最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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第二章 芽生える気持ち
『有馬かなの受難』


「は!? メッちゃんがB小町加入!?」

 

「そそ。どうせもう数時間後には発表だし口が固い近しい人にくらいは話しても良いって言われてねー。3人になったからデビューの見通し立ったって事で公式発表されるみたい」

 

「不意打ち過ぎるというかなんと言うか……一番『まさか』と思ってたが、この流れだとアレか、実はずっとアイドル志望でしたってやつか」

 

「そゆこと。色々苦労してきたみたいで流石のアタシもお涙頂戴しちゃったわよ……今思い出すだけでも泣けるわ……」

 

 オフと土日が被るというめちゃくちゃに珍しい日が出来たとあり、あまりにも暇だったのでかなの家に遊びに来ていた。

 カラオケタイムに始まり、手料理を作ってもらったりと充実していた。

 ちなみにかなは俺が数年前『料理出来た方が男に喜ばれる』って言ってから料理をみっちり修行して今では主婦顔負けの知識でたまに料理番組に呼ばれる程になっていた。

 

 閑話休題、食事も終えまったりテレビを見ていたところで話がB小町の事になり『あ、そういえば』と切り出され今に至る。

 

「しかしこれで今ガチに出た女性陣半分がアイドルか、これは奇跡のメンバーになるかもな。現役アイドルが出るのは御法度だからこそ、なる直前のメンバーが出てるのは貴重も貴重だからな」

 

「ま、確かに貴重よね」

 

「あと俺様の知り合い3人が同時に同じアイドルグループとしてデビューするのも貴重か」

 

「普通に考えて有り得ない事象なのはそれはそう」

 

 そもそも俺はかながB小町としてアイドルになると聞いた時も、もう一人に関しても『同じ事務所なのに名前が出てなかった』という観点から憶測でルビーちゃんを予想していただけなので明確に分かったのは今である。

 そこまではまだしもメッちゃんに関しては予想外も予想外、アイドル志望だとは知らなかった。

 幼馴染がアイドルやると思ったらメンバーも全員知り合いだった件。

 

「だが……B小町という元々形あるグループでやるなら効率は良いだろう。何せ既存曲が豊富にある上に事務所にはアイ以外にも3人、元B小町が所属している。これ以上の効率の良さは存在しない……俺様はそう考えている」

 

「まあそうね……ねえ、本音で話して良い?」

 

「お前が一番本音で話せる相手は俺様だろ? そして俺様はかなの事が大好きだ、そんな相手が弱ってるのに手を差し伸べない俺様じゃないぜ」

 

 和やかな雰囲気から少しだけ空気が変わる。

 かなの話すトーンが明るいものから、落ち着いた……いや、苦しんでいるだろうものに変わる。

 

「アタシ、本当はアイドルなんてやる気無かったんだ。目指すものは役者で。楽しいのもそうだけど、和也の隣にいても和也が誇れるアタシでいたいからってのが大きかった……これは昔話したっけ」

 

「1度聞いた事あったからな。『アイドルやる気は無いのか?』って。そしたらお前は『ファンサはアンタにだけで充分やってるから良い』って言って役者への夢をそう言ったんだったな」

 

 そうだった。

 元々かなはアイドル志望では全く無かった。

 俺の前でアイドルをする事には逆に何の躊躇いもなく、それこそピーマン体操だってこの歳になっても俺の前でなら踊ってくれていた……黒歴史だと自虐しながらも。

 

 しかし裏返せば、俺以外の前では絶対に持ち歌を歌う事は無かった。

 確かにピーマン体操以外は売れなかったがどれも良い曲だ、それでも頑なに封印し続けていたのだ。

 

 だとすれば……アイドル志望の2人とはモチベーションの差が出てしまう、悩んでいるとすればそういう事だろう。

 

「そう。しかもアタシ自身アイドルにそこまで興味も無くて、逆にルビーとMEMちょは根っからのドルオタ」

 

「え、メッちゃんそんな趣味あったのか。知らなかった……いや、まあアイドル志望の時点で不思議じゃないけど」

 

「アタシとしても意外だったわ。はぁ……モチベーションの差が激しいのなんので……どうして良いか分からなくて、ただ流されるままで」

 

「じゃあなんでB小町の誘い受けたんだ?」

 

 一番の疑問はそこだった。

 アイドル志望でも無ければアイドル好きでもなく、興味もほぼ無かったかながどうしてそれを受けたのか……

 

「本当は断るつもりだったのよ。最初ルビーに誘われた時は、本当に欠片もやる気は無かった。……でもアイツが勧誘してくるから」

 

「……成程。星野アクアが知ってたのはそもそも勧誘した当事者だったから、か」

 

「ま、まだアクアとは……」

 

「でもお前、アイツに言われでもしないと頷かないだろ?」

 

「それは……そう、だけどさ……」

 

