最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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※劇場版先行特典小説『【推しの子】視点B』を手に入れていない為、相違点が盛大に出ている場合がありますがこのまま進行します


『旧B小町』

 とある日の夜。

 まさかまさかの俺様、ノブ、もっさんで同じ生放送の音楽番組に出る事になり共演、今ガチの時の話も少し振られたりと偶然に偶然が重なり当初予測されていた視聴率の倍を計測。

 プロデューサーからは相当感謝され、何か色を付けて給料が出たらしい……まあ、悪い気持ちにはならなかったし良いが。

 

 そんな訳で今ガチ振りに3人で飯でも行くかとなりちょっと良い和食店の個室に入り、今に至る。

 

「しっかしかなちゃんとメッさんがアイドルデビューかあ……最初発表見た時は流石にビビったわ」

 

「分かる。かなちゃんはともかくメムは意外だったし、アクアの妹も一緒に3人でやるんだろ?」

 

「しかもB小町と来た」

 

「話題性抜群だよねえ」

 

「B小町なら既存曲が使える上に元メンバーの2人は苺プロに在籍中だからダンスを教える事が出来る。更に報酬ありとの斎藤社長の鶴の一声で他の最終メンバー4人も自分がセンターの曲に関しては教えてるらしい。ほんと、元々仲の悪かったグループとは到底思えないな」

 

 話す事となれば自然と他の今ガチメンバーの現状になるが、そこで一番話題になったのはやはりB小町として活動する事になるかなとメッちゃんだった。

 2人の認識としてもやはりメッちゃんのアイドル志望は意外だったらしく、それでいてあの可愛さと人気振りならやれるだろうと言うところまで一致していた。

 

「あー聞いた事あるな、B小町不仲期。そもそも途中まで大幅メンバー変更があったんだよな」

 

「4年間で初期メンのニノ含む解雇&卒業ラッシュ、残ったのは初期メンの残り2人の高峯愛衣亜(メイア)と渡辺有咲とそれにプラスしてアイ」

 

「そしてそこから社長自らによるスカウトラッシュと……俺様達も良くここまで知ってるもんだ」

 

 話は『旧B小町』の話へと移り変わっていた。

 ここまで話しておいてアレだが、勿論俺様達はアイのいた世代とは大きくズレている。

 だからネットでの知識や実際に苺プロにいるルビーちゃんに聞いた話が主になるが、それでもやはり外せないのは『B小町大変革時代』。

 アイ2年目付近の時代にやる気が無くなったり偶然卒業したいと思っていたメンバーが続出し、そこに4年目中盤のニノの不祥事解雇。

 相次いで4年目終了までに合計で5人が脱退し残り3人という悲惨な状況に追い込まれる。

 そこから社長自ら駆け回り必死に追加メンバー4人をスカウトしたのは年月が経とうとも芸能界の語り草だ。

 

「世代じゃないのに知ってるのは面白い話だな」

 

「それもこれも、追加メンバー正式加入後のB小町が団結してのし上がったのと最後の数年アイがプロデューサーやってたのが大きいのかもね」

 

「『例え立てなくても、私は最後までB小町で、みんなと一緒で最後までいたい。みんなへの気持ちに嘘は付けないから』アイがプロデューサーになった時の会見でのこの言葉……世代じゃない俺様達としても、今見直すだけでかなり心を掴まれるよな」

 

「車椅子で、泣きながら、今まで完璧だったアイドルのアイが見せた最初で最後の『完璧でも、無敵でもない姿』。いやー当時俺がこれくらいの歳だったら心打たれ過ぎて泣いてたのは確定だな」

 

「大袈裟……とも言えないのが当時の話題性を見る限り言えるだろうな」

 

「しかもそこから自分がいた時よりB小町を人気にさせて、数年後の解散ライブの全国ドームツアーは伝説的大成功。ほんと、アイって凄いよ」

 

