最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

13 / 71
※11話『俺の情緒が色んな意味でめちゃくちゃになってるんだけどどうしてくれるのこれ』に出てくる設定と文を一部修正

訂正前
初期メンバーの3人は芸能界に在籍しタレント、歌手、キャスターとそれぞれの道で活躍中。

他の3人

訂正後
初期メンバーの内解散まで残った2人は芸能界に在籍しタレント、歌手とそれぞれの道で活躍中。

他の4人


『俺はかなの幸せを願ってるから』

「和也くん、『今ガチ』そろそろ大詰めみたいだね」

 

「フッ、俺様に掛かれば恋愛リアリティショーなんぞ何一つ問題無い。何せ俺様は完璧で無敵のマルチタレント無道和也様だからな。残る収録は明日あと二日、最後に誰と関係を深めるか、そして誰に告白をするか……俺様はサッと終わらせるから関係は無いがな。社長も安心して見ていると良い」

 

「いや恋愛リアリティショーだって分かってる?」

 

「何も問題ない、主役はゆきちとノブだからな」

 

 仕事帰りの事務所、社長との仕事の打ち合わせの次いでに話に挙がったのはいよいよ大詰めとなった今ガチの話だった。

 しかしこの社長、いつ見ても若い……そもそもが31歳という若さなのもあるがそれを分かった上で見ても20歳そこそこが精々の見た目という異様な風貌をしている。

 まるで星野アクアを少し大人にした様な姿に錯覚してしまう。

 

 だからか、大抵社長と話すと調子が狂って仕方ない。

 

「一応君はウチの稼ぎ頭なんだから、宣伝として目立ってくれるくらいにはなってほしいんだけどね。まあ言わずとも目立ってくれたから良かったけど」

 

「あれは本意では無いから不満だがな」

 

「でも良かったよ、脇役だったコミカルなコンビとあまり目立たなかった演者が一気に本筋に絡んでくるあの盛り上がりは今ガチ自体を話題にさせたからね。面白かったなあ」

 

「一応この話俺って言うアンタんとこの役者が当事者なんだけど」

 

 確かに今回の今ガチはあのアクアに突っかかった夏祭り編を境にして過去最高を更新していた。

 とはいえあかねちゃん復帰後の『あの回』のバズには及ばないがな。

 しかしあかねちゃんが一気に注目される様になったのは嬉しいがそれはそれとしてあかねちゃんの本命としてアクアが目立ってきているのはやはり不満ではある。

 あのキャッチボールの日に聞いた感触では『かなにもチャンスは大きく残されている』そう感じただけに複雑な気持ちにもなるというものだ。

 

「ははは、そうだね」

 

 ところで……恋愛と聞くと気になる事が一つある。

 それはこの社長の事だ……噂ではかなりの女性を誑かして来たと言われているが……

 

「ところで社長、恋愛と言えば社長が女好きな噂を良く聞いてるが……その辺正直なとこどうなんです?」

 

「……それ聞いちゃう?」

 

「今はさておき昔はかなりの女好きとして悪い意味で有名だったと聞いたものでね。所属してる身としては気になる」

 

「……まあ、そうだねえ。若い頃は沢山やらかしたかなあ……勿論責任は取れるだけの事はしたけど大体の噂は本当かなぁ……はは」

 

「そ、そうか……」

 

「君は僕みたいにはならない様にね……いやほんと」

 

 聞いてた通りかよ……いや待てそうなるととんでもない年齢の時のやらかしも……?

