最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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日刊24位謝謝茄子


『端役のオファー?出ないに決まってるだろこの俺様が(フラグ)』

『どうしよう和也!』

 

「急に電話してきたと思ったらどうしたんだよメッちゃん」

 

『あかねとかな、どっち応援したら良いか分かんない!!』

 

「あー……さっさとくっ付けってアクアに散々言ってる手前言い難いが、なる様になるとしか言えんな」

 

『え、和也なら問答無用でかなって言うと思った、意外』

 

「人の気持ちは強制出来ない。ただ……アクアがそうそうかなを見捨てる訳無いって信じてるから。アイツがかなを突き放したら相当な理由でって事でしか有り得ない。だから少なくとも良い友人としては付き合ってくれるだろうさ」

 

『……和也ってさ』

 

「なんだ?」

 

『アクアの事めっちゃ良く見てるじゃん! もしかして親ゆ』

 

「それだけは絶対に有り得ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? 俺様に東ブレのオファー来てるって?」

 

「うん、どうかなと思って」

 

「いやいや待ってよマネちゃん、だって東ブレはもう内々で全員オファーしてるって話じゃん。俺様に来る道理が無いっしょ」

 

 新生B小町ファーストステージも終わり暫く。

 あの後アクアがぴえヨンを本当にしていた事やらなんやらでかなと一緒にからかってみたり、あの日の応援をSNSに綴ってみたり、まあ特にこれと言って特別な事も無く過ごしていた。

 

 そんな中、俺に一つ気になるオファーが来た。

『東京ブレイド』、通称東ブレの舞台化の為の役者としてのオファーだ。

 そもそもこの作品、累計5000万部売れている漫画でありアニメに映画も大ヒット、そんな巨大企画だったが……当初俺様へのオファーは無かった。

 縁が無かったのだろうと気にも留めなかったが、ここに来てまさかの逆転。

 

 しかしもう配役は決まったから順次告知されるという発表があったはず、俺様に来る事なんぞ有り得ないはずだが……

 

「確かに告知はあったんだが、それは所謂『メイン所』。端役はまだ決まってないポジションもあるから『ジン』役でどうかって」

 

「ジンねえ……確かに序盤に出てくるチョイ役とはいえ21刀の内の1人でのオファーは『今出来る最善』としてはそうなんだろうけど、わざわざ多忙の俺様捕まえてチョイ役やれなんて『無能』だよね。しかもジンってブレイドとの戦闘直後に漁夫の利喰らって死ぬし。しかも今回やるの渋谷抗争編だよね? いくらすぐ殺されるって言っても章すら用意されなかったチーム文京やる必要ある?」

 

 呆れて声も出なかった。

 やるのは所謂『一番人気』と評される章、その一つだけと聞いていた。

 それが一応その章と前の章の繋ぎでやっているとはいえ強引にねじ込むかそれを。

 というか俺様を前座に持ってくるなよ、格分かってんのかよ。

 こちとら多忙のマルチタレントだっつーの。

 

「それがねえ……どうにも男性ファンの人気が高くて。つるぎの昔馴染みでジンはつるぎに片想い、叶わない想いを『国さえ手に入れる事の出来る刀』盟刀が一本に託して戦うも敗北。そして漁夫の利を狙った別陣営からつるぎを守って戦死。配下の一人が刀を受け継ぎ文京は新宿の配下になる。……って、あんまりページ数も無かったのにあまりにも内容が濃すぎてどうしても見たいって声が出てきたお陰で急遽増量したんだと」

 

「オイ傍迷惑も良いところじゃねえか」

 

 俺様だって東ブレは割と好きな漫画でありアニメも映画も見た程だ。

 チーム文京も良い役回りだと思っていたが、いざ自分がそういう端役でオファーされるとそれはそれで面倒だ。

 稽古もあるのに端役、しかも普段やらない舞台俳優としてと言うのはコスパが悪過ぎるにも程がある。

 天狗になっている訳では無い、これは事実を言っているまで。

 そんなもんやるくらいなら他の番組オファーを優先するのが道理だ。

 俺様をメインで使いたいって番組は山の様にあるんだ、そういう番組を蹴ってまで出るのは不誠実だと言う話だ。

 

 相当な理由でも無い限り絶対出ないからな。

 

「お客さんとしては舞台観る時間が増えてしかも文京って事で得しか無いと思うけどなあ。しかもこれ、渋谷抗争編のメインキャスト発表後にシークレットとして発表するサプライズらしいし」

 

「どうでも良いよ、とにかく蹴っといて。相当な理由でも無いと端役に時間割くなんて他の俺様を使いたいって番組に不誠実だから」

 

「うーん、そうかぁ」

 

 しかしマネちゃん妙に粘るな。

 確かにこの人もこの人で東ブレは好きだったはずだがここまで粘る意味合いなんてあるはず無いだろうに。

 

「いや、本当はあんまり言いたくなかったんだけど」

 

「俺様は出ないったら出ないからな」

 

