最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
東京ブレイド、キャストスタッフ顔合わせ当日。
メインキャストオファーから4ヶ月と季節は移ろい、その間にB小町はと言うとデビューがJIF第4ステージという大きな舞台での成功だったのが功を奏し、加えてメッちゃんの動画配信者としてのノウハウもありアイドルとしてもそこそこの舞台に立ちながらバラエティに歌番組にもデビュー直後のグループとしてはかなり恵まれた出演機会が得られている。
俺様としてもB小町ファン第0号を自称しているだけあってとても嬉しい事だ。
そんなかな達の活躍を見ていると俺様としてももっと天才に磨きを掛けなくてはならない。
ではどうするか?
自分だけを磨くにしてもあまりにも磨かれ過ぎて短期間で伸びるものでは無くなってしまっているなら他人を磨くのが一番、それが結論である。
「よっ、メルト」
「か、和也さん! その、また共演出来て嬉しいッス!」
「俺様としてもまたメルトに演技教えられるの嬉しいよ。あそこからそこそこ上手くなったって噂で聞いてっし楽しみにしてるぜ」
「は、はいっ! 見ててください! あの時の地獄を耐え抜いたお陰で演技を少しでも頑張ろうと思えたんスよ! 頑張りますから!」
「俺の後ろの2人も逸材だから見て学ぶと良い。神プロとしても実力を見込んで俺様と組ませたからな」
「分かりました! 学ばせてもらいますッス!」
鳴嶋メルト……モデル事務所『ソニックステージ』で売り出し中の活きの良いモデル、実際最近はかなり売れ出してきている。
そんなコイツと俺とが出会ったのは少し前に放映されていた『今日あま』という少女漫画原作のドラマだ。
「ひえ~……わ、私実はこの現場が俳優デビュー作でして……」
「一緒に舞台、楽しんでいこうね」
大人気少女漫画のドラマ化とあり、結構な大物や人気急上昇中の高校生俳優を使うもんだと思っていたのだがまさかの売り出し中モデルの宣伝用に利用され、演技未経験者大量投入。
更に宣伝人数嵩増しの為にオリジナルキャラも加えられ原作ファンからは阿鼻叫喚。
流石にそういう連中だけでは視聴率が取れないと思った陣営は元から主人公として起用していたかなに合わせる様に俺様にもオリジナルキャラとしてオファーを出してきた。
元々そんな地獄絵図必須なドラマの、それも原作にはいない役で出るなんて論外だったが『コイツら育てられないか』という興味が湧き出てみる事に。
そこで時間が無いなりに色々と焚き付け俺様と、それに乗っかってきたかなの個人指導を受けていく内に成長、全員がギリギリ見れるところまでは辿り着きこうして懐かれたのだ。
「んじゃ俺様達は先行くわ、スタッフと話す事もあるし」
「はいっではまた後で!」
そして今日久々に会って思う。
「……アイツはまだまだ成長するだろうな」
この現場が楽しみになる、と。
ドラマと舞台は同じ『演じる』ものと言っても大きく違う。
後から着いた苺プロ組やララライ組、スタッフの紹介を聞きながら舞台役者の難しさを思う。
舞台は『生の演技』を魅せる事が重要視される、どれだけ『生きている』と、リアリティがあると思わせられるかが何よりも大事なのだ。
だから受けるなら受けるでいつもの現場とはやり方を切り替えないとならず、最初端役は乗り気では無かったという事もあった。
「はいそれじゃ主役の前に紹介するのがシークレット枠でオファー受けてくれた神木プロダクションの役者さん」
「牟呂田慎吾」
「ジンの部下のカマジ役だよ、宜しくね」
「新人の新橋一希」
「こここ、この舞台が俳優デビュー作になりますっ! イタチ役、努めさせていただきますっ! よ、よろしくお願いしますっ!」
「そしてシークレットのメイン枠無道和也」
「フッ……俺様にオファー掛けた事、後悔させるつもりは無い」
勿論自分の紹介の時にはキメる事も欠かさない、これが俺様流自己アピールだ。
「そんで敢えて最後に回したのが主演の……起きろバカタレ!」
「んぁ……ああサーセン。この舞台の主役……役名は忘れた。姫川大輝だ。よろ」
しかし主役も『らしい』の連れてきたな。
舞台役者の世界的賞や月9主演も取ってる最高の実力派、性格以外は間違いなくこの時代を牽引していくトップスターだ。
「このメンバーで一丸となり、舞台『東京ブレイド』を成功に導きましょう!」
ま、少なくとも俺様とかなとあかねちゃんと姫川がいる時点で失敗の可能性はそうそう有り得ないがな。
この現場も楽しんでやりますかね。
「……しかし仲良いなあかねちゃんとアクア」
「ほんとそうね……アタシにも少しは構えっての」
「それ、本人に言ったらどうだ?」