 

 こうはなりたくないと社長にドン引くと共に改めて女性関係には気を付けようと社長に感謝するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今日で最終日か。緊張する〜」

 

「ノブはトップバッターだからな、心中お察しする」

 

「逆になんでアンタがラストなのよ」

 

「さてな。俺様が一番知名度あるからじゃないか、全く使い方を良く分かっている」

 

 今ガチも今日で最後の収録を迎える。

 しかもラストは告白とエンディング撮影のみ、リラックス出来る時間は演者には残されていない。

 とはいえ俺様には無関係な話だがな。

 ラストに俺様を持ってきたセンスだけは賞賛したい。

 

「夜景の見えるこの高台、ほんとロマンチック〜」

 

「だよね、綺麗〜」

 

「落ち着くなあ、こういうの……」

 

 そしてかな以外の女子組はきゃいきゃい騒いでいた。

 告白される側は呑気なこって……ノブともっさんとかかなり緊張してるってのに。

 

『それじゃあ熊野君、トップバッターお願いします』

 

 カンペが出される。

 かなりガチガチになったノブが唾を飲み込む音が聞こえる。

 

「いつもの……とまでは行かずともちゃんと伝えてこい。……この恋が嘘じゃないなら、な」

 

「わ、分かった……頑張るわ、俺」

 

 手に持っているのは赤い薔薇の花束。

 キザな男だ……番組映えとしては最高だろうがな。

 

「……ゆきちゃん」

 

「……うん」

 

 呼ばれた事でゆきちが来る。

 本来なら成功ルートまっしぐらな仲なのは見てきているがさて、どうなるか。

 

「話してみたり、見てみたりして。ゆきちゃんの可愛いところ優しいところ沢山分かって。凄く好きになった……隣にいて支えたいと思った。だから……俺と付き合ってほしい」

 

「ごめんなさい」

 

「ゴハァ!?」

 

 まさかの撃沈だった。

 告白まで含めて全て完璧だっただけにバッサリ過ぎる。

 ゆきち、容赦無い女だ……しかし気は合ったと思うのだがな……

 

「話してて凄く楽しかったし、カッコイイとも思ったけど恋愛対象としては見られなかったの。ごめんね」

 

 

「ありゃりゃ、可哀想に」

 

「あれはしばらく立ち直れないわね」

 

「南無南無……」

 

 対岸の火事の様に見てるかも知れないが次はお前らだぞメッちゃん、もっさん。

 撃沈したノブが幽霊の様に帰ってくるが……今はソッとしておいてやるか。

 

『次は森本君、お願いします』

 

 二番手もっさんはある程度冷静な足取りで立ち位置に向かう。

 冷や汗が出ている事を除けば……だがな。

 めちゃくちゃ緊張してるじゃねえかとは一応僅かに生き返ったノブの言葉だが、それを言われても仕方の無い雰囲気なのは否めない。

 

 

「メム……良いかな」

 

「う、うん」

 

「その……俺は、口下手だからさ。メムへの気持ちを曲として書いてきた。聴いてくれる?」

 

「聴く……」

 

 いつもムードメーカーなメッちゃんのこの姿はウケが良さそうだな。

 しかし流石もっさん、バンドマンでもあるがシンガーソングライターとしても活躍してるだけあって弾き語りが上手い。

 静かながらしっかりと心に残る。

 

 ……だがここは成立にはならないだろうな。

 メッちゃんがどうにも恋愛に一歩引いた見方をしていたからな。

 

「……これが俺の気持ち。好きです、貴方の事が」

 

「うう〜ん……ごめんっ! お友達として過ごしたいかな〜って」

 

「あ、うん、だよなあ……」

 

 

「お前も俺の仲間だな、ケン」

 

「いや鬼なのアンタ?」

 

 

 爽やかな顔でもっさんを見つめるノブ、奴は鬼畜だった。

 増えていく犠牲者にアクアは……無表情、コイツ本当につまらん奴だな。

 だが次はそのアクアだ。

 俺様のシナリオとしてはアクアがかなに告白、俺様があかねちゃんに告白で堅実に片付ける算段だ。

 何せアイツは面倒な事だけはしないことなかれ主義者、ならば答えは決まっているようなものだ。

 

『次、アクア君お願いします』

 