 そんなに出てもらいたいなら俺様を動かすだけの説得力をだな……

 

「つるぎ役、かなちゃんだけど」

 

「話を聞こう、俺がジン役で出るんだって? 稽古いつから? 最速でスケジュール調整出来る?」

 

 説得力、あり過ぎた。

 先に言えよと言いたかったがまだ正式発表されてない情報だからあんまり言いたくなかった訳か……確かに後でかなが出るってなって知ってて蹴らせたとなれば俺様のコンディションは3割くらい落ちるからな。

 

 マネちゃん、ファインプレー。

 

「はいはい、既にスケジュールは抑えてるよ。どうせこれ言ったら和也出るのは確定なんだし。ほいこれ、東ブレ調整のスケジュールね」

 

「マジで超絶ファインプレー! 最高ほんとマネちゃんがマネちゃんで良かった!」

 

 さっきまでの理論なんて既に全て吹き飛んでいた。

 かなとの仕事は何ものにも変え難い楽しみがあるんだから、絡みがあるなら端役でも出てやるよ。

 オファー出した奴マジで天才、俺様の使い所を分かってるとしか言えないよね。

 

「その反応すら想定内だよ……最初からかなちゃんだけは開示しとくべきだったかなあ……はぁ」

 

「いやーほんと、マネちゃんもオファー出した奴も天才だな! 端役とはいえかなのやる役に片想いしてる役でなんて、俺様のやる気の出させ方を分かってるとしか言い様が無いな! アーハッハッハッハッハ!! あーマジで気分良いわ!」

 

 早速スケジュール確認を行い、公式発表の日付を見る。

 ふむふむ文京の発表は全員揃い次第か、なら渋谷の発表と抱き合わせでも可能だろうな。

 

 さーて、今からかなとの共演が楽しみだ……

 

 

 

 

 

 

 

「……しかし全く。君の方から僕と会いたいだなんて、毎度思うけどバレたら大変なんだよ?」

 

「だーいじょうぶだいじょーぶ! こう見えて芸能界ベテランですから! オーラのオンオフはバッチリ!」

 

「ほんと君は面白いね。そういうところを好きになったのかも知れないけれどね」

 

「私もそういう優しく見守ってくれるとこが好きだもんっ」

 

 昼下がりのカフェ。

 車椅子を傍らに置き席に座る見た目年齢18歳程の美少女と、見た目年齢20歳程度の美青年。

 しかしこの2人既にどちらも年齢は30を超えている、傍からは全く見えず若いカップルにしか見えないのにも関わらずだ。

 

「やっぱり君には勝てない。いつも1枚上手を行かれてしまう」

 

「そりゃ私の方が年上ですから!」

 

「にしてもだよ。少しくらい僕が翻弄したって良いと思うんだけどね。……そう言えばアクアとルビーは元気そうだね、アイ

 

「うん、ルビーは念願のアイドルやってるし、アクアも仲の良いお友達増えたのか最近楽しそう。……お友達の1人、ヒカルの事務所の子だよね?」

 

「和也君は良く見ていてくれるからね、アクアの事。色々文句を言いながらも……多分、一番の理解者だと思う」

 

「……ね、やっぱり会ってはくれないの?」

 

 今まで明るかったアイの表情が陰る。

 それは期待感は薄いが、やはりどうしても聞きたい事の様で、ヒカルの方もどうにも困った顔をしてしまう。

 

「僕は、いくらリスクを負う事だから仕方なかった事と言っても、一度父親である現実から逃げてしまったからね……今更会わせる顔が無いさ。だから……ごめんね」

 

「そっかぁ……私は別に気にしてないんだけどさ。だってスキャンダル起こしたら致命傷だったのは当たり前なんだし」

 

「分かってる。でも、アイが事故に遭ったって時も結局ほんの少ししか見舞いに来れなかった責任も含めて、まだまだ心の整理が付きそうに無いから」

 

 俯くヒカルの頭を、アイは優しく撫でる。

 それはまるで現役時代のアイドルの姿でも、今の女優の姿でもなく。

 

「いつかきっと、4人で幸せに暮らせる日が来るから。それまでずっと待ってるから。だから大丈夫だよ……大丈夫」

 

 その姿はきっと、聖母(マリア)だった。




東京ブレイド・オリジナル設定
チーム文京はオリジナル設定であり、所謂閑話扱いの設定
だがチーム文京リーダー、ジンのつるぎへの叶わない片想い、負けて本当に叶わないと分かってもそれでも大事なつるぎを庇って戦死する姿に心打たれ人気が出、渋谷抗争と合併し前座の様な形で舞台化
設定上ジンは『盟刀使い唯一の配下に加わる前に出た戦死者』という事になっている
ちなみに文京編の長さは渋谷抗争編の1/4程度である

無道和也
圧倒的掌返しである

カミキヒカル
社長がコイツである
つまり無道和也は神木プロダクション所属
なんか綺麗になってる(他人事)
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