最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
世間的にはクリスマスイブと言われる日、それ即ち12月24日。
こういう日ともなれば『一般人なら』家族や恋人とのんびり過ごす聖なる日なのだろう、そう一般人であるならばの話だ。
俺様達芸能人は……逆にそういったイベントのある季節こそ死ぬ程多忙になるのである。
「いや今日クリスマスイブだってのに人多いなこの配信」
「そんだけ俺様達を大切に想ってくれてるファンが多いって事だろう、アイドル冥利に尽きるではないか」
「でも男性視聴者も多いよね」
「男女問わずに人気というのはAtoZの名に相応しいな」
まず朝から配信の準備をし、昼間から2時間程生放送。
クリスマスイブという神聖な日に推しに会えるとなればファンも大喜び間違い無しだろうという事で行っている。
内容は『宮崎PV撮影旅行振り返り雑談』と『クリスマス歌限定歌枠』だ。
どちらも今でないと聴けない事とあり、2回目の生放送なのにも関わらず3万人が詰め掛けていた。
まだアイドル活動、YouTube活動としては日もかなり浅く知名度もどうかと思ったが予想以上の集まりで有難い限りだ、全く。
宮崎旅行ではあくまでも俺様達以外の話はノイズになるだろうと一切合切除去しB小町なんかの女性アイドルとの話は完全0、内容は大体旅館の食事、温泉、浜辺での極寒撮影というごく普通の堅実なものだったがファンとしてはそういう話を求めていたらしくウケがめちゃくちゃ良かった。
勢いそのままに歌枠も敢行し、大成功のまま生放送は終了。
「ふぅ……んでこっから生放送の歌番2本、ラジオ1本だっけ?」
「それぞれ個人で出るのが1本ずつ、AtoZで出るのがラジオ含め2本だね」
「ノブユキはメイン歌手のバックダンサーとしてだが」
「りょーかい」
各マネージャーが慌ただしく動きながらスケジュールを確認する。
他事務所でアイドルグループ組むとこれだから俺様は大丈夫なのかって言ったんだが……まあ苦にはして無さそうだから良いか。
「聖なる日に俺様が歌を届けに来たぜ! 聴いていけこの歌を!」
俺様自身も大変ではあるが嫌だと言う事はかんじないしな。
ファンに、しかもこんな日に歌を届けられるなんて最高じゃないか。
「それで今日AtoZとして歌番組出るのは初めてでしてね」
「ちなみに名付け親は和也な。シンプルだけど良いセンスしてるよな」
「俺と和也は今ガチの時に知り合ったんですけど、面白い奴で見ていて飽きないですよ」
結成してまだとんと時は経っていないが出れたのは各々の知名度と実力あってこそだ。
俺様が歌、ノブが振り付け、もっさんが作詞作曲と一番得意な事をしてフルパワーでレーベルデビューまで漕ぎ着けたから最速で出られたという団結力。
YouTubeメインではあるが、ほんと俺様達最高のバランスだな。
そして、そんなこんなでラジオまでぶっ続けでスタジオ行ってハイテンションでゲストをこなし終わる頃には日も暮れて。
明日が夜の『聖夜のミュージックオールスター大集結』だけで済んで良かった。
ちょっと流石に喉を使い過ぎた気もするしな。
「あ〜マジお疲れ、人気出るのは嬉しいけどこっから怒涛の音楽番組ラッシュはしんどいわ」
「唯一の救いは個々で出る番組しか無いってとこかなあ」
「結成があと一季節早かったら地獄だっただろうな、まあ来年はそうなってると言う事だが」
「今から来年に向けて少しずつ体力増やしてくかー」
クリスマスイブの夜だと言うのに結局話すのは男3人、何だか締まらないというかなんというか。
だからと言ってこのまま終わる俺様達ではない、そうここからは各々やる事があるのだ。
「……そろそろ俺は時間だから行くよ」
「おーう頑張れよ~」
「大丈夫メムとは2人きりじゃないから炎上しないし何ならだからこそもう少しお近づきに……」
もっさんはこれからメッちゃんを含めた何人かで食事会らしい。
現役アイドル相手に2人きりは流石に世間体的に死ぬという事でこういうチャンスを逃せないらしい……しかし最早隠さなくなってきたなアイツ。
「んじゃ俺もゆきとお忍びデートの予定あっから」
「バレんなよ~」
「わーってるよ」
ノブはゆきちとお忍びデート。
事務所公認ではあるからいつもは事務所が隠蔽工作をしながら会わせているのだが、今日はそういうの無しで秘密のデートだから気を付けてもらいたい。
まあこんな日まで事務所が絡んでるのはちょっと雰囲気の事もあるしな、仕方ない。
「さて……そして俺様な訳だが……今日ばかりはファンに許してもらうしか無いだろうな」
「あ、和也〜お待たせ〜」
「よっ、早かったな」
そして俺様だが……待ち合わせの相手はかなだ。