 そしてB小町もう一つの語り草がこれだ。

 やっと心が一つになって、進めて、辿り着いたドーム公演の直後に下半身不随……当時のファンは阿鼻叫喚だったのが想像に易い。

 しかしそこから、それでもB小町でありたいと願った彼女はプロデューサーへ転身、自分がいた頃よりも人気にさせ数年後の解散ライブにはドームツアーを開催。

 この盛り上がりと興行収入を超えるアイドルグループは依然現れていない。

 

「ああ。だからこそ、今回のB小町復活……これは並大抵の覚悟では務まらないだろうな」

 

「新生B小町って言っても、旧B小町がチラつくのは仕方ないよね」

 

「特に、アイドルオタクという訳でも無いかなには相当な負担だろうな……俺様なりにエールは送ったが」

 

 この前のかなは旧B小町の事は話題に出さなかった。

 これは『言い訳に使うのは失礼』だと感じたかななりのかつてのメンバーへのリスペクトだろう、本当に良い子だよアイツは。

 

 だから、思う。

 

「神様がいるんだとしたら、アイツは見捨てないでやってほしいよ。ここまでずっと苦しんできたんだからさ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……中々上手くいかないなあ」

 

 その頃、かなでも和也でもない人間が溜め息を吐いていた。

 名前は星野ルビー、有馬かなの様に芸歴がある訳でも無ければMEMの様に他業種で実績を残している訳でも無い彼女は2人に追い縋ろうと人一倍熱心な努力を続けている。

 念願のアイドルデビューを控え、これまでの行き場の無かった情熱をぶつける様にダンスに取り組んできた彼女は残り数曲で難航。

 それも全て同じ共通点がある曲で、であった。

 ダンスを得意、それも旧B小町には特別な想いがある彼女が焦るのも無理は無かった。

 

「うう〜これじゃあもしも会ってもなんて顔向けすれば良いのか……」

 

「うん? どうしたのルビーちゃん?」

 

「いやそれがですねってええ!? め、芽依さん!?」

 

「やほやほ〜、10年振りくらいにB小町復活と聞いて面白そうだから今のB小町がどんなものか気になっちゃって来ちゃった」

 

「うわぁごめんなさいごめんなさいぃぃ〜!!」

 

「ええ!? いきなりどったのよ!?」

 

「実は芽依さんの曲だけどうしても踊れないんです〜! ごめんなさいー!」

 

 その共通点のある曲というのは、旧B小町最終メンバーの一人『芽依』こと島崎芽依の曲である事だった。

 更に言えばそれを本人に見られていたとなれば、旧メンバーの事を愛していたレベルで推していたルビーとしては一生の不覚だろう。

 

「あららそうなの? まあ現役時代はそれはもう派手派手なダンス大好きだったから仕方ないかも。特にダンス得意な子にとっては不規則というか予測から外れたような動きも多いし逆にちょっと難しいのはあるかも」

 

「B小町大好きだって言っときながら芽依さんのセンター曲を踊れないなんて不甲斐ない限りです……」

 

「ううん。大好きだって言ってくれて、そうやって本気で悔しがってくれるだけで来て良かったって思う。ちゃんと『B小町』を継承してくれる子なんだなって……良し、一度おばさんがお手本見せちゃう!」

 

 だが芽依自身はそんなルビーを微笑ましく見ていた。

 

「最初、B小町が新メンバーとして復活するから見てやってほしいって10年振りくらい? に苺プロから連絡来た時は驚いたしあんまり乗り気じゃなかったんだよ? 名前だけ復活させてもその名前を背負って大丈夫なのかーって。……でも、貴方を見て分かった。本気の目をしていたから……だから、そんな貴方に私も本気で教えるよ」

 

 最初、芽依は言葉通り乗り気ではなかった。

 そもそも既に芸能界から引退し普通の主婦として、結婚して過ごしていただけにいくら報酬が出るからといって……

 それでも受けたのは『心配だった』からだ。

 B小町の看板を背負う重圧に果たして勝てるのか、それを見極める為だけに来た……そのはずだった。

 

 だが、来てみれば一生懸命に踊り既に殆どのフリを覚えていたルビーの姿。

 聞いた話では他のメンバーも大体は覚えていると聞いて、芽依の新生B小町への見方が変わった。

 派手に踊っていた現役時代、メンバー中一番破天荒なダンスだと言われていたその熱が蘇ってきた。

 