 チラリとかなを見る。

 複雑そうな表情はしているが……それでも、期待している。

 きっとあのクソボケを待っているのだと。

 だから……

 

「……あかね」

 

「え」

 

 その言葉と、かなの一瞬絶望した様な顔がスローモーションで俺に届いた気がして。

 

「お前の事が好きだ」

 

「私も……アクア君の事が、好き……」

 

 

「ま、マジか……本当にあかねちゃんに落とされるとは……」

 

「知ってはいたけど目の前でキスされると圧巻だわ」

 

「ひゃ〜、あかね大胆……」

 

「ほんとに落としちゃったんだ……」

 

 何やってんだよ、アイツは……

 リスクは嫌ってたんじゃないのか、堅実に安定感ある終わらせ方したいんじゃなかったのかよ。

 かななら気兼ねなく信頼出来るんじゃなかったのかよ……

 

「……あ、あーそうだ一応泣き演技しないとねっ! あ、アタシが盛り上げないと行けないもんねっ!」

 

 それを聞いて、他のメンバーも声の掛け方が分からなくなる。

 傍から見て分かっていたからだ、かなの想いが。

 

「な……んで、泣こうと思う前から……涙が出てくんのよ……これは……演技じゃ、ないのに……」

 

 

『ごめんなさい。ラスト、無道君お願いします』

 

 カンペを出してるスタッフ側としても少し気まずいのは伝わってるのか、僅かに遅れて俺に出してきた。

 

 ……どうすべきだ。

 

 バカか、そんな事自問しなくても決まりきってるだろ、無道和也。

 俺様は……いや、俺はずっと『かなの幸せ』を願ってきた。

 アイツの笑顔がこの世で、世界一尊いものだと思っていたからこそ。

 世界一大切な幼馴染だったからこそ。

 肉親と同じくらい、命に変えてでも守りたい存在だからこそ。

 

 恋愛感情の有無や目立つ目立たないなんてこの際かなぐり捨てる。

 深呼吸をして向かう。

 アイツには、あんな泣いてる顔なんて似合わないからな。

 

「……来いよ、かな」

 

「…………んで、和也が」

 

「言ったろ? お前が万が一アクアにフラれたら俺様が告白してやるって」

 

「同情なら……」

 

「同情じゃない。俺は幼馴染としてお前の事が大好きだ。お前のドヤ顔、自信に溢れてる顔、笑ってる顔が大好きだ。俺に弄られてる時のマヌケ面もだがな」

 

「……途中まで感動してたのに殴るわよ」

 

 ニヤリと笑う。

 かなに言うには柄でも無い事だが、自然とスラスラ言葉が出てきていた……やはり俺の中でかなの存在は唯一無二だったのだろう。

 

「ま、なんだ。かなには泣いてる顔は似合わねーから来てやったんだよ。感謝しろよ?」

 

「何よその言い方……もうっ、余計な事言うから涙引っ込んじゃったじゃない……ありがと」

 

「どういたしまして」

 

 だからなのか、泣き止んで俺に礼を言うかなを見て心底ホッとすると同時に……少し俺の心に違和感を覚えた。

 それは今までに感じた事の無い違和感で……だが、気のせいだろうと振り切る。

 それより今は泣き止んだかなにもう少しちょっかいを掛けたい。

 

「そういやこれ告白らしいけど、このまま勢いで俺様達も付き合っちまうか? どうせあのクソボケはクソボケだし」

 

「……アタシがどう返すか分かってて言ってるんでしょ?」

 

「フッ、まあな」

 

 

「じゃあ言ってやるわ……お断りよ、ばーか♪」

 

 その顔は、いつもの様な笑顔で。

 だが、何故か少しだけ胸が跳ねるのだった。

 

 さて、それはさておきあのクソボケはどうしてやろうか……




社長
和也の所属事務所社長
かなり若いが見た目はもっと若い星野アクア似イケメン
若い頃に色々女関係でやらかしてるらしいが…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。