最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
「イエーイ! ぴすぴーす!」
「にゃはは! やっぱりかっちゃんは面白いねえ〜」
「つーかこれ楽しいな」
「だろ? 気が合うなもっさん」
「……何してんの?」
「番組公式のTwitterやTikTokに上げる為のオフショット! これ結構稼げるんだよ〜? ムフフ……」
「そういやメムは元々ティックトッカーだったっけ」
番組も中盤から終盤に差し掛かり、いよいよ熱が入ってきた。
この番組自体最初はそこまでだったものの俺とかなの名物コンビから見出した連中が多いらしく、そこからのこの前の俺とかなと星野アクアの三角関係とメインの三角関係とでかなり注目度が上がったらしい。
俺とした事が失策をやらかしたが、まあ番組自体が評価されるのは悪い事では無いから良いと思っておくとしよう。
「の、ノブくん! わ、私と話さない?」
「ん、ああ良いよ」
「あかねちゃん、攻めてるねえ」
「……無理に悪女ムーブなんてせずに俺様と絡めば良いのに」
「いやそれはちょっと単調でしょうよ、あとかなちゃんから奪うって構図にされかねないかも」
「そりゃゴメンだわ」
しかしあかねちゃん、アレで幾分か評価は良くなったのに一向に悪女ムーブを辞める気配が無い。
確かに一番空気なのは変わらないが、俺といれば多少の出演時間は確保出来るし好感度も上がると思うんだけどなあ。
だって俺様天才だし、その辺の上げ方とか余裕だし。
「……嫌な予感がしやがるな」
「あかねちゃんの事?」
「何も無きゃ良いんだがな。てかいたんだなかな、小さ過ぎて見えんかったわ」
「はっ倒して良いかしらこのアホ」
しかしその嫌な予感は、すぐに当たってしまう事になった。
「そ、それでね……」
「へえ、ちょっと興味あるかも」
次の収録日。
もっさんにターゲットを絞ったあかねちゃんはその日はずっともっさんと一緒にいて話をしていた。
あまり口は上手く無いが、もっさんもそれを察してか自分の趣味や興味のある事、あかねちゃんの好きな事を聞いたりしてある程度潤滑なトークを進められていた。
これはここでゆきちが入ってきて良い感じにドロドロになって行けるか……俺はそう予想していた。
「あ、ケン!」
「ん、どした?」
「ラブラドール! 好きって言ってたよね、あっちにおっきいラブラドールいたんだ! 見に行かない?」
「えマジ!?」
さてここからだ……焦るなよ……
「行こっ」
「や……やめてよっ今は私が話してた……え?」
最悪の事態だった。
あかねちゃんとしては軽く叩いた程度だったのだろうが運悪く爪がゆきちの顔に当たってしまった。
顔で仕事をするモデルの顔に傷が付いた――というのは相当な失策なのは誰が見ても分かった。
「チッ……クソッ」
だからこそ、ここで天才の俺様が動かないといけない、そう思った。
「すみません! 一旦撮影止め――」
無言で手で制する。
『止めるな、ここで止めればあかねちゃんの評判は地の底に落ちる。だから俺様にフォローさせろ』と。
その意図が通じたのかスタッフは言葉を飲み込み、小さく頷く。
彼らだってこの事態をほんの少しでも改善出来るのであればそうあってほしい、そう願っているのだ。
じゃあ、やるしか無いよな……この俺様が。
「よーもっさん、どしたー?」
「え、あ、え……っと、その、事故でゆきちゃんの顔が……ちょっと……」
「ん? ……ああ、成程。ちょっと爪が当たっちゃったか……多分あかねちゃんもここまでやる気は無かっただろうし今は憔悴してるだろうからもっさん、一緒にいてあげて」
「お、おう……あかねちゃん、大丈夫だから……」
「あ、ぁ……わた、し……」
「……心配すんな、傷跡なんて俺様のマジックで消してやるよ。さあゆきち、まずは血を洗い流そうか」
「え、あ、うん……大丈夫かな、あかね……」
「心配しなくても、ちょっとした事故だろ?」
ここまでやっておいてチラッとカメラのある方向に目線をやる。
カメラマンは小さくサムズアップを決めている……この一連の流れは『全てオンエアで使う』という合図だった。
どうあっても怪我した場面は使わないと整合性が取れないから仕方ないとして、これが出来たのはデカい。
「落としてきたよー、どうするの?」
「そこで! 無道和也流! メイクアップ術! の出番だ! 画面の前の女性や顔を使う仕事をする諸君! 良く見とけよ!」
「いやちょっとメタいけど?」
「フッ……気にするな……っと、ほら。出来た」
「おお〜! ほんとだ! 綺麗さっぱり見えなくなってる〜凄いんだねカズくんって!」
「それほどでも」
俺も伊達にイケメンマルチタレントで売ってる訳では無い。