今年くらいアクアと過ごせと言ってやったのだが『アクアはルビーやアイと過ごすみたい』だと。
それならお互いアイドルなんだから一人で過ごせと言ったら『毎年一緒に過ごしてるのにそれは嫌だよぉ……』なんて凄く寂しそうな顔で言ってきたので断れなかった。
そんな目で誘われて断れる男がいるだろうか、否いる訳が無い。
ましてや惚れた女相手だぞ、これを断れた男は多分人の心とか無いタイプの人間だと思う。
「まあね。和也の好みはバッチリ把握してるし! どうどう? 今日はクリスマスイブだし赤メインのゴスロリ!」
「めっちゃ可愛い、最高。多分この世で最高の天使だと思う」
「ちょ……さ、流石にそこまで言われると照れるわよ……」
ちなみに本日のかなはフリルをふんだんに使ったゴスロリワンピースにポンチョ、底上げブーツに黒のハット型ヘッドドレスとめちゃくちゃ俺様の好みに決めてきていた。
アクアが甘ロリ派なら俺様はゴスロリ派なのである、ここでもなんか対比になってるみたいで気に食わねえな。
話を戻すが、毎年この日とクリスマスは過ごせる時間2人きりで過ごせるだけ過ごそうと言う事になっている。
それはかなが母親に見捨てられたあの年からずっとの決まり事で、流石にそれを意固地に断ればかなの精神状態的に大きなショックを受けると判断したから断れなかったという背景がある。
しかし今年はヤケに照れるなコイツ。
やっぱり宮崎の時のアレが原因なのだろうか。
「んじゃ家行く前にデートしてくか〜」
「そうね。いつも週刊誌に撮られてるし今年も相変わらず撮られそうだけど……気にしても仕方ないわよね」
「いくらアイドル同士と言っても毎年撮ってる週刊誌ですら【定期】だの【毎年恒例】だの言ってるから逆に撮られた方が炎上しないまであるしな」
「週刊誌に撮られた方がマシって……まあ薄々分かっちゃいたけど相変わらずアタシ達の扱われ方どうなってんでしょうねほんと」
「炎上しない上に話題になる便利で一面が映える美男美女ツーショット?」
「うわぁ〜自分で言うのもどうかと思うけどなんか反論出来ないわね……」
そう、警戒していたとしても一応こうしてデートをしているのは毎年撮ってくる週刊誌が『コイツらで炎上させるのは無理があるから敢えてこっちで振り切ろう』と、デートする度に『またもやデートしている2人』だのクリスマスイブの時なんかも『毎年恒例』やら『聖夜でも変わらない2人』だのネタ方面で売り上げを出してきているのが要因だったりする。
これのお陰で新規ファンにも『幼馴染の恒例行事か』とある程度は思わせられるだろうから変装だってしてないんだからな。
週刊誌様々ってところだよ本当に。
「どこで食べてく?」
「いつもならガッツリ……って言いたいとこだけど今日は難しいわね」
「ふふふ……そう思って先に予約しといたぜ、ちょっと高めで量もそこそこある店。これなら所謂大衆的な料理屋じゃなくオシャレに腹も満たせる」
「マジ? さっすが和也〜」
しかしこういう時幼馴染というのは助かるな。
どういう思考してるか読めるから先回りの予約も完璧、オシャレと空腹どっちも満足にやるには高くて量のある店のリサーチが欠かせないからな。
高級レストランなら匂いが服に付く……なんて事も完全に防げる、俺様の年収なら都内のレストランであっても余裕でいけるから出来る選択肢にはなるが。
他愛も無い話をしながら歩くが、やはり周りはカップルだらけ。
毎年全く気にしていなかったが……今年は話が違う、隣にかながいると思うとドキドキしちまう。
「うわ〜ここちょっとどころじゃなくてめちゃくちゃ高いとこじゃない。それに予約すらかなり取りにくいって言われてる」
「数ヶ月前から予約してたからな」
一応言っておくが、確かに俺様は今年は前提として断るつもりでいた。
いたはいたのだが、どうせ断れないだろうと思っていたから秋口にしていた予約はキャンセルせずにいたのだ。
ほんと弱い男だよ。
ま、でも……
「ね……和也」
「ん? なんだ?」
「ありがとね、今年も」
「良いよ、こうしてかなの綺麗な姿を見られるなら」
「ふへへ……やっぱり、アタシの家族は和也だけね」
「そうかよ。そりゃどうも」
こういう笑顔のかなが見られたし、結果オーライって事にしといてやるかね。
真夏にクリスマスの話をやったせいで季節感が壊れました(n敗)
でもめちゃくちゃ書きやすい話だった
原作では無かったけどラブコメ時空出来てんのにクリスマスも無しに一気に半年も飛ばすバカはいねえよ(天下無双)
有馬かな
アクアとのデートには大慌てで好みも良く分かってなかったり時間がいくらあっても足りないくらいなのに和也とのデートでは完璧に好みを把握して余裕で決めてくる和也特攻の天然のあざとさを持つ女
なんだこの女可愛すぎか?