 久々に自分の現役時代のトレードマークだった『ペンギンのヘアピン』を着ける。

 万が一、教える事になれば歳だからと失敗は出来ない……そう言ってこの日の為にこっそり練習してきた彼女は既にあの頃の様に『仕上がっていた』。

 

「……凄い。これが、B小町の本気」

 

 もう30も半ばから後半に差し掛かり、四捨五入では既に40になる彼女。

 だがそんな事を微塵も感じさせない、キレと笑顔、そしてオーラ。

 これが伝説のアイドルグループの1人……ルビーは圧倒されていた。

 それと同時に、モチベーションが跳ねる音が聞こえた。

 

『やっぱりB小町は私の憧れだ』ルビーは噛み締める。

 さりな時代からずっと見てきた憧れのアイドル、自分の目指すべき人達は今でも変わらず輝いていたと。

 

「よっ、と。どうだった?」

 

「あの頃のまま……凄くカッコよくて可愛かったですっ!」

 

「そう? そう言ってもらえるなら嬉しいな」

 

「それで、あのっ」

 

「ん?」

 

 そうして、ルビーはその『憧れ』に相反する決意をする。

 憧れではもう背負えるものではないと、ここからは自分達のB小町としての道なのだと。

 

「私……このB小町を背負っていきます。新しいB小町として、新しい道を進んでいきます」

 

「うん、そっかそっか。頑張れ若者、応援してるぞ!」

 

 そして芽依もまた、その意志を受け取った。

 意志は受け継がれた。

 これなら託せるだろう……彼女はふっと微笑むのだった。




アイ
初のドーム公演が大成功を収めたその帰り道に事故に遭い下半身不随となりアイドルを無念の引退
だが、そこに至るまでに『メンバーと仲良くなり、メンバーもそれぞれの個性を活かし活躍を収めていた』という原作ではあり得なかった絆が生まれておりどうしても最後までB小町を見届けたいとプロデューサーへ転身
ラストライブのドームツアーを伝説的成功で飾った実績がある
現在はプロデューサーから女優へ転身、アイドル時代に培ったノウハウを活かした実力派女優として人気が高い

高峯愛衣亜(めいあ)
歌手として苺プロに残っているB小町OB
明るい茶髪のボブカットでおっとりとした性格、トレードマークは猫の髪飾りだった
アイとは同い歳で最初は近付きもせず諦めていたが、徐々に仲良くなりメンバー間では歴代2番目にアイと仲良くなる
ダンスが上手く歌は平凡だが歌う事が好きで歌手へ転身し、人気も上々
愛称は『めいめい』

渡辺有咲
タレントとして苺プロに残っているB小町OB
赤みがかったドリルツインテールであり旧B小町ではアイに次ぐ自信家、トレードマークはカエルの髪飾りだった
アイより一つ年上であり、最初は気が強く自分が『ありぴょん』と呼ばれているにも関わらずウサギのトレードマークを奪ったアイの事を一番嫌っていたが心を許す様になったアイが実はポンコツなのを知ったや否やお姉さんキャラにジョブチェンジし仲良くなった
見た目の甘いルックスからはかけ離れたド根性が特徴でバラエティに引っ張りだこだった為タレントへ転身
上述の通り愛称は『ありぴょん』
今ではウサギ派よりカエル派

島崎芽依
芸能界から引退し、普通にのんびりとママをやっているB小町OBであり、劇場版特典小説『視点B』の主人公『芽依』と同じ人物の設定
元気っ子で身体を動かすのが好きだった為ダンスは基本的にダイナミックに踊っていた
今回ルビーに自身がセンターの曲への手解きを行った
現在でもアイドル時代のダンスをバリバリに踊っており、当時のファンが子どもの同級生のお父さんに多数紛れ込んでいたりする
愛衣亜と同じ明るい茶髪だが小さめのツインテールにペンギンの髪飾りがトレードマーク


星野ルビー
本編初本格登場
B小町は脱退メンバー含め全員のファン
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