「言える訳無いでしょ恥ずかしい」
本読み前の休憩時間、遠目でも分かるくらいにイチャイチャしている……アクアは思ってもいないだろうが、を俺とかなとメルトとで見つめている。
ちなみにメルトはかなの事も演技の師匠として認識していたりする。
「有馬さん、本人には言えないのに和也さんには言えるんスね……」
「? 和也は和也だし言えるでしょ、ね和也」
「愚問だな。アイドルデビューする前なんか俺様と2人きりのカラオケではピーマン体操を歌ってもらえるのだ、全てを受け止め受け入れるのが俺様とかなの関係。それ以上でも以下でも無い」
「めちゃくちゃ信頼関係構築されてる……それで付き合わないんスね」
「そりゃかなにはアクアがいるからな」
「おい勝手にバラすなこのキラキラナルシスト。更に言えば恋愛感情とも言ってないわよ」
「もう少しお前は素直になった方が良いんじゃないの意地っ張りロリっ子」
「は?」
「は?」
それはさておき、今俺様は一つ悩みがある。
最近、自分の感情に付いて考え出しているのだがどうにも今までかなに抱いていた感情ではしっくり来ない事が増えた、そう気付いた。
絶対に裏切らない全て受け止めて受け入れて晒け出せる絆で繋がった幼馴染――それで間違いないはずなのに。
その言葉を思うと、どうにもぼやけてしまう。
何か違うのでは無いかと、心のどこかで感じてしまう。
だが考えたところで、俺様とかなの関係が変わる訳が無い。
いつも共に過ごしてきた世界一大事な幼馴染、15年程度そうやって生きて来て今更変わるなんて無い。
こうして言い合ってるのが完全にじゃれ合いになっているのがその証拠だし。
「……まあそうやって輝いてるのがアンタの良いとこだけど」
「素直になりきれないのも可愛いし、ロリってのは若く見られる事でもあるからな。大きな利点だ」
「この2人言い合ってても砂糖吐き出しそうなくらい甘々なんだけどなんで付き合わないんだ……?」
困惑するメルトを他所に、俺は自分の気持ちが変わる事は無いと笑顔のかなを見ながら思うのだった。
「つかそういやかなはあかねちゃんに挨拶しとかなくて良いのか? 共演シーンは俺様より少ないとはいえ絶対喜ばれるのは確定しているが」
「良いのよ、あの子アクアと話すの凄く楽しそうだから」
「確かにそうだが……アクアはかなにもう少し絡めってんだ。折角認めてやったのに……」
話は戻り再びあかねちゃんとアクアを観察する。
あかねちゃんが笑顔なのは良いがクソボケは何満更でも無さそうな顔してんだよはっ倒すぞあの野郎。
「なに? 今まで散々認めてなかったのに認めたの?」
「ファーストステージでかなを救ったのは紛れも無くアイツだからな。その時認めてやったんだよ、かなの支えとして隣にいても許してやるから支えてやれって」
「あの裏でそんな事してたの? めちゃくちゃ恥ずかしいじゃない……」
「だがお陰でかなはファーストステージを乗り越えられて、今B小町として人気急上昇してきてるんだ。そこは素直に感謝しないとならない、かなを助けてくれた事実は変わらないんだからな」
「確かに、あの時のオタ芸は心強かったかもね。ほんとに心折れそうだったし」
そう言えば直接は聞いてなかったが、やはりあの時かなは心を折りかけていたのだと再認識した。
あの後電話口でも泣いてた上に、翌日会った時も泣きながら抱き着いてきたから俺の言っていた事は間違いなかったと理解はしていたが……改めて聞かされると心が痛む。
「よしよし、良く乗り切ったよかなは」
だから頭を撫でておいた。
かなは満足そうな顔をしていた。
「あれで付き合ってないの……やっぱり不思議だよねえアクアくん」
「いつもの事だからな」
「……和也さんと有馬さんも、アクアと黒川もどっちもどっちだと思うんだよね俺は」
「同じ事務所の私から見ても、凄い関係ですよね2組とも……牟呂田さんも思いません?」
「微笑ましいよねえ、うん」
無道和也
近過ぎると分からないものってあるんだよね
かなの為にアクアの表情変化には宇宙一敏感になっている
知ってるか?女子の髪の毛触るのは恋人になっても出来るとは限らないくらいセンシティブな問題なのだ
後は分かるな野郎共?
有馬かな
アクアの事になると厳しい癖にあかねの事になると激甘になる
和也に撫でられるのは普通に大好き(後はry)
鳴嶋メルト
『今日あま』では和かなコンビに扱かれていた為演技素人の割には原作比で見ても数割増のまあまあの仕上がり
かなに対して原作よりも丁寧な口調で接しているが本人なりに敬っているだけであり距離は寧ろ原作より近い
姫川大輝
普通に存在している
<アレレー?オカシイゾー?(某小学生探偵並感)