顔が商売道具の一つとなっている俺様は独学で多種多様な『魅せ方』を覚えた、この傷の隠し方もその時覚えた一つの技である。
それをここで披露してフォロー、話題にもさせるという完璧な立ち回りだ。
これでどこまで矛を降ろすかは知らないが……やれる事はやった、それだけだ。
「はい、一旦撮影止めまーす! 君は一旦あかねちゃんのフォローに!」
ここで一区切りか。
スタッフが慌ててあかねちゃんとこに行ったりこっちに来てゆきちの顔を確認しているがやはり驚かれている。
「それでは俺もあかねちゃんの様子を見てくるので」
「あたしも!」
……しかしどうしたものかねここからは。
「わ、わたっ、そんな、つもっ、りじゃ……」
「ゆきちゃんとは友達なんだろ? あっちも分かってくれてるって」
「で、でも……」
「あかね!」
「私……私……」
「あかねっ!」
「あ……」
もっさんも出来る最善のフォローはしていたんだろう、それでも届かないあかねちゃんに息を切らせながらやってきたゆきちが抱き着いていた。
「大丈夫……大丈夫だからね。落ち着いて……分かってるから。焦っちゃったんだよね。あかねが努力家で、なんにでも必死に取り組む子だって言うのはあたしが一番知ってるんだから……みんなの期待に応えようとしてさ、ちょっと向いてない事でも必死にやって、空回りしちゃっただけなんだよね?」
「ごめ……顔……雑誌撮影もあるのに……」
「ううん、それはカズくんが消してくれたからへーき! だから仕事には問題無いよ!」
「あ……ほ、ほんと……」
「なんたって俺様天才だからな。それくらいは余裕だぜ」
多少は落ち着いたのか、過呼吸になっていたあかねちゃんの呼吸速度が戻っていくのを感じる。
こう見るとゆきちはどこか母性を感じる包容感があるのかもしれないとふと感じる。
ふむふむ、ノブは年下で母性がある清純系の顔立ちをした女子が好みと……
「あかねはさ、あたしの事嫌い?」
「ううん……強くて優しくて……いつもキラキラしてて……大好き……」
「私もいつも努力してて一生懸命なあかねが大好きだよ、だから怒る訳無いって、ね?」
「ほんと?」
「カメラ回ってないんだから今演技したって意味無いでしょー?」
……これで一件落着。
そうであってくれたらどれだけ良かっただろうか。
「……ひっどいもんだな、バッシング」
「多少とはいえ擁護ツイートもあるにはあるけど……真面目なあかねちゃんじゃな……」
休日の昼下がり。
男陣営でちょっと話そうかとなって、今じゃすっかり話す仲になったもっさんを交えた三人で飯を食っている最中。
今ガチの公式Twitterの大荒れ振りに全員が苦虫を噛み潰したような顔をするしか無かった。
「どうあっても世間は許してはくれない、か。安全圏から言いたい放題言い散らかしてその発言の責任は一切取らない……ふざけるのも大概にしろよ……」
「ほんと、当人達はなんの
「てーか俺達ならこれくらい気にしないけどさ。真面目であればある程傷付いて行っちゃうってのは、どうにも報われねえよなあ……この業界」
「やるせないよ全く……クソッタレが」
どうにかして助けたいが何も出来ない、その無力感だけが俺達を支配していた。
無道和也
実はメイクに関しても天才だった男
かなにメイクのイロハを教えたのもこの男である
今回の騒動で超ファインプレーを見せ、原作よりはマイルドになりあかねに対する擁護も僅かながら見られた
黒川あかね
ある程度心持ちは安定したもののやっぱり出番が無いといけないと追い詰められた結果原作と同じ失策をしてしまった
だが和也のフォローに多少救われ、原作よりはまだマシな精神に
なおそれでもやはりボロボロには違いない
早く来てくれアクえもん
鷲見ゆき
度量のデッケェ母性の塊の様な良い女
あかねの一番の理解者であり、全てを受け入れ許した天使
顔の傷を一瞬で消した和也のメイクに興味を持ち話が弾んだらしい
あかねに対しての感情は割と重たい、一番の理解者だという立ち位置は譲らないらしい
熊野ノブユキ
自分の事を不真面目と思い込んでる真面目な奴
無道和也、森本ケンゴとトリオで良く番組内外で絡む様になった
年下×母性全開×清純派黒髪美少女が好みというレッテルを和也から貼られいるが事実である
森本ケンゴ
気付いたら和也、ノブユキと友人になっていた
あかねの努力には気付いており最後までフォローしていた良い奴
ゆき争奪戦に関しては仕事としてノブユキを立たせる為に敢えて不憫な立ち回りを選んだらしい
MEMちょ
実はちょっとだけケンゴの事が気になってたりなってなかったりする
星野アクア
今回ほぼいなかった
作者はアクアの事が嫌いという事は無い
星野ルビー
本来かなに止められていた事はぴえヨンに止められていた