありがとゆき」
「今度からはアタシとも絡んでよね〜?」
「も、勿論ですっ! 是非是非絡ませてください!!」
「かなの奴すっかり懐かれたな……」
ま、この感じを見てる限りは復帰出来そうだろうがな。
やっと少し気が抜けそうだ。
「これからはちょーっとくらいあかねもキャラ付けしてみたら? やっぱり素の自分で叩かれるのはダメージ大きいしさ〜」
「確かにそれは理にかなってるな。あ、俺様のこれは完全に素だけどな」
「無道のは置いとくとして、何かしら演じていればそれが鎧になる。素の自分を晒しても傷付くだけだからな……これはリアリティショーに限った話じゃなく、社交術としても重要な事だ」
「アクたんもその辺ガード固いもんねえ、もうちょっと素見せてくれても良いのに〜」
「断る」
話はキャラ付けの話に変わっていた。
俺様のこれは天才の俺様を輝かせたいから当たり前に素でやってる事だが、アクアのそれも説得力のある言葉なのは事実だ。
「ふむ……キャラ付け次いでにアクアくんの好みの女の子も聞いておく?」
「言わんぞ」
「じゃあじゃあ他の男子から聞く〜、はいじゃあ最初ケンから」
あ、なんか面倒な流れになってきたな。
俺様別に好みのタイプとかいないんだけどなあ。
「え、俺? 俺は……いつも元気なムードメーカーだけどいざって時に頼れるギャップのある感じの人が良いかな」
「……もしかしてメッさん?」
「え!? あ、いやべ、べべべ別にそうと言った訳じゃっただ確かにメムは魅力的な女の子だとは思うけどそれとこれとは別だっ」
「あ、流石に自分に来るのは予想外でちょっと恥ずいかも……」
ほほう、もっさんの好みは初めて聞いたがこれはこれは。
面白い事になりそうだな……少し応援させてもらうか。
「あ、あー! じゃあノブユキはどうなんだよ!」
「俺か? 俺は……黒髪で、清純派な見た目で、強かで、でも包み込んでくれる女の子が良いかな……出来れば年下で……あ」
「ほぼほぼ特定の人物言ってんだよそれは」
「めちゃくちゃ照れるどうしよう顔熱っつい……」
ノブの好みは知っていたが二人連続で自爆するか普通。
てかこの感じ次は俺様かぁ……どうしたもんか……最初に思い浮かべた女の特徴でも適当に挙げて……
「なんで俺までこんな目に……ええい! 和也はどうなんだ!」
「……茶髪のセミロング、パッチリとした目に童顔、小柄な体格に弄るとすぐぴゃーぴゃー言ってくる面白い性格の癖にたまにいざとなれば俺より行動力が出てアイドル性も高い天才……これかなだなー、うん」
出てきたのはかなだった。
仕方ない、かな以上の良い女を見た事無いんだから。
「アタシとしても気楽に話せて頼りになってある程度見た目も良くてアタシの事優先してくれて貧乳好きな人が良いわよねー、その点和也は世界一その条件には当てはまってるわよね」
「オイこの二人本当に付き合ってないのか」
「かなっち、前も聞いたけど本当にただの幼馴染なの!? これで!?」
「え、うん」
「和也!? お前も本当に気は無いのか!? 一ミリも!?」
「世界一良い女だとは思ってるしかなより良い女は見た事無いが恋愛感情は無い。なんだそんなに不思議か?」
全員ドン引きしていた。
折角答えたと言うのに、そんなに不思議な事だろうか。
「あ、でも流石に定期的に当時のピーマン体操の映像見てアイドルオタク張りの声援送るのはちょっと引くわね」
「世界一良い女の貴重なアイドルしてた時の映像に声援を送るのは当然では?」
「どう考えても当然じゃねえよ」
「?」
「心底不思議そうな顔をするな」
ふむ……世間の幼馴染はそういう事はしないのだろうか。
そこらのアイドルは片手間に蹴散らせるだろうルックスに歌も上手い幼馴染がいれば普通応援にも熱が入ると思うのだがな。
それよりもまだ本題が聞けていないな、仕方ない俺様が聞いてやろう。
「ところでだ、星野アクアお前の好みを聞いてないな? 俺達三人は答えたんだからお前だけ逃げられると思うなよ」
「チッ」
