最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
「MEMちょおっひさー!」
「久しぶり、メム」
「ゆきちゃん! ケン! ……とその他一名」
「おいおいそこまで来たら俺の名前も呼んでくれて良くなーい?」
舞台東京ブレイド公演初日、関係者として呼ばれた中には現在でも無道和也と親しい熊野ノブユキ、森本ケンゴ、鷲見ゆきや有馬かなとB小町として活躍しているMEMが来ていた。
この組は特にであるが、無道和也彼が積極的に来てほしいと招待した『今ガチ組』でもあった。
あの番組収録を境に親交が増え、仲が良いというのは定期的にネットの匿名掲示板にその一部始終が語られ一般層にも熟知される程だ。
「なになに〜? そっちは上手くいってるの〜?」
「バッチリよ、ねノブくん」
「おうよ、もうラブラブってやつ?」
「勿論バレないようにはしてるけどね。一度は番組内でフってるのに水の泡になんてしたくないもん」
「ふ〜ん……ん?」
但しこの今ガチ組の中でも唯一一般層に知られてはいけない事がある。
それは熊野ノブユキと鷲見ゆきの交際である。
2人はそれぞれノブユキが売れっ子ダンサー、ゆきが大人気モデル。
双方そこそこ以上に有名な為あまり騒がれたくないという観点からそういった決断をして今に至る。
応援してくれている今ガチ組がいればそれで充分――2人の見解としてはそれで一致もしていたのが大きかった。
MEMは中でもゆきと並んでそういった恋バナには積極的な興味があった、更に言えばその相方であるゆきが対象となれば尚更。
そしてそんな彼女が『恋人の証であるもの』を見つけられない訳も無く……
「ああ!? 2人が着けてるブレスレット同じじゃない!? に、匂わせお揃っちだぁ!? やってんねえ!!」
「え、あっその、こ、これは……」
お揃いのブレスレットを着けているのを真っ先に見つけていた。
ゆきはバレないと思っていたのか動揺していたが……横のノブユキは寧ろ見つけてもらって嬉しそうにしていた。
そしてそういう人間は得てして饒舌だ。
「ありゃりゃバレちったか。俺が初デートで買ったお揃っちブレスレット、要らないなら要らないで良いって言ったんだけど『絶対にずっと大切にするもん! ノブくんからの初めてのプレゼントだし!』って言ってさ。いや〜一途で可愛い彼女持つと幸せで困っいったい足がぁ!?」
「勝手にそれ以上話すと今度は逆のスネ蹴り飛ばすよ」
「わ、分かった分かった……でもそんだけ俺がゆきの事好きだってのは伝わったっしょ? みんなも」
「そ、そんな事言ってもお家デートで甘えさせてあげるくらいしかさせないからね……」
彼女にスネを蹴り飛ばされてもどこ吹く風の如く満面の笑みで話すノブユキに、彼女も怒りながらも満更では無くなってしまう。
そもそもが『ラブラブであるエピソードを言われて蹴り飛ばした』のだから全て照れ隠しなのは少なくともこの組の人間が分からない、だなんて言う事態には一切至らなかった。
「この2人に挟まれてやってきた俺の気持ちが分かるか? 甘過ぎて糖尿病一直線だぞ……」
「うん、まあケンは強く生きて……あとそこの2人は末永くお幸せに。でも写真とか気をつけなよ〜そっからバレて炎上とかあるある過ぎてシャレなんないから」
「だ、大丈夫……今のところは我慢出来てるから」
「そうならんようになりかけたら俺が止めるから心配すんなよ。好きな女の一人くらいちゃんと守ってやんないとな」
「ノブくん……」
「せめて俺の前でやんのやめて? 甘さで死にそうなんだけど?」
「わりわり、てかそろそろ開演っぽいな。和也の生演技とか初めて見るぜ」
「だな。今ガチで共演する前から演技すげーのは知ってたけど、生で見るのは初めてだからな……」
「……さてあかねちゃん。今のアタシ達は親友だけど、この舞台ではライバルよ」
「ですね」
開演前、ピリピリとした張り詰めた空気の中対峙していたのはかなとあかねちゃんだった。
何かしら話しかけに行ってもやろうかと思ったが……そんな空気でも無いらしい。
かなの奴、どうしてもこの舞台で戦いたいらしい。
「かつて天才と呼ばれたアタシ、そして今現在進行形で天才と呼ばれてるあかねちゃん。相対するには文句無しのマッチアップ」
「そ、そんな! かなさんが天才なのは今もそうですよ! 私の憧れなんですから!」