 ここでもまた絡んでくるのか星野アクア。

 どうしてアイツがかながアイドルやる事をそんな事前に知ってるかとイライラしていたがアイツがスカウトなら仕方ないという事にしといてやる。

 

「で? なんて言われたんだ?」

 

「……言わなきゃダメ?」

 

「言いたくないなら別に良いが」

 

「……言うわよ。『有馬はそこらのアイドルよりずっと可愛い。有馬になら大事な妹を預けられる』って……」

 

「めちゃくちゃ信頼されてんじゃねえかよ! 後そこらのアイドルより可愛いのは俺様も同意する。それはそれとして俺様の幼馴染をナンパした事は後で問い質す」

 

 そしてこの幼馴染、コロッと落ちていた。

 これで惚れてないは無理があるだろ、もう認めた方が良いんじゃないのこの人。

 まあそんな野暮な事はわざわざ聞かないがな、俺は後押しすりゃ良いんだし。

 

「アクアに誘われた事も信頼されてた事も嬉しかった。でも、モチベーションも着いて行けなくて、ついアクアにも強く当たっちゃって、この先どうして良いか分からなくなっちゃった……」

 

「ちゃんとアクアには謝ったか?」

 

「……うん。アンタが『その場で謝れないと絶対後悔する時が来る』って教えてくれたから」

 

「なら良し」

 

「でもちょっと仲はギクシャクしちゃった。今ガチの事での鬱憤もあったから言い過ぎて……」

 

 だがこれは相当だな。

 小さい頃は本当に素直さの欠片も無くてワガママが強かった奴だからなあ……無意識の失言も多かったし、俺様がいなかったら何回後悔する事になっていたやら、分からない。

 まるで年上感なんて無かったが今では結構頼りになるお姉さんとして周りには認知されている。

 不思議なもんだよ。

 

 そんなだから弱いとこ見せるのも俺以外にはたまにくらいになって、それだけが心配ではあるが。

 

 さて、これはどうしたもんかな。

 あのクソボケ相手なんて適当にやっておしまい! とでも言いたかったがこの雰囲気では真面目にやるしかないか。

 

「俺だって気に入らない相手とはいえ付き合いは長いからそこそこ星野アクアの事は分かってるつもりだ。アイツ、一歩引いて見るとかなの事異性としては知らねえけど、まあ凄く大切な相手としては見てると断言出来る。知ってるか? かなにギャーギャー言われた後、たまにアイツ俺んとこ来て相談してくるんだぜ? 『どうやったら機嫌を直してもらえるか』って。恥も知らずによ……」

 

「……アクアが?」

 

「間違いなく友人としては一番大切に想ってるんだよ、かなを」

 

 実のところ、俺は星野アクアの事はいけ好かない気に入らないとは言い続けているが本当は嫌いでは無い。

 誰かを意識的に蔑ろにしない、家族や同じ事務所の連中の事を大切にしている、気遣いも出来る。友人の事も大切にしている。

 非常に悔しいがこういう人間を心の底から嫌いにはなれない。

 そして友人の事を大切に見ているからこそ、唯一気心許せるかな相手の気落ちも分かりやすい。

 

 恥も知らずに俺に仲直りの為の相談に何度来たか分からない。

 あーもう、だから根っからは嫌いになれねえんだよ。

 

「そっか……アクアが」

 

「アイツは恋愛面はクソボケもクソボケだ。だが人間が出来てない訳じゃない、ちゃんと面と向かって話せば仲直り出来るだろうよ。アイドルの事は……俺にはどうしようも出来ないから、話をこうして聞いてお前のストレス軽減させてやるのと、デビューライブには何があっても駆け付けるって約束するくらいだな」

 

「デビュー、来てくれるの? ほんと?」

 

「俺様は嘘をつかないからな。それと、いつも特等席で見ていた会員番号0番がメジャーデビューを見ないはずがない、そうだろ?」

 

「ふふっ、それもそうね。ありがと……少し気が楽になった。アクアとはしっかり話してみる」

 

『今日話した事は俺様とかな2人の秘密だからな、アクアの事良く言ったって本人の耳に入ると俺様にダメージ行くから』なんて一割冗談の話をしながら、時間は過ぎていった。

 

 かなの今後に幸あります様にと、心の中で願いながら。




無道和也
実は子役時代からアクアと付き合いがあり、人となりを見てきている為本気で嫌ってる訳ではないがそれはそれとして気に入らない相手として見ている

有馬かな
実はアクアとの再会は原作ほどスパンがあった訳では無く数年振りといったところであり、アクアの方も鮮明に記憶に残っていた為最初から距離感が割と近い

星野アクア
原作よりかなへの気持ちが大きく、ショックを受けた時の反応も原作比数倍分かりやすく、かなと仲直りする為なら恥も外聞もかなぐり捨てる覚悟があるレベル
但しこの気持ちが恋か友情かは本人含めまだ誰も知らない
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