「舌打ちをするな」
「理想の女性像! 聞きたいな〜」
「……理想、ね」
諦めた様に目を瞑るアクア。
さて誰を想像してるやら……かなが当てはまらなきゃ殺すぞ。
「……顔の良い女」
「うっわ最悪」
「ルッキズムの権化」
「かなは該当するな」
「なんでアタシなのよ」
「太陽みたいな笑顔、完璧なパフォーマンス、まるで無敵に思える言動、吸い寄せられるような瞳……」
「お前その歳でアイ推しかよ」
「……なんだ、悪いのか」
「いや、良いけど世代違えから意外だと思ってな」
かなだと思って少し見直した俺様が馬鹿だったよ。
20年弱〜12年程前に活躍していた伝説のアイドル、アイが来るとはそりゃ誰も思わねえよ。
「アイ……確か元B小町センターで伝説的なアイドルって言われてた人だよね」
「事故で下半身不随になってアイドル引退したって聞いたけど、それを感じさせない演技してる。正直参考にしたい」
「あたしも一回雑誌の撮影で見た事あるけど、こうオーラが違うっていうか」
「眩し過ぎてアタシは灰になりそうだったわ……」
改めてアイの情報を出しておくと……20年程昔に活躍していたB小町の伝説的センターだったが初のドームライブの帰り道に事故に遭い下半身不随。
そこから何とか復帰を目指していたものの断念し引退、B小町のプロデューサーとして数年活躍し解散を見送ってからは女優へ転身。
座っている演技、若しくは車椅子に乗った人間の演技が主だが何一つ不自然さを出さない完璧な立ち振る舞いでお茶の間を魅了し続けている。
しかしそんなアイがアクアの好みだとはな。
当時の映像は見れるから不自然では無いとはいえ、やはりちょっと不満だな……こういう時は弄るに限る。
「確かに今見ても18歳と言われたら頷ける可愛さはあるが、流石にお前にゃ高嶺の花だな」
「知ってる」
「あ、見た目10代と変わんないの分かるな、どうやったらあんなに綺麗でいられんのか不思議だわ。てか俺とか言い寄られたらコロッと行きそう」
「ノブくん?」
「い、今のは例えだからね?」
「でもほんと、あの人変わらないよなあ」
ゆきちにジト目で見られるノブを尻目にニヤニヤとアクアを眺める。
そしてチラりとかなを見やるが……ちょっと不満そうな顔をしてるな、やっぱり。
俺個人の補正付きならアイよりもかなの顔の方が良いんだがなあ。
「よし。私、アクアくんの好みの女の子やってみるね!」
「やれやれー!」
「アクアを落とせー!」
しかも周りはすっかりあかねちゃんがアクアを落とそうとしているのを応援するムードになっている、これは中々まずいか。
素でやらせたらポテンシャルは無いに等しいが、演技をするとなると話が違うしな。
「ふん……」
あのララライの現エースだぞ、どんな隠しダネでアイをコピーしてくるか分かったもんじゃない。
かなの心情は察してしまうものがある。
「ま、元気出せ。この後カラオケでも行くか? 勿論二人で」
「……それアンタがアタシ独占したいだけじゃないの?」
「そうだと言ったら?」
「良いわよ。どうせ思いっきり声出したかったとこだし」
という訳でかなにストレス発散してもらうついでに俺はアイドル有馬かなを独占する事になった。
どうしてコイツアイドルしないんだろうな……すれば良いのに。
なお、それを聞いていた周りからは思い切り歓声が上がった。
だから俺達はただの幼馴染と言っているはずなんだがな……
無道和也
世界一良い女は誰かという質問に何の羞恥心も恋愛心も無しに有馬かなと答えるような男
極稀に現在のかなにピーマン体操を踊ってもらっている(勿論声援は欠かさない)
有馬かな
上述の言葉に「アイツはいっつもこうよねー」と何一つ動揺を見せない女
極稀に封印したピーマン体操を踊ってあげている「アンタにだけは特別にやってあげるんだからね…!感謝しなさい!」とは本人談
森本ケンゴ
自分の好みを自覚した瞬間である
MEMちょ
色んな意味でまずい
黒川あかね
この後FBI顔負けのエグい考察でアイを降臨させる