「ダメよ。アタシは今の『本気の貴方』と戦いたいの……だから、憧れを捨てなさい。そしてアタシを一人の超えるべき存在として掛かってきなさい……良いわね?」
「……! わ、分かりました……私もかなさんと……ううん、『かなちゃん』と演りあうの、楽しみにしてたから。だから……倒しに行きます、貴方を」
「ふふん、そう来なくっちゃ」
いつもあかねちゃんに激甘のかながあんな真剣な目で戦いたいと言い出すなんてな……それだけあの子の演技を認めているという事なのは明白か。
だったら俺様としても尚更前座と言わせない演技をしなくちゃならないじゃないか、ククク……
「……メルト、お前も尚更頑張んねーとな」
「バレてました?」
「気配にゃ敏感なもんでな」
「ははは……俺だって負けてらんないっすから。鴨志田さんと直接演り合えるのに気合い入んない訳無いっす」
メルトも何だかんだめちゃくちゃ気合い入ってるみたいだしな。
こりゃ甘く見てると足元掬われるぜ、鴨志田さん。
……しかしアクアが見当たらんな。
「その調子で頑張ってけ、そうすりゃきっと鴨志田さんだって認めてくれるはずだからな。てかそういやアクアの奴はどこ行ったんだ? 折角ちょっかい掛けてやろうと思ったのに」
「あー、アクアッスか? なんか自室に籠りっきりで……瞑想? 精神統一? みたいな事してましたよ。めちゃくちゃ集中してたんで多分ソッとしといた方が良いと思いますけど……」
成程ねえ……と考えて少し思い当たってしまう節があった。
……それはアクアが感情演技の練習をしている時に倒れた事に起因する。
元々アイツはそういった自分の感情を出す演技が苦手だが、それは今に始まった事では無い。
良く出させてもらっている監督でもある五反田さんの作品にはアクアも良く出ているのだが、何回か無理して感情演技をしようとして倒れかけた事があった。
その時はまだ誤魔化しの効くドラマ撮影だったからどうにでもなったが、今回は話が違う。
そういったところで、今回倒れると全てが無になってしまう舞台演劇だからか余計誰かと話すよりも一人で落ち着きたいのだろう。
ならば俺様はソッとしておくに限るな。
……あと、一番心配してる2人にも伝えとかないとな。
「分かった。だとよあかねちゃん、かな」
「え!? あ、え?」
「……全く。見てたの?」
「まあな。つー訳でアクアは一人にさせとくべきだろうな」
「そっか……アクアくん、大丈夫かな」
「アイツなら何とでもなるわよ。こんなとこで負ける様な奴じゃない、心配なんて後からでもいくらでも出来るんだから」
「……うん、そうだね」
この2人は距離が近くなって団結もし出したし、アクアの事を共に争うライバルでありながら良い親友として手を取り合っていけるだろう。
かなには元々昔から女の子の友達がいなく、話し相手と言える話し相手もルビーちゃんだけだったし。
今ガチでゆきちやあかねちゃんと仲良くなれた事が回り回ってこういう関係性に繋がったのは心の底から嬉しいと歓迎したい。
さて、そろそろ開演かな。
まずは俺様の演技で観客を魅了してやる。
「アイ……アイ……アイ……俺は……一体……どうしたら……」
俺の中で『あの瞬間』がフラッシュバックする。
アイが事故に遭ったと聞いて、すぐそこにいて大急ぎで向かった事故現場で見た焦げ臭さ、血の臭い、血溜まり、苦しそうに呻くアイ、見るからに生気を失っていく顔、周りから音が消えていくような感覚。
そして――
『あ、くあ……るび、ぃ……』
『ママ、ママぁ!!』
『しっかりしろ!! 死ぬなアイ!!』
『ほんとはね……もっとま、えに……言いたかったの……』
『あくあ……るびぃ……愛、して……る……』
その言葉を残して意識を無くすアイの姿が、脳裏にこびり付いて離れない、声が、映像が、俺を離さない。
「だが……俺はこれで良い……これくらいでもやらないと……俺はただの凡人だ……これは全部アイの為だ……殺そうとした奴を探す為の……俺の演り方だ……」
薄く開演の音が聞こえてくる。
苦しめ、苦しめ、どこまでも……俺自身を痛めつけろ。
そう、これは俺に課された……罪なのだから。
MEMちょ
ケンゴをその他にしてない時点でね…
森本ケンゴ
ラブラブカップルと来た為に甘さで死にかけている
実はかなり羨ましがっている
熊野ノブユキ&鷲見ゆき
ハイパーラブラブカップル
末永く爆発しろ
黒川あかね
かなとライバル兼親友に
これによって共闘構造へ…
あっ察し